内藤大希にインタビュー~「ミュージ
カル『パレード』で20年ぶりに共演す
る“大先輩”に自分の成長を見てもら
いたい!」

2021年1月17日(日)より、20世紀初頭のアメリカで起こった冤罪事件を題材にしたミュージカル『パレード』が東京芸術劇場プレイハウスほかで上演されている。『ラスト・ファイヴ・イヤーズ』や『マディソン郡の橋』などを手掛けたジェイソン・ロバート・ブラウンが作詞・作曲、『ドライビング・ミス・デイジー』で知られるピューリッツァー賞受賞作家のアルフレッド・ウーリーが脚本を手掛け、1999年トニー賞最優秀楽曲賞・最優秀脚本賞を受賞した本作。日本では、森新太郎の演出で2017年5月に初演された。主役のレオ・フランクを石丸幹二、相手役のルシールを堀内敬子が演じ、劇団四季時代より17年ぶりに共演を果たしたことなどで話題を呼んだ。
今回の再演から加入したメンバーのひとり、内藤大希に再演にあたっての思いから、豪華共演陣に対する思いや稽古場のエピソードなどを語ってもらった。
ーーまずはこの『パレード』という作品に出演が決まった時の心境から聞かせてください。
再演と聞きまして、前回から続投される出演者の皆さんが錚々たる顔ぶれで……。この豪華な先輩たちとの共演はいつも以上に気を引き締めなければと思いました。そのプレッシャーもありましたが、ホリプロさん主催の作品に初めて出させていただく嬉しさのほうが強かったです!
ーー台本を読んでみた感想はいかがでしたか?
実は僕は楽譜が読めないので、楽譜をいただいてもどんな曲か分からないんです。歌をまだ聴いてない状態で台本の文字だけを読んでいたのですが、とても重くて……。特に裁判などで主人公のレオが追い詰められていく過程が凄く重いなと感じました。
内藤大希
ーーこの作品が冤罪や人種差別の問題をはらんでいて、かつ事実に基づく物語だと聞いた時は私もかなりずしんと感じました。内藤さんはこれまで『レ・ミゼラブル』をはじめ、様々な海外作品に出演をされてきましたが、それらの作品とこの作品の違いをどう感じていますか?
こういう作品って日本ではあまり作られないんじゃないかなって思うんです。僕もこの作品と出会うまでレオ・フランク事件という事実を知らなかったんです。でもこの作品で描かれる冤罪や差別は、今の時代にもある話だと思いますが、僕の周りでは差別という感覚を強く感じるようなことはありませんでした。何故南北戦争が起きたのかとか、人種差別が生まれたのはいつ頃からかとか、アメリカという国の成り立ちなどを演出の森さんがワークショップの形で皆に教えてくださいました。そういうところからこの作品を深掘りして作っていかないとならないんだなってことを稽古の早い段階で感じました。
ーー森さんはこの作品が初ミュージカル演出だったそうですが、内藤さんがこれまで出会ったミュージカルの演出家さんとどんな点が違う、独特だなと感じますか?
森さんが纏っている空気ですかね。僕は森さんがどんな人か、はじめの頃はイメージばかりが膨らんでいたんです。そして、実際お会いしてそのイメージ通りでした(笑)。寡黙なんですが、その反面饒舌な部分もあるなと。
ーー今回内藤さんが演じるフランキーという青年をどうとらえていますか?
冒頭、後に殺されてしまうメアリーを映画に誘う場面があるんですが、明るくてポップなナンバーがあると思わなかったんです。だからこそ、まずは明るく演じたいです。その後葬式の場面は辛いシーンなので、前のシーンと対比となるように上手く演じたいです。
内藤大希
ーー前に豪華な先輩たちとの共演、という話をされていましたが、石丸さんや堀内さんとは初めての共演なんですね。
はい。そして『レ・ミゼラブル』に出演経験のある役者さんたちもたくさんいる現場なんです。稽古場では「ああ、舞台で観ていた人たちがいる……」と思ってしまいました(笑)。
ーーファン目線になってしまうのも無理はない話ですね(笑)。そんな中でも石丸さんと堀内さんとは今のところどのように関わっていらっしゃいますか?
僕は石丸さんのコンサートを拝見したことがあるんですが、今回ミュージカルで共演させていただくのが本当に楽しみでした! 稽古場ではコロナ禍の影響もあって「なるべく私語は控えて」という状態なんですが、そんな中でもすごく気さくにコミュニケーションを取ってくださるので、とても現場は明るく楽しくやらせていただいています。堀内さんは「大希くんはいくつなの?」ってところから始まって(笑)。でも同じシーンに出ることがあまりないので、なかなか稽古場で一緒になれないんです。
ーー確かにフランキーの役どころ的にレオ夫妻との場面となると限られていますしね。では逆に一緒の場面になる事が多い方の中で特にこの人とは共演してみたかったという方はいらっしゃいますか?
安崎求さんですね。僕が初めて舞台に出演した時(アルゴ・ミュージカル『フラワー メズーラの秘密』(1999年))、安崎さんと共演したんです。それからだから約20年ぶりの再会なんです。孤児院の話で僕は孤児のひとりだったんですが、安崎さんはその孤児院を経営しているおじいちゃんの役だったんです。まだ当時はお若かったと思いますが。この『パレード』で僕は若い兵士役で、安崎さんは老いた兵士役。そう思うと安崎さんってすごい役者さんなんだなって思うんですが、そんな安崎さんと役者として同じ舞台に立てることが凄く嬉しくて。自分が少しでも成長した姿を見せたいです!
内藤大希
ーー2020年は、コロナ禍でエンタメ界が大変な事になりましたね。この1年を振り返って芝居に対する想いに変化はありましたか?
20歳を過ぎてからお仕事をたくさんいただけるようになって、本番が終わったら次の作品の稽古、また本番が終わったら次の作品の稽古という生活を過ごしていたんですが、コロナ禍の影響で舞台に出ていない期間が久しぶりにあったんです。その期間中、改めて舞台について考えることができました。
明日にはもう稽古ができなくなるかもしれない。だから稽古場では出し惜しみせず、やりたいことやインスピレーションなど、自分が出せる力はなるべく稽古場で吐き出して帰ろうと思うようになりました。本来ならば稽古終わりに共演の先輩たちとご飯でも、となるでしょうがそれも今はできません。だったらなおさら稽古場で、舞台上で交流を深めたいと思うようになりました。
マスクをして稽古をすることも目の回りしか表情が読み取れないし、僕はかなり汗かきなのでもうマスクが濡れまくって高地トレーニング状態となっていますが(笑)、今この状態で稽古をしておけばゲネプロでマスクを外した時にきっと素晴らしい世界が開けるかもしれないですね。この人はこんな顔して演じていたんだとか初めて気づくこともあるかもしれないですし。
ーー最後に『パレード』を楽しみにしているお客様へメッセージをお願いします。
前回ご覧になった方も今回初めてご覧になる方も、明日にはもしかしたら公演中止になるかもしれないという環境下で劇場に足を運んでくださったお客様にひと公演ずつ大切にお届けしたいです。
内藤大希
取材・文=こむらさき 撮影=寺坂ジョニー

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