『OSAKA GENKi PARK』オフィシャルラ
イブレポート【もみじ川広場 RIGHT
STAGE】2日目ーー「希望の光が溢れる
未来へ」フジファブリック、キュウソ
、マカロニえんぴつらが大阪から元気

『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』2020.10.11(SUN)もみじ川広場 RIGHT STAGE
大阪・万博記念公園で、10月10日(土)と11日(日)の2日間にわたって開催された野外イベント『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』。感染症対策としてマスク着用で声援はなし、距離をとりながらの「3密」対策を講じられた中で豪華アーティストが多数出演。今回は、「もみじ川広場 RIGHT STAGE」の2日目の模様をレポート。10月よりラジオ局FM802で『MUSIC FREAKS』のDJを担当するmiletマカロニえんぴつのほか、ベリーグッドマン緑黄色社会キュウソネコカミにラストを飾るフジファブリックまで、久しぶりの野外ライブとあり熱気と感動に満ちた、笑いあり、涙ありのステージをお届け。
●milet
milet
2日目の「RIGHT STAGE」で、トップを飾るのはシンガーソングライターのmilet。さっそうとステージに登場し、「Fine Line」でスタート。ハスキーな歌声で観客の心を鷲掴みにすると、続けて「us」では訴えかけるようにじっくりと誠実に歌を届ける。MCでは、「大阪の人なら、バン!と撃ったら、(撃たれたふりして)倒れてくれるの?」なんて、チャーミングに投げかけながらも、「フェス日和ですね。……本当に、会いたかったです」と、溜め込んでいた想いをこぼす場面も。「ずっとライブで歌ってみたかった、青空にぴったりの曲を。この空気と空を、思いっきり感じてください」と伝えて、「Grab the air」へ。包み込むような優しさがあり、どこまでも広がっていくような伸びのある強さを体現。繊細な歌声が際立つ「inside you」では、張り裂けそうな気持ちを解き放つようにして歌われた。
milet
「大阪は、去年に初ワンマンを開催したスペシャルな場所なので、戻ってこれたことを嬉しく思います」と喜びを語り、10月よりFM802で『MUSIC FREAKS』のDJを担当することになったと報告。「自分でもいい感じでできてるんじゃないかな?」と、自身たっぷりに振り返るお茶目な一面を垣間見せる。「みんなマスクをしないといけないから、どんなふうに見えるのかなと思っていたけど、みんな笑ってますね」と、ニッコリとした表情を浮かべる観客たちの姿に安心した様子を見せ、さらに大好きな関西に想いを馳せながら書いたという「レッドネオン」を披露。ノスタルジックでいて、やりきれなさの滲む想いがフォーキーに歌われ、徐々に熱を帯びていく楽曲の強さと歌唱力に圧倒される。
milet
最後には「泣きそうになっちゃう……」と、10ヶ月ぶりというライブにも関わらず大勢の観客が温かく迎えてくれたことに心を震わせながら、「こんな素敵な景色を見せてくれて、ありがとうございます。また大阪に帰ってきたいと思います!」と宣言して、「You & I」で堂々たるステージを終えた。
milet
去り際には、「また来るわ!おおきに。……バン!」と、銃で撃つ真似をサービス。観客が撃たれたふりをしてコケる、というMCで投げかけていた、関西人あるあるを生かしたレスポンスも決めて、圧倒的な歌だけでなく人柄でも観客を虜にした。
●マカロニえんぴつ
マカロニえんぴつ
続いて登場したマカロニえんぴつのステージは、はっとり(Vo.Gt)のギターと歌から「溶けない」で幕開け。続けざまに、「ブルーベリー・ナイツ」では、田辺 由明(Gt.Cho)と長谷川 大喜(Key.Cho)のプレイが冴え渡り、センチメンタルなナンバーで観客を引き込んでいく。
長谷川 大喜(マカロニえんぴつ / Key.Cho)
「すごいことですよね、この景色をこんなに早く見られるなんて。今年は無理だと、正直思っていました。バックヤードで音漏れが聴こえてきたり、急いでステージを移動したり。夏フェス取り戻せそうだな!」と、はっとり。これまで楽しめていた、ライブもフェスも当たり前ではなくなったことを実感したからこそ、ライブができるありがたさを確かめつつ、今この瞬間にかけて憂いを吹き飛ばすように、「girl my friend」へ。
高野 賢也(マカロニえんぴつ / Ba.Cho)
高野 賢也(Ba.Cho)のベースとドラムのリズムに合わせて、クラップが増幅。はっとりと田辺が向き合ってプレイする姿は、誰よりもライブを楽しんでいるようで観ている方も嬉しくなる。
はっとり(マカロニえんぴつ / Vo.Gt)
ドラマチックに展開する「恋人ごっこ」では、ストーリーを追うように感情が込み上げてくる情緒的なシーンから、「洗濯機と君とラヂオ」でステージの勢いをさらに加速させる。
田辺 由明(マカロニえんぴつ / Gt.Cho)
これが最初で最後になっても後悔がないほどに、手を振り飛んで楽しむ観客たちでフロアが弾む光景は痛快。
マカロニえんぴつ
「黙ってたら誰かがやってくれると思っていた。それじゃ何も起こらないし、何も始まらない。自分がいなくなっていく、そう感じる時期がありました。不要不急で、必要なのはお前らじゃないと言われてるようで……。だけど、最後は必要になりましたね。これが!ここが!」と訴えかけ、待ってましたと言わんばかりにイントロからどよめいたラストの「ヤングアダルト」まで、夏を取り戻すように観客と一丸となって、野外ライブの喜びを確かめ合った。
●ベリーグッドマン
ベリーグッドマン
「RIGHT STAGE」で「ライトスタンド」を披露する、本気のリハで盛り上げたのはベリーグッドマン。アカペラからスタートした「Good Vibes」から、観客と意気投合。MOCAが「ベリグの代名詞といえば、しつこいまでのコール&レスポンスなんですけど……」と、この日は声を出せないため、封印。
Rover(ベリーグッドマン)
なんてことはなく、クラップやその場で足踏みしたりする観客からのレスポンスを受けながら、Roverに止められるまでこれでもかと時間をつかってコール&レスポンスタイム。終わらないんじゃないかと思うぐらい、みんなで楽しめる新しい楽しみ方から、「ベリーグッド」で万博に笑顔をみるみる広げていく。「One Love」では、熱さをもろもとせず汗をふきとばすようにタオルを振り回すハイライトも。
MOCA(ベリーグッドマン)
MCでは、新レーベル「TEPPAN MUSIC」を立ち上げ、ニューアルバム『TEPPAN』を10月28日(水)にリリースするなど挑戦を欠かさないべリグの今の想いが真摯に語られ、「大変な時期が続くかもしれないですけど、ライブパフォーマーとしては、ライブをこれからも続けて行きたいと思います。そんな想いを込めて」とRoverの言葉から、「Dreamer」を拳を突き上げて熱唱。HiDEX、MOCAとのラップとハーモニーがより美しく届けられる。
HiDEX(ベリーグッドマン)
さらに、「いつもそばにいてくれることは当たり前じゃない」と自粛期間中に制作した新曲「アイカタ」を披露。曲中にメンバー同士で、言葉をかけあったり、観客ひとりひとりに投げかけるようにして、いま現状に向き合っている人へのリスペクトと感謝をストレートに伝えた。
ベリーグッドマン
最後は、「DJスタイルの一番おいしいところ!」とMOCAもシャツを脱いでの開放的なムードから、みんなでハンドクラップとジャンプを決めるクライマックスで締め括った。
●緑黄色社会
緑黄色社会
ブルーとパープルを基調とした衣装で、ステージに華を添えたのは緑黄色社会。「夏を生きる」でライブが始まると、瞬く間に観客と心をひとつにし、続く「あのころ見た光」では長屋 晴子(Gt.Vo)の歌声が冴え渡る。
穴見 真吾(緑黄色社会 / Ba.Cho)
突き抜ける長屋の歌声に呼応して、グンと伸びた数々の手が「RIGHT STAGE」を覆い尽くした「sabotage」で、一気にフロアのテンションはマックスに。力強いビートで観客を躍らせ、熱気がぐんぐん上昇する。
長屋 晴子(緑黄色社会 / Gt.Vo)
MCでは、長屋が「久しぶりにこんなにたくさんの人の前でライブができて、とってもとっても嬉しいです。みんなの元気な姿を目に焼き付けて帰りたいなと思います」と伝え、「表情はマスクで見えないけど、本当の笑顔は目だと思うので。みんなの目が、笑顔になるように」と「Shout Baby」へ。
小林 壱誓(緑黄色社会 / Gt.Cho)
続けて、小林 壱誓(Gt.Cho)が「この太陽の塔のふもとから、みんなの笑顔を全国に広げていけたら。今日が終わってもまたライブで会おうねという、約束の歌です」と想いを語り、「Brand New World」を披露。観客と一歩ずつ踏みしめながら前へ前へと、さらなる高みへと突き進んでいく。
peppe(緑黄色社会 / Key.Cho)
「みんなの目がニッコリしているのを確認できました。みんなに元気を与えたいと意気込んできたけど、逆に元気をもらったなと……。もらった元気を、しっかりとこれからに繋げていきたいなと思います」と、長屋が決意を新たに最後はハンドマイクで「Mela!」を熱唱。
緑黄色社会
特大のクラップで、バンドのエネルギーも増幅。ビートに身を委ねて観客も心を弾ませながら、全力で踊ったりジャンプする大団円を迎えた。
●キュウソネコカミ
ヤマサキ セイヤ(キュウソネコカミ / Vo.Gt )
続いてのキュウソネコカミは、赤い全身タイツで登場したヤマサキ セイヤ(Vo.Gt)の「ゲンキな人を見て、ゲンキになって帰れバカヤローー!」と放って、「KMTR645」でスタート。曲中に、2025年『大阪・関西万博』のロゴマークになったり、いつもとは逆の「歌うなー!」という煽りや、アントニオ猪木よろしく『OSAKA GENKi PARK』だけに、「元気ですかー!?」の掛け声から、「1・2・3・ダー!」で声を出せないのでシーンとするMCを楽しむなど、キュウソらしい展開のオンパレード。「これぞキュウソ!」と胸が熱くなる。
キュウソネコカミ
「いろいろあるけど今日ぐらいは、楽しんで帰ろうなー!」とヨコタ シンノスケ(Key.Vo)の投げかけや、「推しのいる生活」でのヤマサキの「推しを推せる時に推しとけ!」のシャウトなど、神妙に現状を憂うでもなく、あくまでも底抜けに明るく訴えかける姿に、余計に感極まってしまう。観客も負けじと元気に、手を動かし、クラップして応えるため、フロアには凄まじいほどの元気が集まっていた。
キュウソネコカミ
そんな光景に、ヨコタが「輝いてる、命、輝いてるよぉ」(2025年『大阪・関西万博』のテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」ということから)としみじみしていると、ヤマサキも「ほんまやなぁ……」と、ジーンときている様子。「みんなが元気に動けば動くほど、僕たちも元気になる!元気の受け与えをしていきましょう!」と、「MEGA SHAKE IT!」で目が覚めるほどの熱気に変え、初披露となる新曲「ポカリ伝説」を惜しげも無く披露。曲の最後には、FM802 DJの飯室大吾も駆けつけて、1フレーズだけコラボするスペシャルな展開も。
キュウソネコカミ&飯室大吾(FM802 DJ)
このコラボにヨコタは、「FM802とかさ、CDショップとか楽器屋とか練習スタジオとかが元気になって、大阪が元気になればみんな元気になれると思う」と切り出し、「俺たちはライブハウスから来ました。そこから生まれたバンドとか音楽で、今日のイベントができてると思います。またライブハウスに行って、俺らみたいなバンドを応援してもらえたら。ライブハウスで生まれた曲をやります!」と「ハッピーポンコツ」へ。
キュウソネコカミ
曲中にヤマサキがウルっときて歌詞を詰まらせていたように思えたのは、見ている側がウルっときたからかもしれない。最後の「The band」にいたるまで、ロックバンドとしての生き様を見せて元気を与えてくれた。
●フジファブリック
フジファブリック
2日間を締め括るのは、フジファブリック。1曲目の「破顔」から、並々ならぬ想いが伝わってきた。<ただ息をする今日という日が何より素晴らしいことさ 何もいらない さあ行こう 心配なんか何もない 何もない さあ行こう>。これまでのすべてを受け入れて、ありのままに生きていくという歌詞の中の言葉のひとつひとつが、ストンと心に落ちてじんわりと温かく染み渡っては前向きな気持ちになる。そんな幕開けに早くも目頭が熱くなる。
山内総一郎(フジファブリック / Vo.Gt)
続けて「Green Bird」、一転してアップテンポに「虹」を畳み掛け、分厚いバンドサウンドを轟かせる。MCで山内総一郎(Vo.Gt)は、「ここが思い出の土地であり、刺激を受けた場所です。実家がめちゃくちゃ近いので、ここが故郷です。ただいま!」と、地元への想いをあらわに。
金澤ダイスケ(フジファブリック / Key)
「こうやって演奏できることが、みなさんが来てくれることが、未来を照らす光になってくれています。世界中が少しずつ前に進み始めていますが、みんなにとって希望の光が溢れる未来になっててほしい、という願いを込めて」披露された「光あれ」。
加藤慎一(フジファブリック / Ba)
「今年は生で花火を見た人は少ないんじゃないかと思います。曲の間に、心の中で大きな花火を思い浮かべながら聴いてください」と語り、今度は「若者のすべて」へ。この日、披露された1曲1曲にバンドの想いや願いが丁寧に込められていることが、MCからも伝わってくる。だからこそ、鳴らされるメロディーのひとつひとつが、歌詞の隅々までが、まっすぐ胸に届いて来たのだろう。この数ヶ月間、みんなが考えていたことを歌っていてくれているようで、心の中の闇を切り裂いてくれているようで、もやもやした気持ちを解きほぐしてくれているようなステージが続き、祈るように聴いている人もいれば、涙を拭う人が多く、印象的だった。
フジファブリック
この日を無事迎えられた感謝をスタッフや観客みんなに伝え、ラストには「故郷である大阪と、万博に向けて歌っている曲です」と伝え、初めて山内がギターを鳴らした時のGコードから始まる「手紙」でフィナーレへ。初めてギターを手にした日から今日まで、どんなことがあっても地続きであり、いつの日かまたライブ会場で会える未来への希望へと繋いでくれる、きらめく余韻を残して夢のような2日間を締め括った。
『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』
2日間に渡って繰り広げられた、全46組によるライブがこれにて無事終了。「RIGHT STAGE」はもちろん、どのステージにおいても生音を存分に鳴らし浴びられるライブは、数ヶ月ぶりだというアーティストと観客がほとんどだっただけに、今までにない開放感と興奮と感動に溢れていた。
また、スタッフ、アーティスト、そして観客ひとりひとりが一丸となって、今できる最大限の方法に取り組み、ルールの中で楽しもうという心意気があれば、これだけ大規模かつ快適な野外フェスが実現できることを証明できた。みんなと作りあげた、『OSAKA GENKi PARK』という新しい可能性は、これからの音楽イベントだけでなく、さまざまなエンターテインメントにおいて、希望となるだろう。そういう意味でもとても意義のある一歩を、みんなで前へと歩むことができたに違いない。
思いっきりフェスを楽しめる喜びも、ライブで生音を浴びれる興奮も取り戻すことができた。またライブ会場で、好きなアーティストに会える。そう思うだけで、毎日元気にやっていけそうだ。「未来への希望の光」が、『OSAKA GENKi PARK』から全国へと照らされた、かけがえのない2日間となった。
取材・文=大西健斗 撮影=渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)

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