『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』

『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』

TikTok発のひらめ、
もさを 。らが
集結した配信ライブの
レポートが到着!

ショートムービープラットフォーム、TikTok(ティックトック)で、ライブストリーミング機能「TikTok LIVE」を用いた無料配信ライブ『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』が8月27日に開催された。

ライブタイトルに冠した“歌うまスペシャル”は、これまでchayやNovelbright、川谷絵音ら豪華アーティストがサポートしてきた企画として、TikTokでシーズン毎に行われてきた人気投稿チャレンジ。今夏もハッシュタグ「#夏の歌うまチャレンジ」を使って、9月13日までオリジナル曲やカバー曲、アカペラなどのスタイルにあった“歌うま投稿”を募集しており、今後の活躍が大いに期待される新人が投稿チャレンジから芽吹く日も、そう遠くはなさそうだ。

その記念すべき第1回目の開催となった『TikTok Sessions vol.1』では、「ポケットからキュンです!」が25万超えの動画投稿を集める“ひらめ” 、サブスクチャートで「ぎゅっと。」が話題の“もさを。”、「エピソード」や「可愛い君が愛おしい」などで同じくチャートに急浮上している“sui”など、TikTok発のエモ系アーティストとしても注目され、朝の情報番組などでも話題の新人シンガーが集結。さらに、普段はあまりSNSを使用しないと言うものの、すでに自身のシンガーとしてのキャリアを踏み出し活動中の上野大樹や萌映(クレナズム)も同イベントに駆けつけ、とことんエモい夜を届けた。本記事では、そのイベントの模様をレポートする。

はじまりを告げたのは、メディアに“顔出し”していない高校生のシンガーソングライター、sui。初めてのライブで緊張している様子ながらも、片思いの恋心をストレートに詰め込んだ人気曲「エピソード」や未発表曲の「ふたりなら」を立て続けに披露した。未発表曲は今後配信も予定されているとのことなのでそちらも楽しみにしたいが、間奏のピアノセクションや次に披露された「私たちが死ぬ迄」の電子音の音遊びには、思わず心が躍った。楽曲ごとに表情が映えるライブで、気持ちも変われば音や歌も変わる。これまで様々な楽器に触れてきたという自身の経験を活かしながらも、若き才能を十分に発揮したライブだった。過去に歌うま投稿チャレンジに投稿した経験があるsuiだが、MCから今後の活動について訊かれると、“卒業したら音楽が勉強できる道へ進みたい。どんな形であれ、これからも素敵な音楽を届けたい”と掴んだチャンスを次に繋げようと、意欲的な姿勢を見せた。

シンガーの上野大樹は、“SNSは慣れていない”と話しながらも、“どういったコメントが来ているか気になる”とソワソワしつつもライブ自体を楽しみにしていた様子が、この日のステージからは伝わってきた。切なさや憂いを帯びた歌を届けた「おぼせ」やコメントのリクエストに応え、TikTokでも一世を風靡した「ラブソング」を真っ直ぐに届けると、その歌詞に“泣ける”と多くの共感のコメントが寄せられた。シンプルながらも難しい弾き語りの良さを巧みに活かし、ダイレクトに通る声で“死”に寄り添った彼の作品は、心を掴んで離さない。そして、何よりも感情に訴えかけてくる。ラストに披露した「勿忘雨」では、映画のワンシーンを切り取ったような情景を映し、情感たっぷりのライブを締め括った。また、ライブ後にはTikTokでメロを投稿している曲のサビを即興で披露するサプライズで視聴者とコミュニケーションしながら距離感を縮めていく様子も印象的であった。

続いて福岡県の4人組バンド、クレナズムからシンガーの萌映が登場。この日は自身の楽曲を弾き語りで披露した。バンドセットとはひと味違った「いつかの今頃」や「エピローグ」などを歌いあげると、歌い出しから圧倒された。バンドセットとはひと味違うとは書いたものの、クレナズムが持つシューゲイザー要素はアコースティックでもそのまま、充分に感じられたからだ。フジテレビ系『とくダネ!』の8月度お天気コーナーにも起用されている「ひとり残らず睨みつけて」でも、その熱を帯びた歌声を響かせると、萌映の歌が作り出す雰囲気、そして、才能を称賛せずにはいられなかった。幼少の頃から歌うことが好きだったと話す萌映は、言葉に表情を付けながら凛とした透き通る声響かせる姿が印象的で、視聴者からも“感動する”“上手すぎる”と言ったコメントが最後まで飛び交っていた。

“顔出し”していないTikTok発のシンガーは多いが、続いてもTikTokを中心に人気を集めている“顔出し”していないシンガーの“もさを。”が登場。顔出ししていないことにより、“歌や歌詞への注目度があがる”といった狙いもそこにはあるようだが、ライブをスタートさせると、ふわりと軽やかな雰囲気がさっそく画面越しに伝わってきた。9月7日より配信される「きらきら」だ。片思いの多幸感と切なさをしっかりと届ける楽曲で視聴者を一気に引きつけ好調のスタート。続けて、TikTokにもカバー動画を投稿している自身が尊敬しているアーティストの一人、ACE COLLECTIONの「ねぇ」をカバーすると、絶賛のコメントが続々と届く。さらに、コロナ禍の中で会えない人を想って作られたサブスクチャートでも話題の曲「ぎゅっと。」を演奏し、視聴者を喜ばせた。包み込むような楽曲の持つ温かさをしっかりとライブでも作り上げ、語りかけるように歌う真摯な姿は視聴者を熱くさせ、投稿とは違ったライブ感で楽しませた。心地良いギターのカッティングに身を委ね、ずっと聴いていたいと感じるナンバーであった。

そして、同イベントのトリを飾ったのも、またまた“顔出し”していないシンガーの一人、ひらめ。一度耳にしたら離れないキュートな声とメロディーで、短い時間ながらもインパクトのあるライブを魅せてくれた。1曲目に披露された好きな人のためにヘアスタイルを変える女の子のピュアな心情を描いた「ショートヘア」もそうだが、彼女の感情のわき起こる瞬間を詰め込んだ歌詞からは、女子からの圧倒的な共感率の高さを感じずにはいられない。思わず自分の経験と重ねてしまう人も少なくないだろう。そして、寝る前にパッと思いついたメロディーを投稿し、TikTokでバズったといった人気曲「ポケットからきゅんです!」のエピソードを語ると、素直に楽曲が広がっていくことを喜びながら同曲を披露。“キュンです”といったキャッチーなフレーズにあわせ、コメントには大量のハートが流れ、イベントも大盛り上がりを見せた。弾き語りのスタイルでまだあどけなさを残しながらも、新たなステージに向かう姿は輝かしく、今後の活躍への期待に満ちた空気感を残した。

大物アーティストに名を連ね、ネット発のアーティストがサブスクチャートのトップ入りを果たす昨今の音楽シーンからは目が離せないと常日頃感じていた。この日に観たひたすらに情感たっぷりのライブは心に入り込むものであり、その楽曲たちがネットを通して思い出の動画などと一緒に広がりを見せ、話題を呼んでいることは、楽曲を聴けば不思議なことではなかった。どの楽曲も、何より心をグッと掴み、“共感”を呼ぶのだ。発表されている楽曲はそう多くはないものの、今後も投稿や配信を通して産み出される次世代シンガーたちの新たな楽曲を、画面の前で心待ちにしたいと感じさせる素敵なステージであった。

text by 後藤千尋
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』(ひらめ)
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』(ひらめ)
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』(もさを。)
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』(もさを。)
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』(萌映)
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』(萌映)
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』(sui)
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』(sui)
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』(上野大樹)
『TikTok Sessions vol.1~#夏の歌うまスペシャル~』(上野大樹)

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着