【藤川千愛 インタビュー】
さらなる深化を遂げた
藤川千愛の世界
私は歌を歌わないとダメなんだな
ということを強く感じた
「喜怒哀楽の最初と最後」についても話していただけますか。
私、“喜怒哀楽の最初と最後がない”って、そのままの言葉を言われたことがあるんです(笑)。基本的に暗いほうなんですけど、瞬間湯沸かし器みたいに突然ドーン!と怒ることが多くて、性格が激しいと。“あぁ、確かにそうだな”と思って、その言葉を使わせてもらうことにしました(笑)。あと、何か良いことがあったとしても最悪の状況を想像してしまうから生きづらさを感じていて、そういうことも歌っています。なので、「喜怒哀楽の最初と最後」は歌詞に合わせて激しい曲がくると思っていたんですけど、思ったよりもやさしい感じの曲が来たんですよね。曲を書いてくださった藤永さんは、歌詞が強いから逆に柔らか味のある曲にしたと言っていて、“分かってくれているなぁ”と思いました。
藤川さんのやりたいことが明確な証とも言えますよ。それに、やさしい曲が来ても戸惑うことなく、歌詞に合わせて硬派に歌えるのもさすがです。
そこはもう慣れているので(笑)。この曲は“喜”と“楽”がない自分を変えたいと思いながら歌いました。前にお母さんと語り合った日があったんです、朝の5時まで。その時に“いつも幸せそうに見える人というのは人よりも幸せが多いんじゃなくて、人よりも多く幸せを感じられる人なんだよ”と言われて、私もそういう人になりたいと思ったんですよね。
お母さんの言葉は、その通りだと思います。お母さんは幸せそうに見える方なのでしょうか?
見えます。お母さんは私と全然真逆の人で、人づきあいとかもすごくうまいんですよ。社交的で明るくて、本当に私とは真逆ですね。
痛みをたくさん知っている人ほど、たくさんの幸せも感じられると思いますので、きっと藤川さんも変わっていくと思います。さて、『HiKiKoMoRi』は密度の濃いアルバムに仕上がりましたし、アルバムのリリースに加えて11月から来年1月にかけてライヴやツアーを行なうことも注目です。
11月から2月にかけて初めてのZeppツアーをするんですけど、少しずついろんな状況が良くなってきていて、ライヴもじっと観ていないといけないというわけでもなくなってきているんですよ。私のライヴはがんじがらめな感じではなくて、楽しんでもらえると思うので、ぜひ会場に足を運んでほしいです。あと、コロナでツアーもインストアイベントも全部中止になってしまったのがすごく悔しくて、音楽を聴きたくなかった時期があったんですね。音楽を聴くと歌いたくなるし、ライヴがしたくなるし、アウトプットをしたくなるけど、それができないというのが本当につらくて。それで音楽を聴かずに過ごしていたら、だんだん無気力になっていって、もう何もしたくない状態になってしまったんです。身体も怠くなってしまったし。そんな時にヴォイストレーニングに行ったら、身体と心に栄養が行き渡って回復していくような感覚があったんです。でも、ヴォイトレに行かないと、また無気力になるということが続いて、私はやっぱり歌を歌わないとダメなんだということを強く感じたんです。“音楽は生活必需品じゃない”と言われるけど、私には音楽が必要だし、私と同じような人も絶対にいると思うんですよ。だから、自分の歌を待ってくれている人のために歌いたいし、私自身のためにも歌いたい。コロナをきっかけにそういう想いになったので、Zeppツアーは音楽は必要なものだということを伝えられるツアーにしたいと思っています。
取材:村上孝之
「ありのままで」MV
「バケモノと呼ばれて」MV
『HiKiKoMoRi』全曲フラッシュ
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