ミュージカル『アリージャンス〜忠誠
〜』で中河内雅貴×小南満佑子が初共
演! 対談インタビューで意気込み語

ミュージカル『アリージャンス〜忠誠〜』が、2021年3月に東京国際フォーラム ホールCで上演される(以降、名古屋・大阪公演あり)。日系人であることを理由に強制収容所に収容されたある日系家族の実話を元に、忠誠、アイデンティティ、家族愛といったテーマに迫る本作。2015年のブロードウェイ公演では革新的なアジア系ミュージカル作品として注目を集め、この度満を持して日本初演を迎える。
キャスティングは、日系家族の姉ケイを濱田めぐみ、弟サミーを海宝直人、収容所でケイと出会う徴兵反対活動家フランキー・スズキを中河内雅貴、収容所でサミーと出会う白人看護婦ハンナ・キャンベルを小南満佑子。さらに上條恒彦、今井朋彦、渡辺徹らベテラン役者陣も顔を揃えた。
11月某日、中河内と小南の二人に本作に対して持つ印象や、上演に向けての意気込みを聞かせてもらった。インタビュー直前に行われた写真撮影では、まだ会って間もないとは思えない程息の合った様子を見せ、対談も実に和やかな雰囲気で進められた。
――お二人は今回初共演とのことですが、初めてお会いしたのはいつ頃でしたか?
中河内:最初に話したのは……楽屋だ! 楽屋でご挨拶していただきました。
小南:中河内さんが出演されている『ウエスト・サイド・ストーリー』Season1を観に行ったときですね。ちょうど私の兄(小南竜平)も出演していたので、ご挨拶させていただきました。
中河内:そうそう、お兄ちゃんが紹介してくれたんです。
中河内雅貴
――お互いの第一印象はいかがですか?
中河内:作品は拝見してなかったんですけど、一方的にお名前だけは存じ上げていて。あとはお兄ちゃんから聞く情報が……(笑)。
小南:こわいこわいこわい(笑)。
中河内:プライベートが混じっているから、そこはまあ置いといて。まだ出会って間もないので。
小南:そこはリセットしていただけると(笑)。
中河内:一応仕事では今回初めましてなんですが、イメージ通りのとても明るい方ですね。ついさっき初めて一緒に写真撮影もしたんですけど、合わせるのが上手だなあと。やっぱりコミュニケーション能力が高いんだろうなと思いました。
小南:そんなことないです。めっちゃハードル上がるじゃないですか(笑)。
中河内:思ったことを正直に言っただけです!
――小南さんから見た中河内さんの印象は?
小南:私は中河内さんが出演されていた作品もいろいろ拝見していて。熱いキャラクターを演じられていることが多いんですけど、ご本人も、まさにそんな感じなんだなって思いました。今日お話したときもすごくストレートというか、偽りなく素直に、正直に仰る部分があって、それってすごくこの作品のフランキーという役に合っていらっしゃるなと思いました。私は『アリージャンス』を以前から知っていたので、「あ、フランキー役は中河内さんなんだ。ぴったりやん!」と勝手に思っていたんですよ。ご一緒させてもらえて嬉しいです。
小南満佑子
――小南さんは既に『アリージャンス』をご覧になっていたんですね。
小南:映像で観ました。今回のお話が決まってからも資料をいただいたので改めて見返して。
――作品の感想を教えてください。
小南:純粋に好きでしたね。確かにテーマ的にはちょっと重たい部分はあるんですけれど、家族の愛情、友情、恋人への愛もすごく溢れていて、何よりも全てのシーンがとても繊細に作られているなと感じました。日本人の文化やアメリカ人の文化を尊重してうまく融合して作品に反映させているということが、すごく素晴らしいと思ったんです。日本で上演するのがこんなにも早く実現するというのは、本当に嬉しいですね。
――中河内さんは作品のことはご存知でしたか?
中河内:いや、全く。アリージェンスなのかアリージャンスなのか(笑)、それくらい知らなかったです。このお話をいただいてから内容を知りました。僕は広島出身なので、戦争のことは県外の方々よりも小さい頃から聞かされて勉強はしているつもりです。この日系人たちの歴史的事実は知ってはいたのですが、彼らがどういう想いでそこにいたのかは、今回資料を読んで初めて知りました。結構衝撃的で、これは役作りがめっちゃ難しいなあと思ったのが素直な感想です。

小南満佑子、中河内雅貴

――本公演では演出をアジア系カナダ人のスタフォード・アリマさんが務めます。海外の方との交流が難しい世の中ですが、アリマさんの演出に期待されていることはありますか?
中河内:日系、アジア系、移民であることの気持ちは理解しているつもりだけれど、そこを肌に馴染ませるのって相当難しいです。海外作品ではどんな役をやっても僕らはどうせ日本人だし……ってなっちゃう。ただ、自分がそれをリアリティとして皮膚呼吸じゃないですけど、それができるようにしておかないといけないので。そういう僕らには文化的、心情的にもにわからない部分を演出家とディスカッションできたらいいですね。
小南:この作品は純アメリカ人、純日本人というお話ではなく、ちょっと複雑なお話だと思います。ただ、アリマさんはそういう部分をよくご存知ですし、ブロードウェイ公演の演出もなさっている方です。立ち上げメンバーだった方なので、そのお話もたくさん聞きたいですし、情報がもっともっと欲しいです。この作品だからこそみんなで一緒に作り上げていくということができるんじゃないかなと思います。ディスカッションを重ねていいカンパニーにしていきたいです。
――中河内さんが演じるフランキー・スズキは日系二世で徴兵反対活動家です。現時点でどんな役だと感じていますか?
中河内:作品として、海宝くん演じるサミーと対極にいればいるほど面白いなと。サミーとフランキーは180度、全く違うと感じます。根底の部分は似ている部分を多分持っているんだけど、サミーは若く、アメリカ人意識が強い。フランキーはちょっと年も上でいろんなことがわかってきているだけに、アメリカ人の魂も日本人の魂も持っている。それらをどう表現するのかというのは、深く探っていろいろトライしてみなきゃいけないんだろうなあと思っています。あとは、この時代に反する行動をするということがどれだけ命を懸けているかということにリンクさせれば、自ずと彼の性格はわかってくるかな、と。確かに自分に近い部分もあるかもしれませんが、もうちょっと時代性の深い部分を詰めていけたらなと思います。
中河内雅貴
――フランキーはダンスシーンもあるとのことで、楽しみにしています。
中河内:ビッグナンバー「Paradise」! 大変だとは思いますけど、この作品の中でも特に耳に残りやすいナンバーだと思いますので、アンサンブルの方々と一緒に楽しいシーンにしていきたいです。期待を裏切らないように頑張ります。
――小南さんはハンナ・キャンベルという役に対して、どのようなイメージを持っていますか?
小南:私は日系人家族のストーリーの中で、唯一の白人のアメリカ人という役です。サミーとの出会いによっていろいろと変わっていくのですが、アメリカ人女性の中でもどちらかというと日本人女性に近いマインドを持った方なのかなと思ったんです。すごく心が強い人で、両親の反対を押し切って軍の看護婦になるわけですけど、収容所で日系人のサミーに出会い、彼の温かさを目の当たりにして彼女自身も成長していきます。女性として恋愛をして心が揺れ動く様がすごく繊細に描かれていて、楽曲もすごく難しいんですよ。ハンナのソロ曲も難しくて、今まさに奮闘中です。音に縛られるだけじゃなく、自分の心情とハンナの心情をうまく融合させられるように頑張りたいなと思います。
――小南さんは久しぶりの舞台出演になりますね。改めて意気込みをお願いします。
小南:そうですね。コンサート出演はありましたけど、最近はずっとドラマ中心だったので久しぶりの舞台にワクワクしています! 実は私、所属事務所(ホリプロ)の作品に出演するのは今回が初めてなんですよ。そういう意味でも楽しみですし、作品としても今の日本に伝えるべきメッセージ性が込められているので、お客様にとって起爆剤のような、何か感化されるものがあったらいいなと思います。共演者のみなさんも本当に素敵な方ばかりなので、楽しみにしています。
小南満佑子
――中河内さんは複数の作品で公演中止や公演時期の変更などを経験されてきましたが、『アリージャンス』に向けた今のお気持ちを聞かせてください。
中河内:自粛期間中、何もできなかったじゃないですか。中止になって悔しい思いもして、そこで改めて、僕はこのエンターテインメント業界で生きていくことを決意しましたね。プラス、舞台に立てることのありがたさや、当たり前に思っていたことにさらに感謝するようになりました。本当に舞台が上演されることだけでもありがたいなと思っています。でもそこに甘んじることなく、ちゃんとやるべきことをやった上で、その感謝を持ちながら舞台の上に立ちたい。ミュージカル『ビリー・エリオット』(2020年9月~11月にかけて東京・大阪で上演)もそのつもりで全公演頑張りました。これからもそれは変わらず、まずは作品に向き合って、命を削って、役を作って、カンパニーの人たちとキャッチボールをしていきたい。いろんな球や引き出しを持っていないといけないと思うので、できることはいろいろ用意して臨みたいと思います。
取材・文=松村 蘭(らんねえ) 撮影=中田智章

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