宅間孝行率いるタクフェス春のコメデ
ィ祭『仏の顔も笑うまで』座談会!
樋口日奈、モト冬樹、肥後克広が意気
込みを語る

俳優で作・演出家の宅間孝行が、2004年に東京セレソンDXとして上演した舞台『Happy』が、『仏の顔も笑うまで』と名前を変え、キャストも新たに再演される。2020年4月22日(水)の東京公演を皮切りに、愛知、岩手、福島、兵庫を巡演する。

出演は、宅間の他、モト冬樹、水夏希、樋口日奈(乃木坂46)、八木将康(劇団EXILE)、鈴木裕樹、越村友一、外岡えりか、横山涼、そして秋本奈緒美、肥後克広(ダチョウ俱楽部)。
来春の公演に向けて取材会が行われ、宅間、モト、樋口、そして肥後が出席。銀行強盗(2人)に、マドンナに、住職という、役のふん装で4人揃うと、取材会はパッと賑やかな空気に!本作上演の経緯や意気込みを聞いた。

『仏の顔も笑うまで』あらすじ
生前葬をやる!とある有名な落語家がそんな事を言い出した。舞台となる田舎の寺、光雲寺では、普段は訪れないような有名人や政治家がやってくるとあって、生前葬を翌日に控え、準備に大わらわ。そんなところへ、銀行強盗をした直後のお間抜けな2人、ビバさんとふくちゃんが逃げ込んで来た。さっさと逃げればいいものを、ふくちゃんが寺の一人娘、はなちゃんに一目惚れ。色々な人の熱い想いが交錯する中、物語は勘違い、行き違いのオンパレードでとんでもない方向へ!

つまらなかったら〇〇さんのせい?!
ーータクフェスには、涙なしにはみられない切ない系の作品と、ひたすら笑いに特化した作品がありますね。今作は、タイトルからコメディ感が満載です。
宅間:切ない作品とコメディを交互に上演していた時期があったんです。次第に「切ない」「泣ける」と評判になり、重心がそちら寄りになったこともありました。ですがコメディもちゃんとやりたいと作った舞台です。カンテレより「春のコメディ祭」という機会をいただいたことで、16年ぶりの再演を決めました。僕にとってはどれも、苦しんで作った思い入れのある作品ですが、これは本当にバカでアホみたい(笑)。シチュエーション・コメディではありますが、コントに近いです。
宅間孝行
ーーキャスティングについてお聞かせください。コメディだからこそのメンバーなのでしょうか。
宅間:モト冬樹さんには、2018年『あいあい傘』に出演いただきました。その時に「あ、切ないタイプの作品に出る人ではないな」と気づいたんです。観てくださった方々の感想が「モトさんおもしろい」ばっかりで。美味しいところを全部もっていかれ、その時はイラッとしました(笑)。しかし今回はコメディですから、存分にやっていただこうと思い出演いただくことになりました。もし今回つまらなかったら、モトさんのせいです。
モト:ええ?!
一同:(笑)
宅間:肥後さんのことは、ずっと昔からテレビで拝見していました。今回はコメディですから、「この人たちでやるよ」と並んだ時に、面白そうな顔が並んでいた方がいいなと思ったんです。面白い顔、ということでお願いしました。
ーーそんな面白そうなメンバーの中で、マドンナ役に樋口さんがキャスティングされました。肥後さんが演じる住職の一人娘、はなちゃんです。
宅間:いま21歳。
樋口:ハイ!
宅間:21歳にしては、大人っぽい雰囲気もあり、すてきな方です。若い中でも、がんばりやさんだと聞きました。実は、昔書いた脚本をやろうとすると、ヒロイン選びが大変なんです。自分ばかり年をとってしまい、最近ではヒロインのポジションの方と親子くらいの年齢差になってしまう。ですから、若くても大人っぽく見える方を探し、犯罪っぽくならないようにしています。
一同:(笑)
樋口日奈(乃木坂46)
樋口日奈の決意に、モト冬樹がニヤリ
ーー樋口さん、モトさん、肥後さん、タクフェス出演が決まった時の感想をお聞かせください。
樋口:タクフェスのポスターなどをみて、レトロっぽい懐かしい感じがいいなと思っていました。お話をいただいた時は嬉しくて、ヤッター!と思いましたが、いざ出ることを考えはじめると恐いですね。ソワソワします。本格的なコメディは初めてなので、勉強をしなきゃと思っています。喜劇は、本気でやる姿が面白いのですよね。私も少しでも何かできるよう、たくさんご指導いただき、本気でがんばりたいと思います。覚悟しています!作品はコメディなので、稽古場もきっと笑いの絶えない...。
モト:甘いな(ニヤリ)。
樋口:えー!恐い!
宅間:評判悪いですからね、稽古で殺されるとか言われたり。殺すわけがない!
一同:(笑)
宅間:稽古だって13時~19時しかやらないし。モトさん、知ってますよね?楽しかったですよね?なのに皆が「辛い経験を一緒に乗り越えた」みたいな思い出にして、戦争体験のように語るから。モトさん、そこまでじゃないですよね?
(目を逸らし、無言で頷くモト冬樹)

宅間:ちょっと!そうやって脅すから、みんな稽古初日にガチガチできちゃうんですよ!

モト:(笑)
ーーそんなご経験を乗り越え、モトさんは『あいあい傘』ぶり2度目の参加です。
モト:宅間さんは、芝居に対する愛情があり、そこはきっちり稽古をします。和気あいあいの稽古場とは少し違いますが、本番が和気あいあいであれば良いわけです。くだらないことを一生懸命にやるのは楽しいですよね。それに前回の舞台で、宅間さんは何を言っても受けとめてくれました。スリルもありますが、そこが楽しかったので、また出演でき嬉しいです。
ーー肥後さんは、出演オファーがあった時にどう思われましたか?
肥後:なぜ僕なんだろうと思いました。お笑い芸人というカテゴリーの中にも、芝居チックなことをやる方、喋りが上手い人、色々います。私はただ単に、熱いおでんを人の顔にくっつけるという生業ですから。
一同:ナリワイ!
肥後:それでもせっかく頂いたお話です。がんばろうと思いました。マネジャーには「大丈夫ですよ。モト冬樹さんもいます!」と。台本を読ませていただいたら、やはりすごく面白いんです。とにかく頑張ります。
肥後克広(ダチョウ俱楽部)
ーー皆さん、衣裳はいかがですか?
モト:これは銀行強盗をするときの服です。
宅間:物語の最初だけ。秒で着替えます!大変なんです!
肥後:私の住職の衣装は、2人がかりで着せていただきました。気持ちも穏やかになりますね。自然とこうなります(と、合掌)。
ーーよくお似合いです。
肥後:僕は何でも似合うんです。お巡りさんから泥棒まで(笑)
ーー樋口さんもよくお似合いですね。
樋口:本番では、異なる衣装になるそうですが、お嬢様チックな髪型とメイクに、カーディガンとブラウス。昭和レトロの大好きな感じです。本当にいろんなキャラクターが出てくるようなので、楽しみでワクワクします!

芸人の笑いと俳優の笑いの違い
ーー宅間さんは、ホームページ等で「大変な作品」だとコメントされていました。今作の大変さについてお聞かせください。
宅間:僕が演じるのは銀行強盗ですが、色々と……、本当に大変なんですよ(笑)。死ぬほど疲れるんだろうなと思うと、自分でも本番が恐いです。コメディには、パワーがいりますから。この舞台に限らず、俳優さんと芸人さんでは、作る笑いが違うと思っています。俳優さんの笑いは、笑わせるのではなく笑われるもの。結果的には笑わせるのですが、「やっぱあいつバカだね」とお客さんが笑ってくれる。これが俳優の笑いの作り方。それにはパワーがいりますし、今作はシュールな笑いよりは、全力で笑いをとりにいくところが多いですからね。初演から16年も年をとりました。「1日2ステージとか本当は嫌だな」って思ってしまうくらい大変!これが遺作になると思います!(笑)
ーーモトさんは、どんなところにタクフェスの面白さがあると思われますか?
モト:本気度でしょうね。コメディというと軽く思われがちですが、やる側は本気でやらないといけません。説得力がないと笑えませんから。僕がはじめて観たタクフェスは『笑う巨塔』でした。出ている方々は大変そうだなと思ってみていたのですが、同時に、みんなが一生懸命やると心を打つものがあるんだとも思いました。我々も一生懸命がんばります。きつい稽古を乗り越えて!
モト冬樹
ーー肥後さん、樋口さんからも、タクフェスの魅力と意気込みをお聞かせください。
肥後:宅間さんによって計算されたシナリオや演出ももちろんですが、僕が感じるのは、宅間さんという人の存在感やオーラによる魅力です。そこに近づけるよう、がんばります。
樋口:過去の作品を映像で拝見しました。共感ポイントがたくさんあって、自然に世界に入ることができる。(映像ではなく)舞台になればなおさらだと思います。今回はコメディです。人が泣いたり怒ったりするポイントには、そこまで個人差はないと思うのですが、笑うポイントは、人によって全く違うと思っています。だから人を笑わせるのが、一番大変なのかなと思っています。この作品は、ドタバタ感も、勢いもある作品だと思います。たくさんの人に共感していただいたり、自分を重ねて笑えるところもあると思うので、観にきてくださる人に素直に楽しんでいただけたら、すごくすてきだなと思います。
ーー最後に宅間さんより、見どころをお願いします。
宅間:僕のコメディには、政治家が登場します。それは僕が普段から、政治をやってる方々を「コメディだな」と思ってみているからなのですが(笑)、今作にも政治家は登場し、劇中には、初演の頃(2004年当時)にちょっとしたニュースとなった出来事も、含まれています。古いお寺の前の道の拡張工事が決まり、お寺と歴史を共にしてきた老舗のお蕎麦屋さんが立ち退かないといけない。それが理不尽なことなのか、仕方のないことなのか。このようなことをコメディの中に、若干ペーソスを効かせて入れてみたりしています。こういった大人っぽいところも楽しんでいただけたらうれしいですね。ただモトさんは、まだそのような要素を分かっておられないと思います。これからの稽古で、きっちり伝えていきたいです!
モト:俺かよ!(笑)

宅間とモトの相性の良さ、肥後のフラ(※落語の用語で天性のおかしみといった意味)、樋口の瑞々しくも大人っぽい魅力を感じられる座談会は、笑いの連続のうちに締めくくられた。はやくも期待高まるタクフェス春のコメディ祭『仏の顔も笑うまで』東京公演は、2020年4月22日(水)より渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールにて上演。初演より16年を経て、2020年の宅間孝行がどのような舞台を立ち上げ、笑わせてくれるのか。楽しみに開幕を待ちたい。
取材・文=塚田史香 撮影=岡崎雄昌

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