ZORNのハートフルなリリックが伝える
LIFEの美しさと哀愁

温かみのあるトラックにのせた家族とフ
ードの大切さを感じるリリックに滲み出
た人間性が魅力的なラッパーZORN

ZORNは葛飾区出身のラッパーで読み方はゾーン。昭和レコード脱退後に発表された「Don’t Look Back」には昭和レコードへのリスペクトが込められており、その後8thアルバム「LOVE」をリリース。インスタではパパとしての一面が見れますが武道館への歩みを止めない姿がクール。
ZORNは元々、ZONE THE DARKNESSという名義で活動していました。
ZONE THE DARKNESS時代は荒削りでパワフルな曲が多く、ボディータッチなどもあるバチバチのバトルが特徴のMCバトル『THE罵倒』では3連覇を成し遂げています。R-指定もZORN THE DARKNESSをライバル視し、考え方を変えられたと話しています。
2014年には般若主宰のレーベル昭和レコードへ加入。ZORNに改名し、般若、SHINGO☆西成に次ぐ第3の男として注目を集めました。
昭和レコードからリリースしたアルバム「サードチルドレン」は般若がエグゼクティブプロデューサーを務めており、沢山の人に愛されている名アルバムとなりました。その後、2019年7月21日に昭和レコードを脱退。30歳を迎え、新しい環境に身を置くことで自分の力を試してみたいという思いからの至ってポジティブな理由です。
ZORNは日常的なリリックが魅力的で現在は嫁と子ども2人の4人暮らし。ローンを組んでマイホームも購入しました。イカついアクセサリーを身に纏ってギラギラとしたイメージのラッパーが多いなか、嫁と2児の娘を持つパパという家庭的な一面が逆にヒップホップ界で異端な存在感を放っています。
ZORNはアーティスト活動だけでなく、月曜から土曜はコーキング業をこなして働いており、現場で仕事をし帰ってきたら、家族と夕飯を食べて風呂に入って眠るという生活サイクルを送っています。
リリックを書くのは仕事中や雨の日(仕事が休みになるため)で、武道館とかでライブできるようになっても次の日現場に行きたいとも話しています。
またライブグッズのTシャツも遊び心があってファンからは人気を博しています。

ZORNの楽曲を紹介

「My life (Prod. by DJ OKAWARI)」

繰り返しの生活を綴った楽曲です。”洗濯物干すのもHiphop”のパンチラインはアメトーーク!のラップ大好き芸人でも紹介されました。
台所に立ちコップを洗いながらラップするZORNに哀愁と優しさをヒシヒシと感じます。
サビの”だいたいこんなもんさMy life”と諦念しているリリックには、マグカップの茶渋のように少しずつ滲み出た生活感を感じてグッときます。あまりに当たり前過ぎて何の感情も沸かない日々の生活も、それを当たり前と言える喜びがあるんだということを教えてくれる優しいリリックが最高ですが、夕焼けのような柔らかさと温もりのあるDJ OKAWARIのトラックも堪らないです。

「柴又の夕焼け [Pro. by YAKKLE]」

柴又は邦画のクラシック「男はつらいよ」の舞台でもあるためか、寅さんをイメージさせる映像を差し込んでくる温かいオマージュ。
体温を感じるパンチラインだらけなのですが、個人的に”コツコツと一歩一歩
マスターカードよりティーポイント”が最高。
脳裏にパッと映像が浮かぶし、コツコツと小さな努力を続けている様子が本当に家族を大切にしているんだなと胸が熱くなります。
“遠回りをした人生にしか咲かない花もあるって”は多くの人に刺さるフレーズではないでしょうか。
「男はつらいよ」の主題歌にも”ドブに落ちても 根のある奴はいつしか蓮の花と咲く”というフレーズがあり、ここにも柴又に対するリスペクトを感じて胸が一杯になります。

「『奮エテ眠レ』pro. Michita」

THA BLUE HERBへの敬愛を感じるZONE THE DARKNESS時代の楽曲です。ZORNにはない若々しい荒っぽさがカッコよく、睨みつけるような強気なリリックが聴く人の胸に火をつけます。
“稲穂は実る程に頭が下がる”や”成功が努力よりも先なのは辞書だけだ”といったバースにはハッとさせられる発見が。

「かんおけ [Pro. by O.N.O(THA BLUE
HERB)]」

トラックはTHA BLUE HERBのトラックメイカーO.N.Oによるもので、生死観というハードな題材でも音楽としてきちんと響かせます。
ラストにある怒涛の蹴りっぷりも最高ですが、THA BLUE HERBの楽曲でもある”未来は俺らの手の中”を差し込んでくるところが最ッ高ですね。
最後のカットと最初のカットをエコー写真で合わせてあり、輪廻転生を感じさせられます。
またKOHH宇多田ヒカルと共に歌った楽曲「忘却」も生死観や輪廻転生を歌っており、通ずるものがあるような気がしました。
たまたま被ってしまった可能性もなきにしもあらずですがKOHHもZORNも共に東京出身で年齢も近いことから、運命的なものを感じてしまいます。
双方の最後のフレーズが”今動いた嫁のお腹”「かんおけ」、”いつか死ぬ時 手ぶらがbest”「忘却」なところに「かんおけ」のMVと同じ輪廻転生を感じさせるのも凄い。

ZORNのハートフルなリリックが伝えるLIFEの美しさと哀愁はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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