『ANIMAX MUSIX 2021』DAY1ファンの
リクエストや夢のコラボも織り交ぜた
4時間のパワフルステージ

毎年様々な声優・アーティストが勢ぞろいし、オリジナルナンバーやファンから募ったカバー&豪華コラボレーションなどがふんだんに盛り込まれた人気アニソンフェス『ANIMAX MUSIX』。今年は新型コロナ禍の現状を鑑みて、初の無観客オンラインフェス『ANIMAX MUSIX 2021 ONLINE supported by U-NEXT』として1月30~31日に東京・有明アリーナにて開催となった。「繋がる!一緒に創る!」をテーマに、無観客ならではのステージ演出の数々や、ネットの向こうのファンにライブならではの熱気を届けようとする出演陣の熱いパフォーマンスが炸裂した初日の模様をお届けしよう。2月6日~14日には見逃し配信も行われるので、このレポートで興味のわいたアニソンファンはぜひチェックしてほしい。

■3つの異なるステージで繰り広げられる多彩なライブの饗宴
今回の会場となったのは東京の有明アリーナ。普段なら音楽ライブには不向きな会場だが、今回はオンライン配信ならではの試みとして競技フロアに3つのステージが設置された。大型スクリーンが設置された全周解放型の円形ステージ、三角形に組まれたトラスのトンネルが据えられたステージ、そして三方をディスプレイに囲まれたビジュアルステージ。それぞれのステージで多彩な演出とともに4時間にわたるライブが繰り広げられるのだ。
●i☆Ris
i☆Ris
「まずはi☆Risがぶちかましていくよー!」
トップを飾るべく全周ステージに登場したのは、華やかな歌とパフォーマンスで数多くのライブを盛り上げてきた声優ユニット「i☆Ris」。先日メンバーの1人・澁谷梓希の3月いっぱいでのグループ卒業も発表されただけに、6人のi☆Risが見られるのもあとわずかとあって、6色のイメージカラーの衣装を身にまとった6人が「アルティメット☆MAGIC」(TVアニメ『賢者の孫』)を披露すると、ネット上の観客もスタートと同時にテンションは最高潮に。
「明日のことは考えず、画面の向こうでとにかくはしゃぎまくれー!」
 そんなゲキとともに盛り上がった1曲目を終えて、6人が自己紹介を終えるなり「次でラストの曲になります!」と全員ずっこける一幕も。そんな前振りから始まった2曲目は「Realize!」(TVアニメ『プリパラ』)では、スクリーンに6人が『プリパラ』で演じた「SoLaMi SMILE」「DressingPafe」のキャラクター達がお揃いの衣装で登場。i☆Risも彼女達と同じ並びでステージに立ち、曲に合わせてキャラクターとともに見事なシンクロパフォーマンスを繰り広げる。そしてステージを縦横無尽に使いながらの歌とダンスでステージを締めくくり、オープニングアーティストとしての大役を見事果たした。
カメラはトラスステージへと移り、背後からの光を浴びてスモーク越しのシルエットで浮かび上がるバンドの姿が…今回が『ANIMAX MUSIX』初登場となるPENGUIN RESEARCHだ。
叩きつけるようなサウンドとともに放つ一曲目は「決闘」(TVアニメ『ゾイドワイルド』)。タイトル通りに熱い戦いを感じさせる激しい演奏とシャウト、そして戦いを終えた静寂のごとく囁くように唄うパートの緩急の余韻で、フェスの空気を自分達の色へと染め上げていった。
「はじめまして、俺達がPENGUIN RESEARCHです、よろしくお願いします! 今日は2021年初っ端からぶっ壊しにきました! 画面の前の皆さん、楽しんでますか!?」
「ライブの楽しみ方は人それぞれです、みなさん今日は最後まで今日という日を全力で楽しんでってください!」
オンラインライブという新たなスタイルで見てくれているアニソンファンへのボーカル・生田鷹司からの熱い挨拶とメッセージから、2曲目「HATENA」(TVアニメ『ガンダムビルドダイバーズReRISE』2ndSeason)がスタート。ステージを飛び交う青と白のライティングがメンバーを照らし出す中、生田は声を限界まで絞り出すような絶唱を叩きつけていき、迫力満点のライブをネットの向こうで歓声を送っているファンへと届けていった。
●スペシャルコーナー「Science Fiction」
ファンから寄せられたカバー曲のリクエストを具現化させていく『ANIMAX MUSIX』ならではのスペシャルコーナーがスタート。その第一弾は「Science Fiction」アニメからのナンバーで、まずはPENGUIN RESEARCHによる「魂のルフラン」(劇場アニメ『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』)からスタート。男性ボーカルによる切なげな独唱から、シャウトと共に激しいロックサウンドで彩られた『魂のルフラン』は、生田の激しく叫ぶような歌声によるクライマックスと相まってオリジナルとは異なる魅力にあふれた仕上がりに。
●H-el-ical// ✕ Machico
続いてカメラは全周ステージに移り、青く染めた髪と黒いドレス姿のMachicoとブラックレザーのチューブトップ&パンタロンをまとったH-el-ical//の姿を映し出す。『ANIMAX MUSIX』名物のコラボレーションライブの一番手となる二人が唄うのは「名前のない怪物」(TVアニメ『サイコパス』)。アニメで描かれた管理社会の闇を感じさせるように、二人はグリーンやパープルのライティングの明滅の中で激しく妖艶に唄い上げ、最後は二人が向かい合っての見つめ合いながらのハーモニーを披露。圧倒的なボーカル力の二人ならではの、聴き応え満点のステージとなった。

楠木ともり×伊藤美来

続いて登場したコラボレーションライブの二番手は楠木ともりと伊藤美来。共に『ソードアート・オンライン』シリーズへの出演という共通点のある二人のコラボレーションナンバーは「courage」(TVアニメ『ソードアート・オンラインII』)。シリーズヒロインのアスナを演じる戸松遥が、未来へ向けて生きていく希望と冒険を唄ったアップテンポに唄い上げたナンバーを『ガンゲイル・オンライン』のレンと『アリシゼーション』のフレーニカが唄うという、「ソードアート・オンライン」シリーズのファンには嬉しいコラボレーションステージとなった。
●西田望見
『マクロスΔ』のワルキューレのメンバーとして人気を博し、2019年からスタートさせたソロアーティスト活動も好調な西田望見は、デビューミニアルバムのリード曲「フルスロットルで行こうぜ!」を披露。新型コロナ禍でみんな遠くへ出かけることができず、自身もバイク好きなのに走りに行けないということで、鬱屈した気持ちをアップテンポで元気なこのナンバーで吹き飛ばしてもらいたいという思いを込めて唄ったと語った。
続く2曲目は『マクロスΔ』で演じるマキナ・中島がメインボーカルを務めるナンバー「おにゃの子 Girl」(TVアニメ『マクロスΔ』)。「実際に声は聞こえないけどもっともっと熱を届けて下さい!」と、劇中でもこの曲のキモとなったコール&レスポンス「からのー!」コールをお願いしながら、ウレクトリックポップなメロディに乗せて甘い恋の歌を優しく可愛らしく歌い上げた。
安野希世乃✕西田望見
続いて始まったコラボレーションコーナー第三弾では、西田とともに『マクロスΔ』でカナメ・バッカニアを演じた安野希世乃が登場。この二人となれば、やはり唄うのはワルキューレのナンバーということで、その中でも人気の高い「涙目爆発音」(TVアニメ『マクロスΔ』)でコラボステージがスタート。ダンサブルなメロディに乗せて戦いの中で歌い続ける葛藤と決意を力強く綴ったこの曲を、二人はリズミカルなシンクロダンスを交えながら唄いきり、思わぬワルキューレのライブ実現にネットでのファンの実況ツイートも熱く盛り上がた。
オンラインライブだからこそ、生のライブ以上の熱さを画面越しに見てくれているファンに届けたい…次に登場した仲村宗悟は、先日スタートしたばかりの新番組『スケートリーディング☆スターズ』の主題歌「JUMP」と共にステージがスタート。前へ進む希望を歌ったナンバーを、サビ前に「いくぞー!」と叫んだりコールで手を振り上げたりと、ネット越しのファンに向けてライブと変わらぬテンションで熱唱。
「始まってまだ間もないけど、熱いねライブってやっぱり! 僕も本当にライブ大好きで、皆さんのことをね目の前に居ると思って歌ってます」
「それぞれの場所で楽しんでる? ありがとう! これからもまだまだライブしようぜ!」
MCではファンに向けてライブへの熱い想いを語り、それを照明するかのように続いてのオリジナルナンバー「Oh No!!」でも、ネットで見ている人達にライブ最前列の気分を味合わせるかのような熱いパフォーマンスを繰り広げ、ファンの熱量に引き上げながらステージを締めくくった。
●Happy Around! from D4DJ
ZAQ × Happy Around! from D4DJ
DJをテーマにクロスメディア展開中のプロジェクト『D4DJ』から、昨年10月に行われた『ANIMAX MUSIX NEXTAGE ONLINE』を勝ち抜いたHappy Around!from D4DJがトラスステージに登場。先日最終回を迎えたTVアニメ『D4DJ First Mix』のオープニングテーマ「ぐるぐるDJ TURN!!」を披露し、「みなさんはじめましてHappy Around!です! 盛り上がっていきましょう!」の挨拶とともにDJパフォーマンスがスタート。
「みなさんD4Dっていったら画面の前でJと言ってくださいねー!」とネット越しのコールを求めながらオリジナルナンバー「Direct Drive!」を皮切りに虹色のライティングに照らされながら「正解はひとつ! じゃない!!」(TVアニメ『探偵オペラ ミルキィホームズ』)「Yes! BanG_Dream!」(『BanG_Dream!』)「HONEST-happy a word-」(『D4DJ』)とノンストップで繋いでいく。
「みんなでもっとももっともっとHAPPYになりましょう!」
そしてさんなかけ声とともに始まったラストナンバーは『D4DJ』のテーマソングともいうべき「Dig Delight」。世界を広げてみんなと繋がろうという元気と希望にあふれた、今回のフェスのテーマそのもののような明るいナンバーで『ANIMAX MUSIX 2021 ONLINE』の第一部は締めくくられた。
■圧倒的なボーカリスト達の競演に熱く震わされた第二部
今回のライブでは、新型コロナ対策のために会場内を換気するインターバルが設けられ、その時間を使ってZoomで繋がっているファンとアーティストがリモートトークを交わすという配信ライブならではの試みが盛り込まれた。その先陣を切ったのがi☆Risで、ファンからの「唄ってみたい曲・踊ってみたい曲は?」との質問に「紅白に出たいからLiSAさんの「紅蓮華」!」と答えて笑いを誘ったり、逆にi☆Risからファンに「元気になりたい時に聴きたいi☆Risの曲」を逆質問するなどして盛り上がった。
TRUE vs SELECTION
第二部のオープニングは、伸びやかなボーカルで様々なアニメ作品の世界を彩ってきたアニソンアーティスト・TRUEと、DAY1出演陣から選ばれた声優&アーティスト二名とのコラボレーション二連発からスタート。
コラボパートナーとして登場したのは大橋彩香とH-el-ical//で、大橋とは「GENESIS」(TVアニメ『アルドノア・ゼロ』)、H-el-ical//とは「stone cold」(TVアニメ『セイクリッドセブン』)をデュエットで披露。ボーカリストの声の力を試すような壮大さを持つ『GENESIS』と軽快なリズムとハーモニーが魅力の『stone cold』を、三名はそれぞれの圧倒的なボーカル力で見事に熱唱。そのパフォーマンスの高さで休憩明けの空気を一気に熱くしてみせた。
●ZAQ
シークレットゲストして登場したことはあったものの、正式出演は今回が初めてというZAQ。その嬉しさを語りながら唄ったのは「イノチノアカシ」(TVアニメ『ムヒョとロージーの魔法律相談事務所』)と「カーストルーム 」(TVアニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ』)。黒のドレスをまとい、表情や動きで歌詞に感情を色濃く乗せていくZAQのパフォーマンスを、カメラは配信ライブならではの動きやアングルで余すことなく捉えていき、圧倒的な臨場感をネットの向こうで聴き入るファンへと送り届けていった。
●Machico
ノースリーブのトップスと銀色のロングスカートをまとって、三面スクリーンのビジュアルステージに登場したMachicoの送る1曲目は「ミラクルっと Link Ring!」(TVアニメ『ヒーリングっど プリキュア』)。スクリーンにまばやいハートの光が輝く中でかわいくポップに唄い上げ、MCでは「みんなも画面の前で踊ってくれたのかな?」と語りかけ、さらに今月末よりスタートの『トロピカルージュ! プリキュア』の主題歌アーティストに決定したこともファンに伝え「そんなHAPPYな気持ちを込めて」送る2曲目は「Happy Magic」(スマホゲーム『この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ』)。初めてのアニメソングデビュー以来のつきあいとなる『この素晴らしい世界に祝福を!』シリーズの歌ということもあり、嬉しさを全身から発散するような明るいパフォーマンスを見せながらステージを締めくくった。
●スペシャルコーナー「異世界アニメSELECTION」
スペシャルコーナー第二弾のテーマは近年人気の「異世界アニメ」。どんな作品の歌が来るかの予想でネットが盛り上がる中で始まったのは、井口裕香による「ゆずれない願い」(TVアニメ『魔法騎士レイアース』)。異世界召喚物の古典的名作からのセレクトにファンが盛り上がる中、タータンチェックのドレス姿の井口がオリジナルの雰囲気そのままに情感たっぷりに唄い上げていった。
そしてトラスステージにカメラを移しての2曲目は、仲村宗悟✕OxTによる「JINGO JUNGLE」(TVアニメ『幼女戦記』)という「異世界アニメ」というテーマからは意表を突いたセレクトに。オリシリナルはハスキーな女性ボーカルが独特の魅力を醸し出していたが、このカバーでは仲村宗悟とオーイシマサヨシという実力派男性ボーカリストのデュオに生のロックサウンドが加わり、「戦場の狂気」というテーマをより一層際だたせる迫力のステージとなった。
●伊藤美来
「大好きなこの舞台にまた立つことができて嬉しいです。みんなの熱気を感じて私も今胸が熱くなっています」
「画面のむこうのみんなに私の歌や気持ちを届けられるようにがんばります!」
そうこのステージへの想いを語った伊藤美来は、TVアニメ『ブランダラ』から「孤高の光 Lonely dark」「Plunderer」の2曲を披露。後半ではファンから送られてきた応援メッセージフラッグを背に「みんなの応援ちゃんと届いているよ!」と応えながら思いを込めた歌を送り届けた。
●楠木ともり
純白のドレス姿で登場した楠木ともりが送る1曲目は、自身のメジャーデビュー曲でもある「ハミダシモノ」(TVアニメ『魔王学院の不適合者~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』)。まばゆいライティングが飛び交う中で、タイトル通りはみ出した人達への賛歌を力強くハスキーに唄い上げた。そして2曲目は自身初のキャラソングである「To see the future」(TVアニメ『ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン』)を「サビで手を振っていただけると嬉しいです」とのメッセージとともに披露。ドレスの上の部分を取り外し、自身が演じた主人公・レンのイメージカラーであるピンクをあしらったツートーンカラーのドレスへと衣替えし、後半では「ハイ! ハイ!」とネットの向こうのファンにコールを送りながら心を通わせてステージを締めくくった。
●H-el-ical//
Kalafinaとしての活動を終え、昨年5月にソロプロジェクトとしてメジャーデビューしたH-el-ical//。
「今日は初フェスなんですよ、ドキドキしてます。みんなと楽しめるようがんばります」
そう語った彼女は「Altern-ate-」(TVアニメ『グレイプニル』)「disclose」(TVアニメ『禍つヴァールハイト -ZUERST-』)の2曲を披露。暗いステージに差し込むライティングがH-el-ical//を照らしだし、Kalafinaの頃からさらに研ぎ澄まされた歌声が響き渡る様は、まさに闇夜に差し込む一条の光のような荘厳なステージを創り出していた。
■応援してくれるアニソンファンへの想いが詰まった第三部
H-el-ical//のステージを終えたところで二度目の換気タイムとなり、幕間のステージにはHappy Around!from D4DJの4人が登場。このフェス前日に最終回を迎えたテレビアニメ版の話や、そこで初公開された楽曲をさっそく今日ライブで披露したこと、そして今回の配信ライブに寄せられたファンからのデジタルフラワースタンドの数に驚きながら、ファンの熱気と声援に感謝を述べた。
●ファンSELECTIONコラボレーション&カバー
第三部のオープニングは事前にファンから寄せられたカバー曲リクエスト&コラボレーションを実現するスペシャルコーナー。その結果として実現したのは、ZAQによる「ZONE//ALONE」(TVアニメ『境界線上のホライゾンII』)とPENGUIN RESEARCH・生田鷹司✕OxTによる「No.7」(TVアニメ『地縛少年花子くん』)の二曲。どちらも力強いボーカルが魅力のナンバーだけに、激しいビートに情感を乗せて唄うZAQ&生田とオーイシの力強い男声ボーカルデュオの組み合わせはベストマッチ。ファンの夢が実現したかのようなステージにTwitter上の実況も大きな盛り上がりを見せた。
●井口裕香
「楽しんでますかー! 私初めてのオンラインフェスなのですごい緊張していたんですけど、目をつむると皆さんのペンライトが見える気がします」
コラボコーナーを受け継いで第三部のオープニングを務めるのは井口裕香。淡いブルーのドレスをまとった彼女がビジュアルステージから送るのは、自身も出演しシリーズ楽曲も担当している『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』から、「over and over」(TVアニメ『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIII』)「おなじ空の下で」(『劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか -オリオンの矢-』)の2曲を披露。そして曲の合間のMCでは「触れ合うことはできないですけど、みなさんの存在が私にとって本当に大事な希望の光です」「この希望の光を絶やさないように、これからも努力してがんばっていきますので、一緒に手を取り合ってがんばっていきましょう。また笑顔で会える日を楽しみにしています」といつかまたライブで会える日への想いをファンに送り届けた。
●安野希世乃
手にフェスのロゴが描かれたフラッグを持ちながら、ステージに登場した安野希世乃が送る1曲目は自身のライブでも定番のナンバー「生きる」(TVアニメ『ソウナンですか?』)。振り付けにフラッグパフォーマンスを盛り込みながら、生きる喜びと仲間への思いを歌ったこの曲は今の状況にピッタリだ。
MCでは『ANIMAX MUSIX』3回目の出演を記念してフラッグを自作したことなどを語り「ここからまだまだ盛り上がっていきましょう!」と始まった2曲目は、今回がライブ初披露となる新曲「フェリチータ」(劇場アニメ『ARIA The CREPUSCOLO』)というファンには嬉しいサプライズプレゼントに。舞台となる水の星・アクアを思わせる青く染まったステージにまばゆいライティングが降り注ぎ、『ARIA』の優しく静かな世界観を情感たっぷりに唄い上げた。
■トリを飾ったのは歌姫・TRUE! そしてあの名曲で感動のフィナーレへ!!
フェス開始から三時間が過ぎ、最後の換気タイムではリモートトークゲストとしてOxTの二人が登場。「唄いたいカバー曲は?」という質問に「およげ! たいやきくん」をバリバリのロックアレンジでやりたいと語ったり、ファンへの逆質問ではライブ写真を使った大喜利で盛り上がるなどしながら、いよいよフェスはラストスパートへ。
●大橋彩香
カラフルなカジュアルルックでステージに登場した大橋彩香は、ニューアルバムからライブ初披露曲となる「START DASH」でライブをスタート。元気なアップテンポのポップスをパワフル&ポジティブに唄う大橋を、カメラも周囲を回りながら表情を捉え、大橋もカメラ視線を送ってファンにサービスするなど、配信ライブならではの見せ方で盛り上がった。
「楽しんでますかー! 見えてますかー!」
ソロとしては初めての参加となる『ANIMAX MUSIX』のステージに盛り上がる大橋は「私の大好きな犬とネコの歌です! サビで手を振る振り付けがあるので、みなさんも一緒にやってくれたら嬉しいです!」と語って、2曲目の『にゃんだーわんだーデイズ』(TVアニメ『犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい』)へ。ダンサーとともにスクリーン前でネコの動きなどを盛り込んだコミカルなダンスも交えながら、犬猫愛満載の歌を熱唱してクライマックスへ向けての流れをかわいくポップに盛り上げた。
●募集映像&Zoomで一緒に盛り上がろう!
配信ライブならではの試みとして、事前に募集した応援動画やZoomでライブに参加しようという企画コーナーがスタート。
その先陣を飾ったのはZAQ ✕ Happy Around!from D4DJによる「Sparkling Daydream」(TVアニメ『中二病でも恋がしたい!』)。Happy Around!にも楽曲提供をしているZAQとのコラボレーションということで、Zoomで声援を送る多くのファンの姿がスクリーンに映る中でDJプレイなども交えたアガるアレンジで盛り上がった。
そして次のコラボレーション曲は「DANZEN! ふたりはプリキュア」(TVアニメ『ふたりはプリキュア』)。フェス開始前に「この曲を誰がコラボするか?」の予想企画も行われたこのナンバーをコラボレーションしたのはi☆Ris✕伊藤美来! i☆Risの6人はお揃いの白いステージ衣装、そして伊藤は黒のドレスをまとってキュアブラック&キュアホワイトとなり、スクリーンを埋めつくす応援動画をバックに今も愛される「プリキュア」シリーズ元祖の名曲を熱く唄いきった。新型コロナ禍で以前のようなライブが難しい状況が続く中、こういった形でのファン参加はこれからも増えていくかも知れない。
●OxT
フェス開始時から様々なコラボレーションなどに登場していたOxTがいよいよメインで登場。トラスステージでスタートした『Clattanoia』(TVアニメ『オーバーロード』)では、歌と演奏を続けながらビジュアルステージ、そして全周ステージへと飛び回るという激しいパフォーマンスを繰り広げた。
曲を終えてのMCではハードなステージ移動に対してぼやいたり「一つ悲しいお知らせです…わたしオーイシマサヨシ、今日の出演者さんの中で最年長です!」と笑いを誘うOxT。そして「われわれもタダでここに来たわけじゃないですよ! みなさんと…同盟を結びに来ましたよ! 君を退屈から救いに来たぜー!」という叫びとともに「UNION」(TVアニメ『SSSS.GRIDMAN』)がスタート。ファンからの応援デジタルフラッグがスクリーンを埋めつくす中で、「ここで俺のヒーローを紹介したいと思います!」からのTom-H@ckのギターソロを盛り込み、ラストはオーイシがグリッドマンの変身ポーズをキメて締めるという、まさに「退屈から救いに来た」かのようなサービス精神満点のステージとなった。
●TRUE
4時間以上に渡った『ANIMAX MUSIX 2021 ONLINE』もいよいよラストに。そのトリを飾るのはTRUEだ。スクリーンに映し出される『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の映像とともに、純白のロングコートをまとったTRUEが紡ぎ出した歌は、同作主題歌「WILL」。青く染まったステージの中に立つTRUEをスポットライトが照らし出し、本編の映像と共に響き渡る気持ちのこもった歌声が、ネット越しのアニソンファンすべての心を掴んで聴き入らせていた。
「こうして今年もまたステージに立てせていただけてること、モニター越しではありますけれども皆さんにこうやってお会いできていること、そして音楽をお届けできること、本当に有り難いことだなと思っています」
歌い終えて、こうしてライブをできたことや『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』への想い、そして初めてフェスのトリを務めることへの緊張などを語るTRUE。
「こんな時だからこそみんなに音楽に手を伸ばしていただきたいし、みんながたくさん愛してくれたアニメミュージックをもう一度皆さんにお届けしたい、そして一年一年積み上げてきたANIMAX MUSIXがまた来年に繋がるように精一杯唄いたい、そんな気持ちでこのステージに立たせていただいております」
「それぞれの思いを胸に一緒に最後までステージを創る、そんな気持ちで楽しんでいただけたらと思います…みんな盛り上がってくれますかー!? まだまだいけますかー!?」
そんなファンへのメッセージとともに始まった2曲目は「Storyteller」(TVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』)。コートを脱いで白とブルーのカジュアルルックになったTRUEは、前曲とは一転した激しくアップテンポなナンバーを力強く熱唱。そして「みんなまだまだ盛り上がるんだろー!」というゲキとともに「Another colony」(TVアニメ『転生したらスライムだった件』)へとノンストップで雪崩れ込む。跪きながらの祈るような絶唱や、「負けちゃいけなーい!」のフレーズでは手を耳に当ててファンの声をネット越しに捉えるようなパフォーマンスも交えて熱く激しく最後の曲を唄いきった。
●LAST SESSION
歌い終えた後もステージに残るTRUEが、ある曲を独唱で歌い始める。そしてスクリーンには「音楽は続いてゆく」の文字が…そして再びステージが照らし出されると、そこには思い思いのスタイルでフェスのTシャツを着た全出演陣が!
「ANIMAX MUSIX DAY1最後の曲です! みんなで一緒に音楽しようぜ!!」
そんなTRUEの叫びとともに始まった曲は「DREAM SOLISTER」(TVアニメ『響け!ユーフォニアム 』)。いまやアニソンフェスの定番となり、今回のテーマ「繋がる!一緒に創る!」を体現したような曲だけに、最後を締めくくるのにこれ以上相応しい曲はないだろう。
出演者全員での熱唱に加え、各パートでは出演陣によるさまざまな夢のデュエットも実現するなど、アニソンファンの夢のようなグランドフィナーレとなった。そして最後は全員でのジャンプで決めてDAY1は熱狂の中で幕を閉じた。
新型コロナ禍で様々なイベントが中止に追い込まれる中でも、アニソンファンに音楽という希望を届けたい…そんな想いが詰まった4時間超となった『ANIMAX MUSIX 2021 ONLINE』。送り手とファンが望みを捨てなければ、きっとこれからもアニソンを楽しめる未来はあると確信させてくれるフェスとなった。2月6日~14日にはDAY2と合わせての見逃し配信も行われるので、今回見逃してしまった人はぜひこの時間に詰まった希望を受け取ってほしい。
取材・文=斉藤直樹

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