『GRIP』は日本のパンクシーンを
形成してきたHUSKING BEEの
決意が詰まった瑞々しい一作
生々しい歌と演奏、そして歌詞
さて、最後に歌詞について少しだけ。前述の通り、全編英語詞なので、少なくとも英語い馴染みがない人以外は、パッと聴きその意味が分からないとは思われるが、真っ直ぐな心境が吐露されたものが多いようではある。特にタイトルチューンM3「WALK」には、おそらくこれが1stアルバムであるということを含まれているのだろう。瑞々しくも、それでいて浮足立つことのない所信表明のようで、とても良い。
《I was overly precautions Reminiscing the good old days/At any rate I wanted to begin for myself/At any rate I wanted to walk》《Before I knew it I facing forward So far, so good/I started to understand where I was going/My foot path stretched behind my back》(M3「WALK」)。
また、アルバム『GRIP』収録曲の歌詞に関して、これだけは絶対に記しておかなければならないのは、M2「8.6」だろう。タイトルは8月6日のこと。これだけでもピンと来る人も多いだろうが、歌詞を手掛ける磯部が広島県出身ということを知れば、多くの日本人は何について綴られたものであるか分かるはずだ。
《The number 8.6 is stanmped in the city/I want no more numbers fixed again/A mountain of black stiffs It was a night marish truth/I don't want it happen again》《I'm proud I was born there/I'm proud I was brought up there/I like the peace and quiet of the town》(M2「8.6」)。
日本のパンク、エモが世界に発信する内容として相応しい…という言い方が適切かどうか分からないけれども、個人的にはそう思う。まぁ、日本うんぬん以前にロックバンド、アーティストとして、とても大事なことを歌っているのは間違いないし、ここにもHUSKING BEEの決意が垣間見える。
TEXT:帆苅智之