蒼井翔太

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【蒼井翔太 インタビュー】
5年ぶりの日本武道館、
自分の足でしっかりと踏みたい

配信だからこそ今までと同じような
ライヴにしたくなかった

武道館には愛されているのかもしれませんね(笑)。でも、有観客でやる予定だった当初は、いつも通りのライヴになる予定だったんですよね。

はい。通常通りのライヴになる予定でした。

それが配信になったことで、なぜ歌とピアニストによる伴奏のみで贈るステージという、斬新なアプローチに変わったんでしょうか?

配信だからこそ今までと同じようなライヴにしたくなかったというのが、まずひとつと。僕個人としてはメイクや衣装にも趣向を凝らして、これまで目にも楽しいライヴを作ってきましたけど、今、一番届けたいのは“歌”と“声”だったんですね。こういった状況下で、蒼井翔太が演じるキャラクターを作品で楽しむことは日頃からできていても、ライヴの中でしか魅せることができない蒼井翔太個人、パーソナルをみなさんに楽しんでいただける時間というのは本当に久しぶりなので、一番ナチュラルなところをみなさんにお届けしたかったんです。それは“歌で勝負”というか、ピアニストの方と一緒に歌一本で、みなさんに一曲一曲お届けしたいっていうのが一番の理由ですね。武道館は武道館として通常通り開催して、そういった形態はスタジオライヴというかたちで別にやったらいいっていう案も、もちろん最初は出していたんですよ。だけど、周りのスタッフ陣やプロデューサーも、あえて武道館でやるのがいいのかもしれないっておっしゃってくださって、チャレンジの第一歩をみんな一緒に踏み出してくれたんです。

今まで同じような形態で歌ったことってあります?

過去のツアーでアコースティックコーナーを設けたりはしてましたけど、ピアニストの方とふたりだけっていうのは初めてですね。全てピアノで演奏していただくので、一曲一曲がどういうふうになるのかは楽しみにしていただきたいところですし、ピアノアレンジになったからといって全部がバラードになるわけではないんです。曲のつなぎだったりも工夫していきたいですし、ずっとゆったりとした時間が流れていくわけでもないので、そこはピアノならではのジェットコースター感を楽しんでいただけたら嬉しいですね。きっと一曲一曲が新しく生まれ変わったに等しいものになるだろうから、僕自身、どういった歌い方になるのか、当日歌ってみるまで分からないんですよ。普段から同じ曲でもその時々で歌い方や声が変わると言われていますし、あまり最初から決め込みたくはないので、今回もどんなふうに歌えるのかは、自分自身すごく楽しみでもありますね。

それにしても、ステージには蒼井さんとピアニストふたりしかいないなんて、そんなライヴは武道館の規模で聞いたことありませんよ。

そうなんですよ。もう、バチが当たるんじゃないかってくらい贅沢! でも、せっかくなので、その形態の珍しさをフルに活かして、この日しかない武道館を、『うたいびと』を魅せたいと思います。

歌だけで魅せるから“うたいびと”というライヴタイトルなんですね。いつもはスペクタクルな演出や衣装替えも観どころですが、今回はシンプルに?

衣装の構造によっては、暑くなったら脱ぐくらいはあるかもしれないですけど(笑)、今回の武道館は“あらゆる面を最小限にしてどれだけ伝えられるか?”っていうチャレンジでもあるんですよ。その中でも、“あっ、こういう魅せ方があるんだ!?”っていう驚きは提示したいです。5年振りの武道館ということで…これは言葉通りに受け取っていただきたいんですけど、武道館を自分の足でしっかりと踏みたいと思ってます。

確かに自分の歌だけで武道館ワンマンを成し遂げられたら、本当の意味で武道館に“立った”ことになりますよね。

そうですね。オーケストラと一緒にやられてる方もいますし、アコースティックでやられる方もいらっしゃいますけど、ピアニストさんとふたりでやる人ってなかなかいないじゃないですか。まぁ、蒼井翔太という生き物は、他の人がやってきていないことをやりたいっていう習性があるので(笑)、そういったところでも勝負に出ていきたいんですよね。

どんなステージになるのか楽しみです。しかも、ファンクラブ以外の方にとっては、これが約2年振りのライヴになるわけですから。

キャラクターソングを歌うイベントはありましたけど、役を通してではなく、蒼井翔太のパーソナルな部分を魅せられるのは、確かにかなり久々ですね。会えなかった分のパワーや想いは全力でぶつけるつもりなので、ぜひ受け取っていただきたいです。2020年は歌番組やメディアに出させていただく機会も多かったので、そこで初めて蒼井翔太を知った方々もたくさんいらっしゃると思います。今まで応援してくださった方々にとってはまったく新しいライヴであり、逆に新しく僕を知っていただいた方には初めてのライヴ…つまり、ベースになるわけですよね。そこから過去のライヴを遡って、いろんな蒼井翔太を知っていただいたり、今の蒼井翔太とのギャップや想いを知っていただく起点にしていきたいです。

昨年、過去に行なってきた全てのライヴ音源を配信したのにも、そんな意図があったんでしょうか?

はい。昨年、僕が歌番組で歌わせていただいた「BAD END」(2020年4月発表のシングル)だけではなく、“他にもこういう楽曲やってるよ”って知っていただきたかったのと、やっぱりツアーがなくなってしまいましたから、新たなライヴ音源を配信することで、ライヴの空間を体感していただきたかったんです。

では、「BAD END」から蒼井翔太を知り、日本武道館での『うたいびと』を観た方々にとって、7月にリリースされるというシングルはどんな作品になると思います?

きっとめちゃくちゃ癖になると思います! 一発で覚えちゃうくらいのフレーズもありますし、少しアイドルチックな曲にもなっているんじゃないかな? 日頃からアイドルの役をやらせていただいたりもしてるんで、自分の楽曲にアイドルっぽい曲があってもいいかなと考えていたんですけど、今回は“カッコ良いアイドル”な感じになってますね。

そちらも期待しつつ、まずは『うたいびと』で蒼井翔太の“声”を堪能させていただきたいと思います。

武道館でのライヴは5年振りとなりますが、僕は、蒼井翔太として活動する前から歌の活動をやらせてもらっていて、その頃からいろんな方々が応援をしてくださり、僕自身の声に関しても嬉しくなるコメントをいただいてきたんですね。今でこそ多様性が認められてきましたけど、男性の中でも高い声の方や、女性の中でもハスキーだったり低い声の方々って、その魅力に気づくまではコンプレックスに感じることが少なくないと思うんです。声以外にもいろんなコンプレックスがある中、僕は人生で一番のコンプレックスだった声で、ここまで活動し続けることができている。なので、今回の『うたいびと』も僕のコンプレックスだったこの特徴的な声で、今、苦しんでいる人たちや何かしらコンプレックスを持っている人たちに、どれだけ届けられるか? そういった挑戦の場にしたくて決めたライヴでもあるので、何かコンプレックスがあったり、常日頃から自分のことに関してマイナスのことばかり考えてしまう人たちには…それこそ“やってる?”くらいの気軽な気持ちで観に来ていただけたら、僕はできる限り背中を押します。もちろん今まで応援してくださっている方々には、みなさんにお会いしたい気持ちを全力でぶつけていくので、どんな人でもウェルカムですね。

“僕のこれを観ろ!”ではなく、あくまでも観る側の視点を考えているのが素敵です。

僕はみなさんに寄り添うことが自分の人生だと思ってますから。それは2021年も変わらないですね。このコロナ禍がどうあろうと変わらない! これが僕の人生なので、少しでもみなさんの痛みだったり、苦しみに寄り添えたらなと。もちろん応援もしたいし、喜びも分かち合いたいけれど、コンプレックスを持っている人って自分で自分を傷つけてしまうから、その痛みだったり傷に寄り添って“ひとりじゃない”っていうところを共有したい。そんな大層な力が自分にあるわけではないですけど、同じように寄り添ってくれるアーティストさんや俳優さん、エンタメってたくさん存在するので、まだ出会っていない方々も含めたみなさんに、僕は僕のやり方で寄り添っていきたいです。

取材:清水素子

ライヴ情報

『JOYSOUND presents 蒼井翔太 ONLINE LIVE at 日本武道館 うたいびと』
3/06(土) 配信開始時間:開演18:00
配信会場:東京・日本武道館
アーカイブ日程:放送終了後〜3/15(月)23:59

蒼井翔太 プロフィール

アオイショウタ:2011年声優デビュー。主な出演作として『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズの美風 藍役、劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』(フィッシュ・アイ 役)TVアニメ『2.43 清陰高校男子バレー部』(棺野秋人 役)TVアニメ『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(ジオルド・スティアート 役)など。13年6月にミニアルバム『ブルーバード』でアーティストデビュー。19年1月~2月に掛けて自身最大規模となるライブツアー『蒼井翔太 LIVE 2019 WONDER lab. I』を全5都市にて7公演行った。声優のみならず、アーティスト、俳優としても活躍中!蒼井翔太 オフィシャルHP

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