【RAMMELLS インタビュー】
私たちが時代を、世の中を作っていく
世の中に対する違和感みたいなものは
これまでも表現してきた
リード曲「Beat generation」は黒田さん、真田さん、村山さんの名前がクレジットに入ってますけど、どんなふうに仕上げていったのですか?
村山
僕はトラックだけを作って、メロディーと歌詞はふたりにお任せしました。それぞれがメロを上げてきてくれて、いいものを選んだ感じだよね?
黒田
うん。トラックを聴いた時に“これ絶対にいい曲じゃん!”って思ったのは覚えてる。
村山
最初は「Overdrive」がリードの候補に挙がってたりもしたんですけど、こういう純粋にギターロックみたいな曲って今までのRAMMELLSは出してなかったのですが、自分たちの中では昔から持ってた部分だったし、ここに来て推したいと思ったのはありますね。UKっぽい感じのギターを掻き鳴らした壮大なサウンドで、その上に伸びやかな歌が乗った曲を作りたいっていうイメージはしてました。
真田
僕はもともとイギリスのロックが好きなので、自分の持ち味をでかい音で思いっ切り出せましたね。RAMMELLSとしては意外とこの感じはやってなかったからすごく新鮮で。
村山
“UKロックみたいな曲はどう?”って進言はちょいちょい徹にしてたんですよ。そのたびに“いつでも作れるんだけどね”と言われながら、結局バンドでなかなかやれてなかったっていう(笑)。
黒田
あははは。
真田
そうそう。俺、こういうロックなギターはいつでも弾けるのよ。
黒田さんのロングトーンも今回際立ってると思いました。「Beat generation」だけじゃなくて、「I'm a runner」でも。
黒田
確かにそうかも。徹のメロはわりとロングトーンが多い印象があるね。自分ではあまり作らないから新鮮です。
真田
そう言えば、今思い出したんだけど、KIRINJIの「エイリアンズ」みたいな曲をずっと作りたかったんですよ。だから、「I'm a runner」はサビで急にロングトーンにしたのかなって。
無意識にそういうテイストが出たのかもしれないですね。話が戻りますけど、どんな時に世の中に対して違和感を覚えたりするのですか?
黒田
うーん、例えば「Overdrive」の歌詞でも触れている“歳を取ること”。私の周りには“30代、40代はめっちゃ楽しいよ!”という人が多いから、歳を重ねるのがすごく楽しみなんですけど、たまに“ババアじゃん”とか“若いうちが華だよ”みたいな心ない声も聞こえてきたりして。“あれは何なんだろうな”とか“そう言って何をビビらせたいんだろう”とかは中学生くらいの時に思ってましたね。それを言葉にしていかなきゃいけないと感じてて、やっと歌詞にできたところもあったりします。同世代にも違和感を口に出せる人が増えてきた気がするので、私も時代を作っていく人間として“変だな”と思うことを“変だよ”って言い合える世の中にしていきたいです。
真田
違和感みたいなものはこれまでも表現してきたバンドですからね。
ただ声高に違和感を叫ぶんじゃなくて、RAMMELLSの楽曲って根底に愛があるメッセージになってるのがいいですよね。
黒田
“愛”とか“ラブ”とか、特に私が作詞した曲ではめっちゃ歌ってます。むしろ、“意識して言い続けよう”くらいに思ってますね。最後の曲「rain」でも《人生はラブストーリーであるといいな》と歌ってるんですけど、この歌詞でアルバムを締め括れたことがとても気に入ってて。
真田
僕が歌詞を書くにしても、歌うのは自分じゃないので少し楽な面はありますね。黒田が歌うからこそ不思議と強気で書けたりもするんです。
その一方で、真田さんがヴォーカルを取る箇所も増えてきてますね。「I'm a runner」での声のコントラストはすごく良かったですし。
真田
ありがとうございます。「I'm a runner」はAメロの音域が低かったので、僕が歌うことにしたのがきっかけなんですけど、いい感じで歌い分けられたと思いますね。
黒田
結成したばかりの頃は“アルバムの中で徹が1曲まるまる歌う曲があってもいいんじゃない?”って話してたよね。
真田
そうだっけ? 今回作った曲の中で俺が全部歌うやつもあったけど、ボツになったじゃん。
黒田
ていうか、自分でボツにしたんだよ(笑)。あの曲、超いいのに。
真田
いい曲だよね。『Beat generation』には入らなかったけど、いつか陽の目を見るのを待っててもらえればと思います。
最後に、サウンド面で気に入ってる部分を教えてください。
村山
サウンド的には「The sugar」が好きなんですよね。歌詞と音がすごくマッチしてて、甘美な味わいがあるところが上手くできたなと思ってます。
黒田
「The sugar」のあの感じ、いいよね。思わず笑顔になっちゃうくらい、今までのRAMMELLSの曲でもとりわけラブリーな曲になりました。
真田
僕はここ2作でギターテックの方と一緒にレコーディングしてきた経験を活かして、自分なりの音作りができたのが良かったです。特に「think other」では、これまでの人生で一番好きなギターソロが弾けました。ゴリ押し系でありながら段階的に色合いが変わっていくのが気に入ってますね。
黒田
私も「think other」かな。サイケで気怠い感じのギターリフや歌メロも好きで、1度はリード曲に推したくらいなので。「rain」も雨がしとしと降ってた6月に衝動的にパッと作ったんですけど、気分にすごく合ったコードとメロの積み方ができたのがいいなと思ってます。
取材:田山雄士