拝啓 ヴァイオレット・エヴァーガー
デン様~ TRUEが新曲「WILL」に込め
た思いを語る

『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が9月18日、ついに公開された。
ついに日の目をみたこの美しい作品には、これまで常にTRUEの楽曲が寄り添っていた。TVアニメ版オープニングテーマ「Sincerely」、挿入歌として「未来のひとへ」「Letter」、そして今回劇場版主題歌として「WILL」が発表された。
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』劇場公開に合わせて発売された「WILL」。
この一曲はどんな思いで作られたのか、TRUEの心境に変化はあったのか。そして彼女にとって『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』とは。ロングインタビューでお送りする。

――ついに『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』が公開、そして「WILL」が発売ということで、お話をお伺いしたいと思っております。自粛期間はどうされていましたか?
それまでがとにかく忙しかったんですよ。ずーっとライブをやって、ずーっとイベント出演も途切れずにあって。ありがたいことに、忙しい日々を送ることができていたので、気持ち的に一旦リフレッシュできたのかもなっていうのもありつつ、どうせステイホームで家にいるなら、その期間は制作期間にしましょうっていうチームの総意があって、とにかくいっぱい発注して、いっぱい歌詞書いて、曲を作り続けた自粛期間っていう感じですかね。
――凄い。充実してたってことですね。
とても充実していました。自粛明けと共にレコーディングラッシュと言うか。たくさん曲を完成させました。
――実りのある時間だったと。
Official Youtube Channelを始めたりだとか、あとはファンクラブも起ち上げてまだ間もなかったということもあり、時間に余裕ができた分、たくさんコンテンツ作ったりとかしてて。ステイホームだからって、止まっていたって感覚はそんなに無いですね。
――なるほど。『劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン』主題歌の「WILL」は、ずいぶん前に作られていたと思うのですが、今改めて、楽曲を聴き直して、印象が変わったりとかしました?
んー?でも、それはこれからなんじゃないかなあ。
――あ、世に出てから。
皆さんにお届けして、そこでたぶん曲も変化していくと思うし。そこからなんじゃないですかねぇ。
――ある程度、気持ちに余裕のある時間の中で、自分の中で練り直したりとか、生まれ直したりするものと言うよりは、ここからどういう風に受け取ってもらえるかがリスタートな感じ?
そうですね。
――前にお話聴いたときに、仕事の面でも自身の中での課題や成長を感じて、立つべき場所にちゃんと帰ってこれたって思うって話はされていて、凄く言い方悪く言うと、この自粛期間でそのスタートダッシュが、「ストップ!」みたいな感じだったわけじゃないですか。
そうですね。とにかく昨年一年間はライブやり続けて、その中で凄く、自分なりに収穫もたくさんあって。前も話したかもしれないですけど、私の歌が相手に届いてるんだって実感を凄く感じたし、自分が作った音楽にまた自分が救われているっていうのも改めて感じる一年間だったので、それを経て新たなスタートっていう気持ちでここに向かっていったのはありますね。そういう意味だと、やっぱり劇場公開に合わせて主題歌を発売して作品と共に曲を届けたいという気持ちが強かったです。先にリリースすることもできたんですけど。
――そういう話は、出るには出た?
もちろん。でもそれは私の意志で、作品と共に歩むべき曲だと思うし、そういう思いで作っているので、公開時期に合わせてリリースしたほうが良いよね、とチームで決めました。でも当時は凄く、世の中の状況も見えない中で不安もあったし、やりたいこともあふれていたから、戸惑いも感じたけど、チームのみんなで話し合っていくうちに、ここから新たな気持ちでスタートって、凄く前向きな気持ちで捉えることができました。
――それは凄く良いですね。「WILL」って曲を聴いたときに、メロディとしては壮大なバラードだけど……。
めちゃくちゃ壮大ですよね。
――なんかこう、しっかり一歩踏み出す曲じゃないですか。今回改めて聴き直してみたんですが、印象としては、土の大地をぐっと踏みしめるような曲だなって。
強くて優しくてあったかい曲ですね。この作品に関わる皆さんともご相談をした上で、人のぬくもりを感じるような曲を作りたいと作曲家のEvan Callさんに発注して、その上で歌詞を書いているので、そう言ってくださるのは凄くうれしいですね。
――『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の製作チーム・作品との関係も凄く感じるし。今の話の流れで、「曲だけ先に走らせるのはナシでしょ」っていうのは、TRUEさんっぽいなって思いました。TRUEさんは物凄く作品を大切にされるじゃないですか。
そうですね、ステイホーム期間中にちょうどTVシリーズの再放送もあって。今まで、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』をまだ見たことのなかった方にも改めてテレビシリーズ見ていただけて、より世界が広がったと言うか。
――あのローランドさんも語ってましたもんね。
あははははは!
――「めちゃくちゃに泣いた」って言ってましたね。
「ローランド湖ができる」って言ってましたね(笑)。
――実際、あれで僕の知り合いに『ヴァイオレット~』見出した人いるんですよ。
ほんとうですか!うれしいー!!ローランドさん、本当に作品のことを、お好きでいてくださって。言葉の節々にヴァイオレットへの愛を感じて、とても嬉しかったです。
――僕らもステイホームの期間中って、やれること少なくはなってるじゃないですか、外で何かやるとか。そうなると、家でモノを見たり調べたり、アニメ見返すことが多かったんですよね。
わかります。
――TRUEさんもそうだと思うのですが、忙しくなってくると、なかなかそういった改めて見返すというような時間をどう割くかっていうのが難しくなってくる。まさにこの春から夏にかけて『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を改めて見たっていう人、作品名は知っていたけど、再放送で初めて見たっていう人、けっこういたんですよね。
本当にそうですよね。でも改めて、そうやっていろんな方からTwitterとかでメッセージをいただいたりとか、沢山の方が見ていただいてるっていうのを実感できて、凄く心強いし、もっともっと一人でも多くの方に届けるためにしっかりと楽曲を届けなきゃいけないなって気持ちになりました。
撮影:早川達也
――「WILL」はTRUEさんの楽曲の中でも異色のシングルカットと言うか、「UNISONIA」からの流れで激しい曲を得意としている印象があったんです。激しい中に良いバラードが刺さってくるっていうのがTRUE!っていう印象だったけど、今回の「WILL」はやっぱり「作品ありきだな」と。
今回ほど、劇伴の世界観も意識しながら曲を作ったのって初めてかもしれないですね。もちろん挿入歌とかイメージソングとしてはそういう楽曲もあるんですけど、シングルとしては初めて。作品を観終わったときにその世界観を崩さないように、ずっとその先も続いていく未来まで寄り添えるようにって気持ちで作った曲なので。
――そういう意味では、決して派手な楽曲ではないですよね。
全然、派手じゃないです。壮大だけど凄く優しくて、どの世代のかたが聴いても懐かしさを感じるような、凄く『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』らしい曲だなって思っています。
――「WILL」では新しいTRUEさんの表現方法を一つ開拓したような感じがあります。日々進化している中で、新しいものをグッと見せつけてきてる楽曲だなって思ったんですよね。
ありがとうございます。気持ち的にも技術的にもだと思うけど年々歌うのが楽になっている。凄く楽しいですね、歌うことが。
――それは、今まで出なかったハイトーンが出るようになったという、技術的なところもあると?
もちろん、そういう技術的なことでもあるし、去年一年間通してついた自信とか、強さとか、そういうものって、今確実に私を支えてくれているし、残っている。凄く歌うことが自然だし楽だし、とても今いい状態でいれていると自分でも思うんです。
――例えば今まで歌ってきた楽曲とかも、今歌うと発見があったりとか、まだ表現があったりっていうのは、どんどん増えている感じなんですか?
もちろん。歌って正解は無いじゃないですか。「こう歌わなきゃいけない」って正解は無いし、それは私が作るものだから、自分の楽曲においては。だから歌うたびにどんどん変化していっても良いと思うし、この「WILL」も、この先いろんなところで歌っていくごとにどんどん色を変えていくと思うし、どんどん違う楽曲になっていくと思っていて。それがとても楽しみです。最初にそう思わせてくれたのが「Sincerely」なんですよね。あのときの「Sincerely」って、もう二度と歌えないし。先日2018年の『Animelo Summer Live』(以下アニサマ)を見たんですけど、あのときの「Sincerely」も、もう歌えないんですよね。もう無理だと思う。あんなに爽やかな「Sincerely」はもう歌えない。でも、それはそれでいいと思うし、そうあるべきだと思う、それがアーティストとしての成長だし、なぞるのは嫌じゃないですか。
――「Sincerely」って、凄くエポックメイキングな一曲だったってお話されてたじゃないですか。「DREAM SOLISTER」もそうだったと思うんですけど。「Sincerely」ってそのときにTRUEさんの心境がモロに出る曲だと思っていて。
そうだと思います。あとお客さんの心情も、私を通して行き来してるんだと思う。
――TRUEさんのライブを僕初めて見させてもらったときから、「アニソンのアーティストのライブが気になるならまずTRUEを見に行こうよ」っていうのはずっと言っていることなんです。それってなぜかというと、TRUEさんのライブにはエネルギーの循環がある。まず「私はこうだぞ」っていうのをTRUEさんがパフォーマンスで表現して、それをお客さんがキャッチして、今度はお客さんのパワーがTRUEさんに届く。そういうエネルギーの循環が凄く素敵だなと思うんです。その中でも「Sincerely」って、そのときのみんなの気持ちが出る曲だなって思っていて。「WILL」もそうなるんじゃないかなと思うんですよね。
ありがとうございます。
――シンプルだからこそ、悲しかったら悲しい「WILL」になるだろうし、喜んでたら喜びの「WILL」になるんじゃないかなっていう印象があります。
「Sincerely」にしても「WILL」にしても、なんかそういう喜びだったり悲しみだったりを受けとめられる曲だとは思うんですけど、一貫して、例えばその曲を聴いたり、ライブに来てくださって、じゃあ帰るときになったら、凄く前向きで、強い、良いエネルギーを持って帰ってほしいなと思っていますね。私は、いつだって前向きで強くいるつもりだから。なんかそういう、良いエネルギーを交換できる場になったらいいかなって。
――そうですね。だからこそライブをしなければならないわけですが、今回の楽曲のリリースがちょっと遅れたことに関しては前向きな決断だとは言ってましたけど、ライブも止まってしまったわけじゃないですか。
やっぱりライブが延期になってしまったときは「残念だな、悔しいな・・・」って気持ちだったんですけど、でもわりと私は早く決断したんです。多分いろんなアーティストさんが悩んでらっしゃる時期に延期を決断したんですけど、自分も危険な場所に置いてはいけないし、スタッフも守らなきゃいけない、もちろんお客さんも。自分が作っているライブとか、自分が歌っている音楽は、さっきも言ったみたいに、良いものであってほしい。「前向きで強くて楽しくて明るい」って、一貫してその気持ちは消えないから、今無理にライブをやるべきじゃないと、2021年の1月なら大丈夫だろうと思って延期したんですけど。
――本当に今は1か月後どころか2週間後も分からないですよね。
そうですね。
――不安定なこの情勢の中で未来を見つめるのは、なかなか難しいですよね。現状を楽しもうとはしていますし、「何か月後にはこれできるはずだから頑張ろう!」と思っていても、この状態が続いていくとやっぱり疲弊してしまいますよね。
でもその間に、私たちも耐性が付いたじゃないですか。音楽の見せ方も、もっと多面的にとらえられるようになったし。今まではライブで直接会って伝えるものが全てだったかもしれないけど、そうじゃない伝え方もあると気づけた。もっと模索していくべきだし、チャレンジしていくべきだし!ってとらえられるようになったから。もちろん1月17日の中野サンプラザは、ずっと目標にしてきたことだから叶える気満々ですけど、その叶え方も、今はもっといろいろなやり方を模索していいのかなっていう気持ちになっています。だから延期になってしまったことは、仕方ないって言葉使いたくないけど、こうなってしまったことで「じゃあ次どうする?」って考える時間は私自身を成長させてくれたと思うし。それも前向きにとらえなきゃ、時間がもったいないなって思っています。
撮影:早川達也
――そうですよね。このステイホームの間で参考になったものはありましたか?
いっぱいあります!いろいろなアーティストさんのライブ見せていただいて、そのときそのときで感じるものも違いますけど……強いて言えば、この前「Animelo Summer Night in Billboard Live」に出演させていただいたんです。
――はい、SPICEでもライブレポートをさせていただきました。
そのときに、今年は延期になってしまうから、今年しか出せない、「大人のアニサマ」ってコンセプトで私も参加させていただいた訳なんですけど。歌えて嬉しいとか、こんなに楽しいとか、ただそれだけの時間にしちゃうのは、こんなにも歴史があるアニサマなのにもったいないと思って。
――そうですね。
私はお受けしたときから、「いつものアニサマを見せよう!」と思ってたんですよ。確かにさいたまスーパーアリーナに比べればビルボード東京は小さい会場だけど、見ていただく画面越しの皆さまにはさいたまスーパーアリーナの気持ちで見て欲しかったし、歌に込める想いは何ひとつ変わらないはずって思いを胸に、あのステージに立ちました。そこから得るものって凄く大きくて、伝わってるって実感もあったから、なんかアニサマだけじゃなくって、アニソン支えてくれるファンも、私たち演者も、みんな「大丈夫」だと思ったんです。
――やる前は少しは不安もあった?
そうですね、でも「やったるぜ!」みたいな気持ちの方が強くて。それを、言葉にはしないけど齋藤Pがぜんぶ理解して受け止めてくれたと思うんです。齋藤Pからのオファーは、「DREAM SOLISTER」を最後に唄って欲しい、って。それだけで私も理解するものがあって。私をトリにおいて、「DREAM SOLISTER」を最後の曲に選んでくれたってことは、こういうことだな、っていう答えを私なりに、言葉を交わさずにステージでお見せしました。
――現場の空気感はどうでしたか?
リハーサルのときからアニサマチームの士気の高まりみたいなものを感じてましたね。本番を迎えてあのすごい量のコメント量と、みんなが一斉に「Another colony」で「負けちゃいけない!」って呟いてくれたあのときとか。本当に、「大丈夫」って思いました。大丈夫だし、私も負けちゃいけないな!って(笑)。あのタイミングで開催してくださったこと、参加させていただけたことに、本当に感謝しています。
――TRUEさんいつも、音楽で会話したい、伝えたいっていつも仰ってるじゃないですか。その体現の一個みたいな気はしますね。
本当に良い時間だったんですよね。新たな可能性を教えてもらいました、私自身。
――とりあえず1月17日にも予定している中野サンプラザももちろんありつつも、下手すればそれこそ来年、2021年、もしくはその先コロナ禍がある程度、収束した中でのTRUEの表現は変わってくるかもしれない?
変わってくるんじゃないですかね。またそれも無理矢理変えるんじゃなくて、たぶん作品との出会いとか、楽曲との出会いとか人との出会いで自然に変わっていくものだと思うから。あんまり構えずに。でも常に楽しみながらやっていけたらいいかなって思います。
――なんかその、「やったろか!」っていう……気合の入り方は凄いTRUEさん感ありますね(笑)。
ははははは!やったろかい!(笑)
――TRUEさんって凄く腹が座ってる印象あるんですよ。
ライブ前は意外とオロオロしてるんですよ!でも確かに最近、ちょっと腹が座ってきたかも。数年前は、ステージに立つ前とか怖くて怖くて仕方ない時期とかあったんですよ。特に去年とかもそうだったんです。でも本当にライブが私を育ててくれたじゃないですけど、去年1年間でやり続けたライブが、本当にぜんぶ今に生きていると思う。だから、もうステージに立つことはあんまり怖くない。
――だとしたら、やるしかないですね。
やったろかい!ですね!あははははは!
――なんかそういうお話が聴けるのは凄く嬉しいです。以前のインタビューでは「ライブがどうなるか不安」って、ずっとおっしゃっていましたし。
そのとき支えてくれたのはスタッフなんですよ。「不安がらないで大丈夫」ってスタッフが言ってくれたことで、強い自分に持っていけたかもしてない。あとやはり、お客さんと一緒に過ごした、会話する時間が凄く自粛中いっぱいありましたし。
――ファンクラブとかもそうですよね。
はい、そういう意味でも、いいメンタルの状態を保ててたかも。
――今までに無い交流だったりするものもあったわけじゃないですか。そこでもらうものって、やはり大きかったですか?
凄く大きかったです。この1年半ぐらい、いろんな人に、いろんなものをもらっています。それがぜんぶ今の自分の糧になっているし、支えになっていますね。
撮影:早川達也
――また『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の話に戻りたいなと思っているのですが、今回の劇場版で、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』というアニメ作品としては、ある部分、一つ決着というか。
そうですね、今回がシリーズのフィナーレなので。
――そうですよね。
作品にとっても、関わってきた私たちにとっても、これが集大成なわけなんですけど。でもこの作品が伝えてきたこととか、描いていたものとか、今私たちの心に残っているものって、作品の公開が終わったら終わりじゃなくて、多分その先もずっと受け継がれていくものだと思うし、5年後10年後にも、この作品がまた新たな方に見ていただけると思っているから、今後も続いていく、そんな気持ちです。フィナーレは迎えるけど、終わりではないと思っていて、それこそ「未来のひとへ」で書いた思いそのままなんです。
――やはり寂しさはありますか?
寂しさは、正直あります。でもだからって、私たちが作ってきた絆が途切れるわけではないし、寂しさはあるけど、それよりも早くお伝えしたい気持ちとか、作品を観た後に皆さんの心に何かが残るのではないかと思っていて、そういう方が今は凄く楽しみですね。
――僕らファンからすると凄く愛されているコンテンツが、一つピリオドを打つって、どこか寂しさを感じる部分がありますよね。
でも寂しいとか悲しいとかよりも、TVシリーズの頃には、色々おぼつかない、言葉もきちんと理解しないままに、相手の心をそのまま受け入れてしまう、赤ちゃんみたいな子だったヴァイオレットが、劇場版だと、私も憧れるような本当に素敵な女性に成長していて。
――ええ。
それが何より嬉しいですし、ヴァイオレットが選んだ結末っていうものが、幸せなものであってほしい。だから、皆さんにもぜひ劇場で彼女が選んだ結末に触れてほしいし、たぶんそれが皆さんにとっても良いフィナーレになるのではと思っています。
――TRUEさんもやっぱり、お客さんに混じって観て「WILL」を聴く、みたいなこともあるんでしょうか?
コッソリと何回か行こうかなと(笑)。
――やっぱり、その都度印象は変わるのですかね?
観るたびに印象が変わると思うし、新たな気づきがあると思います。そのぐらい、凄く細部までこだわって作られていると思います。皆さんもぜひ、五感をフルに使って観てほしいです。多分、一回ではすべてを把握することはできないんじゃないかな?何度でもお楽しみいただきたいです。
――曲に関してもやっぱりお客さんと一緒に聴くことで印象が変わったりすることってありますか?
変わると思います。
――そこからライブ披露するときのインスピレーションが生まれるかもしれない、と?
そうですね。また得るものもあるんじゃないかなって思ってます。エンドロールで沢山の方の名前を見て、一つの作品を作るのに、本当にいろんな方が関わってることが、改めてありがたいことだなって思いましたし、ここまで作品に関わってるアーティストや楽曲、私たちが紡いでいるクリエイティブなものを大切に、大事にしてくれる作品って、なかなか無いと思うんです。そんな作品と出逢えたことは、私の音楽人生でも凄く大きかったし、これからもずっと誇りだと思っています。
――前にインタビューさせていただいたときに印象的だった言葉があるんです。「WILL」について聴いた時、「私の言葉を聴きにきてください。私の言葉ですこれは」っておっしゃってたんですよ。
もちろん私自身の意志でこの曲を作って、皆さんにお伝えしていますから。でも私だけのものじゃないとも今思っています。
――私だけのものじゃない、というのは?
制作しているときから一貫していることなんですけど、凄く沢山の人がヴァイオレットを愛していて、その想いって凄く大きいんです。関わっている周りの人たちだけじゃなくて、応援してくれるファンの、彼女を愛してくれている気持ちとか、意志とか、そういうものをきちんと楽曲に反映出来たらなって気持ちは、ずっとあります。今回の「WILL」のジャケットが完成したときに、それを凄くアニメーションスタッフの方たちが汲んでくれたなと思ったんです。
――確かにそういう印象ありますね、このジャケットは。
ヴァイオレット自身の意志でこの曲が作られているっていうのを、描き下ろしていただいたイラストから感じました。想いをきちんと受け取ってくださって、描いていただいたなと。やっぱりこの楽曲、この1枚のCDは、私だけの意志じゃなくて、いろんな方の意志が込められて完成してると思ってます。
――では最後に。前のインタビューでは「誰かに何かを伝えるなら、誰に何を伝えますか?」って訊いたんです。
えーっ、なんでそんな難しいこと訊いたんですか!?(笑)
――そのときに「伝えたい人には、曲を通して私は手紙を書いたつもりです」っておっしゃってて。
あっ、同じこと言うかも、今も(笑)。
――では、長年一緒に歩んできたヴァイオレットに今なにか一言言うとしたら、何と言いますか?
「よかったね」(柔らかく、最大級の愛情が込もった言葉で)っていう感じ。
――うん。
そして、そうですね……「ありがとう」っていう感じですね。
――その想いを持って、映画を改めて観たいと思いました。
そうですね。本当に私がこう考えて制作してますよって伝えることよりも、作品を見て、楽曲を聴いて、受け取ってもらう、それが全て。それ以上でもそれ以下でもないと思うんです。曲を通して、作品を通して、皆さんが一つでも何かを感じてくれたらいいし、それが凄く優しくてあったかくて未来につながるものだったら、なお良いなって思っています。
――もう一つだけ聞かせてください。前のインタビューでTRUEさんの夢を聞いた時、「武道館」って言われていたんですけど、変わりないですか?
(超小声で)……変わらずで!
撮影:早川達也
インタビュー・文:加東岳史 撮影:早川達也

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