【真心ブラザーズ インタビュー】
楽しく生きてる俺を見て、
勝手に元気になってくれ
配られたカードに文句を言う奴は
絶対に勝てない
面白いですね。家での自粛期間はめちゃくちゃ曲ができたそうですが、考え方もプラスに働きました?
YO-KING
うん、俺は楽しくやってましたよ。うまくやってた。“うまくやる”って大事で、“適当にうまくやる”って文字面だけ取ると批判されがちだし、そんなこと学校では教えてくれないけど、逆境においては特に大事で、それこそがしなやかさや逞しさ、図太さや生き残る力ちゅうか。適当にうまく、ずる賢く楽しく生き残るって大事だよね。
真面目にコツコツやるのも日本人の美徳だったりしますけどね。
YO-KING
もちろん真面目にコツコツは大事だけど、もう新時代ですから。昭和の終身雇用が成立してたことはそれでも良かったし、そういう時代に真面目にやった人たちのおかげで日本が復興したから、そのありがたみも受けて育ってるんだけど、“コツコツやりつつ適当にやりつつ”ってバランスだと思うんですよね。コツコツも大事で、俺、NHKの英会話を毎日観てるんですよ。そしたら偉いもんで、喋れますから。
身についてるのが分かる?
YO-KING
いや、めちゃめちゃ分かんないけど(笑)。1年経つと番組のMCも代わり、内容も変わるんだけど、同じ構文が出てきたりするから“おっ、聞いたことあるぞ”とか“この文章、前はああいうシチュエーションで使ってたな”とか分かるの。
じゃあ、本当に必要な時にフッと言葉が出てくるかもしれないですね。
YO-KING
それはどうだろう?(笑) でも、旅行でもさ、“Anything else?”とか分かると嬉しいじゃない。あと、今ってどんどん省略してきてるから、学校で学んだ英語じゃ無理なんだよね。だから、コツコツを積み上げるのはすごくいいけど、それは自分のためにやってるから。コツコツはそのほうがいいのかな?
なるほど、そうですね。で、アルバムの話に戻しますと(笑)。アルバムタイトルが“Cheer”で、タナカカツキ先生のオリジナルキャラの“チア子さん”が描かれたチアガールのジャケットも可愛いです。
桜井
アルバムタイトルやこの辺のイメージはYO-KINGさんですね。
YO-KING
可愛いよね。俺たちふたりが並んでる写真じゃないほうがいいと思ったんですよ。過去を遡っても漫画家の方に描いてもらうのが好きだし。カツキさんはサウナー友達で仲良くさせてもらってて、カツキさんの『サ道』にも可愛い女の子が出てくるんで、そういうイメージで描いてもらいました。
“Cheer”というタイトルについても教えてください。
YO-KING
自粛中はみんなに不機嫌な気があったんで、“機嫌が良い”って英語で何て言うんだろうと思って調べてみたら、“Cheer”って単語が出てきたんですよ。“機嫌が良い”ってニュアンスがあまりないみたいですからね。
桜井
乾杯の“Cheers!”っていうのも、この“Cheer”なのかな? “Cheer Up”で“機嫌を上げる”とか。
YO-KING
“元気づける”とかね。だから、“励ます”って取ってもらっても全然いいんだけど、“励ます”っていう柄でもないし。“楽しく生きてる俺を見て、勝手に元気になってくれ”って感じで、人を励ましたいとかそんなに思わないから。
真心ブラザーズってそこがすごくて。やっぱり僕たちはロックンロールを聴いて、無責任でいいから“大丈夫”って言ってもらいたいんだと思うんです。でも、真心はそれを言葉で言わずに“よし、俺もまだ大丈夫”と思わせてくれるというか。
桜井
「ビギン!」で《だけど大丈夫》って思い切り言っちゃってるけどね。
まっ、そうなんですけど。それは一旦置いといてください(笑)。
桜井
でも、いらぬ心配は本当にいらないからね。心配するだけ損だから。
YO-KING
元気がない人に“元気を出せ”って言っても元気は出ないじゃないですか。だったら、周りで楽しいことをすりゃいいんだよ。
YO-KING
そうそう。愛と自由って、ほっておくってことだから。まずは自分が楽しむ。そしたら、元気がない人も立ち上がるかもしれないし、立ち上がらないかもしれない。けど、俺たちは愛を持って遠くから見てる。それが愛なんだよ。
そして、立ち上がってきた人は全力で歓迎する。すごく温かいと思います。本来ならば、『Cheer』の楽曲を引っ提げて全国を回って、そんな人たちを受け入れたいところですが…。
YO-KING
よく言うけどさ、トランプで配られたカードに文句を言う奴は絶対に勝てないんだよ。その配られたカードでベストを尽くすしかない。生まれた場所、時代、性別もそうだよね。そこに文句を言ってる奴って幸せになれないから。
現状を受け入れて、最善を尽くすしかないですよね。今後の真心ってところでは、桜井さんいかがですか?
桜井
一番嫌なのは音楽をやっててワクワクできなくなることで、心底飽きたら人生がつまんなくなっちゃうっていう不安はあったんですけど、ここまで来てこのアルバムができたから“あっ、いけるな”って。ジジイになったらなったで、ジジイネタのロックも全然楽しいものができる見通しがついたというか。このアルバムができて、今生のうちは楽しめそうな感じが見えたのも嬉しいし、宝になりました。
取材:フジジュン
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アルバム『Cheer』2020年10月14日発売
Do Thing Recording/徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 【初回限定盤】(CD+DVD+GOODS)
- TKCA-74902
- ¥5,000(税抜)
- 【通常盤】(CD)
- TKCA-74903
- ¥3,000(税抜)
『Cheer up! 003』
11/1(日) 東京・品川インターシティホール
『はしゃぎすぎてる春の大人さ 2020』(振替公演)
【2021年】
2/20(土) 東京・中野サンプラザ
マゴコロブラザーズ:1989年 大学在学中、音楽サークルの先輩・YO-KINGと後輩・桜井秀俊で結成。バラエティー番組内「フォークソング合戦」にて見事10週連続を勝ち抜き、同年9月にシングル「うみ」でメジャーデビューを果たす。14年に自身のレーベルDo Thing Recordingsを設立し、19年にはデビュー30周年を記念し、リスナー投票によるベスト10楽曲を収録したセルフカバーアルバム『トランタン』をリリース。20年は10月に17枚目となるオリジナルアルバム『Cheer』を発表。デビュー34年目となる今もなお、ライヴ、制作にと精力的な活動を展開している。真心ブラザーズ オフィシャルHP
「炎」MV