幅広いジャンルをカバーする
熟練シンガー、リタ・クーリッジ
初期の代表作『ナイス・フィーリン』
本作『ナイス・フィーリン』について
収録曲は全部で10曲。彼女が信頼しているマーク・ベノの名曲2曲の他、ソウルシンガーのジミー・ルイスの2曲、ディキシー・フライヤーズのキーボード奏者マイク・アトリーの2曲の他、デイブ・メイソン、ボブ・ディラン、グレアム・ナッシュがそれぞれ1曲ずつ、そして当時はまだ本人バージョンがリリースされていなかったニール・ヤングの「過去への旅路(原題:Journey Thru The Past)」となっている。
歌伴を得意とするディキシー・フライヤーズの実直で渋い演奏は、泥臭くスワンプそのもので、本作の方向性を決定づけている。リタの歌声はボニー・ブラムレットのハスキーな声とは違って、伸びやかで爽やかな声が持ち味であるものの、時によってゴスペルフィールやソウル的な歌い回しが登場するところが最大の特徴である。名曲ぞろいの本作は、間違いなく彼女のスワンプ期(1stから3rdまで)における最高の作品だと思う。
本作以降
TEXT:河崎直人