Tempalay『TOUR 2020』ファイナル公
演 新木場STUDIO COASTオフィシャル
レポート「相思相愛でやっていけたら
と思います」

Tempalayが11月29日に新木場STUDIO COASTで開催した『TOUR 2020』ファイナル公演のオフィシャルレポートが到着した。

11月29日、Tempalayが『TOUR 2020』のツアーファイナルとなる東京公演を新木場STUDIO COASTで開催。この日はメンバーとの親交も深い、気鋭のクリエイティブクルーPERIMETRONにも所属する映像ユニットMargtが参加し、バンドとともにサイケデリックな空間を作り上げた。なお、本公演は2部制で行われたが、ここでは2部の模様をレポートする。
ノイジーなSEとともにステージ前方の幕が開き、メンバーが姿を現すと、ドープな雰囲気の「脱衣麻雀」でライブがスタート。AAAMYYYはフードの上からヴェールを被って顔を隠し、John Natsukiは坊主頭にサングラスという風貌で、曲調も含めミステリアスな雰囲気を放つ。しかし、後半から一転してファンキーなリズムに変わると、フロアの空気も変わり、小原綾斗の骨太なギターリフをフィーチャーした「SONIC WAVE」へとなだれ込んでいく。
《期待してるよみんないかれたサウンド たまんないっしょ》という「SONIC WAVE」の挑発的な歌詞そのままに、序盤から刺激的なサウンドが次々と展開され、メンバーのサーモグラフィが映し出された「のめりこめ、震えろ。」、緩急をつけた展開で聴き手を翻弄する「タイムマシーン」と、一気に駆け抜ける。彼らの音楽性とSFチックな映像、派手なライティングの相性は抜群で、それらが合わさったときの爆発力はかなりのものだ。
「こんにちは!」「Tempalayです!」というサンプリングのフレーズにディレイがかけられ、スクリーン上で揺れるバンドのロゴと同期するという演出に続いては、以前BTSのRMがSNSでピックアップしたことでも知られる「どうしよう」。中盤は初期の楽曲が続き、アトモスフェリックなシンセから始まるドリームポップ調の「Festival」では、ダブな展開で小原が逆回転ギターを弾き、轟音とサイケな映像の組み合わせが陶酔感を誘う。
フロアからクラップの起こった「革命前夜」に続くのは、サポートメンバーの亀山拳四郎によるシンセベースをフィーチャーしたイントロから始まるアンセミックなダンスナンバー「新世代」。《東京シーン》という歌詞の部分で小原が両手の中指を突き立て、時代のカウンターとしての態度を表明したのは非常に印象的だった。
MCでは映像チームとメンバーを紹介し、「今年初めからなんかいろいろあるらしいですけど、やっていきますんで。最後まで楽しんでください」と伝えると、シンセベースとパッドによるヴァースと、ポップなコーラスの対比で聴かせる「テレパシー」をプレイ。AAAMYYYはラップパートでステージ前方に出て、オーディエンスとのコール&レスポンスで盛り上げる。AAAMYYYもJohn Natsukiも活発にソロ活動を行っているように、メンバーには三者三様の個性があり、その集合体としてのTempalayのあり方は非常に現代的だ。
モノクロの映像とともに演奏された「深海より」から、宇宙人の声を模した声がモンドな雰囲気を作り出す「カンガルーは考えている」では、後半のシューゲイズなノイズパートでストロボがたかれ、恍惚とした状態に。さらに、二胡の音色で始まった「大東京万博」は加工が施された東京の夜景をバックに演奏され、そこはまさにオリエンタルな異空間。「らっせーららっせーら」の大合唱から、小原が軽快なステップとともにノイズギターを奏でると、ラストは「そなちね」での絶叫とともに本編が終了。お決まりの「次で最後の曲です」というMCもなく、スパッと潔く終わるのも実に彼ららしい。
アンコールでメンバーが再びステージに登場すると、小原は「ライブハウス最高ですね」と語り、一日二公演を成功させたスタッフや映像チームへの拍手を求め、「美味い酒飲めそうやな!」と呼びかける。さらに「相思相愛でやっていけたらと思いますんで、これからもTempalayよろしくお願いします。最後に、こういう瞬間が終わらないといいなっていう曲をやって終わります。みなさんのこれからの人生に幸あれ!」と伝え、《こんなビューティフルなデイ》と歌う「New York City」をニューヨークの映像をバックに披露。沈みゆく太陽の映像とは反対に、メンバー全員でジワジワと上り詰めて行く演奏が高揚感たっぷりの「ラストダンス」まで、持ち味を存分に発揮したライブだったように思う。
ステージを去り、スクリーンに楽屋へと向かうメンバーが映し出されると、乾杯の合図とともに、ワーナーミュージックからのリリースが発表され、フロアは大歓声に包まれた。メジャーという舞台でTempalayがどんな作品を生み出すのか、今から楽しみでならない。
文=金子厚武
写真=井手康郎(GRACABI)

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