新国立劇場、オペラ『夜鳴きうぐいす
/イオランタ』の指揮者・出演者が変
更 演出家の舞台スケッチも公開

2021年4月4日(日)~4月11日(日)新国立劇場 オペラパレスにて、2020/2021シーズンオペラ公演『夜鳴きうぐいす/イオランタ』が上演される。本公演の指揮者・出演者の変更、また演出家ヤニス・コッコスによる、舞台スケッチが公開された。
演出家ヤニス・コッコスによる、舞台スケッチ『夜鳴きうぐいす』
アンデルセンによる3幕の叙情童話『夜鳴きうぐいす』(1914年初演)は、アンデルセン童話『ナイチンゲール(夜鳴きうぐいす)』を原作とした幻想的なオペラで、機械仕掛けの鳥に心を移した病床の王様を、美しい声、そして美しい心のナイチンゲールの歌が癒す物語。ディアギレフのバレエ・リュス委嘱のバレエ音楽『火の鳥』(1910年)『ペトルーシュカ』(1911年)『春の祭典』(1913年)の三大バレエで時代の寵児となったストラヴィンスキー(1882~1971)が発表した作品で、幻想的な夜の森から中国の宮廷へ、ストラヴィンスキーならではの圧倒的色彩感の音楽がダイナミックに開花させる。ロシア独特の東洋的色調が全編を彩る一方で、人知を超えた響きのうぐいすの可憐なコロラトゥーラが胸に染みる。
演出家ヤニス・コッコスによる、舞台スケッチ 『イオランタ』
『イオランタ』(1892年初演)はチャイコフスキー(1840~1893)最後のオペラで、バレエ『くるみ割り人形』と同時上演するために書かれた一幕物。盲目の少女が愛と希望の力で開眼する物語が詩情豊かに歌い上げられる、晩年のチャイコフスキー珠玉の作品だ。繊細な管弦楽と美しい旋律の宝庫で、その音楽は「おとぎ話のように美しく、彼の作曲家として、また人間としての純真さ、優美さ、繊細さが見事に結実した傑作(芸術監督・大野和士)」。愛と希望を全員で讃えるフィナーレは特に感動的で、劇場を満たす幸福の響きが深い共感を呼ぶ。
いずれの作品も、無垢な主人公と迷える人々が出会い、結末では純粋で誠実な心と愛が希望をもたらす物語。崇高な音楽の力で、観ている者をおとぎの世界へ誘い、心震わせてくれるだろう。
演出は、舞台美術家、演出家として世界一流歌劇場で活躍し数々の賞に輝く巨匠ヤニス・コッコス。指揮は緻密な音楽創りに定評ある高関健があたり、三宅理恵、大隅智佳子の2人のソプラノのほか、国内で活躍中の粒ぞろいの歌手たちが出演する。
本公演に出演を予定していた招聘指揮者、キャストだが、緊急事態宣言の延長に伴い、新型コロナウイルスの感染症に係る入国制限措置により、充分な公演準備をしての出演が不可能となった。これにより、指揮者、出演者を変更することとなった。
なお、演出・美術・衣裳(ヤニス・コッコス)、アーティスティック・コラボレーター(アンヌ・ブランカール)、照明(ヴィニチオ・ケリ)、映像(エリック・デュラント)、振付(ナタリー・ヴァン・パリス)は来日せず、リモートで演出等を行う。また、新型コロナウイルス感染症拡大予防対策を講じた新時代の生活様式を考慮した演出により、本公は上演される。
【夜鳴きうぐいす】物語
夜。漁師が夜鳴きうぐいすの声に聞き惚れていると、皇帝の命で家来たちがやって来る。病の皇帝の所望と懇願され、うぐいすは宮中へ赴く。宮廷で夜鳴きうぐいすが歌い始めると、皇帝はみるみる快復し、感涙にむせぶ。うぐいすは「その涙で充分」と、皇帝の差し出す褒美を受け取ろうとしない。そこへ来た異国の使者が、機械仕掛けのうぐいすを献上する。皇帝が聴き比べようとすると、本物のうぐいすの姿がない。怒った皇帝は逃げたうぐいすを国外追放とし、機械仕掛けのうぐいすを寝室へ運ぶが、皇帝の病はみるみる悪化、死神まで現れた上、機械仕掛けのうぐいすも動かなくなってしまう。そこへあの夜鳴きうぐいすが舞い戻り、美しい声で死神の心を動かして立ち去らせる。感謝する皇帝に、うぐいすは毎晩歌いに来ることを約束するのだった。
【イオランタ】物語
中世南フランスのとある山中の城。ルネ王は盲目に生まれた娘イオランタを、自らが盲目であると気づかぬように、外界との接触を避けて育ててきた。王は娘のために医師を招くが、イオランタ本人の治療への意志なくして治らないと言われる。城に二人の青年ロベルトとヴォデモン伯爵が迷い込む。ヴォデモンは美しく純粋なイオランタに魅了されるが、やがてイオランタが盲目であることに気付き、光の世界の素晴らしさを話して聞かせる。事態を悟った王は、「侵入者は処刑する掟だが、イオランタの目が治れば罪を許す」と宣言。イオランタはヴォデモンを救うため、治療に耐える決心をする。一方ロベルトが幼くして決められたイオランタの許嫁であることが明らかになり、ロベルトが婚約解消を申し出るので、王はヴォデモンの求婚を受け入れる。施術を終えたイオランタが登場。王が二人を祝福し、一同喜びに包まれて光を讃える。

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