go!go!vanillas 日本武道館が似合う
バンドになった、四者四様の個性を爆
発させた初武道館ライブ公式レポ

go!go!vanillasが自身初となる日本武道館公演を11月23日(月・祝)開催した。初のホールツアー3公演を経て迎えた本公演は、新型コロナウイルス感染予防対策ガイドラインに基づき、来場者数は会場キャパシティの50%以下となる6,000人、更に観客はソーシャルディスタンスを考慮して市松模様に配置され、マスク着用、入場口での検温、消毒の徹底など、会場内の感染予防対策を万全にした形で開催された。当日の熱狂と感動をオフィシャルレポートでお届けする。

go!go!vanillas 撮影=西槇太一
go!go!vanillasが11月23日、初の日本武道館公演『ROAD TO AMAZING BUDOKAN TOUR 2020 -FINAL-』を開催した。本来は6月のライブハウスツアー、11月の初のホールツアーを経てこの舞台に立つ予定だったが、新型コロナウイルスによる感染症拡大の影響で、ライブハウスツアーは来年に延期。ホールツアーや日本武道館公演も、ガイドラインに則った形での開催となった。
go!go!vanillas 撮影=西槇太一
1曲目に選ばれたのは、バンドにとって思い入れの深い楽曲だった。歌詞の一部を「日本武道館」に替えた牧 達弥(Vo/Gt)は、そのフレーズを唄い終えた直後、天を仰ぎ、余韻を噛み締める。日本武道館とは、バニラズが結成時から追い求めてきたステージ。4人の感慨もひとしおのようだ。
go!go!vanillas 撮影=西槇太一
この日は客席を360°開放。アリーナの中央にあるステージからは3本の花道が伸びていて。途中にはマイクが立っているため、どこからでも唄える仕様だ。さらにドラム台は回転し、曲ごとに違う方角を向いている。見たことのないステージングだが、何とも彼ららしい。駆け回ったり、飛び跳ねたり、ときには寝そべったりしながら演奏する4人が、心から楽しそうなのが最高。いきいきとしたサウンドを目の前にしていると、(単独公演史上最大キャパの会場にも関わらず)「ステージが遠い」とは感じないし、孤独感に蝕まれる隙もない。それはメンバーも同じだったらしく、「みんなが近い」と頻りに言っていたのが印象的だった。
go!go!vanillas 撮影=ハタサトシ
新旧を網羅したオールスター楽曲が披露されるなか、中盤では、このライブを記念してリリースした『鏡 e.p.』の収録曲を演奏。日本武道館で最初にロックコンサートを行ったバンド・THE BEATLESは全員が作詞作曲&ボーカルを担当するバンドだったが、バニラズもまた、『鏡 e.p.』で4人それぞれ作詞作曲&ボーカルに挑戦している。「俺の30年、聴いてください!」と腹の底から叫んだ長谷川プリティ敬祐(Ba)、衝動の化身のようなジェットセイヤ(Dr)、ボーカリストとしても着実に表現力を高めている柳沢 進太郎(Gt)……と、四者四様の個性を爆発させることは、伝統ある地、ロックンロールの歴史に対する敬意の表れ。かつ、固定の音楽ジャンルに囚われずにトライを続ける――そうして心の高鳴りを素直に唄ってきたバニラズの姿勢を、堂々と提示することにも繫がっている。
go!go!vanillas 撮影=西槇太一
花道へ駆け出し、思うがまま鳴らしていても――その間、他3人が自分には見えないところで思うがまま鳴らしていても、何の迷いもなく、背中を預けられる。4人を結ぶ絆は相当固いが、ここまでの道のりは決して平坦ではない。メンバーが脱退したこともあったし、2018年にはプリティが事故に遭い、生死の境を彷徨った。しかし苦しい経験も力に変え、強くなってきた経緯があるからこそ、今の彼らは頼もしい。そしてこんなにも、日本武道館が似合うバンドになったのだ。終盤のMC、涙ぐむ牧は「順風満帆でずっと続いてきたわけじゃないよ。そういう歴史を糧にして今日がある。だから、日本武道館が通過点とか、クソみたいなこと言わないで、ちゃんとここで自分の想いを曝け出して、またここから進むための今日です」と語る。そこから「俺らが代わりにみんなの気持ちを精一杯唄うからさ。今日は心で唄ってよ、日本武道館!」と投げかけると、熱い想いは観客に受け取られ、共に、クライマックスへと向かっていた。ライブが終わり、メンバーが去ったあとも温かな拍手が長く続いていたことが、名演の証明であろう。
go!go!vanillas 撮影=西槇太一
なお、ライブ当日にはStreaming+、WOWOWで生中継が行われたが、現在、Streaming+ではアーカイブ配信が行われており、 11月29日(日)23:59まで視聴可能(チケットの購入は同日21:00まで)。さらにWOWOWでは、12月22日(火)22:00よりリピート放送が行われる。残念ながら当日見逃してしまったという人はぜひそちらをチェックしてほしい。
文=蜂須賀ちなみ
撮影=西槇太一 / ハタサトシ
go!go!vanillas 撮影=ハタサトシ

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