Halo at 四畳半・渡井翔汰、2ndアル
バム『ANATOMIES』とワンマンツアー
に込める無垢なる願い「情けなさも含
めて楽曲に込めた想いが伝わりますよ
うに」

2018年秋にアルバム『swanflight』でメジャーデビューを果たし、活動の幅を広げているHalo at 四畳半。メジャーデビュー発表の夜に行われたライブでは「不器用なりにこの4人で、変わらずに変わっていく」と語った。その言葉通り、Halo at 四畳半は今までらしさを失わないまま、ドラマ、アニメのタイアップや、新たなプロデューサーを迎えての楽曲制作など、新たな一面を我々に見せ続けてくれている。そんななかで、制作されたメジャー2ndアルバム『ANATOMIES』。「解剖学」という意味を持つこのアルバムは、自分自身を解剖(分析)することで見えてくる、不安や悩みなどを受け入れ、どう生きるかというメッセージが込められた一枚。今までよりも深く、色濃くHalo at 四畳半らしさを描きつつ、一方でまだ見たことのない新しいHalo at 四畳半が描かれており、まさに「変わらずに変わる」ことを体現したアルバムだ。そんなアルバムを引っ提げておこなう全国ワンマンツアー『無垢なる祈りの宿し方』は、今までとは違う景色が見れるツアーになる期待をせずにはいられない。今回はHalo at 四畳半の渡井翔汰(Vo.Gt)に、アルバムを解剖してもらい、制作秘話や楽曲に込めた想い、そしてツアーを通してリスナーに伝えたいものについて訊いた。
渡井翔汰(Halo at 四畳半) 撮影=日吉“JP”純平
ーー『ANATOMIES』はメジャーデビューをして1年間を過ごしたなかで製作されたアルバムということですが、完成した感想は率直にいかがですか。
今作ができたことで自分たち自身でも抱いていたHalo at 四畳半のイメージ像をいい意味で壊すことが出来た作品だと思います。このアルバムを制作する間に、僕たち自身の聴く音楽が変わって、国内だけでなく海外のバンドも聴くようになって。そのエッセンスを色んなところに散りばめることができたので、そういう意味で新たな挑戦を重ねた一枚になったと思います。
ーー特に影響を受けた海外のバンドはなんだったんですか?
制作時期に知って衝撃的だったのがThe 1975ですね。有名な曲は知っていたのですが、サマソニの映像で初めてライブを見て。曲だけ聴くとお洒落なバンドというイメージが強かったのですが、ライブではこんなにアツくて泥臭いのかと衝撃を受けました。今作の4曲目「Ghost Apple」や11曲目の「ヘヴン」はThe 1975に影響を受けた曲です。
ーー「Ghost Apple」は、Halo at 四畳半にしては珍しい英語のタイトルの曲です。やはりその影響もあるのでしょうか。
そうですね。その影響もあります。この曲は元々カタカナのタイトルにするつもりだったのですが、メンバーから「海外のエッセンスを入れ始めて、楽曲的な雰囲気も変わってきているところだし、英語タイトルの曲があってもいいんじゃない?」という話があって。確かに、今まで何か深い意図があってカタカナにしていたわけではなかったので、楽曲に似合う方を選びました。
ーーなるほど。他にも今回のアルバムにはいくつかトピックがあります。まず、前作に引き続き、出羽良彰さんのプロデュース曲が2曲収録されております。
前作の『from NOVEL LAND』に収録した「リビングデッド・スイマー」で初めてプロデュースして頂いたのですが、僕らだけでは作れなかった音像感を作り出せたのが凄く刺激的で。その制作が終わる段階で「是非、次回も一緒にやりたい」という話をしていました。
ーーその時からもう次のお願いをされてたんですね。
そうですね(笑)。その時に「一緒にやらせてもらえるのなら、次はバラードの曲も作ってみたい」という話もあって。そうして生まれた曲が「イノセント・プレイ」と「蘇生」です。
渡井翔汰(Halo at 四畳半) 撮影=日吉“JP”純平
ーー「イノセント・プレイ」は、今までのHalo at 四畳半を進化させた楽曲という印象を受けました。
この曲は、前回と同じように、僕が曲のイメージを弾き語りで録音したものを先に出羽さんにお送りして、4人の意思を一切入れずにバンドサウンドを構築していただいてから、改めて自分たちでアレンジしていくという作り方をしました。前回よりも出羽さんが僕たちのことを理解してくださっていたので、「イノセント・プレイ」は出羽さんのエッセンスと僕たちらしさが良いバランスで出た楽曲になったと思っています。
ーー今までを進化させた印象の「イノセント・プレイ」に対して、「蘇生」はまだ見たことのないHalo at 四畳半という印象があります。
「蘇生」は当初、ピアノをメインに使った凄くシンプルなバラードが作りたくてイメージしていました。ただ、ピアノで曲を作るということに関しては、あまり経験もなく、力量が追いつかなくてイメージに近づけなかったんです。でも、この楽曲はどうしても形にしないといけない気がしたので、出羽さんの力をお借りして作り上げていくことで、僕らが表現しようとしていた楽曲のイメージに辿り着くことが出来ました。
ーー「蘇生」は、つまり今のHalo at 四畳半が目指すところでもあるわけですね。
そうですね。新しい僕たちのアンセム的な曲ができたと思っています。
ーー新しいアンセムとなる「蘇生」がアルバムの最後を飾ることで、これからのHalo at 四畳半が目指す先が楽しみになります。曲順もそういった意図を込めてこだわったのでしょうか。
僕たちは「こんなアルバムを作ろう」とテーマを決めて制作に入るのではなく、今やりたい音楽や、伝えたい想いを優先して曲を作るんです。そしてアルバムにする際、それぞれの楽曲を並べて、その楽曲たちがどうなりたいのかというのをメンバーで考えていきます。
ーーパズルのように当てはめていく感じですね。
収録曲を並べて見たときに、例えば「ナラク」「ヘヴン」「蘇生」といった天国と地獄、死と蘇生のような対照になるタイトルがある事に気付いて「この曲はここしかない」と、まさにパズルのピースのように当てはめたり、みんなで発見をしながら決めました。
渡井翔汰(Halo at 四畳半) 撮影=日吉“JP”純平
ーー「疾走」は齋木孝平(Gt.Cho)さんが初めて作詞を担当されています。どういった経緯で齋木さんが作詞をすることになったのでしょうか。
いつもは齋木から音だけ送られてきて、そこに僕が歌詞を付けるという流れで、今回も実はそうする予定だったんです。ただ今回は齋木から「実はメロディーの案と、サビのイメージがある」と言われて。サビで伝えたい程のテーマがあるのなら、僕が手を加えるより、齋木が書いた方が良いんじゃないかと、担当してもらうことになりました。
ーー出来上がった曲を受け取ってみてどういう印象を受けましたか?
今の齋木が思っていることが反映されているんだろうなと(笑)。本人とも話したのですが曲のテーマが「イノセント・プレイ」と「疾走」は似てるんです。色んな葛藤や不安があっても、その感情を抱えながら前へ進んでいけるようにという曲で。同じバンドとして活動していくなかで、同じような考え方してるんだなと新しい発見もありました(笑)。
ーーメンバーの新たな一面が見れるきっかけになったんですね。あと今回のアルバムにはタイアップ曲が2曲収録されています。
2曲とも、光栄なことに初めて書き下ろしで作らせて頂きました。僕は書き下ろしで楽曲を作るにあたって、作品だけに寄り添う曲も書きたくないし、Halo at 四畳半がやりたいことだけ詰め込んでもタイアップとして意味がないと思っていて。
ーー普段とは違う目線で作らないといけないわけですね。
そうですね。ただ今回はそれぞれの作品のテーマと、僕が思っていることに通ずる部分があって。例えば「ナラク」は、「自分の中に潜む闇」がテーマのアニメ『ラディアン』のエンディング曲なのですが、このテーマは誰しも感じれるものだと思っているし、「花飾りのうた」は「想いを人に伝える難しさ」がテーマになっているドラマ『江戸前の旬season2』の主題歌になっていて、このテーマもミュージシャンとして共感できることだなと。どちらも僕にとって曲に反映しやすいテーマでした。
渡井翔汰(Halo at 四畳半) 撮影=日吉“JP”純平
ーーちなみに『江戸前の旬season2』には出演もされました。ドラマ撮影の現場に参加したことで得たものはありましたか?
プロのお芝居を間近で見て、表情や体の動きを使って表現することの奥深さを体感したことで、以前までの「曲の世界は音楽で表現できればいい」という考え方が変わりました。この経験をMV撮影などにも活かしていきたいと思っています。
ーー表現という意味ではライブでも活かされそうですね。ワンマンツアー2020 『無垢なる祈りの宿し方』が2月22日(土)札幌cube gardenから始まります。様々な経験をした今のHalo at 四畳半がどのようなライブを魅せてくれるか楽しみです。
『ANATOMIES』という作品自体、新しい空気を持った曲がたくさん入ったアルバムになったので、実はライブ会場でどうなるか僕らもわからなくて。ただ、今回はHalo at 四畳半としての枠が、かなり広がるライブになる予感がしているので僕らも楽しみです。皆さんにも新たなHalo at 四畳半を見てもらって、一緒にワクワクしてもらえたらいいなと思います。
ーー今作の曲たちがライブでどのように映えるのかとても楽しみです。最後に、今回のツアータイトルは『無垢なる祈りの宿し方』ですが、渡井さんが最近、無垢に祈ったことはなんですか?
そうですね……。最近サウナにハマっていて、「このツアー中、どうか隙間の時間でサウナに入れますように」というのは無垢に祈ってます(笑)。
ーーハハハ(笑)。めちゃくちゃ無垢な祈りですね。
真面目な祈りだと、アルバムやツアーを通じて、僕ら自身の伝えたいものが、真っすぐに伝わってくれればいいなと祈ってます。情けない部分もたくさん曝け出したのですが、向き合わないといけないものだし、向き合うことで見えるものがある。そのことが皆さんに伝わる信頼感も持っているので「楽曲に込めた想いがきちんと伝わりますように」というのが今の僕らの祈りですね。
ーーHalo at 四畳半さんの祈りが伝わればいいなと祈っております! 本日はありがとうございました!
渡井翔汰(Halo at 四畳半) 撮影=日吉“JP”純平
取材・文=城本悠太 撮影=日吉“JP”純平

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