『デザインフェスタ vol.52』レポー
ト 普段出会えない人やものに出会え
る充実の2日間 新型コロナウイルス
対策も充実

「自由に表現できる場」を提供するデザインフェスタは、1994年の開始以来、長く愛されてきたアートイベントだ。新型コロナウイルスの影響により、2020年4月に開催が予定されていた『デザインフェスタvol.51』は中止になったが、11月7日(土)・8日(日)開催の『デザインフェスタvol.52』は、連絡先の事前登録や分散来場など、万全の感染予防対策を行っての開催となった。以下、今回出展された魅力的なブースやイベントを紹介しよう。
ショーやパフォーマンス、ライブペインティングを堪能
アーティストと出会い、交流できる場
祭りの華ともいえるショーやパフォーマンスは、行き交う人々の目を楽しませる。ユニット「百華繚乱」は、華麗でユニークなダンス・殺陣を披露。今回のテーマ「スチームパンクで廃れた世界」は衣装にも投影されており、パフォーマンスと相まってハードでゴシックな世界観と雰囲気をつくりだしていた。
百華繚乱
開場に入ってすぐのブースで、カラフルなライブペインティングを行っているのはTAKASE KOTARO氏。蛍光のオレンジや緑、水色などが鮮やかで目をひく。切り張りして街の風景をつくるという制作スタイルの作品には、昔の日本の風景が投影されている。色彩感覚やコラージュのセンスはスタイリッシュだが、要素は昭和なので不思議な感覚に囚われる。
TAKASE KOTARO氏

TAKASE KOTARO氏 ブース

「普段は写実の絵を描いているが、ここではポップでクレイジーなものを制作している」と語る山本真矢氏の巨大ライプペイントはダイナミックで、虹や骸骨などが描かれており、中央部分はインドに留学していた先輩から譲られた絵をモチーフにしているそうだ。見ているだけで元気になれそうな大判の絵は、作家の快活なキャラクターと相まって、空間全体が明るく感じられた。
山本真矢氏
山本真矢氏
ユニークなティーバッグや、夢のようなアクセサリー
想像を超えた人やものと出会う
イカやタコ、イルカやクラゲなどのモチーフがかわいらしい「ocean-teabag」は、さまざまな生き物の形をした紅茶のティーバッグを扱っている。海洋生物のみならず哺乳類や鳥類などもあり、生き物好きな人への贈り物にちょうどいい。
ocean-teabag
「ocean-teabag」の代表、高橋翔太氏は一風変わった経歴の持ち主だ。株式会社大翔水産という、海洋水産物の卸売と貿易を行う会社を起業した一方で、イラストも得意で、絵の仕事の一環でお茶店との縁ができ、イルカのティーバッグを自らつくったのが「ocean-teabag」の始まりだという。ティーバッグは形状で何の動物か分かるようになっており、海洋生物への愛を感じさせる。この先も無限に増えていくであろう新作が楽しみだ。

ocean-teabag

デザインフェスタでは、通常では見ることができないようなものに出会えることが楽しみの一つ。「杏爾花装身具店」はブースそのものが小さな宝石のようで、扱っているものすべてが美しい。手塗りのモチーフとヴィンテージの素材を組み合わせてつくられた桜や紫陽花などのブローチやピアスは、思わず見入ってしまう繊細さと儚さだ。
杏爾花装身具店

杏爾花装身具店

空や海、星座や光を想起させる
日常にロマンを持ち込める作品の数々
さまざまな青の色味の焼物を扱っているのは「大磯工房」で、自分で釉薬を調合して色味を出しているという。神奈川県の海近くに工房があるということなので、恐らくインスピレーションの源の一つに海があるのだろう。
大磯工房
注目の作品の一つは星座の器で、12星座や季節の星座のカップなどが販売されている。やきものに穴をあける製法はもともとあるが、星の数などはバランスを取って制作しているそうだ。星座シリーズは内側にブルーの釉薬がかかっており、光を中から通すと星座が浮かび上がって見える。
大磯工房
多様なカテゴリーのエリアを楽しめるのもデザインフェスタの楽しみの一つ。「暗いエリア」は文字通りエリア全体が暗くなっており、照明を利用した展示や、薄暗い雰囲気を活かした展示が可能だ。ここでひときわ目をひくのは月本せいじ氏の立体ポップアップカード。デザイン・設計共に自分で行っているという月本氏のカードは、紙を編み込んでつくられている。カードは通常平たい状態だが、球体になるとロックされて形を保つ。
月本せいじ氏
アリスやシンデレラなど、童話に見られるようなテーマのカードから、誕生日などのお祝いにぴったりなもの、クリスマス用のカードなど、ロマンチックな雰囲気を醸している。カードが平面から球体に変わる瞬間の驚きも醍醐味だ。なお、購入するとライトがついてくるので、家でもライトアップされた小さな世界を堪能することができる。
月本せいじ氏 立体ポップアップカード
月本せいじ氏 立体ポップアップカード
新型コロナウイルスの影響で、外出する機会が減った2020年。ネットの普及で遠い店の商品を購入することはできるが、直接見ることがなければそもそも知る機会も少ないだろう。その意味で、初めて出会う人やものが集結している場は貴重である。『デザインフェスタvol.52』は新型コロナウイルスの対策もきっちり行われ、開催日は毎日ドクターと看護師が常駐し、安全を見守っていた。引き続き今後も楽しみにしていきたいイベントだ。

アーティスト

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