いきものがかり結成20周年記念、森山
直太朗、緑黄色社会、どぶろっく、M
r.シャチホコ、Creepy Nutsを迎えた
歌あり笑いありの初のデジタルフェス
をレポート

いきものがかり結成20周年・BSフジ開局20周年記念 BSいきものがかり DIGITAL FES 2020 結成20周年だよ!! ~リモートでモットお祝いしまSHOW!!!~ 2020.9.19 フジテレビ
いきものがかりが、9月19日(土)に『いきものがかり結成20周年・BSフジ開局20周年記念 BSいきものがかり DIGITAL FES 2020 結成20周年だよ!! ~リモートでモットお祝いしまSHOW!!!~』を無観客のフジテレビスタジオからオンライン配信した。
いきものがかりの結成20周年を記念して約4時間半にわたって行なわれた同イベントは、森山直太朗緑黄色社会、どぶろっく、Mr.シャチホコ、Creepy Nutsといった多彩なゲストを迎え、音楽あり、お笑いありで届けるオリジナリティーに富んだデジタルフェスで、2018年11月の集牧後にスタートした初の冠番組『BSいきものがかり』(毎週火曜23:30~/10月より毎週土曜22:30~)での縁から、いきものがかりと同じく開局20周年という節目を迎えたBSフジとのタッグで開催された。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、残念ながら2020年のツアーが延期・中止となってしまったいきものがかりだが、“記念すべき年に今できる形でファンへ感謝の気持ちを届けたい”。そんな想いのもと、アリーナツアーの初日公演が予定されていたこの日に、初の試みであるデジタルフェスを立ち上げたのだという。
当日は、ライブパフォーマンスのみならず、いきものがかりとゲスト陣のトークパート、結成20周年にちなんだメンバー3人のスペシャルトーク(『100日後に死ぬワニ』とのコラボ、新事務所MOAIの設立、ツアーの延期・中止、ミルミル新CM制作秘話について)、親交のある方々(秦 基博上白石萌音Superfly、ゆず)からのお祝いメッセージが差し込まれたりと、趣向を凝らしたプログラムが用意され、Twitterでも“#BSいきものがかり”がトレンド入りするほど大盛り上がりの生配信となった。
Mr.シャチホコ
まずは、和田アキ子に扮したMr.シャチホコといきものがかりの吉岡聖恵(Vo)、水野良樹(Gt)、山下穂尊(Gt&Hmc)が歌番組風の雰囲気のスタジオに登場し、タイトルコールからフェスがスタート。
Creepy Nuts
トップバッターに指名されたCreepy Nutsは、軽快にエモーショナルに畳みかけるラップとDJプレイでヒップホップの楽しさを伝えながら、抜かりなく場を温めてみせた。「合法的トビ方ノススメ」では、R-指定が「おもいっきり飛び跳ねてもらいたい」と画面の向こうのオーディエンスをアジテート。「俺らが学生のときにブチかまし始めた人たちが、20年後の今もブチかまし続けてる」といきものがかりへの敬意を示す場面も。
どんな状況になっても自分たちの言葉と音を伝えていくという気概を込めた「サントラ」などを経て、最後は全世代への人生賛歌である新曲「かつて天才だった俺たちへ」で締めた。
Creepy Nuts
Creepy Nuts
「音楽もMCもめっちゃ惹き込まれました。言葉はどうやって選んでいるんですか?」という吉岡をはじめ、Creepy Nutsに興味津々な様子のいきものがかりのメンバー。水野は2~3年前に新宿の伊勢丹のお惣菜屋さんで小説家の朝井リョウと一緒にいたDJ 松永と遭遇したそうで、「こんなに熱いライブをするなんて、あのときはまったく想像できなかった」と笑顔で話した。
緑黄色社会
続いては、いきものがかりと同じく女性ボーカルを据えた男女混成バンドの緑黄色社会。ポップなガーデン風のスタジオセットの中、芯の強い透き通った歌声と歯切れのいいサウンドでのっけから爽快に魅せる。終わろうとしている異例の夏を惜しむように届けられたノスタルジックな新曲「夏を生きる」は、観る側にもさまざまな想いが去来したに違いない。
緑黄色社会
「sabotage」「Mela!」とアッパーに聴かせたあと、「こんな日があっていいのかというくらい楽しいです。いきものがかりさんは私の夢でした。いつも希望を、勇気をくれるし、ボーカルの聖恵さんは歌を楽しく歌うことを教えてくれて、いつか共演してみたいなとずっと思っていて、その夢が今叶ってます」と長屋晴子(Vo&Gt)が胸の内を明かす。最後はそんな気持ちを噛み締めながら、渾身のバラード「想い人」を演奏。《もらった愛の分だけ 返していこう》の部分は、いきものがかりへのメッセージのようにも受け取れた。
緑黄色社会
緑黄色社会のパフォーマンスに対し、目に涙を浮かべて讃える吉岡。「やっててよかったみたいなことを長屋さんがおっしゃってくださったけど、言ってもらった僕らのほうがやっててよかったと思えるんです」(水野)、「こう言ってもらえる経験もなかなかないもんね」(山下)とそれぞれが感謝を伝えると、リョクシャカのメンバーも嬉しそうな表情を見せ、「いきものがかりのような国民的な存在になりたい」と結成当初からの目標を再確認していた。
どぶろっく
そんな感動ムードが一転して、爆笑を誘ったどぶろっくのステージ。おなじみの「もしかしてだけど」では、水野と山下にコール&レスポンスを求めたり、《いきものがかり好きな女はスケベが多い》と歌ったりとやりたい放題ですごい。「いきものがかりの弟分、ふとももがかりとしてやらせてもらってます」との自己紹介には、さすがに「テレビのときよりも濃いですね」と水野がツッコむ。ちなみに、この展開を察してか(?)吉岡はさりげなくスタジオから姿を消していた。
その後も《これからも走り続けてください~! ついでに大きなイチモツをください~!》と『キングオブコント2019』で脚光を浴びた歌ネタをかまし、《納豆混ぜてたらカップの底に穴開いた》などクスッと笑えるあるあるを哀愁たっぷりに届ける「やらかしちまった」、吉岡の結婚を祝す意味も込めたという泣けるバラード風の「僕なりのプロポーズ」と、徹頭徹尾アンダージョーク満載でフザけ倒したどぶろっく。
どぶろっく
どぶろっくが本フェスに出た経緯は、10月放送予定の『BSいきものがかり』を観れば明らかになるとのことなので、ぜひオンエアをチェックしてみてほしい。「こっち(フェス)のほうがオンエアより早くなっちゃいましたね」と笑う山下に対し、どぶろっくの2人が「今日のスタッフさんとかみんな困惑してるんじゃないですかね」とコメントしていたのも面白かった。
森山直太朗
どぶろっくに負けず劣らず自由気ままなライブを展開したのは、いきものがかりの大先輩である森山直太朗。“もしも…こんないきものがかりフェスがあったら…”とコーナー立てて(ナレーションも自ら担当)、楽屋的な部屋からリラックスムードでアコギを弾き語っていたかと思えば、寸劇ノリを入れながらスタジオへ移動して、今度はピアノ伴奏とともに郷愁感ゆらめく「夏の終わり」を歌ったり、ブルースハープを織り交ぜて「どこもかしこも駐車場」を泥くさく聴かせたりと、多彩なアプローチで楽しませてくれる。こうしていろいろなタイプのアーティストが出てきていろいろな曲に触れられるのが、まさにフェスならではの魅力だ。
森山直太朗×吉岡聖恵(いきものがかり)
代表曲「さくら」はなんと、いきものがかりの吉岡とのコラボ歌唱でお届け。唯一無二のボーカルが美しく重なるハーモニー、贅沢かつレアな時間にうっとりと酔いしれる。また、大学時代に声楽を習い始め、歌にとても悩んだ時期に、森山の楽曲「生きとし生ける物へ」を聴いて救われた経験があると、MCで吉岡が打ち明けるシーンも。そして、緊急事態宣言の最中に生まれたという「最悪な春」を朗読と歌で味わい深く表現し、森山のパフォーマンスは結びとなった。
森山とコラボした吉岡の歌いぶりを観て、「あんなに楽しそうに力を抜いて歌う感じは初めてだった」と新鮮な様子の水野。「緊張はしないんですか?」と質問された森山が、「本番って緊張してもしょうがないじゃん。だから、リハの時点でそれは終わらせておくというか。リハは本番のように、本番は稽古のようにやるのが理想かな」と自分の流儀を語っていたのも印象的だった。
森山直太朗
フェスもいよいよ後半に差し掛かり、Mr.Children桜井和寿の出で立ちでMr.シャチホコが登場。まずは「決して真剣に観ないようにお願いいたします」と断りを入れ、いきものがかりの20周年を祝って「HANABI」。水野が袖で見守る中、歌はもちろんのこと、ライブでの仕草や表情まで含めて、さすが芸名の“Mr.”をミスチルから取っているだけあってハイクオリティーに似せてくる。
いきものがかりにまだ披露していないというネタのみを集めた桑田佳祐、秦 基博、WANDS、玉置浩二と繋いでいく自己紹介代わりのものまねメドレーもお見事。変幻自在の声色でその実力を存分に見せつけてくれた。「いちばん思い入れのある、魂を込めて歌える曲」だという十八番の「innocent world」を高らかに歌い上げ、Mr.シャチホコのステージは終了。
「以前より痩せられたので、本当に桜井さんに見える瞬間がすごくあった」、「WANDSと桜井さんの歌声が近い感じはわかるし、そこを越えていくと桑田さんになるのもわかるんですけど、秦さんはどこにいるのかわからない」、「玉置さんは僕大好きで、やってくださったのは安全地帯が復活してかなりテンションが上がってきた最近の玉置さんですよね」と、Mr.シャチホコのものまねを水野も絶賛。さらに、シャチホコはトークパートで新しい声優ものまね=ONE PIECEのサンジになりきってお祝いメッセージを届け、大いに場を盛り上げた。
いきものがかり
そして、満を持して主催のいきものがかりがステージへ。20年ぶんのありがとうを込めたオープニングムービーを経て、「ひさしぶりのライブ、いっしょに楽しもうね!」と明るく呼びかけ、スタジオセットを所狭しと縦横無尽に歩き回る吉岡の姿に、早速たまらない気分にさせられる。笑顔いっぱいで歌い、アグレッシヴに演奏するメンバーが本当に幸せそう。「いやー、楽しいね。もう靴紐もほどけちゃって(笑)。こうやってカメラさんがたくさんいらっしゃって配信ライブだと、どんどんカメラ目線したくなる」と水野も充実の表情を浮かべた。
いきものがかり/吉岡聖恵
歌詞にあるとおり、心を解放するように鳴らされた「アイデンティティ」。吉岡のまっすぐな歌声が一段と映え、山下のブルースハープ、水野のギターソロ(熱さのあまり、思わず右手を突き指していた)も沁みる、ホールツアーで披露する予定だった「コイスルオトメ」。どんどん雰囲気が高まってきたところで、森山直太朗を迎えての「帰りたくなったよ」がまた新たな響きをもってスペシャルなムードを醸し出す。

いきものがかり×森山直太朗
いきものがかり×森山直太朗
ライブの定番曲でもあるアッパーなロックチューン「ブルーバード」を挟んで、次は緑黄色社会の長屋晴子を招き入れて「気まぐれロマンティック」。以前からこの曲をカラオケで何度も歌っていたという長屋は吉岡との息もぴったりで、チャーミングな振り付きで躍動する2人のパフォーマンスが本当に微笑ましくて眩しい。
いきものがかり×長屋晴子(緑黄色社会)
いきものがかり×長屋晴子(緑黄色社会)
「観てくれている人がいるとか、ツアーをやれなかった悔しさとか、そういう気持ちが全部絡まって、すごく熱くなってます」(水野)、「この状況でもいろんな方の力を借りてライブができて、新しい一歩を踏み出せたことが嬉しいです」(吉岡)とあらためて感謝を述べ、たくさんの場所でみんなと声を合わせて歌うはずだった「YELL」で本編を美しく締めた。
いきものがかり/水野良樹
アンコールの声を受けて、いきものがかりが再登場。ここで披露されたのは、20周年らしい特別な選曲を意識した20年前からある楽曲で、しかもライブで1度しか演奏したことがないという激レアな「からくり」。ねじれの効いた独特のコード進行がじわっと際立つ、結成当初のいきものがかりらしいフォーキーでメロウな曲調は、今聴くとより新鮮に感じられたりもする。昔懐かしいナンバーに続いて、最新曲「きらきらにひかる」。この流れで、いきものがかり20年間のドラスティックな進化が垣間見られたファンも多かったのではないかと思う。
いきものがかり/山下穂尊
フェスの終幕は「じょいふる」。タオルを持っておもいっきりポップに振り切ったステージングで盛り上がりは最高潮に達し、いきものがかり初の試みとなるイベントは大団円を迎えた。コロナ禍におけるさまざまな想いも随所で感じられた『BSいきものがかり DIGITAL FES 2020』。この模様は10月18日(日)にBSフジで2時間半に凝縮して放送されることも決定しているので、そちらもお見逃しなく。
取材・文=田山雄士

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