蒼井翔太

蒼井翔太

【蒼井翔太 インタビュー】
5年ぶりの日本武道館、
自分の足でしっかりと踏みたい

3月6日に開催される配信ライヴは、なんと歌とピアニストによる伴奏だけという前代未聞のスタイルで敢行! “うたいびと”と名づけられたライヴ名の通り、歌で勝負したいと語る彼の胸中には、リスナーに対する深すぎる愛があった。思い出のステージで、今、蒼井翔太の新たな挑戦が始まる。

ミュージシャンや
アーティストにとって、
音楽を届けることは人生そのもの

本誌には約1年振りの登場となりますが、コロナ禍により世の中の状況は大きく変わってしまいました。その間、どんな想いで、どんな日々を過ごされていましたか?

昨年の3月以降、新型コロナウイルスが猛威を振るって、誰かにとっての大切な人、大きな影響を与えた人が存在していて当たり前ではないんだと思いました。改めて人間の儚さや無力さを実感させられましたし、もしかしたら明日は我が身かもという危機感もありました。ただ、それは自分だけでなく、きっと多くの方々が同じ気持ちで毎日を過ごしているんだろうなって考えると、伝える仕事をさせていただいている身としては、“今、自分に何ができるんだろう?”と、前向きなシフトチェンジをするようにはなりましたね。

ひと言に“伝える仕事”と言っても、蒼井さんの場合かなり多岐にわたっていますが、一番ダメージが小さかったのは声優業でしょうか?

そうですね。少しの間、アフレコも止まりかけましたけど、スタッフさんたちが素早く対応してくださって、いろんなやり方を提示していただき、そこまで大きな支障もなく続けられたことには、とても感謝しています。ただ、ラジオとかの面と向かってしゃべるお仕事はなかなか再開できなかったので、この機会に自宅に機材を一式揃えたんですよ。お世話になっている作家さんにアドバイスをいただきながら、マイクや周辺機器も選んで、リモートでもラジオ番組に出られるようにしました。

なるほど。とはいえ、音楽活動に関しては大きく制限がかかってしまい、蒼井さんご自身も昨年5月からのツアーが中止になってしまいましたよね。

僕にとってライヴはファンのみなさんに会える時間であり、みなさんと通じ合える時間なので、すごく残念でした。やっぱり音楽って、悲しい時も嬉しい時も人が日々生きていく中で一番身近にあるもののひとつだと思うんですね。だから、これまでリリースされてきた楽曲は色褪せないし…でも、歌ったり演奏したりする側は、もっともっと届けたいって望むものなんですよ。それはミュージシャンやアーティストにとって、人生そのものですから。

では、昨年末にファンクラブの生配信イベントで久々に歌ってみた時は、さぞ嬉しかったでしょうね。

歌うことの楽しさを改めて実感しましたし、待ってくださっていた方がたくさんいたのもありがたかったんですけど、同時に“ちゃんと歌を届けられて良かった”とも思えました。時間が空いてしまって、“みんなに伝えられる実力が今の自分にあるのだろうか?”という不安もあったので。というのも、今回のコロナ禍でいろんな情報を聞くうちに、息をすることさえも怖くなってしまった時期もあったんです。おかげで日頃から呼吸が浅くなっちゃって、“肺自体が小さくなってるんじゃないか? これまでのようなロングトーンが出るだけの息が肺に入るのか?”って。なので、1曲目はハラハラしてたんですけど、いざ歌い始めたらみなさんのコメントからすごく元気をもらって、そんな不安はどこへやらでしたね(笑)。

感染すると、特に肺へのダメージが大きいっていう情報もありましたからね。

だから、仕事で外に出る時には緊張感があって、変な力が身体に入ってました。ただ、部屋の中では常日頃から深呼吸をして、歌う練習はしてましたし、ダンスも忘れないようにずっと踊ってましたね。

何もできずにボーッとしていた人も多いのに素晴らしいです!

でもね、ボーッとする時間もあってこそなんですよ。コロナの影響で悲しいニュースが日々届く中、世の中が放心状態になってしまった時期もあって…でも、そのぽっかり空いた時間で誰もが脳味噌を働かせて、“今、自分にできることは何だろうか?”って探したと思うんです。その考える時間が、止まっていた世界の歯車をちょっとずつ動かしていったんじゃないかな?

前代未聞の状況でもできることをみんなが探した結果、音楽業界では配信がニューノーマルになり、蒼井さんご自身も3月6日に初の配信ライヴを開催されるわけですもんね。とはいえ、その会場が日本武道館というのは想定外すぎますよ!

実は、この日に日本武道館で有観客のライヴをやる予定だったんです。昨年の夏の時点では状況も少しずつ落ち着いてきていて、有観客でライヴをするアーティストの方もいたので、きっと2021年はもっと自由にライヴができるだろうと、武道館公演を行なう予定だったんです。でも、予想外に状況が悪くなってしまって…。なので、本当はキャンセルの予定だったんです。だけど、今はオンラインでのライヴも一般化してますし、せっかくの5年振りの武道館だから違うかたちでやってみないかって挑戦状をプロデューサーからいただいたんですよ。僕の中にも5年振りの武道館を逃したくないという気持ちがあったし、武道館からオンラインライヴをすることを決めたんです。

蒼井さんにとって、やっぱり武道館は特別な場所ですか?

人生にはいろんなターニングポイントがありますけど、間違いなくその中のひとつですね。2014年に日本青年館で1stライヴ、2015年にTOKYO DOME CITY HALLで2ndライヴと進んでいく中、“いつか絶対に武道館に立つぞ!”っていう目標を立て始めたころにキングレコードへの移籍が決まり、そのタイミングで舞い込んできたのが初めての武道館ライヴだったんです。それは応援してくださる方々への恩返しにもなるし、自分がさらに羽ばたいていくためにも絶対に逃したくない想いもありつつ、いきなり会場の広さが変わるものですから“埋まるのか?”っていうプレッシャーもあって、すごく思い出に残ってますね。ただ、そんなプレッシャーとは裏腹に、ライヴに向けての会議で“こういう構成にしたいです”とか、いろいろ意見を言うのがすごく楽しくて、ワクワクが抑えられなかったんですよ! 実際ステージに立ってる間も、“次はこういうふうにしたいな”っていうアイディアがブワーッと浮かんできたし、目の前に広がる景色とか、みなさんが僕の耳に届けてくださる声とかも鮮明に覚えてますね。

ちなみに、よく“武道館には魔物がいる”と言われますが、いかがでした?

武道館に魔物は…いなかった! 2ndライヴでは曲の途中で音が止まったり、代々木体育館ではちょっと機材トラブルとかハプニングもありましたけど、武道館ではフライングもきれいにできたし、魔物と言えば…自分くらい? 魔物は自分自身ですね(笑)。
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OKMusic編集部

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