King Gnu、アルバム『CEREMONY』リリ
ース後初のワンマンライブとなった初
の配信ライブ公式レポート

King Gnuが8月30日(日)、バンドとして初となる配信ライブを行った。
2020年1月15日に発売された最新アルバム『CEREMONY』は、オリコンやBillboard JAPANをはじめ、上半期アルバムランキングで第1位を記録し大ヒット。しかし、アルバムのリリース後に控えていた、初のアリーナ公演を含む全国ツアーは新型コロナウイルスの影響で開催が見送られ、実質的に今回の配信ライブがアルバム『CEREMONY』リリース後、初のワンマンライブとなった。今回の配信ライブは、2020年9月1日24時までアーカイブ公開されている。
以下、オフィシャルレポートをお届けする。

King Gnu 撮影=Kosuke Ito
King Gnu、初の配信ライブはライブバンドである魅力をストイックに追求した生々しいほどにロックな圧巻のステージとなった。本来であれば、最新アルバム『CEREMONY』を引っさげ、バンド最大規模となる全国ツアーだったこともあり、メンバーやスタッフが本公演にかける熱量は並々ならぬものがある。
King Gnu 撮影=Kosuke Ito
オープニングは会場外の映像からはじまった。まるでライブ会場に訪れたような雰囲気。フロアは暗めでぼんやりと明かりがあるような状態。メンバー名が表示される、映画のようなクレジットが高揚感を高めてくれる。そんな緊張感あふれる雰囲気のなか、1曲目からアッパーチューン「Flash!!!」のイントロダクションが突如鳴り響く。ライブでより映えるビートの効いた「Sorrows」、跳ねるビートと甘酸っぱいメロディーが感情をアップリフトする人気曲「Vinyl」が続き、一気にギヤがフルスロットルへ入る。
King Gnu 撮影=Kosuke Ito
King Gnu 撮影=Kosuke Ito
無観客であることを一切感じさせない没入感の高い濃厚なパフォーマンス。会場にはオーディエンスがフロアにいないこともあり、メンバーが互いに向き合いながら演奏するというスペシャルなスタイル。中心には、通常であればライブ後方に置かれていたKing Gnuのロゴが光るモニュメントが鎮座する。次から次へと繰り広げられる、スキルフルかつ熱量の高いダイナミックなプレイ。主役4人の力量が凄まじいこともあり、まったく飽きさせないステージングに、画面越しにSNSで声援を送るオーディエンスたち。
King Gnu 撮影=Kosuke Ito
ギターと鍵盤を自在に操る常田大希(Gt,Vo,Key)と、ピュアネスと混沌を併せ持つ井口理(Vo,Key)によるツイン・ボーカルの高揚感。安定のテクニカルなプレイを解き放つ新井和輝(Ba)、ダイナミックなビートを展開する勢喜遊(Dr,Sampler)による圧巻のサウンドが繰り広げられていく。中盤、俳優としての活躍も目覚ましい井口らしさが映える「傘」、「It's a small world」とシアトリカルなナンバーを挟み、グルーヴィーに疾走するファンキーな「Overflow」、昨年の音楽シーンを代表する国民的楽曲となったメロウにたゆたう「白日」が続く。
King Gnu 撮影=Kosuke Ito
MCでは、ライブの凄みとはギャップある、彼ららしいわちゃわちゃとした雰囲気が魅力だ。柔らかなトークが繰り広げられていく。お互い向き合ったステージは、アイコンタクトがしやすいなど発見もあったようだ。
後半戦は、まさにKing Gnuの独壇場だ。どんなバンドにも真似ることの出来ない、ずば抜けたドープさを発揮する「Player X」、「Hitman」、「The hole」で解き放つ、妖しくも危険な、極限までにピュアな美しさを空間いっぱいに解き放つ。
King Gnu 撮影=Kosuke Ito
現時点でのベスト選曲で展開されていくセットリスト。ステージ上に配置されたメンバーを狙うカメラやレール、クレーンを使った躍動感溢れるカメラワーク。ハンディカメラを駆使し、通常のライブでは撮影できない距離感でのシーンなど、絵作りにかけたこだわりは鳥肌ものだ。天井から吊るされたカメラによる、4人を俯瞰するシーンも斬新だ。
オーラスへのスイッチが入ったのが、King Gnuらしさ溢れるテーマソングのようなナンバー「Slumberland」だ。そして「⾶⾏艇」、「どろん」というヘヴィかつ、画面から飛び出してきそうな勢いを感じさせるライブ感ある楽曲たち。
King Gnu 撮影=Kosuke Ito
ラストは、キラーチューン「Teenager Forever」の登場だ。甘酸っぱい高揚感を開放感あるギターポップ・サウンドによって解き放つ魔法めいたポップソングに、オーディエンスは解放されていく。
King Gnu 撮影=Kosuke Ito
無観客であっても、画面の向こうにいるリスナーと時間軸を超えて繋がれるのがKing Gnuライブの凄みだ。ミュージックビデオのイメージから楽天的な雰囲気もある「Teenager Forever」だが、実はシリアスな人間関係を匂わせる歌詞フレーズに着目したい。音楽ありき。人生は一度きり。一期一会なロック初期衝動が、ひさしぶりなライブパフォーマンスとしてこれでもかとパンキッシュに炸裂していく。ラストシーンは、ステージ上に火花も上がり、井口による「画面の前の皆さん、ありがとうございました!」の一言で終了した。
King Gnu 撮影=Kosuke Ito
King Gnu=ヌーの群れは、混沌という知性にポップという名の秩序を与え、仲間を巻き込みながらもっともっとでかくなる。2020年の夏、King Gnuの大いなる旅はまだまだ続いていく。そんな決意表明のようなライブだった。
文=ふくりゅう(音楽コンシェルジュ) 撮影=Kosuke Ito
King Gnu 撮影=Kosuke Ito

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