矢部昌暉「僕のキーワードは、究極の
インドア×究極のアウトドア」 舞台
『イケメン源氏伝 あやかし恋えにし
~義経ノ章~』

舞台『暁のヨナ』などの出演で自身のグループ・DISH//の音楽活動以外にも舞台俳優として表現の幅を広げている、矢部昌暉。2020年2月よりスタートする、舞台『イケメン源氏伝 あやかし恋えにし~義経ノ章~』の主演、源義経役に抜擢された矢部にインタビューを行った。
原作はCYBIRDの女性向け恋愛ゲーム、イケメンシリーズの最新作「イケメン源氏伝 あやかし恋えにし」。日本史と恋愛をテーマにした作品で、平家を滅ぼし鎌倉幕府を開いた源頼朝と、異母兄弟・源義経の源氏兄弟、そして那須与一や武蔵坊弁慶ら総勢10名の宿命を背負う男たちと主人公が恋に落ちるアプリゲームだ。2019年8月にアプリ配信が始まり、早くも舞台化される。
矢部が演じる源義経は頼朝(伊阪達也)の異母弟であり、幕府に反乱する勢力の大将。烏天狗/鞍馬(橋本全一)と“契り”を交わし、人ならざる力を得た。物憂げな雰囲気に似合わず戦いに天性の才を持つ。狂気と紙一重の純粋なその心に、人は強烈に惹きつけられる。
「ミステリアス✕狂気」をキーワードに持つ堕ちた英雄、源義経。日本史が大好きでこの時代にも詳しいという矢部はこの青年をどう演じるのか。
ガチャ一発目で義経が出た!
ーー作品と演じられるキャラクターについて教えてください。
源義経や頼朝を中心とした時代の方たちとプレイヤーが恋愛ができるゲームが原作です。史実同様に、源義経は兄の頼朝に命を狙われ、危ないところを鞍馬(橋本全一)というあやかしに助けられ力を得て、反乱軍として戦っていく役です。僕も歴史が、特に日本史が大好きなので、自分が源義経という役を演じられるということがすごく嬉しいです。
矢部昌暉
ーー「イケメンシリーズ」に主演と決まった時はどんな心境でしたか。
タイトルに「イケメン」とあるので、ちょっと恥ずかしいなと思う部分はありますが、主演で選んでいただいたので、すごくありがたいなと思っています。ゲームも魅力的なキャラクターばかり。舞台は作品を生で感じられるので、観に来てくださったお客様に良かったって思ってもらえるような作品にしたいですし、魅力的な義経を演じられたらと思います。
ーーご自分でゲームをプレイされましたか?
最近始めました。まだプロローグを読み終わったところで、これからじっくり進めていこうかなと思ってます。自分が恋するのかぁと思ってドキドキしてます!(笑)。
ーーお気に入りを選ぶところまで行きましたか?
はい! 義経を選びました。最初に引くガチャで一発目に義経が出たのでおおっ! と思い、運命を感じましたね!
ーー史実の義経と「イケメンシリーズ」の義経のイメージは。
歴史好きの方はもちろん、義経って誰でも知っている方だし、この作品に限らず様々なところで出てくるすごく人気のある武将なので、僕が演じていいのかなっていう不安はあります。稽古もまだなのですが、やるからには来て頂いたお客様に恋していただけるような義経になりたいです。
ーーご兄弟はいますか? 義経・頼朝のように、兄弟関係が共感するところもあるかと思いますが……。
弟がいて、僕は彼のことが好きなんですが、話してもすごくそっけないので多分弟は僕のことがあまり好きではないんじゃないかなと……(笑)。兄だから相談に乗るよっていう態度でいても全然話してこなくて。家族には相談もしているみたいなんですが、あまり僕には構ってくれないんです。なかなか弟とも会う機会が少なくなってきたので寂しくなってます。この作品の頼朝と義経は、僕の解釈ですがお互いのことを思ってはいるんでしょうけど、自分の向かうべき道のために命を狙わないといけないのかなと。兄弟の絆もありますが、敵でもあり。そういう関係性が難しいですが、しっかり表現できればと思っています。
男性と恋がしたい(!?)
ーー矢部さんはこれまでアニメ漫画原作の作品にも出演されていますが、今回はゲーム原作ということで演じ方や役作りへの変化はありますか?
どの作品も原作を理解して、キャラクターと自分をうまく融合して落とし込んでいくというのはあまり変わらないのではと思います。
矢部昌暉
ーー「源義経」と共感できるところ、似ていると思うところは。
頼朝はリーダーシップがすごくあるのに対して、義経は自分の姿についていきたいと思ってもらえる存在だと思います。僕もどちらかというとそういう感じで、今までも主演で舞台をやらせていただいて、主演の立ち振る舞いというものが全然できていないんですが、どちらかというと背中を見てついてきてもらえればいいなという形で一生懸命やってきています。そういうところは似ているのかなと思いますね。
ーーゲーム原作では声を石田彰さんがあてています。アニメファン・声優ファンからの期待値も高いのでは。
やはり原作があるものは、アニメ・声優ファンの方もたくさんいらっしゃると思います。原作ファンの皆さんに受け入れてもらえるような義経を作っていきたいと思いますが、舞台ならではの僕が演じる義経も愛していただけたら嬉しいです。
ーーキャラクターボイスがある作品を演じられるとき、どれくらい舞台に反映されているんでしょうか。
少し前に出演した舞台に関しては、アニメで演じられている方と声質が僕とは全然違いましたのでとても悩みました。でも、完璧に同じ声帯を持っているわけではないため、仕方ない部分もあるのかなぁ。そこではしっかり原作のキャラクターを理解して、自分に落とし込んで進めていけば必然的にキャラクターに見えてくるのだということを学びました。声を似せるのも大事ですが、あまり意識しすぎないようにしていますし、プレッシャーには感じないで出来たらと思います。
ーーゲームをプレイされている中で、義経のここは出したいなどとイメージしていることはありますか。
義経の「ミステリアスと狂気」というキーワードは出していきたいです。ゲームの中ではプレイヤー=女性との距離が近くになるにつれて甘い顔、甘えた顔を見せていくので、そういったギャップとかは見せたいと思っています。
ーー他にもいろんなタイプのキャラが出てきていますが、他に気になったキャラクターは?
安達盛長がかっこいいなーって思います。もちろん一番は義経が好きなんですが、彼のお兄さん感というか、みんなを見守っている姿はちょっと恋しちゃうかも!? この人と恋するとどうなっていくのかなぁ。
ーー男性キャラクターをかっこいいなと思うのは……。
僕はゲームをする時に性別を選べるなら女性キャラを選択することが多いんです。ゲームの時は女性の気持ちになっているんでしょうか(笑)。このゲームは最初からプレイヤーが女性なので、そういった意味ではすごくやりやすいのかなって思います。男性と恋したいのかなぁ(笑)。
矢部昌暉
ーー共演者についてお聞きしたいです。
僕はみなさん初めましてです。すごく人見知りなので……、早く稽古が始まらないかなってソワソワしてます。僕はみなさんが喋っている中に、いつの間にか近くにいて相槌を打っているようなタイプです。谷佳樹さん(玉藻役)は出演されていた舞台を観たことがありますので、今回ご一緒するのがすごく楽しみです。みなさん先輩ばかりなので、吸収していけるところは積極的に学んでいければと思います。
ーー座長として、稽古場での取り組みやイメージしていることはありますか?
積極的にリーダーシップを取れる方ではないので、静かに背中で語るような存在になりたいですし、カンパニーの仲の良さや雰囲気が芝居にも表れていくと思うので、早く仲良くなるためにご飯にいきたいです♪ 自分から「ご飯行きましょう!」って言えたら言いたい! です。
ーー稽古初日の前日って緊張されますか?
顔合わせの時の挨拶が一番緊張します……。前日からずっと考えています。顔合わせの時の独特の雰囲気もあり、最初なのでちょっと笑いを取った方がいいのか、真面目にやった方がいいのかっていろいろパターンを考えてはいるんですが、結局普通の感じの挨拶になってしまいますね。
人生二度目のカラコンで
ーービジュアル撮影についてお聞かせください。
その時に何人かにお会いしてご挨拶させていただきました。伊阪達也さんとは頼朝と義経の兄弟役ですので、一緒に撮影もしました。目を合わせるの緊張しました……! 衣裳の再現度がすごくて、テンションもあがりました。義経の衣裳は羽織っているものを少し着崩している感じなので、実際に舞台に立っている時の立ち振る舞いはどうしようかなって考えていました。それとカラコンを付ける経験が人生で2回目だったので付けるのにすごく手間取りました。カラコンを付けた後、「自分じゃないみたい……」ってずっと鏡で見てしまいました(笑)。
ーーどんなポーズがお気に入りですか?
基本となる全身のビジュアルだと思うんですが、すっと立って、帯を押さえているポーズです。今までキャラクターとして見ていたポーズだ、と!
ーービジュアル面でのリクエスト、こだわりは。
原作のビジュアルがあるので、その美しさを損なわないように自分がどう立ち振る舞うか、意識して稽古したいです。所作を綺麗に見せられるように。殺陣もまだまだ未熟なところがあるので頑張りたいと思っています。
ーーどのシーンを演じるのが楽しみですか?
今回は歌やダンスなど要素が多く、できるかなって心配な部分があり、それが楽しみな部分でもあります。一生懸命演じていければとも思いますし、恋愛ゲームが原作なので恋してもらえるようなカッコイイ義経を演じたいです。
矢部昌暉
「究極のインドア✕究極のアウトドア」
ーー義経のキーワードは「ミステリアス✕狂気」ですが、ご自分はどうですか?
「究極のインドア✕究極のアウトドア」ですね。一人でいることが好きで、家で映画やアニメを見ることが好きなんです。ふと外出したいなって思った時は近場じゃなくて遠くにいきます。ひとりで車を運転して静岡でハンバーグを食べて、帰りにサファリパークに寄ってみたり。ドライブも好きなので、今度はお寿司を食べに日本海側まで行ってみたいなと! 一か百か、すごく極端な感じです。
ーー矢部さんが思う「男性のイケメン像」とは。
余裕がある人はイケメンだし、大人だなって思います。心の中では焦っているかもしれなくても、それを見せない余裕であるように振る舞っているような姿はすごくかっこいいです。自分だけではなく周囲のことも見えるようになるので、人への気遣いもできるでしょうし色々繋がってくると思います。僕が考えるイケメンの原点は「余裕」という言葉ですね。そんな大人になりたいです。
お芝居に正解はない
ーーDISH//としてライブツアーなどもされている中で、音楽活動と舞台役者のお仕事と、お互いに影響を与えているところはありますか?
グループ自体は僕が中学生の頃に結成されたのですが、その前から事務所でライブをやっていました。ライブ=生っていうところは音楽活動と舞台と似通っているのかなと。音楽活動のライブも舞台もすごく好きです。こうしてどちらもやらせていただいているので、どちらかがちょっと上手くいかずつまづいちゃった時の良い意味で息抜きになるというか。芝居で行き詰ったときにグループのメンバーに会うとすごくすっきりするし、逆に音楽で煮詰まったときは芝居で自分とは違った自分になれる。意外と芝居で悩んでいた悩みが、芝居と全く関係ないメンバーと関係ない話をしたところに解決の糸口が見つかったりするので、そこが面白いなと思っています。違う側面で活動させていただいてよかったなと思います。​
ーー挑戦への不安はどうやって解消しますか?
ステージに立っている時は自分にできる最大限を出すように精一杯やっていますが、常日頃不安ですし、作品が終わってからもこれでよかったのかなって思うことがあります。お芝居に正解はないと思っていて、やればやるだけこうしたらよかったなという思いが生まれてきます。不安は解消しませんが、舞台上では思いっきり演じて、自分ができる精一杯を出していきます。
ーー最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
原作は魅力的なキャラクターがたくさんいる恋愛ゲームなので、みんなそれぞれかっこいいです。僕もみなさんに負けないよう、来てくださるお客様に恋してもらって、終わったときに「義経ロス」って言ってもらえるように頑張りたいなと思います。
矢部昌暉
取材・文=松本 裕美 撮影=安西 美樹

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