「THE FIRST TAKE」900万回再生超えのDISH//・北村匠海『猫』、聴き手を揺さぶる決定的な理由がコレだ

「THE FIRST TAKE」900万回再生超えのDISH//・北村匠海『猫』、聴き手を揺さぶる決定的な理由がコレだ

「THE FIRST TAKE」900万回再生超え
のDISH//・北村匠海『猫』、聴き手を
揺さぶる決定的な理由がコレだ

話題の「猫」作詞作曲はあの人物
「音楽とは、何か。一発撮りで、向き合う。」をテーマに、豪華アーティストたちが一発撮りのライブ感あふれるパフォーマンスを披露するYouTube企画「THE FIRST TAKE」。
第1回の投稿以来まさに実力派揃いの人気アーティストたちが多数登場し、音楽ファンを中心に一大ムーブメントを巻き起こしています。
そんな中、先日公開された第32回では今話題の歌って踊るダンスロックバンドDISH//より、ボーカル・ギターの北村匠海が登場。『猫』を披露し、再生回数が900万回(2020年4月現在)を突破するなど大きな反響を得ています。
▲DISH// (北村匠海) - 猫 / THE FIRST TAKE
ドラマ『僕たちがやりました』の主題歌として、発売された同名のシングルにカップリングとして収録されたこの曲。なんと作詞作曲を務めたのは今最も勢いのある女性シンガーソングライター、あいみょん
あいみょんの音楽をDISH//の中に広めたのは、メンバーである矢部昌暉だそうで、「「貴方解剖純愛歌〜死ね〜」」を聴いてから全員が彼女の音楽に引き込まれていったそうです。そういったDISH//たちの想いがきっかけで、あいみょんが楽曲制作を携わってくださるようになりました。【※BARKS対談インタビューから参照】
20代にして一躍大注目のアーティストとなった彼らのイメージ通り、歌詞を深く読み込んでいくと若々しくもちょっぴり切ない青春の情景が浮かび上がってくるはずです。
今回はそんな名曲『猫』の歌詞をピックアップ、独自の視点で徹底解剖・解説します。

夕焼けを舞台に展開する失恋模様
楽曲の幕開けを飾るのはこんな一節。
一曲を通して纏う幻想的でアンニュイな雰囲気を決定づけているのが、冒頭に登場する「夕焼け」というキーワードではないでしょうか。
ぼんやりとしたオレンジ色に燃え、その光で街の輪郭をだんだんとぼやけさせていく。そんな、美しくもどこか儚いエモーショナルな情景が思わず浮かんできます。
そして続く歌詞では「僕は君を手放してしまった」ことがわかります。
DISH//メンバーと同世代ほどの若者を登場人物に据えたと思われるこの歌詞。今まさに若者として毎日頑張っているあなたも、ちょっぴりオトナになったあなたも、きっと多くの人が若くもほろ苦い恋愛の思い出に心当たりがあるのではないでしょうか。
夢のような出会いから生まれる漠然とした高揚感から「あなたとの恋は永遠のもの」と思っていても、ふとしたきっかけで現実を目の当たりにし、すれ違ってしまう。
オトナへの第一歩、とも言えるようなそんな恋愛に涙した人も少なくないでしょう。そんなほろ苦い雰囲気を、『猫』の冒頭では十分に表現しています。
強がって見せる「僕」の気持ち
ドラマチックなメロディが耳に残るサビの一節がこちら。
失恋を経て君がいなくなった毎日に「気だるさ」を感じている「僕」。どうしようもないぼんやりとした感情が、空を覆う夕焼けが照らすオレンジ色のイメージと重なって聴き手に迫ってきます。
そこに呼応するのは「そんなもの馬鹿馬鹿しい」と強がって自分に言い聞かせているようにも聞こえるセリフ。「僕」が感じているとてつもない寂しさが伝わってくるようですね。
続く「心と体が喧嘩して」という印象的な表現は、どのような状態を言い表しているのでしょうか。突然の悲しい出来事に精神的なショックを受け、身体がまるで自分のものでないかのように魂が抜けた状態になってしまった「僕」の様子でしょうか。日本語の使い方がとても美しいあいみょんならではの観点で紡がれた言葉ですね。
「猫」をキーワードにした美しい心理描写に迫る
「猫」というキーワードがサビの後半、この一節で初めて登場します。
マイペースで自由気ままな振る舞いを好むと言われている猫。「フラッと」現れては消えるその性格は、思わず人を夢中にさせてしまいます。
「僕」が最後に感じた「君」へのイメージも、そのようなものだったのでしょう。とても刺激的で楽しい毎日は、猫と過ごす日々のようにカラフルな思い出だったに違いありません。
たとえ「何気ない毎日」であったとしても「君色」に染まってしまうような存在。「僕」にとってそれは掛け替えのない程大切な日々だったのでしょうね。
あるいは、サビの前半部分に登場する「言い聞かせ」をしている心理描写がここにも続いているとしたら、どうでしょうか。
失恋した相手である「君」を「猫」だと例えることによって、「フラッと消えてしまうのが当たり前」な存在に変換しようとしているように聴こえてきます。
猫になって自分からそばを離れていってしまったのだから、もう無理に追いかけることも取り戻すこともしない(できない)。と自分に言い聞かせることによって自分なりの答えを作ろうとしているのかもしれません。
しかしこの失恋は「僕が君を手放した」ことによるもの、というのも一つのポイントです。
この表現ならば、それ以前にお互いの気持ちのすれ違いがあったにせよ、別れを切り出して成立させたのは「僕」の方だと見るのが自然です。
毎日どこか満たされないものを感じ続けていた僕が、耐えきれずにそれを相手に打ち明けて別れ話となった。その過程で「君」は少なからず悲しんだのかもしれません。
その出来事を「君が猫になったのだから」という表現にして逃げてしまう「僕」の弱さ。しかし決してそれを悪いものだと表現していないのが、あいみょんの作詞の奥深さかもしれません。
誰しもが、若いうちには様々な経験をするでしょう。その中にはこの曲のようなほろ苦い恋愛も含まれているかもしれません。
すれ違いをどうすることもできないまま別れてしまった後も、その気持ちの整理がつかない。
未熟さゆえの若者らしい恋愛の生々しい姿を、キャッチーな歌詞の中にありありと表現して見せています。
そんな非常に複雑で多面的なテーマを、北村匠海は持ち前の歌唱力を駆使して存分に表現しています。
いつでも聴き手を惹きつけて逃さないのは、エモーショナルな歌声で紡がれる痛々しいほどに若い青春の風景。
そんなところに、この曲が「名曲」と呼ばれる由縁があるのかもしれませんね。
TEXT ヨギ イチロウ

UtaTen

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