L→R OKAZAKI(Dr)、KOICHIRO(Vo)、DJ PEAH(DJ)、MIYO KEN(Gu)

L→R OKAZAKI(Dr)、KOICHIRO(Vo)、DJ PEAH(DJ)、MIYO KEN(Gu)

【M-AGE インタビュー】
“あれ? 意外と音はいいし、
カッコ良いんじゃない?”って
素直に思えた

ハウス、テクノ、ヒップホップ、シューゲイザーなどさまざまな要素を取り込み、クラブサウンドと既存ロックの融合を試みた革新的バンド、M-AGE。まだデジタルロックという概念もなかった90年代初頭に日本のミクスチャー文化を牽引した彼らが30周年となる2021年に再始動! 27年振りの新曲も収録されたベストアルバム『RE:CONSTRUCTION 1991-1994』についてMIYO-KEN(Gu)に訊いた。

音像だったりやってる手法は
今聴いても遜色ないかなって

今回のリユニオンはどういう経緯で?

もともとメンバーみんなとは連絡を取り合っていたんですよ。特にOKAZAKIとDJ PEAHは僕のユニットとかでも手伝ってもらったりしてたし。先に辞めちゃったKAJIWARAも僕が自分のバンドで水戸に行く時には必ず観に来てくれたり、年賀状のやりとりもしていて。KOICHIROの従兄弟と僕は仲良しで、お互いの近況も知ってて。で、僕はもともと再結成とか一度辞めたものをもう一回やるっていうのはあんまり好きじゃないっていうか、全然興味がなかったんです。ただ、ここ何年かでわりと身近というか近しい方々が亡くなったりして、“結局、死んじゃったら終わりじゃん”みたいな感じで少しずつ気持ちが変化していったんですよね。それで2019年の夏くらいにOKAZAKIに相談して、みんな元気なうちに…っていうか、何かを背負ってやるんじゃなくて、もっとライトな気持ちで集まってワイワイできたら楽しいんじゃね?くらいな話で始まったんですよ。それでメンバーに連絡したのが2019年の秋ですね。今回のベストももともとは原盤をお借りして、自分のレーベルから出そうかと思ってたくらいなんです。でも、ビクターに連絡したら、“それならぜひうちで”って言ってもらえたから渡りに舟というか…小ぢんまり始まるはずだったものが、ひとつ整ったわけじゃないですか。それは本当にありがたいと思ってるし、売れてほしいと本気で思いますよね。

収録された昔の曲はリアレンジやリレコーディングをしていないんですよね。リマスタリングだけとうかがいましたが、今聴いてもアレンジにしろアイディアにしろすごくカッコ良くて驚きました。

30年前のバンドだから今の若い人にどう思われるかは分からないけど、僕がリマスタリングに立ち合って一番感じたことは、確かにみんなやってることは青いんですよ。ただ、その音像だったり、やってる手法っていうのは、今聴いてもそんなに遜色ないかなって。それこそ僕も何十年振りに聴いたんですけど、ビクタースタジオでマスタリングした音源を聴かせてもらって“あれ? 意外と音はいいし、カッコ良いんじゃない?”って素直に思えたっていう。それは今回やって良かったことのひとつですね。

27年振りの新曲「BIRD CAGE」も他の楽曲と違和感なく並んでますからね。

今回のテーマとして、古い曲をリアレンジしなくても新曲は同じ時系列な感じで聴けないといけないというのがあったんです。やっぱり“どうせやるんだったら新曲もやらなきゃ茶番だろう”と思ってたので。今の時代に同次元で音が鳴らないと嘘っていうか、なんかカッコ悪いというか。もう1992年じゃないし、同じ時代性で同じテーブルに乗らないと僕らの中で嫌だったんです。そこはすごく意識してますね。結果的に「BIRD CAGE」に関して言えば、今までやってきたことと現在の気持ちみたいなものがすごく出せたと思ってるんですよね。古いようで、実はそうでもないっていう。

新曲はどんなふうに作っていったんですか?

みんな住んでる地域もバラバラだし、こういうご時世なので集まってスタジオでリハーサルとかもできないから、そこはデータのやりとりで。ベースとなっているのはもともと僕がインストで作ってたもので、ダンスミュージックだったからコードも何もなくて、ビートがずっとつながってる3分くらいの曲だったんです。それをKOICHIROに送って、歌が乗って返ってくると、もう一回僕がリハーモナイズっていうか、歌に対してコードを当て直して返送すると、それにコーラスが乗っかって返ってくる。PEAHにも音源データを送って“スクラッチをキュッキュキュッキュ入れてくれよ”と(笑)。そうすると気合い入れてキュッキュしてくれるわけですよ、“30年振りの新曲だ!”って。そして、最終的にスタジオ入って“ドラムを録ろうぜ!”と。

いい時代ですよね。そんなこと昔はインフラ的にも考えられなかったわけですから。

でも、やろうとしていたことは当時から今のようなことなんですよ。コンピューターをガンガンに使って、シンセサイザーも全部引っくるめて今のようにやりたかったっていうのが目標だったと思うんですよね。92年や93年にそれができていたら、もっともっと変わったんだけど、こればかりはしょうがないですから。

ツールやらインフラより感性が先に行ってたんですね。

当時の制作環境で問題だったのが、どうしても商業スタジオの大きいところに入らないと基本的に音を作れない・録れないっていうこと。だからこそメジャーのレコード会社の意義ってすごくあったし、プロとアマの差ってそこだったと思うんですよ。もちろんインディーズでもレコードやCDは出せましたけど、そういうふうにSSLだNEVEだっていうで大きな卓があるところでレコーディングできるのは、やっぱりメジャーレーベルから出せるひとつのステイタスだったから。今はどんなに安いコンピューターを買っても普通に256ギガバイトとかハードディスク入ってるじゃないですか。メモリも64ギガバイトとか普通じゃないですか。当時の僕らが使ってたサンプラーなんてモノラルで録って、フロッピーディスク一枚分ですからね(笑)。2メガバイトですよ! 全部ロードしてやっても、一度に2メガバイトしか流せないわけですからね。それを構築するにはレコーダーに録って、他の音を重ねる作業をやらないとできない。そういう意味では、ある意味でスタジオは実験室でしたね。あとになってスタジオ代が一日にいくらかかるって知った時に、むちゃくちゃビビリましたけど(笑)。でも、良い時代だったし、良い想いをさせていただきましたよ。そこでやり方とか感性を培われた部分ってとってもあるので、すごく感謝してます。そうじゃなかったら、たぶん今につながってないと思うんですよね。

当時のメジャーの環境を知った上で今の時代にDTMをやるのは、きっと違いますね。

相当違うと思いますよ。実際のスタジオで鳴らすドラムの音はどういう音だとか、スタジオであのマイクで録ったギターの音はどういう音だって分からないと。例えばアンプシミュレーターがあったとして、良い悪いはなかなか判断できるものじゃないと僕は思うんですよ。みんな音はそこそこ良いし。ただ、実機と何が違うのとか、そこはその経験というか音の記憶がないと比較できないですよね。特にドラムに関しては、あそこのスタジオの音が欲しいとか空気感が欲しいとかいろいろあるんで。そこはすごく自分の栄養になってると思います。
L→R OKAZAKI(Dr)、KOICHIRO(Vo)、DJ PEAH(DJ)、MIYO KEN(Gu)
アルバム『RE:CONSTRUCTION 1991-1994』【生産限定盤】(2CD+DVD+別冊BOOK)
アルバム『RE:CONSTRUCTION 1991-1994』【通常盤】(2CD)

OKMusic編集部

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