【SUPER★DRAGON インタビュー】
結成5周年を迎えた今、
この状況でしか生まれないEP盤
結成5周年を迎えたSUPER★DRAGON(以下、スパドラ)が放つ一年振りのCDとなるEP『Burn It Black e.p.』は、コロナ禍の真っ只中にある2020年だからこそ生まれた作品。6月から4度にわたる配信ライヴで劇的な進化を遂げながら、神々しいまでのストイックさでスパドラに懸ける想いと、今をどう生きるべきかを我々に伝えてくれている。
2020年じゃなければ
リリースできないEP
一年振りのCDとなりますが、6月から収録曲を先行で配信リリースしていく間にも、どんどん世の中の状況が変わってしまって、みなさんもいろいろと不安もあったのでは?
古川
正直なところ、どうなるのか分からない状態でしたね。1曲目の「BLACK BOX」と先行リリースした「SUPER★DRAGON」「SAMURAI」の3曲が最初にあがってきたんですけど、どういう形態で出すかを決めるタイミングでコロナ禍に突入してしまったんですよ。そういった状況の中で新しく生まれた曲もあり、結果的にこの5曲でのEPというかたちになったので、本当にこの状況下だからこそ生まれた作品になったと思います。
気になったのが「SUPER★DRAGON」にも《Black box》と出てくるので、これは大きなキーワードでもあるのではないのかなと。みなさんは“BLACK BOX”と聞いて、どんなものを思い浮かべます?
伊藤
みんなが自粛で閉じこもってた、その殻みたいなのもBLACK BOXのひとつですよね。
飯島
学生はオンライン授業、社会人の方はリモートワークとか、家の中での生活がメインになっていたわけで、そう考えるとBLACK BOXの中に閉じこもってるっていう表現は、確実に現実にリンクしてくる。
ジャン
つまりは家自体だったり、もっと言うと、この世の中の人々の置かれている場所自体がBLACK BOXでもある。それってネガティブに感じられてしまうけれど、家の中にいる時間が長くなると考えることも多くなるじゃないですか。特に僕らの音楽を聴いているような若い方々には、人生において考えなければいけないこともたくさんあるわけで、その解決策を見つける時間を持てたとも取れるんですよ。
確かに「BLACK BOX」の歌詞を見ると、そういった世の中の流れをなぞりつつ、そのBLACK BOXの中でいかに未来に向かっての解決策を掴み取るかということが歌われていて、そういうポジティブな見方もあるんだとハッとさせられました。
松村
出口が見えないからこそ、“今、どう考えるか?”っていうのを投げかけた上で、最後は“そして、どうする?”と。投げっぱなしで答えを与えてないのは、やっぱり聴き手に自分で考えて気づいてほしいからなんです。こういう時代になったからこそ気づけたこともいっぱいあったし。例えばオンラインでこれだけいろんなことができるなんて、技術が進歩していたにもかかわらず、みんな知らなかったじゃないですか。歌詞に《当たり前、疑おう》とある通りで、まさにそういうことですね。
実際、廃工場を会場にして車で乗りつけるとか、ライヴハウスを丸ごとステージにするとか、今年のSUPER★DRAGONは常識を超えた配信ライヴを次々に行なってきましたからね。「BLACK BOX」はダイナミックなピアノによるイントロも印象的で、これがEPの幕開けとはシビれます。
柴崎
あれだけピアノが前に出てる曲って「Remedy For Love」(2019年8月発表の3rdアルバム『3rd Identity』収録曲)くらいですよね。SUPER★DRAGONのまた新しい一面を出せた曲なので、曲頭から“いつもとは違うスパドラ”を意識して聴いてもらえたらいいなと。
志村
今までの直線的な歌詞とは違う難解な言葉の言い回しといい、新しい風を吹かせたい曲ではあるんですよね。パフォーマンス面でも音の切り替わりで、一回落ちるのかと思わせてそのまま続くとか、面白いことができそうです。
池田
振り付けも初めての方にお願いしていて、途中で僕と洸希と毅くんのヴォーカル3人しかステージにいなくなるとか、今までにやってこなかった演出もあるんですよ。曲調も新しいですし、ドラマチックで感情的な曲のイメージ通りのパフォーマンスになってますね。
ええ。11月の配信ライヴで幕開けに初披露された時も、ドラマチックな曲調と相まって、衝撃的なほど力強いメッセージ性を感じました。
田中
レコーディングも自粛期間の直前だったので、閉じこもりつつある世界に対するメッセージというところは意識していましたね。スパドラ史上最高のハイトーンだったので、個人的にはめちゃめちゃ苦戦しましたけど。
古川
SUPER★DRAGONのヴォーカルにとって、今までもハイトーンというのは目立つポイントではありましたけど、今回はどの曲も高くて。特に「SUPER★DRAGON」と「BLACK BOX」はかなり苦労しました。
ジャン
僕も全曲において、今まで以上に直接相手の耳に囁きかけるような感覚で歌いました。なるべく歌詞の意味を声で表現するようにしたので、そこでリスナーそれぞれの感情が良い方向に動いてくれたら嬉しいですね。
なるほど。4曲目の「Distance」はジャンさんのヴォーカルがとてもキュートで驚いたんですが、“囁きかけるような”と聞いて納得です。
ジャン
そうですね(笑)。「BLACK BOX」や「Burning in the nights」みたいに、ネガティブな部分や弱みを曝け出している曲もある中、「Distance」はこのEPの中で一番明るい曲だと思ったんですよ。この曲を聴くことで俺らと一緒に前向きな気持ちになってほしかったし、トラック数が少ない分、自分のヴォーカル次第で一気に聴こえ方も変わってくるので、すっごく遊びました!(一同笑)
松村
本当に2020年じゃなければリリースできないEPだし、中でも「Distance」はコロナがなければ生まれなかった曲でもあって。“Distance”っていう言葉自体、画面の向こうで偉い人たちがずっと言ってた言葉じゃないですか。
あぁ、これは“ソーシャルディスタンス”から来ているんですね。
松村
はい。“こういう世の中で、今をどう生きるか?”っていうメッセージを歌っているのが「BLACK BOX」なら、「Distance」はその先を見ている曲で、“今は遠く離れていても、生きていれば会えるよ”っていうリスナーにとってはひとつの希望になる曲ですね。“いつか会える”っていうメッセージを投げかけておくことによって、目の前でライヴができるようになった時に、この曲の説得力だったり、僕たちの成長を証明できたらいいなと。
伊藤
この一年、誰しもが生きるのに疲れて、僕もほんとに疲れましたし…
伊藤
やっぱりいろいろね。“自粛しろ”って言われたり…特に大好きな電車で移動できないのは僕にとって精神的にとてもキツかったけど、それでもみんなそれぞれにやるべきことを頑張りつつ、“次”に向かって進んできたと思うんです。なので、“また来年頑張りましょう!”っていう想いで、大切な人を思い浮かべながら聴いてほしい曲ですね。この「Distance」は。