秋の味覚&厳選ワインとともに音楽を
堪能 『大井健 Presents ワインとピ
アノ 極上のマリアージュ』第二回が
開催~試食&ワインセレクト会に潜入

2020年8月30日(日(に開催された『大井健 Presents ワインとピアノ 極上のマリアージュ』の第二弾が、11月23日(月・祝)、eplus LIVING ROOM CAFE&DINING (東京都渋谷区) で開催される。
≪Signs of Autumn≫ と題された第二弾は、秋の味覚と大井自らがセレクトするワイン、そして、極上のピアノを楽しむひととき—— 肩ひじの張らないクラシックや、大井が大好きというジャズやミュージカルナンバーで、どこまでも秋色に、そして、ロマンティックに浸る ——
※ワインはイメージです。まだセレクト中です、当日のお楽しみに。
ピアニスト 大井健、自らの提案で生まれたこの企画。大井自身、コロナ禍で最も影響を受けた音楽・エンターテインメント・ライブ空間、そして食という様々な要素が、よいかたちで融合し、空間に集うすべての人々が、濃密なひとときを共有できることに喜びを感じているという。
前回開催時には、早々に予定枚数が終了し、急遽追加公演が決定したこともあり、今回は14時開演 (食時時間は13時~) のマチネと、18時30分開演 (食事時間は17時30分~) のソワレの二回公演が早々に決定。マチネはStreaming+で配信されるので、会場に来られないファンも、自宅でゆっくりと好きなワインを楽しみながらの視聴が可能だ。
さらに嬉しいことに、昼夜、全く違うタイプのプログラムが予定されており、マチネではロマンティックなクラシックの作品を、そして、夜はジャズやミュージカルナンバーなど、大井が大好きな珠玉の名曲がラインナップされている。
食とワインの楽しみも、またこの企画の醍醐味。11月19日のボージョレ・ヌーボー解禁4日後の本番ということもあり、ボージョレ・ヌーボーに合わせてビストロ風のカジュアルなフレンチが食のコンセプトだという。
本番数日前、演奏会当日に供されるコースメニューの試食と、曲目にマリアージュするワインセレクトが大井を囲んで行われた。
試食会当日、演奏会会場となる渋谷のeplus LIVING ROOM CAFE& DININGに現れた大井は、福田料理長が供する皿の鮮やかさに喜びを隠せない様子。焼き栗やキノコ、そして、旬の果物などを活かしたフランスの秋を感じさせる逸品ばかり。見た目にも、シックでマットな秋色感が漂う。
※写真のお料理はイメージです。実際とは異なる場合がございます。
まずは前菜から試食。同時に、メルシャンの豊富なワインリストから選りすぐりの銘柄を、当日演奏する曲目のイメージに合わせて、大井自身が五感で感じながら決定してゆく。
「女性的で、上品な優しさがありますね。甘めだけど、キリっとした酸味、そして最後には苦みの余韻もあって、料理にも負けない個性が感じられます」 と、繊細に泡立つグラスを口に運ぶ大井。
始めに試飲したのは、スパークリングワイン。フランス・ジュラ地方の一本。太古の昔から存在するジュラの土地で育った固有のシャルドネ100%の泡は、ふくよかで、濃厚な黄金色に輝く。
マチネの曲目のテーマは夢の中で。「完全に、マチネの一曲目で演奏するドビュッシーの『夢』のイメージですね」と、満面の笑みを湛え、少し高揚気味の様子。
テーブルに供された、フォアグラとサツマイモのテリーヌ、秋サバのコンフィ、セップ茸とトリュフ、グリュイエールチーズのグジェール (シュー包み) と、秋色に染まる前菜の一皿は、見るだけで食欲を誘う。
※写真のお料理はイメージです。実際とは異なる場合がございます。
「テリーヌに添えられているフランボワーズとザクロのソース、そして、サバは白バルサミコとホースラディッシュの味わいと、それぞれに程よい酸味がアクセントになっていますね。シュー包みは、生地のサクサク感とトリュフの味が引きたつ濃厚な味わい。これは、スパークリングの余韻とともにじっくり楽しんで頂けますね」
メイン料理に進む前に、次なる白を続けて二種類試飲。
まずは、一本目のドメーヌ ペイリエール レゼルブ ソーヴニョン ブラン。柑橘系の果実や青りんごのフレッシュな香りが広がる繊細な辛口だ。なんと、日本に初めて来日した仏人宣教師の末裔が作っているワインで、ローマ法王 ヨハネ・パオロ二世も式典で飲んだというエピソードもユニーク。
「凛とした媚を売らない感じがいいですね。これは、サティの『グノシエンヌ』のつれない感じの曲想がイメージできますね。でも、その後に感じるフルーティさと華やさが、ラヴェルかな…」
と、直感でその個性を感じつつ、その後、変化するノート (香り・味わい) を感じたのだろうか、マチネのプログラムには、最終的にラヴェルの作品を。ソワレには、ディズニーの『アラジン』と『白雪姫』からのナンバー二曲をセレクト。
続いて、白の二本目。アルベール・ビショー メイユール・マコン・ヴィラージュ。こちらは、キレの良い、酸味豊かな男性的なシャルドネだ。
「少しずつ口に含んで、ゆっくりと飲むことで、奥ゆかしさを楽しむ感じですよね。これは、やはり『沈める寺』というイメージですね。ソワレには、『ビー・マイ・ラブ』かな」と、大井が小さい時から最も好きな曲の一つというドビュッシーの作品『沈める寺』や、以前、大井が伴奏を務めていた男声ユニット ザ・レジェンドの愛唱歌がイメージされた。
ブランデーグラスを傾けるかのようなスモーキーな大人の雰囲気が漂う大井に、周りの女性スタッフから、ため息が漏れる。
今回のコースでは、こちらも嬉しいことに、メインは魚料理と肉料理から選べる。魚料理は、甘鯛のうろこ揚げ、秋のキノコのデュクセルソース。焼き栗と雑穀のリゾット添えという個性的な一皿だ。
※写真のお料理はイメージです。実際とは異なる場合がございます。
※写真のお料理はイメージです。実際とは異なる場合がございます。
「見た目のしっとり感とウロコのパリパリ感、そして、栗の雑穀リゾットの食感のユニークさも相まって、一皿で多様な食感を楽しめますね」
肉料理のメインは、 ドーブ・プロヴァンサル~プロヴァンス風牛肉の土鍋煮込み と言ったところだろうか。今回、福田料理長の提案で、ボージョレにも合うようにと、トマトとハーブを活かした南仏風の酸味の利いた軽やか一品に仕上がっている。
大井も、一日中煮込んだというシェフの話を聞きながら、柔らかな肉を口に運ぶと、味わいの軽やかさに感心。
「加えて、トマト風味の酸味が食欲をそそります。今回のコースは、すべての皿を通して、酸味とワインの絶妙なマリアージュをじっくり堪能できますね」 と、料理長の繊細な味覚とバランス感覚を絶賛していた。
合わせてサーブされた、ピノ・ノワール100% の存在感あふれる アルベール・ピショー ブルゴーニュ ピノ・ノワール ヴィエイユ ヴィー二ュ(赤)が、マチネでは、サティの『グノシエンヌ 』1・2番と『ジムノペディ』1番に。ソワレには、マーラー作曲『アダージェット』にカップリングされた。
デザートも、チョコレート通の福田料理長が作り上げた自家製生チョコ (58%甘め!) をはじめ、季節の果物やチーズを活かした極上のスイーツが楽しめるとあって、乞うご期待。

※写真のお料理はイメージです。実際とは異なる場合がございます。

さて、お待ちかねのボージョレ・ヌーボーは、本日の試食では、まだ日本に届いておらず、残念ながら、本番当日を待つかたちに。しかし、大井の中では、しっかりとイメージがある様子だ。
「ボージョレはやっぱり、バッハやラモーのような作品の、軽やかで優雅なものや、(ソワレには) 僕の敬愛するビル・エバンスに合わせたいですね」
試食とワインセレクトが一段落したところで、大井に第二弾の公演に欠ける意気込みを聞いた。開口一番、大井らしい言葉が飛び出した。
「このLIVING ROOM CAFE& DININGという空間を活かし、よいかたちで食と音楽を多くの人に提供する空間を与えてくれたイープラスさんに、まず何よりも感謝しています。安全を確保するために、そして、すばらしい食とワインを提供するために多くの方々にご尽力頂いていることを覚え、多くの皆さんの思いと情熱も、演奏を通して伝えていけたらと思っています。
東日本大震災の際に、仲間たちと現地に赴き、被災者の方々に向けて演奏をした時の経験から、有事の時にこそ、苦しみを忘れさせてくれるのが音楽というものなのだと、改めて実感しました。
このコロナ禍において、音楽という手段を諦めざるを得ない仲間たちもいる中で、今こそ、その思いを実現する時だと感じました。ストリーミング配信という新たな試みを通して、僕たち、演奏家の活動を支援し続けてくださったことに、改めて感謝の気持ちを表したいです」
前回の公演は、コロナ禍が少し静まった8月末。ファンも、大井も、それぞれが、つのる想いを持ち寄って、半年ぶりに一つの空間に集え、感無量だったと語る大井。
「今回は、前回よりも曲を増やし、一つひとつの作品にストーリーが加わっているので、一つの映画を見る感じで楽しんで頂けたらと思います」
今年のボージョレはなかなか良いとの情報もあり、期待も高まるばかり。
何よりも、大井の極上のピアノに酔いしれるひととき—— 今年初めてのボージョレと秋の味覚を、この濃密な時空間で味わえる機会は絶対に見逃せない!
取材・文:朝岡久美子 撮影=荒川潤

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