ビッケブランカがDJを務めるFM802『
MUSIC FREAKS』最終回の様子をレポー
ト――「僕が1番幸せだと言い切れる
2時間でした」

アーティストが隔週でDJを務めるFM802の人気プログラム『MUSIC FREAKS』(毎週日曜22:00~24:00)。2019年10月より1年間にわたり同番組を担当してきたSaucy Dogの石原慎也(Vo.Gt)に続き、9月27日(日)にビッケブランカが最終回を迎えた。
「今日は朝4:30に起きて、大事な日ということで栄養を取りたくて。東京の築地に朝5時からやってる海鮮丼屋さんがあるんで車を運転して行って、奮発して6000円のウニ丼を朝から食べてやりましたよ! でも、ちょっと早く起き過ぎちゃったので昼寝をしまして(笑)、『MUSIC FREAKS』の終わり方を3パターンぐらい夢で見て……。移動でもテンションを一瞬も下げたくないので普段聴かないパンクをずーっと新幹線で聴きながらFM802に入り、1時間で5回ぐらいトイレに行き(笑)、今このブースにいるわけです。もう皆さんお分かりだと思いますが、今日もいつも通り空回っていこうかと思います!(笑)」
そんな番組の開始早々、「毎回2時間経つのがあっという間だなと思ってたのに、もう最終回なんて早いです」etcというリスナーからの感想をピックアップし、「ホント早かったですね。でも、今日は泣かずにいきたいなと。そんなタイプじゃないですから」と息巻くビッケ。そして、まずは関西圏でその存在が知られるようになった原点とも言えるインディーズ時代の1曲、「追うBOY」をオンエア。2014年とはまるで違う状況で響く同曲に、この6年の歩みを懐かしくも嬉しく感じる。
ビッケブランカ
曲終わりでは、「(コロナ禍で)リモートが多かったので、家からの生放送が続いてたんですよ。久しぶりにここに来れたことがめちゃくちゃ嬉しいです。最後に本来あるべき姿に最後に戻れてよかった」と、この半年間は自宅からのオンエアが続いたビッケが、ホームであるFM802に足を運べたことに歓喜。紆余曲折あったが、中学生リスナーからの「去年の今頃までラジオを聴く機会がなかったのですが、今では毎日ラジオを聴いています。ビッケさんがラジオの楽しさを教えてくれたおかげです」というメッセージからも、この1年の番組の確かな足跡を感じさせられた。
そして、「今日は皆さんが番組を作ってくれ、僕に何か言いたいことがあれば全部言い放ってくれという感じでどんどんメッセージを……もしくはTwitterハッシュタグの「#ビッケブランカ最終回」でつぶやいてほしいし、皆さんが最後に僕に聴かせたいと思う曲をリクエストしてほしいと思います!」と促し、ここで共にDJを担当してきたSaucy Dogの石原慎也の話題に。
「1年間やってると、自分ってこういうことを言うんだ、こういう考えなんだと分かってくるんですよね。実質は、相方のSaucy Dogの石原慎也くんと一緒に回してきたので僕だけの1年間ではないんですけど、石原くんのあの感じあるやん? ズルいと思うわ~愛すべき要素しかないやん!」と語り、隔週=2人体制だからこそ、どうやったら自分の色が出るかを考えたとのこと。それを受けての、「この1年、私たちが想像してなかったことがたくさん起こりました。気が滅入りそうなこともビッケさんの『MUSIC FREAKS』を聴いて気分を落ちつけたり、励まされたり……1人で過ごすことが多かったこの1年、ラジオは私の心のよりどころでした」というリスナーのメッセージからは、コロナ禍におけるラジオの、音楽の、そしてビッケブランカの存在が、いかに支えになっていたかが伝わってくる。
一方、MIKA「Happy Ending」、Keane「Somewhere Only We Know」、RIP SLYME「マタ逢ウ日マデ」、桑田佳祐「白い恋人達」、Coldplay「A Sky Full Of Stars」……次々と届くリクエストとメッセージに、「メッセージをたくさんいただいて読んでると、まだ僕にも人の心が残ってるというか(笑)、グッとくるものがやっぱりありますね」と感情が揺さぶられ、「ホントにいいプレイリストを作ってくださいますね。まぁ泣かないですけどね!」と強がるビッケ。この1年をかけて作り上げてきたリスナーとの信頼関係が、言葉の端々からこぼれ落ちるよう。
ビッケブランカ
「軽めの相談、ちょっとした悩みなどなど……サバサバ切って捌いていこう!」というテーマの「Ca Va! Ca Va! ~サバサバビッケ~」のコーナーでは、別人格を呼び起こした(エセ)関西弁のビッケが、リスナーからの数々の問いかけを文字通りサバサバ捌いていく(笑)。そして、10月4日より『MUSIC FREAKS』の担当の1人となるmiletの「STAY」をオンエアした後は、ビッケを盛大に送り出すためのある企画が……!
「このコメントではじめましてになるんですが、本来であればドラマの放送中に会ってお話したかったなと思っておりました」と、ビッケがオープニング主題歌「ミラージュ」を書き下ろした『竜の道 二つの顔の復讐者』の主演俳優、玉木宏からメッセージが到着! 「『竜の道』に力強さを与えてくれた楽曲」という感想や激励の言葉になかなか状況を飲み込めないビッケが、「嘘でしょ!? 玉木さーん! 聴いてますか!? 僕同郷なんですよ!」と、興奮気味にアピール(笑)。かと思えば、「僕はかれこれ24年前に、同じ時間帯の『MUSIC GUMBO』という番組をKANさんと隔週でやってまして。どうですかラジオをやってみて?」と呼びかけたのは、ウルフルズトータス松本(Vo.Gt)。「ラジオはいいよ、縛られないメディアですから」という先輩からの熱いメッセージに、「もう耐え切れる気がしない!」とビッケは早くもクラクラに(笑)。
KANからは手紙2枚分という長文が届き、めくるめく小ネタ満載のそれをビッケが笑いをこらえて読み上げていく(笑)。文中にはKANのラジオ番組にビッケブランカの楽曲のリクエストが届くようになったことや楽曲分析なども添えられ、これにはビッケも「ホントにありがとうございます!」と感無量の様相。
その後も、ビッケが番組中に韓流ドラマ『梨泰院(イテウォン)クラス』のサウンドトラックを紹介したお礼に、発売元のキングレコード宣伝担当の尾崎氏がなぜか『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイのモノマネ付きでコメント(笑)。MOROHAの2人からは、ビッケと共にバスケで汗を流した後、食事に行った際にこっそり抜け出しファミレスの駐車場で録ったというメッセージをお届け。これにはビッケも「俺、おかしいと思ってたんですよ!(笑)」と当時を振り返り合点がいった様子。そしてこの夏、大阪にて『Grand VIEWTY 2020 Drive in Concert』で久しぶりに共演した「兄者」ことSKY-HI、「1回も(ゲストに)呼ばれてないよビッケ!」と切り込んできたナオト・インティライミがビッケとの思い出を語れば、「SKY-HIとナオト・インティライミをつなげちゃダメなんですよ、2人ともめっちゃフザけるから!(笑)」と、先輩からのありがたい言葉にビッケも照れ隠し。
そして、ビッケが喉の不調に陥った際には『MUSIC FREAKS』の代打DJを務め、10月28日(水)には「ビッケブランカ VS 岡崎体育」名義でコラボシングル「化かしHOUR NIGHT」をリリースする岡崎体育から届いたのは、棘と愛が巧みに織り交ぜられたような感動の手紙。「僕はもっと自然体のあなたをラジオで感じたかった、何も取り繕わず家族と会話してるときのようなあなたを。最終回はそんなあなたを感じられることを願っています」という盟友ならではの言葉に、ビッケが涙ぐんでいたように感じたのは果たして思い過ごしだろうか?
他にも、自身のラジオ番組にビッケがゲスト出演した際に「番組の設定を理解し、かつそこに遊び心を表現してくれた」と立ち振る舞いを絶賛した本仮屋ユイカに続き、互いにキャリアの駆け出しの頃からの友人であるというユージも、「Ca Va?(サヴァ)」を「カバ」と読んでしまったことをユーモアを交えて謝罪(笑)。その仲の良さが伺えた。
ビッケブランカ
ここからは歴代の『MUSIC FREAKS』DJ陣として、ビッケがゲーム実況する際に自身の楽曲「グルグル」をかけてくれたことに感謝の言葉を寄せた藤原さくら、「ビッケさんは結構パーティーお祭り野郎なイメージがある(笑)。また一緒のステージに立てたら嬉しいです!」とは、ライブで共演した阿部真央から。そして、ビッケの前任DJとなるOfficial髭男dismの藤原聡(Vo.Pf)からは、こんなメッセージも。
「僕は『MUSIC FREAKS』をやらせていただけたことによって、大阪の南森町に実家がもう1つできた感じがあって。その安心感と温かさはこれから先、活動していく上で消えないものだから。もっともっといい音楽を作って、自分を誇れるアーティストになって、FM802に帰ってきたいと思うことが、自分にとってすごくモチベーションになってる。ビッケさんも帰ってこられる実家が増えたと思って、思いっ切り羽ばたいて、素晴らしい音楽をこれからも作り続けてくれたら、友達としてこんなに嬉しいことはないです。友達は1人1人との深さだと思うので、これからも深~いお付き合いを何卒よろしくお願いします!」
藤原からのコメントに、「僕は今日、気付いてしまったんですよ。僕にはこんなにもいい友達がたくさんいた、僕が知らなかっただけだった」と、とてつもない感動がこみ上げるのを隠し切れないビッケ。それにとどめを刺すように、豪華過ぎるお祝いメッセージの数々を締めくくったのは、「ビッケさんの曲を実はよく聴いていて大のお気に入り」という、DREAMS COME TRUE中村正人(Ba)だ。「「Ca Va?」を聴いたときはブッ飛びましたし、「Shekebon!」はもう最高で。ビッケさんは歌はもちろんカッコいいんだけど、ベースもめちゃめちゃうまい!(笑)」とその才能を称賛。「これからもビッケさんらしく音楽を続けていってほしいと思う。お互いにいい曲、最高にファンキーな曲を作っていきたいな」と、ビッケと対面できるその日を待ち遠しそうに語る。そして、そうそうたる総勢14組のお祝いメッセージを胸に、ビッケはこの1年を共にしたリスナーにこう告げる。
「音楽でつながった仲間、女優さん、俳優さん、いろんな人からメッセージをいただいて、これからはもう二度と友達がいないなんて言うのはやめようと思います。人から思ってもらってることをちゃんと自覚して、それを返していく心意気でいこうと思います。(リスナーからの)メッセージもたくさんあり過ぎて点呼はできないんですけど、ここで名前を読み上げなくても、僕の胸にしっかり届いてますので。聴いてくれてるあなた、本当に1年間ありがとうございました。僕も飾りっけなく、ごまかしなく、自分の声だけで好きな歌を、そして、今日に一番ふさわしいと思う曲を歌いたいなと思います」
ビッケが想いを込めてアカペラで披露したのは、荒井由実の「卒業写真」。その息遣いや感情の揺らぎが伝わってくるような生々しい歌声に、耳をそばだてて聴き入ったリスナーもきっと多かったことだろう。
「1年間、『MUSIC FREAKS』にお付き合いいただきましてありがとうございました! さようなら、国民の飼い猫、ビッケブランカでした」
ビッケブランカにとっても、リスナーにとっても、忘れられない1年間がこうして幕を閉じた。そして最後に――ビッケが番組終了後にTwitterに投稿した言葉をここに捧げよう。
「僕には今まで1人もいないと思っていた友達が沢山いる。僕には胸を張って、ファンと呼べる人が沢山いる。僕が1番幸せだと言い切れる2時間でした。これからそれをあなたにも分けていけたらいいなと思います! ありがとうございました!」
なお、この『MUSIC FREAKS』最終回の模様はradikoのタイムフリー機能で1週間後まで聴取可。ビッケブランカの今後の予定は、10月10日(土)に大阪・万博記念公園にて『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』に出演、同28日(水)に岡崎体育とのコラボシングル「化かしHOUR NIGHT」をリリースする。
取材・文:奥“ボウイ”昌史 撮影=

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