L→R 垣守翔真(Dr)、森山公稀(Pf&Syn)、井上拓哉(Gu)、ミゾベリョウ(Vo&Gu)、Shaikh Sofian(Ba)

L→R 垣守翔真(Dr)、森山公稀(Pf&Syn)、井上拓哉(Gu)、ミゾベリョウ(Vo&Gu)、Shaikh Sofian(Ba)

【odol インタビュー】
たくさんの人たちとの
重なり合いがあり、
それらがこの音楽を作らせている

odolの外の人と音楽を作ることに
しっかりと向き合えた

2曲目「かたちのないもの」はUCC BLACK 無糖のキャンペーン「# この気持ちは無添加です」に書き下ろしたバラードナンバーですが、このウェブCMを拝見したところアーティストとしての葛藤と挫折、無条件に愛してくれる人の存在が描かれていて、アーティストとして分かるところもあったのではないかと。

森山
アーティストとしてあの状況に共感したのかは分かりませんが、初めてVコンを観せていただいた時、なぜだか泣けてきました(笑)。

主人公のような気持ちで言葉を綴るかたちもあったと思いますが、孤独感や葛藤する苦しみはサウンドで表現しつつ、歌詞では主人公を漠然と包み込むような、癒してくれる仕上がりに感動しました。

森山
もともと映像自体にしっかりとしたストーリーがあったので、音楽はそのストーリーに寄り添うように制作しました。例えばギターの余韻の長さというような細かい部分についても監督やプロデューサーと細かくやり取りをして、時には作業に立ち会っていただきながら進めていきました。
ミゾベ
音楽の展開が映像に寄り添って作られていく中、歌詞にはストーリーや映像のコンセプトを語る役割も担わせています。尺が映像尺からフルになっても、伝えたいことはすでに映像尺の中で伝えてあるので、具体的なストーリーは付け加えませんでした。

3曲目「瞬間」は映画『サヨナラまでの30分』の劇中バンドであるECHOLLへの提供曲ですが、自分以外の人が演奏するという部分でこれまでの楽曲制作との違いはありましたか?

ミゾベ
自分以外の方が歌う前提で歌詞を書くのは初めてで、そこに難しさとやり甲斐を感じました。まず、映画の主人公のアキとして書くのか、自分の目線で書くのか迷いましたが、アキのキャラクターが自分自身と離れすぎていると考え、最終的にはアキをイメージしながら自分の目線で書いたので、“odolの曲だけれどECHOLLの曲”という感覚はとても新鮮でしたね。

純粋さとがむしゃらな感じ、青々しくてエネルギッシュな印象がありましたが、映画の役どころに寄り添うことで、odolとしての新感覚はありましたか?

森山
新感覚というよりは、むしろ共感や懐かしさを感じました。映画でのバンドの描き方がとてもリアルで、自分たちの経験と重なる部分も多く、そういった経験を思い出しながら制作しましたね。

三曲三様のタイアップだったと思いますが、これをodolの一枚のEP作品としてリリースしようと思ったきっかけは?

森山
これらのタイアップの制作期間が重なっていたこともあり、odolの外の人と一緒に音楽を作るということにしっかりと向き合える時期でした。そんな中で、やはりodolだけで作る曲では得られない表現が生まれ、そこから多くのことを学んだという実感から、この時期の曲をまとめてEPというかたちでリリースしたいと思ったんです。同じ時期にタイアップではないodolの新曲も制作しており、それを一緒に収録する案も出ていましたが、やはりこのタイアップならではの経験をまとめたいと思い、今回のかたちになっています。

以前から“人が関われば関わるほど表現の幅が広がる”という考えを持っているodolだからこそ、タイアップについての考えは前向きで真剣だったと思います。その姿勢は “WEFT”というタイトルで示している通り、実際にやってみて強く根づいているように感じましたが、ご自身ではいかがですか?

森山
これらの制作の経験と、『WEFT』のリリースについて考えることを経て、その感覚にもっと自覚的になりました。作っている時にはひとりで音楽を生み出しているように感じていても、その背景にはたくさんの人たちとの重なり合いがあり、それらがこの音楽を作らせているということを、よりポジティブに見つめることができましたね。

『Rework Series』はまた別のプロジェクトとして進行されていたとは思いますが、シングル「狭い部屋 (Rearrange)」「虹の端 (Rearrange)」「人の海で (Rearrange)」のジャケ写では足元やカメラと被写体の距離が近かったところから、今作『WEFT』では街全体を映した広いような、まだまだ狭いとも感じるようなジャケットが印象的でした。バンドとして視野が広がった印象も受けます。

森山
ジャケットに対して、距離感や視野の広さの違いについて明確な意図があったわけではないのが正直なところですが、無意識にそういった広がりを感じているのかもしれません。『Rework Series』に関しては“オリジナルの楽曲に関連したビジュアルを抽象化して再構築する”といった、ジャケット自体も“Rework”で組み立てていくようなコンセプトで作っています。『WEFT』のジャケットは写真家の濱田英明さんによるものですが、濱田さんとはradikoのブランドムービーで出会い、お願いさせていただきました。まさに人々の生活の折り重なりを感じる作品で、とても気に入っています。

今作の振り返ってみて、今後の展望として加わったことはありますか?

森山
odol以外の誰かと一緒に制作をすることは学びも多く、とても楽しいと感じているので、これからも機会があれば積極的に取り組んでいきたいと思っています。また、集団でひとつのものを作るという点では、個人的に昔から映画という形態にとても憧れがあるので、「瞬間」の制作を通してより根強くなりました。いずれ映画の劇伴も作れることがあれば嬉しいなと思います。
ミゾベ
他の誰かとともに楽曲を制作していくこと、リクエストに応えることに、たくさんのやり甲斐を見つけられたのは自分にとって大きな出来事でした。同時に、音楽における歌詞や歌の重要性、可能性を再確認し、自分の歌や作品をより客観的な目線でみることができるようになりました。「瞬間」のように自分以外の方が歌う歌詞を書かせていただくことは自分の作家性にとってもいい経験になったと思いますので、またチャンスがあれば挑戦したいです。

取材:千々和香苗

デジタルEP『WEFT』2020年6月24日配信開始
    • UK.PROJECT
    • UKCD-1191
    • ダウンロード販売 ¥611
    • ※各ストリーミングサービスにて配信
odol プロフィール

福岡出身のミゾベリョウと森山公稀を中心に2014年、東京にて結成した5人組。ジャンルを意識せず、自由にアレンジされる楽曲には独自の先進性とポピュラリティーが混在し、新しい楽曲をリリースする度にodol らしさを更新している。東京藝術大学出身の森山が全楽曲の作曲を担当。その他にも舞台や映像作品の劇伴、他アーティストへの楽曲提供も行なっている。odol オフィシャルHP

「小さなことをひとつ」
(Official Audio)

OKMusic編集部

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