保坂知寿「浦井健治さんが山口祐一郎
さんの事をどれだけ好きかが分かった
(笑)」と笑顔 舞台『オトコ・フタ
リ』インタビュー

2020年12月12日(土)から東京・日比谷シアタークリエにて上演される3人芝居『オトコ・フタリ』。この出演者である山口祐一郎、浦井健治、保坂知寿に製作発表会見の後、さらに話を聴いた。
ーー改めて脚本から山田さんの演出を受けつつ、ご自身の役をどのように組み立てていきたいと思っていますか?
山口祐一郎
山口:間違いのない、どこにもつっこめない、そういう脚本なので、そういう意味では、毎日違うものをやったとしても、全然、本が崩れない。それだけの脚本をいただけて僕たちは幸せです。山田さんは、僕たちのやってることに合わせて(事前に)プランを作ってらっしゃるんですけど。僕たちは部分的につい勝手に直しちゃうんですが、山田さんはそれを受け入れつつ丁寧に調整してくれるんです。
浦井:そのなかで、山田さんは、実はゆるやか~なものすご~くのんびりしたお稽古に見えながらも、もう今80ページくらい稽古を付けているんです。すごいですよ!
保坂知寿
保坂:そこで、おかしなことを私がたとえばしたことによって、面白さが半減することもあるんですよね、違う要素を持ち込んだりすることで。それを山田さんはきっと今修正していると思います。本がより鮮明に見えるように作業してくださっていると思います。
浦井:そういえば、山田さんの演出助手の方が「今のダメ出しはどういうふうな感じで役者さんに言って、役者さんの自分の自我で演出のなかで『そうか!』って思わせて色付けしてるんですか?」っていうふうに山田さんに質問していたんです。それを見て「山田さんは(僕たちだけでなく)スタッフも育てる人なんだ……」ってびっくりしましたよ、僕!
ーー皆さんは本作に先駆けて9月に山口さんのスペシャルトークショー『My Story-素敵な仲間たち-』に出演されて、その時に様々なお話をされていましたよね。その経験を踏まえて改めて気が付いたお互いの魅力などありますか?
山口:いちばん素敵なのは毎朝お稽古場で会うんですが、お二人は毎日違う顔を見せてくれるんです。それと同時に「こうであってほしいな」と僕が思う顔を持ち続けてくれるんです。その両面を持ってくれることに僕は安心感を持てるんです。普通はどっちかの顔しか見れないものですけど、それが実現できているのでとても楽しい稽古を続けていられます。幸せだなって。
浦井健治
浦井:今の言葉がジーンと胸の奥に響いています。そういう風に見てくださっているんだな、仲間だと認識してくださっている事がこの上なく嬉しくて。先輩二人の絆は長年築いてきたトップアスリートの歴史でもあり、その一部をこの仕事をする事で僕は垣間見せていただいているんです。お二人のトークの中には「あ、これも宝石だ、こっちも宝石だ」と思える事が無数に散りばめられているんです。是非とも全部コレ(傍に置かせていただいたボイスレコーダー)で録音していただきたい、そしてエッセイなど本にしていただけたら演劇を志す人たちの教材になる、と自分は感じています。
保坂:そんな大切な事なんて言ってないですよ。「昔こんな事があったなあ」くらいの話ですから(笑)。この前のトークショーで驚いたのは、帝国劇場の大きなセリにたった一人乗ってこられて凄いミュージックと共に出てこられたこと。これって他の方だったら成立しない、山口さんだからこそそこに乗っていられる訳ですからすごいなって。
浦井さんはそのトークショーでも、また今の稽古場でもどれだけ山口さんの事が好きかという事が分かりましたね!
浦井:(笑)。
ーーこの作品は画家が主人公ということですが、もし皆さんが今自由に絵を描いて良いと言われたらどんな絵を描こうと思いますか?
浦井:じゃあ僕から先に答えますね。僕は山口さんの台本の絵を描いてみたいです。誰よりも付箋の数が多く台詞が読めないくらい誰よりも書き込んでいる。山口さんは稽古前の準備はしないとおっしゃるんですが、その様子から誰よりも準備をしていると思うんです。で僕の台本はほとんど書き込みがなくて(笑)。だから山口さんの台本を描く事で自分の戒めにしたいです。
「顔の下半身が……」と発言する保坂さん(笑)
保坂:今稽古場ではマスクをしたまま稽古をしていて、いつ外すんだろう、と思いながらやっているんです。で、マスクをしているのでその下が見えないからどんな表情をされているのか全く分からないので、顔の“下半身”に妄想が広がるんです。
山口・浦井:顔の下半身!! 初めて聴いた!!(爆笑)。
保坂:それを描きたいですね(笑)。
山口:僕が演じる画家は抽象画家ということですが、何を描きたいかという事を考える前に何もないところから何を自分が見つけ出すのか。絵の課題がない、論点が、テーマがない。でも描けと言われて身悶えしている役なんです。そんな言葉にできないもの、見えないものを描いてみたいですね。
ーー本作はストレートプレイではありますが、劇中で3人が歌う場面があるようですね。
山口:今回、ミュージカルと違ってオーケストラがないので、毎回稽古をしていると3人が歌い出す音が違うんです。ただし健ちゃんと保坂さんはオリジナルキーで必ず歌い出せるんです。
保坂:浦井さんが先に歌い出すんですよ。だから……。
ーーつまり浦井さんが絶対音感の持ち主ということですよね?
山口:(深く頷きながら)ジェラシーです。道路の信号で横にすごい車が来て青信号になってこっちは一生懸命アクセルを踏むんだけど、すごい車はビューンといってしまうんです(笑)。
浦井:そうはおっしゃいますが、この山口さんの前でアカペラで歌う事は処刑に近い感じ。レジェンドの前でアカペラで歌うんですから!!(笑)。
山口さんの浦井さんホメホメ攻撃にこの笑顔!
インタビュー後、「無事に千秋楽を迎えたいですねー」と山口が微笑みながら言葉を口にした。こういう状況下での公演という意味において実に印象的、そして並々ならぬ決意を感じさせた。
取材・文・撮影=こむらさき

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