小林愛香 バンドを従えた誕生日のオ
ンラインライブで見せた多彩な魅力
『小林愛香LIVE 2020 “NO LIFE COD
E ON LINE MODE”』レポート

2020.10.23(Fri)『小林愛香LIVE 2020 “NO LIFE CODE ON LINE MODE”』
10月23日、小林愛香初の配信ライブ「小林愛香LIVE 2020 “NO LIFE CODE ON LINE MODE”」が開催された。
小林は今年2月にQ-MHzの田代智一をサウンドプロデューサーに迎えたシングル『NO LIFE CODE』でメジャーデビュー。そして5月には大阪と神奈川で初のワンマンライブを行うことを予定していた。ところが折りからの新型コロナ禍により、その開催を見合わせることを余儀なくされてしまった。
今回のライブはそのリベンジマッチとも言うべき公演。無観客配信スタイルながら、ボーカリスト・小林愛香の多彩な魅力を十二分に堪能できるステージが繰り広げられた。
撮影:笹森健一
ライブのリハーサル風景を切り取ったオープニング映像が、「みんなで楽しもうね」という小林の言葉とともに終わり、カメラがステージへと切り替わると、そこにはドラム、ベース、ギター、キーボードを従えた彼女の姿が。まずはごあいさつにばかりと「NO LIFE CODE」でキレのいい8ビートに乗せて透明感がありながらもパワフルな歌声を響かせたかと思えば、続く「ゆらゆらら」ではそのタイトルどおり、“ゆらゆら”と揺れるグルーヴィなビートに乗せてファニーなダンスとともに、かわいらしいボーカルを届けてみせた。
ライブ当日は小林のバースデー。それを「初めてのオンラインライブ。緊張もしているけど、気合いが入ってますからね」「お誕生日ですから!」「おめでとう、小林愛香!」という、なんともゆるゆるとしたトークでアナウンスした小林だったが、その後は表情が一変する。「今まで大切に歌ってきた曲です」と、2010年代初頭、自身が音楽活動を開始したころの2曲をドロップ。「future is serious」と「君を守りたい」を披露する。「future is serious」では、原曲の打ち込みと生のバンドサウンドを絶妙にミックスしたサウンドで魅せ、バンドによるダンサブルなヘヴィロックへと大胆にお色直しした「君を守りたい」ではステージ狭しと軽快なステップを刻みながら、シリアスな歌声を響かせた。
撮影:笹森健一
後半は新曲を連発、バーチャルアンコールで再登場
楽曲提供を受けるなど、親交のあるシンガーソングライター・SAWAの「Blue」をスタイリッシュにカバーしたところで、ライブは終盤戦に。「大変な世の中で、私自身モヤモヤした気持ちでいたけれど、こういう時期だからこそ、みんなに歌で寄り添いたいという思いが大きく芽生えた」「音楽の力で一緒に乗り越えたい。そういう思いを込めた曲を作りました」としっかりとした口調で語った小林は、新曲のバラード「Border Rain」を初披露。ピアノとストリングス、アコースティックギターというオーガニックな編成のトラックをバックに優しくも、どこか壮大に歌い上げた。
その後も小林は新曲をつるべ打ち。曰く“あいきゃんバンド”であるという、サポートバンドのメンバーを紹介するとメジャーデビュー曲「NO LIFE CODE」にも通ずる陽性なパンクナンバーを2連投する。満面の笑顔でのピースからの投げキッスで「Heartache soldier」を締めくくると、「最後はみんなでこの曲を歌いたいと思います」と「Can you sing along?」をパフォーマンス。彼女の〈最高すぎるよ〉の声に、事前にファンから募っていた〈全部最高〉の声が返す”バーチャルコール&レスポンス”という、配信ライブならではの演出で動画配信サイトのコメント欄やSNSを大いに盛り上げた。
撮影:笹森健一
そのコメント欄やSNSでの熱いアンコールに応えて、オフィシャルグッズのロングスリーブTシャツ姿で登場した小林とあいきゃんバンドは「NO LIFE CODE」のカップリング曲である「Crazy Easy Mode」をプレイ。シングルリリース時「ちょっと小生意気なガールズバンドのボーカルをイメージした」と語っていたとおり、ステージの小林は、ライブ本編とはまた違う、コケティッシュなボーカリスト像を現出させていた。
そして、小林が思いきりカメラに寄って「お知らせがあります!」と重大発表をせんとしたその刹那、ステージ脇からバースデーケーキが登場。これはバースデーサプライズ。当然この段取りをまったく聞かされていなかった彼女は「思ってたのと違うよー」「チョー鼻水が出てきた。やめてよー」と泣き笑いの表情を浮かべつつ、あらためて2021年1月27日にニューシングル『Tough Heart』をリリースすることをアナウンス。「泣いちゃったよ。どうするの?」と笑顔でボヤキながら、デビュー盤『NO LIFE CODE』と同じく、田代智一がサウンドプロデュースを、Q-MHzが制作を手がけることを発表して、いよいよライブは最終盤に突入する。
「みなさんに届くように、楽しんで歌いたいと思います!」の言葉どおり、明るいロックナンバーである新曲「Please! Please! Please!」を満面の笑みをたたえて歌い上げて、自身初の配信ライブを締めくくった。
撮影:笹森健一
シングル『NO LIFE CODE』リリース時、小林は「私から歌を届けにいく機会はいっぱい作るつもり」と語っていた。ところが新型コロナ禍により、なかなか機会を作れない状況を余儀なくされた。ただし、デビュー盤リリース時、彼女は「歌う喜びに充ち満ちている私の姿を観に来てもらいたい」とも語っていた。
今回の配信ライブはまさにその言葉のとおりの公演に。この日の小林は画面を通じてではあるものの、テクニカルなバンドサウンドと、自らの多彩なボーカリゼーションによって、その“歌う喜び”をあふれんばかりに表現してみせていた。
取材・文 成松哲 撮影:笹森健一

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