日本最古の青春パンクバンドここにあ
り!ガガガSPと盟友峯田和伸(銀杏B
OYZ)が魅せた激情の2マンをレポー

ガガガSP主催興行『長田行進曲2019 -東京編』2020年12月10日(火)@新宿LOFT
2019年は『日本最古の青春パンク街道一直線 2000-2003』と題して、2000年発売のデビューシングル「京子ちゃん」から、2003年発売の2ndアルバム『オラぁいちぬけた』までの楽曲のみを演奏するコンセプトツアーで全国を回ったガガガSP。そんな2019年の集大成であり、ここからのガガガSPを指し示す、ガガガSP主催興行『長田行進曲2019 -東京編』が、12月10日(火)新宿LOFTにて行われた。
“青春パンクブーム”と呼ばれた2000年代前半。共に闘い時代を築いた、盟友・峯田和伸銀杏BOYZ)を対バンに迎え、超満員の観客が集ったこの日。前説で登場したコザック前田に大きな歓声が上がり、峯田をゲストに迎えた経緯を語ると、「始めてよろしいか!?」の前田が観客を煽り、イベントの幕が上がる。
峯田和伸(銀杏BOYZ)
前田の呼び込みで、アコギを抱えてステージに登場した峯田。この日が誕生日だった峯田に「誕生日おめでとう!」の声が挙がり、少し照れくさそうな顔を浮かべると、1曲目「人間」の歌とギター一発で、会場を自身の色に染める。MCでは「2000年に「京子ちゃん」を聴いて、震えと涙が止まらなかった。
峯田和伸(銀杏BOYZ)
あの一曲で頑張れた」とガガガへのリスペクトを語り、峯田節全開でカバーしたガガガSP「京子ちゃん」を披露すると、丁寧に言葉を紡いで星空を描いた「新訳 銀河鉄道の夜」、歌とアコギだけで圧倒的スケール感を生み出した「光」など、積み重ねてきたキャリアとスキル、鍛え上げた人間力を惜しみなく見せた圧巻のステージで『長田行進曲』を彩った彼のステージ。
峯田和伸(銀杏BOYZ)
峯田のギターに会場中が歌声を重ねた「BABY BABY」でクライマックスを生むと、「来年は新譜出しますんで」と観客に約束。ラストに新曲「アーメン ザーメン メリーチェイン」を披露し、熱気と余韻をたっぷり残したままステージを去った。
ガガガSP
そして、いよいよステージにはガガガSP登場! 「10年ぶり15年ぶりに見る人、お帰りなさい!」とフロアを見回し、笑顔を見せるコザック前田。<基準に外れていいから 面白い人生にしよう>と観客に伝えながら、自身に言い聞かせるような「すばらしき人生」でライブがスタート。今年で結成23年を迎え、コザック前田は40歳という節目の年齢を迎えたガガガSP。これからも女々しい失恋ソングを歌い続けていく覚悟を歌った「声に出すと赤っ恥」や、「今年、父と太陽と虎の松原が亡くなり、イノマーさんがガンと戦ってます。僕はまだしばらくこっちにいますが、向こうに行っても楽しくやろうという歌です」と歌った「スウィートフォークミュージック」は、年齢と経験を重ねたいまだからこその感情と説得力を持って胸に響き、現在のガガガSPの魅力がしっかり伝わってきた。「忘れられない日々」でフロアを掻き回すと、ミディアムな曲調の「雪どけ」で感傷的な歌を聴かせ、力強く勇ましい「弱男」に会場中が大合唱。ライブバンドとしての本領を発揮し、観客の心や感情をゆっさゆっさと揺さぶった。日本最古の青春パンクバンド、ここにあり!
ガガガSP
1999年に“パンク イズ フォーク”を掲げた頃、2002年にGOING STEADYのツアーに帯同した頃の思い出話を語りながら、アコギを奏でて「夏の匂い」や「あの頃の僕は君にとってどう見えるかい」を届けた中盤。そこにあったのは懐かしさやノスタルジーだけでなく、過去も現在も全てを受け入れ、青春時代を一緒に歩んできた君たちとこれからも共に進んで行こうという前向きな気持ちだった。「僕たちの歌は全部、君たちの歌です」と「僕の歌は君の歌なのさ」を君たちに歌い、<君こそ僕らの本当の 友達だと言えているんだよ>と君に告げた「青春時代」で会場中の気持ちをひとつにすると「線香花火」を着火し、熱狂するフロアに拳と歌声が上がる。
ガガガSP
ガガガSP
圧倒的な説得力を持って鳴らした23年目の「線香花火」や、胸を張っていまを鳴らす最新曲「イメージの詩」が見事に融合して、現在のガガガの姿を映し出した終盤戦。「つなひき帝国」や「国道二号線」で、バンドと観客が思い切りエネルギーを放出すると、「当たり前ではないこの景色を見せてくれてありがとう! ガガガSP、来年もよろしくお願いします」と前田が感謝を告げ、「明日からではなく」の大合唱で本編が終了。MCで「この楽しみを知ってる人は、知らない人より3割くらい人生を得してる」と語っていた前田。そう、この日、感じた興奮や感動や笑顔、秘めたエネルギーや前向きな気持ちを持って、明日からではなく今日から僕たちはまた力強く生きていくのだ。
ガガガSP&峯田和伸(銀杏BOYZ)
アンコールでは、「あたたかい月」で観客を優しく照らすと、間奏部分で峯田がステージに登場して前田と共に熱唱。さらに「今日、ここに来たいと思って来れなかった人が一人いるから、その人の曲を歌います」と始まった曲は、オナニーマシーンの「I♡オナニー」。「オナニー!」の叫びで始まり、闘病中のイノマーに捧げるべく披露した渾身の歌と演奏に、観客も「オナニー」の声を合わせてイノマーに想いを届ける。ラストは「晩秋」を披露し、再びフロアに強烈な熱気が上がる中、ライブは終演。衝動全開だった初期のガガガSPをいま一度振り返る機会となった2019年。忘れかけてた当時の気持ちや想いや感覚を再確認して、次へと進む第一歩目踏み出した感のあった『長田行進曲2019 -東京編-』。ガガガSPは12月28日(土)に太陽と虎で開催される、ガガガSP主催興行『長田行進曲2019 -神戸編-』で怒涛の2019年をしっかり締めくくり、2020年を爆進してくれることだろう。
ガガガSP
取材・文=フジジュン Photo by丸山恵理 (LOFT PROJECT)

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