写真左から時計回りに、NARGO(Trumpet)、沖 祐市(Key)、茂木欣一(Dr)、川上つよし(Ba)、大森はじめ(Percussion)、谷中 敦(Baritone sax)、GAMO(Tenor sax)、加藤隆志(Gu)、北原雅彦(Trombone)

写真左から時計回りに、NARGO(Trumpet)、沖 祐市(Key)、茂木欣一(Dr)、川上つよし(Ba)、大森はじめ(Percussion)、谷中 敦(Baritone sax)、GAMO(Tenor sax)、加藤隆志(Gu)、北原雅彦(Trombone)

【東京スカパラダイスオーケストラ
インタビュー】
一緒に音が出せる喜びを謳歌した

スカパラは我ながら
整合性があると思う

ものすごい才能がまた現れたというところでしょう。「9」も他のアーティストが参加しているわけではないですけれども、『J SPORTS STADIUM2021 野球中継テーマソング』ということで、スカパラとプロ野球のコラボレーションととらえることができそうですね。

川上
そうですね。野球も9人で僕らもたまたま9人で。

そう思って聴いたからか、サウンドもちょっと野球っぽいと思いました。

全員
あははは。

こじつけますけど、後半のユニゾンで進んでいくところはどこか連係プレイのようではあります(笑)。

川上
あははは。歌詞はそうだよね?
谷中
スカパラもずっとチームでやってきているので、チームにおいて大事なことを野球のチームになぞらえながら、重ね合わせて歌詞を書かせてもらいました。
川上
スカパラ自体、ちょっとスポーツっぽいですしね。

サビに重なるブラスはプロ野球の応援調だとも思いましたし。

谷中
おおっ! それは嬉しいですねぇ。

随所随所で野球を感じられるんですよ。

谷中
最初の♪テーテレレレ〜のところはグラウンドで鳴らしているみたいだもんね(笑)。何か“さぁ、いくぞ!”みたいな感じじゃない? そんなふうにだんだん聴こえてくるから面白いよね。

はい。あと、『AVIOT完全ワイヤレスイヤホン(TE-BD21j)』とのタイアップ楽曲である「Great Conjunction 2020」。これはYouTubeでもメンバーが“ファンクラブ限定盤”のPRをされていましたが、そこにそのAVIOTの完全ワイヤレスイヤホンが同梱されているということで、「Great Conjunction 2020」は商品とのコラボレーションということが言えそうですね。

川上
そうです。これはAVIOTさんからオファーをいただきました。

これは私の印象ですが、オープニングでのキーボードの音が左右に分かれていたりして音響モノっぽい感じはイヤホンに関連しているようでもありますし、楽器単体の音が強調されているようで、キーボード→ギター→ブラスと連なっていき、そこからホーンセクションではなくサックスだけが鳴っていくところとか、個々の音を聴けるナンバーではあるように思いました。

谷中
あァ、そうですね。スカパラのメンバーをいろいろと感じられますね。

そういうところでは、ファンクラブ限定盤に同梱されているAVIOTの完全ワイヤレスイヤホンで聴くのが正しい聴き方でしょうか(笑)。

川上
あははは。
谷中
ありがとうございます(笑)。

(笑)。さて、ここまで話をうかがってきて、他アーティストとのコラボ、タイアップ曲はいずれも本作で重要なナンバーであることは間違いないんですが、この『SKA=ALMIGHTY』の中心にあるテーマは“新型コロナウイルスにどう立ち向かうか?”であることは、これも間違いなくて。

川上
そうですね。改めて聴き直してみて自分もそうだなと。

1曲目が「Salvation Ska」。“Salvation”は“救い”という意味だそうですけど、祈りを捧げているかのようなオープニングですよね。

谷中
ええ(笑)。“スカの船が出るぞー! みんな、乗ってください!”っていうイメージですね。

「Salvation Ska」は景気が良い感じでありつつ、独特の艶っぽさや色っぽさがありますよね? これはスカパラならではだとも思いました。

谷中
おおっ! 川上のセクシーさが炸裂(笑)。
川上
いやいや(笑)。

景気がいいだけとかセクシーなだけとかなら、他にやるバンドはいると思うですが、それを同居させられるのはスカパラだけかなと。

川上
まぁ、どうしてもコロナのことを抜きには語れないんですけど、そんな時につらくいくよりは明るくいきたいなと。

なるほど。“祈り”というところで言えば、「JUMON feat.アイナ・ジ・エンド(BiSH)」もそうで。この楽曲ではアイナさんは巫女の役割でしょうか?

谷中
巫女!?(笑)
川上
すごくもったいない使い方だったかなと(苦笑)。

でも、彼女のシャウトはものすごく印象的だと思います。“JUMON”はそのまま“呪文”ととらえていいですよね?

川上
そうですね。これはドラムの欣ちゃんがデモを作ってきた時に、そういう感じだったんですね。で、“アイナちゃんみたいな人が声をやってくれたら最高だね”と言ったのが実現してしまったという(笑)。

めちゃめちゃカッコ良いです!

川上
曲ありきでオファーして、“こんな感じなんですけど”って。
谷中
うん。本当に素晴らしかったですよ。いろいろと工夫してくれて、ダイアログをしゃべってもらえたんで、それも良かったですね。2テイクくらいでOKでした。なかなかリスクの高い台詞だとは思っていたんですけど、すぐにできましたね。自分が求められているキャラクターも、自分自身のキャラクターもしっかり分かってるんでしょうね、きっと。歌詞がついた歌じゃないのにこれだけ本人の個性を出せるというのは、彼女ならではなのかなって。

明確にコロナ関連とされているわけではないようですが、「A Touch Of Spring」からも“早くこの状況がなくなってほしい”というような雰囲気が感じられますね。

川上
そうですね。「倒れないドミノ」の中で《春が来るだろう/ぼくらの春が》とありますけど、その《春》に引っ掛けたタイトルを僕が提案したんです。
谷中
うん。このタイトルは川上が命名しました。
川上
“春は本当に来るのか?”みたいな。そう思って聴くとすごく切なく刺さったんです。

ボサノヴァタッチのスウィングしていく感じがとてもいいんですけど、リズムが若干突っ込み気味で、そこがはやる気持ちというか、春を待つ高揚感に重なりますよね。

川上
ある人からは“90年代の渋谷系”って言われましたね。PIZZICATO FIVEとか。
谷中
うんうん。そういう意味では東京っぽいね。

なるほど。そう考えますと、これは改めて言うまでもないですけど、本当にスカパラは何でもできるバンドですよねぇ。

谷中
まぁ、我ながらバラエティー豊富で、バラバラにやっているわりには、何かこう…整合性があるとは思う(笑)。自分たちの背骨がしっかりしているんでしょうね。こんだけいろいろやるとバラけそうですけどね。

はい。ヴォーカル曲は歌い手がバラエティーに富んでますし、インストルメンタル=ヴォーカルレスも多岐に渡っていて、「This Is My Life」などは一曲の中でもさまざまな曲調が展開されています。

全員
あははは。

確かにバラバラはバラバラなんですけど、スカパラの名のもとにしっかりとまとまっているという。

谷中
うん。そうなんですよね。
川上
例えば、“これは全然スカじゃないだろう?”みたいな曲もいっぱいあるんですけど、あえてそういうところも全部まとめて『SKA=ALMIGHTY』ということになるのかなと。なかなかうまいタイトルになったかも。

なるほど。“何でもオールマイティにやります”みたいな感じですね。話を楽曲に戻しますと、このアルバムのテーマが“新型コロナウイルスにどう立ち向かうか?”だとすると、その中心と言えるナンバーは「Together Again」ではないかと個人的には思います。

川上
それはまさにそうで。収録曲の中にはコロナ禍以前からモチーフがあったものを膨らませたものもあるんですけど、「Together Again」はステイホーム期間中にゼロからできた曲なんです。さっきも言いましたけど、ツアーが飛んじゃったりしましたけど、とりあえずポジティブにとらえて、逆に考えれば、あり余る時間ができたわけで、何かすごくゆったりとした気分で…今までだったら“ライヴでウケるような曲を作りたい”とか、“こんな感じだったらフェスで盛り上がるかな?”とか、そんなふうに作っていたのを、まったく何もなく、ただ普通に、ゆったりとした気持ちで作ったんですよ。なので、タイトルもこういう感じにして。

各パートがメロディーを追いかけるような、合唱で言えば輪唱みたいな箇所とか、しっかりタイトルにもつながっていますよね。とにかくメロディーが良くて、個人的には最初に聴いた時には落涙しそうなほどグッときました。

谷中
今回の中で「Together Again」が一番好きという人は多いですね。
川上
今までのスカパラでそんなになかった全員ユニゾンもあるし。
谷中
そうだね。ベースも含めてだね。
川上
ああいうのはそんなになかったんですけど、それをやってみたいと思ったんですよ。

一緒に音を出せない期間が長かったですから、自然とそういうものを欲したんでしょうね。

川上
そうなんですよ。リハーサルでも一緒に音が出せる喜びがあって、それを謳歌したというか。

OKMusic編集部

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