クラシックにエンタメ性を オールス
タンディングの単独公演~STAND UP!
ORCHESTRA コンマス・農澤明大に訊

2019年12月22日(日)に、STAND UP! ORCHESTRAが、大阪住之江区名村造船所跡地、クリエイティブセンター大阪敷地内にあるSTUDIO PARTITAで初めての大阪公演を行う。個性あふれる総勢30名のメンバーによるバラエティ豊かなクラシック・コンサートは、コンサート・ホールでのものと一味違うものとなるだろう。その公演でコンサートマスターを務める、農澤明大もまた、異色のヴァイオリニストである。
――STAND UP! ORCHESTRAではいつから弾いていますか?
2018年6月にあった京都の「OKAZAKI LOOPS」(京都岡崎音楽祭)での公演からです。
――どうしてSTAND UP! ORCHESTRAに参加しようと思ったのですか?
僕は常々、クラシック音楽が敷居の高いものであることに疑問を抱いていて、クラシック音楽がエンタテインメントとして愛されるようになればいいと思ってきました。STAND UP! ORCHESTRAのメンバーの募集があり、一般的なクラシックのオーケストラとは一線を画するものだと感じたので、オーディションを受けました。
農澤明大
立ち上がって聴きたくなるようなクラシックというコンセプトは面白いと思います。僕は以前に『BBCプロムス』のコンサートをロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで聴いたのですが、すごく大きなホールの前の方(平土間席)が立ち見なんですね。イギリスでもクラシック音楽を立って聴くということが行われているのです。今回の公演は、客席がスタンディングということで、立って聴いて、ノッてもいい。ライヴハウスのような躍動感を一緒に感じたいと思います。
――今回のSTAND UP! ORCHESTRAはどういう内容のコンサートになりますか?
バッハから現代に至るまで幅広い選曲になっています。この30人でどんなことができるのだろうという試みも多いです。曲の良さが引き出せるように、楽器編成は自由に組まれます。たとえば、「ボレロ」やヴィヴァルディの「四季」の「冬」は全員で、「剣の舞」は6人で、ラヴェルの弦楽四重奏曲 第2楽章はカルテットで、演奏します。ピアノとドラムスのデュオ、ティンパニのソロなど、通常のクラシックのコンサートではありえない編成の演奏もあります。独自の編成でいかに演奏効果が出せるか、楽しみです。
――コンサートマスターとしての抱負を聞かせてください。
クラシック音楽ばかりを演奏してきた人、ポップスの方面でやってきた人などなど、メンバーは、みんないろいろな経緯を経て、ここの舞台に立つので、そういう個性豊かなメンバーたちを音楽でまとめ上げるのがコンサートマスターの役割だと思っています。コンサートマスターは、一人ひとりの色を引き出しつつ、オーケストラを引っ張っていかなければなりません。メンバー一人ひとりの個性があふれて、お客さんに届くコンサートにしたいと思っています。
農澤明大
――今、「いろいろな経緯」と言われましたが、ご自身の経緯についてお話ししていただけますか?
4歳でヴァイオリンを始めて、6歳から地元の奈良で一番の先生である、五十嵐由紀子先生につきました。五十嵐先生には相愛大学でもつきましたので、6歳から23歳まで17年間、教わりました。途中、東京都交響楽団のコンサートマスターとして活躍されている四方恭子先生にも2年間つきました。
2011年3月11日に東日本大震災があり、僕は大学3年生でしたが、「僕らにできることはないのか?それは音楽とちゃうの?」と思い、3月13日から、JR奈良駅前で2週間、毎日、8時間から10時間、ヴァイオリンとギターで路上ライヴを行いました。1日目、ひたすら弾いて、20万円以上の義援金が集まり、これは続けんとあかんと思いました。結局、2週間で約200万円の東北への義援金が集まりました。
「僕らは何のために楽器を練習しているのか? 誰のために演奏しているのか? 音楽の力をどう使うのか? 音楽の力には何か使いようがあるのでは?」と思いました。東日本大震災は、僕にとっても大きな出来事でした。
――音楽大学卒業後、神戸大学の大学院で学ばれたのですね。
大学生時代に、クラシック音楽の衰退を実感しました。ただ無心に楽器を練習するだけではなく、僕はクラシックの需要を増やす方法を考えたいと思い、神戸大学大学院国際文化学研究科でアートマネージメントを学ぶことにました。僕自身は、アウトリーチや教育的な音楽普及活動に関心があり、それについて論文を書きました。
農澤明大
また、大学院在学中にNPO邦人ワールドシップを立ち上げて、フィリピン、カンボジア、インドネシアなどのアジア諸国に日本からオーケストラを連れて行ってコンサートをひらく活動を始めました。最初は友人と二人で始めたのですが、1年半前からは僕が代表を務めています。
「ワールドシップ・オーケストラ」は、8,9月と2,3月の年2回、大学生を中心にプロ・アマ混合で、40人から50人のオーケストラを編成し、日本で4日間練習して、アジア諸国に行って1週間演奏します。まる5年やってきて、これまでに延べ1200人のプレーヤーが参加しています。僕は基本的には運営を担っていますが、コンサートマスターも務め、指揮者がいないときは指揮もします。初めてクラシック音楽を聴くアジアの人々に、クラシック音楽って面白いと思ってもらうと同時に、日本人プレーヤーにも演奏して良かったと思ってもらって、彼らを変えるきっかけにもなればと考えています。
――今回のSTAND UP! ORCHESTRAのコンサートについて、メッセージをいただけますか?
クラシック音楽を聴いたことのない人、STAND UP! ORCHESTRAを聴いたことのない人に、聴いてほしいですね。京都の「OKAZAKI LOOPS」で聴いた人には、進化し、次の段階に入ったSTAND UP! ORCHESTRAを聴いてほしい。
そして、クラシック音楽ファンのなかでも、ちょっと違うものを見てみたいという人にこそ、是非、来てほしいですね。「とにかく一回聴いてみなはれ!」と言いたいですね。
農澤明大
取材・文=山田治生 撮影=山本れお

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