【仲村瞳の歌謡界偉人名言集】#158
歌手・ペギー葉山の言葉

作詞家、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー、バンドマン、振付師、……そして、歌手。きらびやかな日本の歌謡界を支えてきた偉人たちを紹介するとともに、その方々が発したエネルギー溢れる言葉を伝えます。常軌を逸した言動の裏に、時代を牽引したパワーが隠されているのです! このコラムで、皆様の生活に少しでも艶と潤いが生まれることを願います。

セリフはうたえ、歌は語れ

より

今回の名言は、芸能の世界では古くから知られている言葉。過去には、古川ロッパ、古賀政男森繁久彌三波春夫も発したとされている。この言葉への思いを、ペギー葉山は亡くなる約2ヶ月前のインタビューで明かしていた。記事によると、記者は長年ペギーを取材していたこともあって、その音楽人生を短くも色濃く伝えている。ペギーは、ジャズやシャンソンの名曲の数々、そして「南国土佐を後にして」「ドレミの歌」「学生時代」など、いつまでも歌い継がれていくであろう歌を後世に残してくれた。「若い頃は一生懸命にうたっていたけれど、年を重ねてからは、力を抜いて語るようにうたっています」と、今回の名言が意味する芸の神髄が「ようやく分かるようになってきた」と語っている。晩年のペギーでさえ、「ようやく分かる」という域なのだ。芸を追求し続けた者だけが辿りつける境地なのかもしれない。

ペギー葉山(ぺぎーはやま)
1933年12月9日生まれ、東京都新宿区出身。歌手、タレント。社団法人日本歌手協会7代目会長のちに、名誉会長。青山学院中学部(現在の青山学院中等部)在学中に声楽家の内田るり子に師事。青山学院女子高等部(現在の青山学院高等部)2年生の頃、映画『我が道を往く』を観てビング・クロスビーが歌う「アイルランドの子守唄」に深く感動し、クラシックからポピュラー・ジャズへの転向を決意する。その後、進駐軍のキャンプで歌い始め、戦後の日本にジャズを普及させた功労者のひとりであるティーブ・釜萢に見初められ、当時の超一流ビッグバンドの渡辺弘とスター・ダスターズの3代目専属歌手に抜擢される。1952年、「ドミノ/火の接吻」でレコードデビュー。1958年、ミュージカル『あなたの為に歌うジョニー』で芸術祭個人奨励賞受賞。1959年に発売された「南国土佐を後にして」が、累計で200万枚を超えるメガヒットとなった。1960年、オーストラリアのテレビ番組『今宵のメルボルン』に1か月間レギュラー出演する。同年、ロサンゼルスの日米修好百年祭に日本人代表として出席。この時に、三島由紀夫に勧められたミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』を鑑賞。劇中歌「ドレミの歌」に心打たれて曲を記憶し、その晩、ホテルで訳詞を行ったという。音楽の教科書に掲載され、幅広い年代の日本人に知られている「ドレミの歌」は、ペギー葉山の作詞によるものである。1964年、「学生時代」が大ヒットし、ロングセラーとなり今も歌い継がれている。1966年、第17回『NHK紅白歌合戦』で紅組司会を務める。他に、NHKの歌謡番組『歌はともだち』、子供番組『ひらけ!ポンキッキ』、特撮ヒーロー番組『ウルトラマンタロウ』などに出演し、司会をはじめ演技などもこなした。1974年、司馬遼太郎に続く2人目の高知県名誉県人となる。1991年、『It’s Been A Long Long Time』にて、ハンク・ジョーンズとケン・ペプロウスキーの2人と共演。1995年、紫綬褒章受章。2004年、旭日小綬章。2017年4月12日、肺炎により死去。享年83。デビューから60年を超えてもなお精力的に活動し、命尽きるまで第一線で活躍し続けた。
仲村 瞳(なかむらひとみ)
編集者・ライター。2003年、『週刊SPA!』(扶桑社)でライターデビュー後、『TOKYO1週間』(講談社)、『Hot-Dog PRESS』(講談社)などの情報誌で雑誌制作に従事する。2009年、『のせすぎ! 中野ブロードウェイ』(辰巳出版)の制作をきっかけに中野ブロードウェイ研究家として活動を開始。ゾンビ漫画『ブロードウェイ・オブ・ザ・デッド 女ンビ~童貞SOS~』(著・すぎむらしんいち/講談社)の単行本巻末記事を担当。2012年から絵馬研究本『えまにあん』(自主制作)を発行し、絵馬研究家としても活動を続ける。2014年にライフワークでもある昭和歌謡研究をテーマとした『昭和歌謡文化継承委員会』を発足し会長として活動中。

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