ニガミ17才はどこから来てどこへ向か
うのか? 異常な才能が生み出した解
析不要の傑作『ニガミ17才 o』を紐解

マニアック、アンダーグラウンド、ツウ好み、知る人ぞ知る、好きすぎて人に教えたくない。そんな言葉が似合うバンドから、メジャー、ポピュラー、エンタメ、今が旬、手当たり次第に誰かに教えたい、といった表現が似合うバンドへと、急速浮上中。彼らの名はニガミ17才。およそ2年半ぶりの新作となる3rdミニアルバム、“血液型シリーズ”完結編となる『ニガミ17才 o』は、鬼才・岩下優介(Vo,Gt)の異常な才能が生み出した音楽的情報密度の濃い楽曲に、現代的なブラックミュージックやダンスミュージックのエッセンスを巧みにブレンド。バラエティ番組でも活躍中、紅一点・平沢あくび(Syn)のキュートすぎるボイスを散りばめつつ、斬新なカットアップの技巧を大胆に駆使して作り上げた、解析不要の傑作だ。ニガミ17才はどこから来たのか、ニガミ17才とは何者か、ニガミ17才はどこへ向かうのか? 4人全員集合、SPICE初登場インタビュー!
――アルバムのレコーディング、最後はかなりの追い込みだったと聞きました。
岩下優介(Vo,Gt):そうですね。特にあくびは、“できるかできないか”みたいなところを一番気にしてたかもしれない。一番責任感が強くて、お客さんのこととか、すごい考える方(かた)で。
平沢あくび(Syn):かたで(笑)。プレッシャーはありましたね。自分が曲を作ってるわけじゃないんで、どうしたらいいかわかんないけどどうにかしなきゃ、みたいな。
岩下:僕なんか、できなければ後ろ倒しすればいいやん、みたいな感じなんですけど、“そういうわけにはいかん!”という思いが一番強いですね、彼女は。
――バンド内のマネージャーみたいな役割ですかね。
平沢:確かに。『ニガミ17才 a』(2017年2月発売)、『ニガミ17才 b』(2018年6月発売)を出した頃は、自分がマネージャーだと思ってやってました。
岩下:僕らはそんなふうに思ってないですけどね。彼女の個人的な考えとして。
平沢:それこそメールのやりとりとか、バンドの窓口も全部やってたので。でも、それをすることによって出来上がったものが広がることに繋がるので、楽しかったです。今回も“どんな作品ができるんだろう?”と思いながら、いい空気を作ることでなるべくストレスを減らしてあげたいし、でもたまにはストレスになるようなことも言わないといけないし。言うからには普段からやっとかないと、“おまえに言われたくない”ってなるじゃないですか。そこは“私もやることやってるから、ここは言わせて”と言えるようにしておこう、という感じです。
――素晴らしい。めっちゃ参考になります。
岩下:何の参考ですか(笑)。
――組織の作り方と人の動かし方、みたいな(笑)。
平沢:でも3人は私より年上なのに、それを生意気だとか思わないでいてくれるのがすごいんですよね。普通なら“年下のくせに”って思うと思うんですよ。
岩下:目に見えて頑張ってますからね、あくびは。なのでこっちも……ね?
小銭喜剛(Dr):うん。めっちゃ頼りになってます。
岩下優介(Vo)
――バンド内のその関係って、結成当初からそうだったんですか。それとも、少しずつ変わってきた?
岩下:だいぶ変わりましたね。最初の頃は、タツルボーイ(イザキタツル)が仕切ったりしてたもんね。
イザキタツル(Ba):ほんとに? そんなイメージあった?
岩下:曲ができない時に、タツルボーイが“曲ができない時はこれをこうやって”とか、提案してくれた気がする。
平沢:私は、こっちゃん(小銭)を頼ってた。音楽をやって十何年の先輩じゃないですか。タツルボーイもプレイヤーをやってきたわけだから、曲作りとなったら私は何も言えない、みたいな。最初はそんな感じだった。
岩下:でも、あくびは最初からいろいろ言ってたよ。
小銭:言ってた。あくびなりの伝え方で、常に意見はあったと思う。
岩下:彼女は人生を一回変えたというか、女優からバンドになったということで、最初から人生のかかった曲への接し方をしてましたね。“言わないと後悔する”じゃないけど。
平沢:それは言ってましたね。でもそれに対して、“いやいや、それは音楽的にはこうなんだよ”とか、否定もされないんですよ。そこが衝撃でした。“受け入れてくれるんだ!”みたいな。メンバーの性格的にも恵まれてるなと思います。
――タツルさん。良いバンドの条件とは?
イザキ:良いバンドの条件ですか? すごい説明しづらいんですけど、各々が“ここは任せといて”みたいな部分が、最初はあいまいだったんですけど、言わずともみんなが持ってるような気がします。全部押し付けないというか、“そこは俺が責任持つよ”というものを各々が持っているのが、すごくいバランスになってるんじゃないかな。だから、あくびに“みんなのケア、お願いね”と言ったこともないし。
岩下:ないね。
イザキ:そこはあくびが得意だろうし、でもみんながそこに頼ってるわけでもない。さりげなくうまくやってくれるから。
岩下:信頼は、めちゃくちゃし合ってますね。みんなが幸せじゃないと嫌なんで。
――パンチライン出ましたね。みんなが幸せじゃないと嫌。バンドってホントそうだと思います。そろそろアルバムの話に入りますけど、制作後に“今まで以上に4人で作れたアルバム”という意味の発言を、岩下さんはしていますよね。そのへんを、もうちょっと詳しく知りたいです。
岩下:今までと違うのは、締め切りが作られたというところですね。この短いスパンの中でどうする?というところから、4人で作業するという発想が生まれたのかな。
小銭:確かに、締め切りはでかかったかも。“どうにかせなあかん”という。
岩下:“次のアルバムは4人でバランスよく作ろう”と言って始めた感じではないと思いますね。締め切りだとか、僕らの作業場(ニガアジ)ができたこととか、コロナの影響でみんな何もできなくなったとか、そういうことが少しずつ働いて、そういう作り方をしたという感じですかね。
――それが、結果オーライというか。
岩下:めちゃくちゃ良かったです。
平沢あくび(Syn)
――さかのぼると、今回の『ニガミ17才 o』は、血液型4部作の4作目で、最初からそういうコンセプトがあったんですよね。
岩下:最初の最初からありましたね。
平沢:1枚目のタイトルを考える時に、“シンプルなタイトルがいいよね”と言って、Aとか1とかがいいねとなった時に、血液型のaとbを思いついて、そのあとにabとoを同時リリースしてみんなを驚かせたい、みたいな感じでしたね。ただ曲がa型っぽいとかは特になくて、タイトルと曲のイメージは繋がってないんですけど、勝手に『ニガミ17才 a』はロックっぽくなって、『ニガミ17才 b』は打ち込みが入るようになって、みたいな。偶然にもそうなっていく中で、今回の『ニガミ17才 o』は、レコーディングの途中で“こんなアルバムになりそうだね”ということを4人で共有しながらレコーディングできたことが、大きく違うんですよ。初めて、テーマを持ったアルバムができたのかなと思います。
――統一性、ありますよね。サウンド的にはファンク、ソウル、ダンス、手法的にはカットアップ、そして歌詞も最初と最後の曲が繋がっていたりとか。見事にコンセプチュアルなアルバムだと思います。
岩下:そうなりましたね。制作期間が短かったから、だらだらしなかった。締め切りが似合うのかもしれない、このバンド。
――そんなこと言うとスタッフが喜んじゃいますよ(笑)。
岩下:締め切りがないと、同じパートをずーっとやっちゃうんですよね。でも今回は“とりあえずこのパートでいいから仮組みしよう”みたいなことも起きたりしたので。
平沢:今までは、仮組みするのに半年とか、かかってましたから。
――ええっ。それは異常ですよ。
平沢:まず音の素材が揃わないと仮組みできないから、岩さんが素材集めにすごい時間をかけて、“このドラムの音、何か違うな”と思ったら、そこから音探しの旅に出ちゃって、“いつになったら組み上がるんだろうなー”みたいな。それでやっと組み上がったものが、“なんか違う”ってゼロにされたりとか。でも今回はタツルボーイが打ち込みをして、“こんなんどう?”って提案したりとか、新しいやり方をしたんですね。今までは、岩さん一人が作業してることが多かったんですけど、ニガアジという作業場を借りて、常に私たちが後ろで見張っているという。
岩下:その間にタツルボーイは、別の部屋で作業をしている。
平沢:私とこっちゃんは、岩さんがやっていることに“それかっこいい!”とか、“それほしい!”とか言って。
小銭:“まだわからん”“これは良くない”とか言うんだけど、“いや、これが絶対いい!”とか。
岩下:チアガールです。
――あはは。応援しまくり。
平沢:“今のめっちゃいい!”“そうかなー”とか言いながら、採用してくれる。ゴミ箱から戻してくれたりして。それをタツルボーイに送って、“かっこいいじゃん”と言ってくれたらうれしい、みたいな感じでした。
岩下:普通、ゴミ箱に捨てたものを拾い上げるって、あんまりしないじゃないですか。でも僕のモチベーション自体が、この3人なんですよ。この3人がかっこいいと思うものを作りたい。だから3人が言うことを素直に……は聞けないですけど、ある程度は。
平沢:交渉してね。
岩下:交渉の余地あり、という感じですね。だからタツルボーイに“こういう歌になったよ”と送った時に、“めっちゃかっこいいの来たー!”みたいなLINEが来たら、一人でめっちゃ酒が進むもん(笑)。
イザキ:作業は止まるけど酒は進む(笑)。
平沢:その文章をツマミにしてね。
岩下:待ち受けにしようかと思った(笑)。そのぐらいうれしいんですよ、メンバーにかっこいいと言われるのは。
――リード曲の「こいつらあいてる」を筆頭に、ファンキーなダンス/ポップチューンが多いのは、最初から考えていたこと?
岩下:考えてないですね。たぶん僕が聴いてた曲を、“こんな感じ、いいなー”とか、ふわっとみんなに話して、“こういうアプローチかな?”とか言いながらまたみんなで話して、という感じですかね。全体というよりは、1曲ずつ作りながら、“このバランスならこういうふうにしたいね”という感じですかね。
――ちなみに、その頃は何を聴いてたんですか。
岩下:何聴いてたっけ? 最後のほうは、ディスクロージャーとか、みんなで聴いてましたね。あと、あれ聴いてたよね。ドラマーのボーカルの人。
平沢:あー、アンダーソン・パーク。
イザキ:アンダーソン・パークはいっぱい聴いたかも。R&Bとか、ブラックミュージック系の音楽を聴く時期が多かったせいもあって、そういうニュアンスはありますね。
平沢:リゾも聴いたね。“かっこいいー”って。
岩下:でもKing Gnuとかも聴いてた。
平沢:米津くんとかも、おっきい音量で聴いてた。みんなかっこいいと言うけど、どの部分がかっこいいのかが大事なんですよ。岩さんはリズムがかっこいいと思う人で、私は音色が好きとか言っちゃうタイプで、かっこいい曲の“どこがかっこいいか”をまず確認し合う。こっちゃんは何でも聴くよね?
小銭:何でも聴く。曲の雰囲気、ノリ、メロディ、何でもかっこいいなと思う。
平沢:タツルボーイがかっこいいと思う曲があって、私と岩さんが“こういうのって何をかっこいいと思うのか?”って聞くみたいな、そういうこともあったよね。グルーヴとか言ってたよね?
イザキ:そう。俺の話になっちゃいますけど、曲って、聴いた時にイメージとか想像と繋がったりとか、あの時聴いた曲に似てるからかっこいいとか、そういうのもあると思うんですよ。説明しづらいけど、バンドとして、そこは繋げておかなきゃいけない部分だなと思うので。だから“どこがかっこいいの?”って言ってくれるのがうれしいんですよ。共有できるんで。
――なるほど。サウンドはそういうところから影響を受けているとして、メロディや歌詞はまた別ですか。「幽霊であるし」のサビとか、山下達郎ばりのソウルフルな美メロだと思うんですけど、もともとスタンダードなメロディが好きとか。
岩下:いやあ、わかんないですね、何が僕の血となっているのか。昨日見た映画に影響受けてるかもしれないし、わかんないです。そこはあんまり興味ないです。どこから来てるんだろう?というものは。インプットはどこにも転がってると思うから。
平沢:岩さんは、アウトプットする前に素材をぐわーっと集めて、もうそこからは興味ないんですよ。歌詞もそうで、「オフィシャル・スポンサー」と「幽霊であるし」に、どっちも“幽霊”というワードが出てくるとか、繋げようと思ってやってなくて、出たものがたまたま幽霊だったというだけ。私は歌詞の意味を聞くのが好きで、“なんで幽霊なんですか?”ってよくよく聞いてみると、自分の過去の記憶があいまいになっていって、“小学校の頃はこんなこと考えていたような気がする”とか、そのあいまいな記憶を“幽霊”と称しているんだとわかるとか、そういうことを紐解いていくのが楽しいです。最初は“どういうこと?”と思うんですけど、よくよく話してみるとめっちゃ納得する。一貫してるなと思います。
――そういうこと、メンバーとは話すんですね。“余計なイメージをつけたくない”という発言も過去にありましたし、特に歌詞の話はしない人だと思ってました。
岩下:ああ、そうですね。だって、もったいなくないですか? あらかじめイメージが付いてから聴くと、もったいないなあと思ったりするので。でも、いいですよ。全然聞いてください(笑)。
イザキタツル(Ba)
――僕は「こいつらあいてる」の歌詞がすごく好きで、特に《知恵がしたたりそう、鈍感で不安で》というフレーズ。これは本当に17才の時に思っていた感情だったなーって、ものすごくリアルに響きました。
岩下:ありがとうございます。
――そんないいフレーズを、チャイニーズな発音で何言ってるかわからなくしちゃうという(笑)。その照れ臭さがニガミだなあとか思ったり。
岩下:そこはもう、馬鹿っぽい歌い方をしてくれとあくびには言ったんで。
平沢:難しいですよね。それは、無知がゆえの馬鹿なのか、根っからの馬鹿なのか、知恵があるがゆえの馬鹿なのか、どの馬鹿ですか?って(笑)。“幼さの馬鹿なのか、大人の馬鹿なのかがまずありますし”という話をして、“もっとこんな感じ”と言われて、レコーディングは大変でした。
――歌詞は全体的に、10代の青春の葛藤だなという印象を強く持ちましたね。何かトラウマがあるんですか。って、そんな質問しちゃいけないか。
岩下:いやあ、めっちゃ、いじめられっ子でしたから。でも、自分のことはそんなに書いてないかな。書いてるのかな? だからそれも結局、インプットされたものをアウトプットしてるから、その記憶も何かは影響してるとは思いますね。
小銭:僕も、「こいつらあいてる」の言葉遊びはすげぇ!ってなったし、「Jimmy Perkins」もぜひ歌詞カードを見て聴いてほしい! これは本当に、意味を知った時はびっくりしました。
岩下:「Jimmy Perkins」は、一番と二番で同じ歌のサンプルを使ってるんですよ。でも歌詞カードを読みながら聴くことで、違うように聴こえちゃうという実験です。
平沢:同じ音なのに。
岩下:同じ音なのに、歌詞を読みながら聴くとそう聴こえちゃう。みんなもそうなのかな?と思って、同じものを使ってみました。
――ほとんど実験アートの世界ですね。今回、アルバム全体に取り入れたカットアップの手法も、ある意味実験的じゃないですか。テクノやヒップホップはともかく、歌ものではあまり聴いたことないです。
岩下:そうですね。「生でんぱ」以外は全曲やってるんじゃないかな?
――それは、どこからインプットされたものですか。
岩下:エンジニアさんが、アクフェンという人の曲を聴かせてくれて、“これ、めっちゃやりたい”と思って、やりました。カットアップって、1回組み立てたものをレーザーで切るみたいな感じじゃないですか。それがすごく魅力的なんですね。ニガミがいつも言っている“違和感”というところの演出もできるし、僕が大好きな作業時間をいっぱいかけられるし、性に合うんですよね。
平沢:元の曲にはない可愛い音がするなと思ったら、こっちゃんのハイハットの一音を巻き戻している音とか、ピッチを変えた音とか、細かく切り取って一個一個組み立ててる。それで、やっとできたと思ったら1秒ぐらいの音で、“えっ!”みたいな(笑)。そんなに大変な作業なのに、岩さん、生き生きとしてるんですよ。アイディアが出すぎちゃうんで、締め切りがないと永遠にやってたと思う。
岩下:そういう意味でもカットアップが良かったのは、お題が“これしか使っちゃダメ”ということだったから。僕がゼロから生み出すと、無限に可能性が広がるけど、今回はタツルボーイがゼロから1を作って、3人で3とか4にして、最後に僕が全部カットしていくみたいな、楽しい立場をやらせてもらいました。タツルボーイはきつかったと思いますけど。
イザキ:まあまあ。僕はそういう、生み出す作業が好きなので。好きなことはやりましょうという、そこが僕の役割なので。
――最初の話に戻りましたね。バンド内の役割が確立されてる。タツルボーイさん、特にお気に入りの曲は?
イザキ:どれでしょう? もちろん全部は全部なんですけど、「こいつらあいてる」と「オフィシャル・スポンサー」は二大推しですね。聴きどころがまったく違うので、選べないですけど、あえて選ぶなら「こいつらあいてる」かな。おしゃれなものが仕上がったと思ってます。
小銭:自分も「こいつらあいてる」ですかね。あくびの、中国語っぽく聴こえる歌詞の面白さがでかいです。ドラムとしては、2番のサビに入る前に、一拍ウラでドン!と入ってるのが、いいところです。盛り上がる技でございます。
平沢:私は1曲目の「Jimmy Perkins」と、最後の「& Billboard」の、《ようこそ新しい世界へ》という言葉がとても好きですね。アルバムを聴いて、「& Billboard」から「Jimmy Perkins」に戻った時の感情が違っていてほしいなと思います。すごくハッピーな世界を見てた感覚だったのが、最後はどんどん引きの画になっていって、荒廃した世界の中のテレビの画面だったんだ、みたいなイメージが私の中にあるんですよ。それは正解とか不正解とかじゃなくて、個人的な感覚ですけど、私はゾッとしました。何回聴いても、そこは好きですね。だから《ようこそ新しい世界へ》という言葉がフェイバリットです。
――最高のリスナーがバンド内にいますね。岩下さん。
岩下:ファン代表です。
平沢:こないだ岩さんに言ったんですけど、「Jimmy Perkins」は、最初は何言ってるか全然わかんないじゃないですか。それで最後に《1,2,3》という言葉で魔法がかかった瞬間に、《ヘイ、ようこそ、新しい世界へ》って、日本語が聴こえてくる。これはリスナーに魔法がかかったんだと解釈して、“ここ、めっちゃいいですよね”という話を岩さんにしました。
小銭喜剛(Dr)
――岩下さん。あくびさんが大好きな《ようこそ新しい世界へ》という言葉は、どんな思いで書いたものですか。
岩下:これはね、単純に現在過去未来を書きたかったんですよ。最新のものは最新じゃない、という……。
平沢:最新が一番古い、みたいなね。
岩下:そういう普遍的な発想をテーマにして、作品を作りたいなと思ったんですね。普遍的なことでもこれだけできるというか……何て言ったらいいんだろうね?
平沢:当たり前のテーマで、どこまでできるか。
岩下:いや、でも挑戦ということでもないからね。何でしょうね、年齢でしょうかね(笑)。あんまり突拍子もないことをやりたくないみたいな。
――それは感じますね。カットアップのサウンドは斬新ですけど、メロディと言葉には、奇をてらう狙いはまったくないと思います。むしろ素直に響きます。
岩下:《ようこそ新しい世界へ》というのは、どこから切り取ってみても、いろんな解釈ができるように作ってます。僕の中のイメージもありますけど、それを説明するのは、次の作品が出た時かなという感じがしますね。
――きれいにまとめました。でも確かに、ニガミの曲はどれも、解釈が自由なところが魅力だと思いますね。しかも、音だけで楽しく流し聴きもできる。でも聴いていくうちに、何これ?という謎がどんどん出てくる。
岩下:一番かっこいいじゃないですか。
――一番かっこいいんですよ。そうなんですよ。売れてほしいですね。売れたいですか。
岩下:どうなんでしょうね。売れたいのかな? 売れたいとか言うと、また腹立つ解釈とかされそうやね(笑)。
平沢:幸せに暮らしたいです。
小銭:いいな。それだ(笑)。
岩下:でも、これだけ命削って作った曲なんだから、たくさんの人に聴いてほしいというのは、そうですね。それイコール売れたいということなのか?とは思いますけど……そこはまた考え直しだね。4人で話し合いだ(笑)。
――みなさんは、この世代に聴いてほしいとか、ありますか。
平沢:私は十代の時に音楽にすごいハマったので、十代の人に聴いてほしいというのもあるし、私のおばあちゃんも聴いてくれてるから、80代の方にも聴いてほしい。ライブに来てくれる方も、年齢層が幅広いんですよ。ありがたいことに。そこで十代の人に、ハッピーな方向で何かしらの影響を与えられたらいいなという感じもありますね。個人的には。
岩下:言うたら、小島よしおさんが、幼児向けの番組をやったりしてるじゃないですか。それはそれで凄い事だし、尊敬もしますけど、でも明石家さんまさんが、どの世代をターゲットにとか、考えてないと思うんですよ。さんまさんになりたいんで、僕らは。
――なるほど。
岩下:聴いてほしいのは、老若男女のみなさんに聴いてほしいという気持ちですね。世界中の人に聴いてほしいです。
取材・文=宮本英夫 撮影=大橋祐希

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