石田ゆり子さんの思い出(6):杉作J太
狼XE｢美しさ勉強講座｣連載126

軟弱な男たちの姿に見かねて、あの先生が立ち上がった!

杉作J太狼XE先生の「男の魅力がぐんとアップする美しさ勉強講座」

126時限目・石田ゆり子さんの思い出（6）　石田ゆり子さんは町の小さな喫茶店をひとり訪れ、お茶をいただきながら読書をするのが趣味。そう語ったことがある。と記憶している。

　私はその情報を励みにした。私も喫茶店でお茶をいただくのが趣味だったからだ。

　特別レトロな喫茶店とか、ちょっち雰囲気が変わっている喫茶店でなくていい。ごくごくふつうの、どこの町にでもあるような喫茶店が私は好きであり、たしか石田ゆり子さんも同じ傾向だったように記憶している。

　そして私も読書が趣味である。常に読みたいと思っている読みかけの本が20～30冊ぐらいあるので（最後まで読めよ～）サンダル履いて喫茶店に出かけるときに携行する本には不自由してない。新型コロナによる自粛前は長距離の出張時が格好の読書タイミングであったがいまは新型コロナにそれも奪われたかたちだ。

　デンゼル・ワシントン主演の映画『イコライザー』は私の好きな映画だ。元CIAの腕扱きエージェント、マッコール（デンゼル・ワシントン）の趣味はひとりで深夜のダイナー（日本で言えばどこの町にもあるような喫茶店）を訪れてお茶をいただきながら読書をすることである。

　ひとり静かに読書をしている謎のおっさん（デンゼル・ワシントン）に商売前の化粧、栄養補給、時間つぶしをしていた若き売春婦（クロエ・モレッツ）は関心を抱く。

　わかる。

　わかるよ。

　わかるなー。

　私が石田ゆり子さんのことを素敵な女性だと意識したのがまさに「どこにでもあるような小さな喫茶店でひとり読書するのが好き」という情報を知ったタイミングであったからだ。

　石田ゆり子さんの芸歴は長い。

　私がまだ20代、週刊誌『平凡パンチ』の編集部に所属していた頃。長い夏休みが編集部全体に出たことがあり、私はひさしぶりに愛媛県松山市の実家に帰っていた。同僚のMはその休みを利用して中国、四国地方をぐるりと回る旅をした。そして松山で合流し、海水浴をしたり市内アーケード商店街に特設されたお化け屋敷で遊んだりした。Mはグラビア班の所属であった。

「古本屋に行きたいんだけど」

「なぜ？」

　私の問いにMは石田ゆり子さんと石田ひかりさんが表紙の雑誌を買い漏らしたのでぜひ見たい、と言った。仕事熱心なやつだなと思ったら仕事とは関係ない、石田ゆり子さん石田ひかりさんの姉妹を好きなんだと言った。

　Mは私よりふたつぐらい年下だった。

　いい趣味だ、と私は思った。

（つづく。2週間後、またお会いしましょう）

＜隔週金曜日掲載＞

写真／2016年2月25日・『僕だけがいない街』完成披露試写会

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【杉作J太狼XE：プロフィール】
すぎさく・じぇいたろうXE
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める男の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。

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