水瀬いのり

水瀬いのり

【水瀬いのり インタビュー】
大切な家族や友人を思い出して、
想いを馳せてほしい

ニューシングル「ココロソマリ」はアニメ『ソマリと森の神様』のエンディングテーマ。主人公の声優を務める水瀬いのり自身が作詞を担当し、子から親への愛情と絆を歌った感動的なバラードとなっている。ひとりっ子で親の愛情を感じながら育ったが反抗期もあったと話す彼女が歌詞に込めた想いとは?

母親の厳しさは
私の成長のためだった

「ココロソマリ」はアニメ『ソマリと森の神様』のエンディングテーマで、水瀬さんが主人公のソマリ役で出演されているわけですが、アニメのアフレコとレコーディングはどちらが先でしたか?

アフレコと楽曲制作は、ほぼ同時進行でした。原作も読ませていただいた上でソマリを演じて肌で感じたことを書き留めていって、現場で得たものを作詞のヒントにしました。

最初から水瀬さん自身が作詞をすることは決まっていたんですか?

いえ、プロデューサーさんからの提案でした。作詞は3rdアルバム『Catch the Rainbow!』(2019年4月発表)の表題曲が初めてだったのですが、その時はすごくプレッシャーがあり、苦労しました。自分の小さな世界で作詞をすることが精いっぱいだったので、再挑戦するにはもっといろんなことを知ってからだと思っていたんです。そんな矢先の提案だったので、最初は少し躊躇しました。でも、親子の愛を描いた『ソマリと森の神様』のタイアップということで、自分の両親や大切な人に向けた気持ちを重ねて書くのはどうかとご提案していただいて。

それで、頑張って作詞をしようと。

はい。私はひとりっ子で両親の愛をすごく感じていましたし、大人になってそれは当たり前にあるものではないことも感じていたので、その気持ちとソマリというキャラクターの幼くてピュアな気持ちを合わせて書ければ、ひとりの人間の両親への想いを歌詞にすることができるんじゃないかと思って。そこで、挑戦しようと思いました。

自分の経験や想いを重ねて書いているわけですね。作詞はノートに頭から順に書いていくタイプですか?

基本的にはスマホに打ち込みます。言葉の候補で類義語も表示されるので、それを見て“こういう言い回しもあるのか”や“こっちのほうがより深いな”とか、作詞する上で参考になることがあるので。逆に、あえてシンプルだからこそ伝わる言葉を選ぶこともありました。

スマホは便利ですからね。

現代っ子すぎてプロの作詞家さんには怒られてしまいそうですけど(笑)。浮かんだ言葉を箇条書きで並べ、そこから次の言葉を連想して言葉をつなげてまとめていきました。

タイトルの“ココロソマリ”は主人公の名前である“ソマリ”と“染まり”という言葉が掛け合わさってますね。

プロデューサーさんから2番の歌詞に出てくる《心 染まり》をそのままタイトルにするとかわいいかもしれないとアイディアをいただいて決めました。カタカナ表記であることからもパッと目に付くタイトルになったと思います。“ソマリ”という言葉は絶対に入れたかったので、“自分の心が染まる”という意味を重ねました。我ながらいい言葉が浮かんだと思っています! しかも、2番で使っているのが乙な感じでいいなと。自画自賛しながら入れたワードです(笑)。

2番にある《不器用さもあなたらしさ》というフレーズですが、これは実際に水瀬さんがご両親から言われた言葉なのでしょうか?

学生時代に言われた言葉です。私は感情があまり表に出ないので勘違いされやすくて。ひとりだけ早くからお仕事をしていましたし、声の仕事という部分で自分の声も含めてみんなと違うと感じていて、自分の個性を好きになれなかった時期があったんです。そんな時に一番近くにいて、背中を押してくれたのが両親でした。“それも自分らしさだからね”と励ましてもらった経験があったので、そんな両親への感謝の気持ちも含めて書きました。

歌ってみて難しかったところはありましたか?

音程の取り方が難しかったです。半音で変わるところが多くて、次はこの音に行くのかと思いきや少し下だったり上だったり。音程がずれないように細心の注意を払いながら歌いました。

最初はどこか淡々と歌っているけど、後半はすごく熱くエモーショナルな歌い回しになるのが感動的ですね。

静かなAメロとBメロがあって、サビがあって、そこから後半のDメロから大サビに掛けてが一番感情が解き放たれるパートなので、歌い上げるのか裏声を混ぜて柔らかく歌うのか試行錯誤しました。でも、ここはキャラクターとしても、自分としても、歌詞にもある通り“変わっていくことも怖くない”という気持ちになっているので、思い切り笑顔で決心したような、スッと前を見た表情で歌えたらいいなと思って、あえて力強く畳み掛けるように歌いました。

アニメとは別に楽曲単体として聴いてもらった時に、どういうことを感じてもらいたいですか?

その人の大切な家族や友人を久しぶりに思い出して、“元気にしているかな”って気に掛けてもらうなど、目の前にいる人だけじゃない人に想いを馳せてくれたら嬉しいです。聴いた時に思い浮かんだ人に連絡を取ってみたり、“ありがとう”とか“ごめんね”など言えてなかった気持ちに気付いたり。みなさんの心に色だけじゃなく、温かいものがジワッと広がればいいなと思っています。

水瀬さんは家族に対して気持ちを素直に言えるほうですか?

結構言えるほうだと思います。

反抗期はなかったんですか?

ありました。学生の頃はよくお母さんとバトルしました。私の反抗的な言葉にお母さんは正論で返してくるので、何も言い返せなくてキィーッとなったり。

そういう時期から素直に話せるようになったのにはどういうきっかけが?

きっかけというか、自分が大人になったんだと思います。あの厳しさは私の成長のためだった、大人になる上でのひとつのアドバイスだったと理解した時、素直に“ありがとう”と思えるようになりました。この曲を聴いた人も、こんなふうに両親とのことなどを思い出してくれたら嬉しいです。
水瀬いのり
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シングル「ココロソマリ」

OKMusic編集部

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