猪野広樹&伊崎龍次郎|守るもののた
めに剣と計略が衝突する、舞台『双牙
~ソウガ~』新炎ゲネプロレポート

2021年3月5日(金)シアター1010にて舞台『双牙~ソウガ~』新炎が開幕した。初日に先駆けて行われたゲネプロの模様をレポートする。
舞台『双牙』は2009年10月の初演を皮切りに数回の再演やスピンオフ作品の上演にまでなった、トライフルエンターテインメントが制作する舞台作品だ。約7年ぶりの公演となる今作は過去公演で主演を務めた町田慎吾が演出を担い、猪野広樹と伊崎龍次郎による若手俳優の主演で令和の時代に蘇る。
若武者オウカと軍師ツムギ
椎名という小国は、日本の3分の1を手中に治めたゲンシュウ(笠原紳司)軍の勢いに飲み込まれた。「椎名の矛」と呼ばれる若武者・オウカ(猪野広樹)や「椎名の盾」と呼ばれる軍師・ツムギ(伊崎龍次郎)らは新たな支配者の下で生きることになるはずだった。ところが突然怒りを顕わにしたゲンシュウ軍に襲われ、椎名は領主、家老ともども滅ぼされてしまう。
ツムギはシュリノスケ(杉江大志)とやっとのことで椎名の城から脱出するが、その先にもツムギの姉・シズク(小泉萌香)やオウカはおらず、デンベイ(萩野崇)と椎名の姫の姿があった。ツムギは姫から託されたお家再興の想いを背負って、シズクやオウカの捜索に向かうのであった。
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
猪野の演じるオウカは、ツムギやシュリノスケ、シズクらと居るときの自然な笑顔と、敵方に向ける煌々と揺らめく怒りと闘志を静かに胸に燃やし続けながら振る舞うさまとの差が激しく、非常に印象強い。そんなオウカが敵陣で自分のやるべきことを見つけ、突き進むごとに周りに波紋を呼んでいく。ゲンシュウ軍の将兵であるコウエイやシンパチは、オウカのその輝きに良くも悪くも心を動かされていく。
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
伊崎の演じるツムギは姉想いで、椎名への恩を忘れない優しい若き軍師である。その才能は敵の軍師・シュゼン(櫻井圭登)にも一目置かれる存在である。のちにオウカと対立することになるが、ひたむきに姉やオウカ、国を想う姿に意志や信念の強さが表情にもあふれている。心を決めてからのツムギはその真っ直ぐさに恐ろしささえ感じるようになる。
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
ツムギを慕い、常に行動を共にするシュリノスケは明るく陽気なムードメーカー。弱弱しくも見える容姿や言動をするときもあるが、実は強い。彼が守ってきたものが揺らぐとき、ツムギとの関係性やその変化は見もの。シュリノスケの二面性や繊細な心の変化を奇才・杉江が表現する。
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
殺陣とパルクール
高度なアクションも本作のみどころのひとつだ。そこには演劇界では目新しい“パルクール”の要素が取り入れられており、舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』でも指導に当たったHAYATEがパルクール演出を担当している。高低差、幅のある足場を飛び越え、舞台を縦横無尽に駆け回り、思わず難しい技であることを忘れてしまうくらい鮮やかで自然な動作である。戦国の世、敵味方入り乱れる殺陣も見逃せない。パルクール同様、一挙手一投足が鮮やかでかっこいい。
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
もうひとつしっかりと見てほしいのが、キャラ同士の関係性だ。オウカ、ツムギ、シュリノスケ、シズクという椎名の国の4人のみならず、ツムギとデンベイ、オウカとコウエイ、シュゼンとシンパチにも、それぞれが向けるお互いへの想いに気付いたとき、『双牙~ソウガ~』という物語がより一層深く見えてくる。
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより

小国の若者オウカとツムギを中心にそれぞれの守りたいものは何なのか、真摯に心をぶつけ合う。同じ思いを持っていても手段がすれ違えば未来も変わる。王道戦国ストーリーながら、ツムギの計略とオウカが迎える結末は考えさせられるものがある。ぜひ細かいところまで注目してほしい。
舞台『双牙~ソウガ~新炎』は2021年3月14日(日)までシアター1010で上演予定だ。
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
舞台『双牙~ソウガ~新炎』ゲネプロより
取材・文・写真:松本裕美

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