声優/シンガーの太田彩華率いる太田
家が送る2マンライブシリーズの「エ
ア太田まつり対バンスペシャル」。ラ
ストバトルは、元PASSPO☆の増田みお
率いるスーパーポップロックバンドB
abooBee。その日の模様をレポート!!

1stアルバム「愛読書」のリリース展開に合わせ、3回に渡り行なわれた2マン公演「エア太田まつり対バンスペシャル」。『ガールズフィスト!!!!』南松本高校パンクロック同好会・GEEKSに続き、第3弾として渋谷RUIDOK2を舞台に、元PASSPO☆の増井みおを中心に誕生したスーパーポップロックバンドBabooBeeを迎え、有観客/配信ライブというスタイルで行なわれた。
お互いのバンドの共通項は、リーダーがヴォーカル&ベースであることとメロディックでエモいパンクロックを届けていること。同じような色を持っている2バンドがどんなバトルを繰り広げたのか、ここにお伝えしよう。
BabooBee
先行で登場したのが、BabooBee。3人は舞台の上で顔を見合わせ、互いの意志を確認したうえでライブをスタート。冒頭を飾った「うきうきラリドゥダ」は、一緒に口ずさみたくなるポップパンクナンバー。増井みお(以下、みお)の、愛らしいけど少しとんがった歌声が胸をキュンキュンくすぐる。エモーショナルでキャッチーな歌声と演奏が、気持ちをどんどん熱くさせる。本当なら、一緒に腕を振り上げオイオイ叫びたい気分だ。

続く「Right Now」でも、BabooBeeは胸の奥へ奥へとグイグイ入り込むエモポップなパンクソングを届け、嬉しく気持ちを騒がせた。気負わない可愛さとイケイケな姿勢で歌や演奏をぶち込んでいく姿が、とてもイカしてる!!
「すっぴんタイム」は、ガーリーな魔法を満載した楽曲。流れるような歌メロがキャッチーだ。サビでは、観客たちを巻き込み一緒に振りをしながら楽しむ場面も登場。つかみを持った歌でゴツゴツとした粗削りな演奏をコーティングしながら、3人はライブに触れた人たちをウキウキな気分に染めてゆく。まだ3曲終えただけなのに、気持ちが華やかに染まっていたくらいBabooBeeに心が嬉しく浸食されていた。
「あっちこっち手を叩け ぐるぐるぐるぐる振り回せ」と歌い踊る様を魅力にした曲、「BUCHIAGE」の登場だ。今はライブで声を出せない環境。だったら踊ってしまえばいいじゃん…って、まさにその通り。楽曲自体は、駆け続ける激しい演奏を魅力にしたエモでアッパーなスタイル。ライブ中には、謎の男(スタッフ)が登場し、演奏に合わせタオルを手に踊りだす。その様をフロアの人たちも真似、疾走する楽曲に身を預け、わちゃわちゃ騒ぎながら一緒に楽しんでいた。

勢いをさらに加速するように、BabooBeeは「オリジナル」を演奏。みおの感情的な歌声のギアもさらにシフトアップ。観客たちをどんどんエモーショナルな気持ちに染め上げてゆく。そして…疾走するみらいのドラムビートに絡むエモーショナルなみちこのギター。そこへみおのベースが絡みだすや、楽曲は一気にワイルドな様相を呈していった。BabooBeeは舞台上にドシッと身構え、「CryCry」を演奏。歌詞では、これ以上踏み込んじゃいけない恋愛に溺れる女心の境界線を描写。そのギリギリ感がゴツイ演奏とマッチしたことで、迫力を生み出していた。
新曲の「マリア」は、メンバーいわく「可愛格好いい曲」であり、みおのキャッチーなベースリフから始まる三拍子ナンバー。女の子らしい甘えたそぶりを見せながらも毒の利いた…いや、毒を持ちながらも甘えたがる女の子の心模様を記した歌詞に、心惹かれてゆく。途中で転調し、疾走してゆく意外性を持った展開も嬉しい聞きどころ。ゆったり身体を揺らしていたら、いきなり全力疾走を求められ慌てて走り出したような、不意打ちの楽しさを味わえるのも、この曲の魅力だ。
続く「ひとりぼっち」は、コロナ禍の中、少しでも前を向けるようにと生まれた歌。こちらもベースのリフから幕を開ける、エモくてロックな楽曲だ。暗い気分を吹き飛ばしてゆく楽曲なのが嬉しいじゃない。
激しいドラムビートが炸裂。いきなりテンポもテンションも上げ、観客たちを熱く挑発するようにBabooBeeは「LoveMeBaby」を突きつけた。ワイルドな音の服を身につけたメンバーたちは、衝動のまま、高ぶる気持ちのままに歌や演奏をぶつけてゆく。甘さを抜いたビターテイストで攻めまくる姿勢がイカしてる。
飛びだしたのが、「パッパッパッパッパラッパッパー」と一緒に口ずさみたくなるエモーショナルでスピーディなシンガロングナンバーの「パッパラ」。気持ちをウキウキ弾ませ、法定速度オーバーで疾走する演奏に飛び乗り、一緒に大騒ぎしたい。そんな気分だ。
最後にBabooBeeは、観客たちと(心で)歌いあった「Vision」を演奏。BabooBeeのバンドの楽曲は、どれもつかみを持ったエモくキャッチーで、気持ちを明るく高ぶらせる内容ばかり。これも愛らしく見せて小悪魔な…振りをしながらも、やっぱしオチャメで、ヤンチャで、ガーリーな増田みおの性格をそのまま投影しているからか。ライブ中、ずっと心がつかまれっぱなしだった。
太田家
 先に伝えておくと、前回同様、今回も1stアルバム「愛読書」に収録した曲順通りに太田家はセットリストを組んでいた。別の捉え方をするなら、アルバム「愛読者」自体が、ライブのノリを感じながら聞ける作品ということだ。
ライブは、アルバムに込めた想いを語る太田彩華のセリフと、その後に続くベースのリフプレイを合図に「愛とアストロノミア」からスタート。メンバーたちがオイオイ熱い声を張り上げながら煽ると、3人の勢いを背に、太田彩華はエモーショナルな歌声を届けだす。この日は、ドラマー太田たけちゃんのテンションがやたら高く、掛け声も何時もの数倍増しの迫力で響いてきた。対して太田彩華は愛らしさと抑揚のある歌声を魅力に、楽曲や歌が持つエモーショナルでキャッチーさを活かす形で届けながら観客たちの心を魅了してゆく。
続く「星明かりのメロディ」でも、メンバーたちが熱い声を上げて観ている人たちの気持ちをアゲる中、軽快に走る楽曲の上で、太田彩華はエモーショナルな歌を心地好く響かせる。途中、メンバーとの掛け合いも登場。この日は、演奏陣がテンション高い演奏や声で攻めるぶん、逆に太田彩華は、良質なメロディの魅力をしっかり活かしきろうと、心つかむ綺麗な歌声で会場にいる人たちや配信を通して観ている人たちのハートを温かく包み込んでいた。
太田たけちゃんの絶叫を合図に、太田家はぐいぐいと夏を連れ戻すように「夏のイカれ野郎」を演奏。太田彩華も歌声のギアを一気にワイルドな面へシフトチェンジ。ときにしゃくりあげるような歌い方も見せつつ、可愛らしさと挑発する両面を巧みに織りまぜ、夏が持つ解放感にイカれた能天気な様をみんなで体現しようと観客たちを挑発していった。太田彩華の歌声の中から見えたワイルドな姿も、とても挑戦的で刺激的だった。
太田彩華がコントローラー型のマイクを手にした…ということは、そう、アニメ「クソゲーって言うな!」のテーマ曲「クソゲーって言うな!」の演奏だ。エモーショナルでスピーディな太田家流ファストコアナンバーに触発され、フロアではその場で飛び跳ねる人たちも登場。太田彩華も早口で次々と言葉をまくしたて、観客たちを熱く熱く煽り続けていった。
続く「太田家」では、会場中の人たちと「おおた」コールならぬ「おおた(OOT)振り」をしながら一体感を作り上げてゆく。「太田家」は、メンバーの自己紹介も交えた、嬉しく胸を騒がせるシンガロングチューン。声を出せる環境なら、きっとみんなで「イエーイエーイエー」と叫んでいたところだが、それが出来ないぶん、会場中の人たちが「OOT振り」をしながらライブを楽しんでいた。
太田彩華の歌声から始まる「夢の散歩者」では、太田たけちゃんの熱い叫び声へ合わせフロア中から拳が突き上がる。歌を掛け合い熱狂する場面もあるが、それ以上に、太田彩華のハートフルかつエモーショナルな歌声に導かれ、胸の内側から気持ちが熱く沸き立つ楽曲だ。心地好いノリに身を預けながらも、4人が笑顔浮かべライブしてゆく姿を、何時しか吸い込まれるように見つめていた。
太田エリカ様のライトハンドを用いたタフ&ワイルドなギタープレイが炸裂。披露したのが、インストナンバーの「Sky-雲外蒼天-」。この曲では、太田エリカ様の火を噴くようなプレイを筆頭に、野趣あふれたギター演奏を堪能していた。太田エリカ様と太田彩華が顔を見合わせ演奏する場面もあり、ステージのセンターに立ち、野太くも開放的な旋律を次々解き放ち、観客たちの気持ちを昇天させる演奏も太田エリカ様は見せていった。
「太田家と一緒に青春を送ってくれますかー」の言葉に続いて飛びだしたのが、THE-HIGH-LOWSのカバー曲「青春」。女性ヴォーカルというフィルターをかけたこともあるのか、原曲よりも甘酸っぱい青春の香り振りまく楽曲として聞こえてきたのが嬉しい。ときにがなり声も混ぜながら、太田彩華自身がまっすぐな気持ちを声に乗せて歌っていた。
ガガガSPのカバー曲「卒業」は、太田彩華が「さよさよならさよならさよならー!!」と切なくも甘い歌声で歌いだしながらスタート。ゆったりとした演奏に乗せ、太田彩華は、あの頃を懐かしむような様で。いまだに終わった恋を卒業できない自分を攻めるように、忘れられない人へ向けた愛しい想いを切々と語り続けていた。この曲では声優・太田彩華としての真骨頂を発揮。歌う詩人といえば良いだろうか、傷ついた痛む心模様を、彼女は語りと歌声を巧みに使い分けながら届けてきた。終盤、一気に転調。いきなり激しくエモーショナルに楽曲が変化。太田彩華はふたたびコントローラー型マイクを手に、愛しき想いを絶叫。急変するその姿は、意外と激情型なシンガーという証拠?!

カバーシリーズの最後を飾ったのが、モンゴル800のカバー曲「小さな恋のうた」。最初からエモーショナルな演奏をぶつける演奏陣。太田彩華は、胸の内から沸き上がる気持ちへ少しずつ熱を加え、サビで一気に感情を炸裂。疾走する楽曲の上で、メンバーらと気持ちを一つにしながら共にサビを歌いあげていった。ときに歌をかけあい気持ちを熱く高ぶらせれば、サビで一気に感情を爆発、エモーショナルな歌声を響かせ、みんなで気持ちを一つにアガってゆく太田家のライブ。その感覚が、とても気持ち良い。
ライブも終盤へ。披露したのが、太田家として初めて作った「名もなき少年の 名もなき青春」。太田彩華は、「春に上京したときの不安とワクワクが重なった当時の気持ちをこの歌に記しました」と語っていた。さらに、「青春とは美しいだけじゃない、痛くて、脆くて、ダサい。それでいいなと思います。あの頃が良かったなと思うときがくると思います。今が以前と勝てないと思うときもあります。そう思えているのは、自分が宝物をいっぱい持っている証拠だなと思います。これからも一緒に想い出を作っていきましょう」と語ったあとに、太田家は、太田彩華は、あの頃の自分へエールを送るように「名もなき少年の 名もなき青春」を力強く歌いだした。「僕が歌わなきゃ 誰が歌うというんだ」と叫ぶ言葉も印象深く胸に突き刺さる。青春を懐かしむのではない、今も青春という真っ只中で心を燃やしているからこそ、昔の自分さえ今を輝かせる糧としながら太田彩華は歌っていた。彼女のエモーショナルな想いを、3人のメンバーたちが熱く盛り立てていた。
最後に太田家は、愛と感謝の気持ちをいっぱい込めながら「ツアーは続く」を届けてくれた。太田彩華のベースのフレーズが甘くてエモーショナルだ。そこへ絡む太田ひさおくんのシンセの音色がとても温かい。太田彩華を支える様々な人たちへの感謝の気持ちを伝えるように、心の底からの想いを真摯に届けるよう、彼女は優しい声で歌っていた。彼女の心の声を、3人が優しく押してゆく。誰もが、太田彩華の優しい歌声を胸に受け止めていた。いや、受け止めてはギュッと強く抱き抱えていた。
最後の最後に、「太田」「家(やー)」と声と手を振り合いやりとりしてゆく様も印象深く見えていた。
「エアおおたまつり」も、今回で終了になる。でも、このシリーズを通して得るものが、メンバーも、ファンたちも多かった。だからこそ、またこの続きを何時かやって欲しいと願いたい。
TEXT:長澤智典
★インフォメーション★
タイトル:愛読書
レーベル/発売元:マッシュアップエンタテインメント
定価:本体3,300円(税込)
収録曲
「愛とアストロノミア」(舞台「時空捜査局ランティア」ED主題歌/舞台「サイキック・エージェンシー」OP主題歌)
「星明かりのメロディ」(THE BOOGIE JACK ヒライシュンタさん楽曲提供)
「夏のイカれ野郎」(ザ・マスミサイル 高木芳基さん楽曲提供)
「クソゲーって言うな!」(Twitterアニメ「クソゲーって言うな!」主題歌)
「太田家」(おおたのおおたのためのおおたソング)
「夢の散歩者」(8分の6拍子に優しさ溢れる歌詞のパンクバラード)
「Sky-雲外蒼天-」(太田ERIKA様のギターインスト)
「青春」(THE-HIGH-LOWSの名曲をカバー)
「卒業」(ガガガSPのメジャー・デビュー曲をカバー)
「小さな恋のうた」(MONGOL800の伝説の名曲をカバー)
「名もなき少年の 名もなき青春」(太田家の初楽曲)
「ツアーは続く」(太陽族で歌い続けた花男さん楽曲提供)
文学的青春パンクバンド「太田家」 1stアルバム「愛読書」 2019年4月の活動開始からの約1年半の活動でうまれた珠玉の楽曲達を 是非、お聴きください。
下記店舗でご予約受付中
アニメイトオンライン
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HMV&BOOKS オンライン
WonderGOO/新星堂 楽天市場店
タワーレコードオンライン
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太田家 twitter
MASHUP RECORDS オフィシャルチャンネル
BabooBee twitter
BabooBee YouTubeチャンネル
―セットリスト―
BabooBee
「うきうきラリドゥダ」
「Right Now」
「BUCHIAGE」
「オリジナル」
「CryCry」
「マリア」
「ひとりぼっち」
「LoveMeBaby」
「パッパラ」
「Vision」
太田家
「愛とアストロノミア」
「星明かりのメロディ」
「夏のイカれ野郎」
「クソゲーって言うな!」
「太田家」
「夢の散歩者」
「Sky-雲外蒼天-」
「青春」
「卒業」
「小さな恋のうた」
「名もなき少年の 名もなき青春」
「ツアーは続く」

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