フレデリックが描くVISIONのその先ー
ー『FREDERHYTHM TOUR 2019-2020』で
見せたバンドの進化

『FREDERHYTHM TOUR 2019~VISION編~』 2019.12.7(SAT)Zepp Fukuoka
フレデリックが12月7日(土)、福岡・Zepp Fukuokaでワンマンライブ『FREDERHYTHM TOUR 2019~VISION編~』を開催した。本ツアーは2020年2月24日(月・休)に神奈川・横浜アリーナで開催予定の『FREDERHYTHM ARENA 2020~終わらないMUSIC~』に向け、今年4月からSEASON1~5とそれぞれテーマを決めて、ワンマンや対バン公演を行ってきたもので、この日のライブはSEASON4、4か所のZeppツアーのひとつにあたる。
10月にEP「VISION」を発表した彼ら。今回のツアータイトルにある「VISION」はまさにその作品からきているわけだが、そこに収録されている3曲が示す世界観にまず驚いた。ジャケット写真やアートワークは三原康司(Ba)が「未来」をテーマに書き下ろした作品なのだが、フレデリックらしい繰り返し聴きたくなる中毒性高いサウンドを感じさせながらも、確かな「進化」を感じさせてくれる音があった。しかも作品の初回限定盤DVDトレーラーにはSEASON1のライブ映像が収録されており、それらの楽曲は2月に発表したアルバム『フレデリズム2』を中心としたものばかり。さらに、アコースティック編成のライブ映像も収録されるなど、盛りだくさんの内容となっており、今現在のバンドの姿を余すところなく全てさらけ出し、次のステージへ歩みを進めていくのだという想いが伝わってくる作品だったのだ。
フレデリック
ステージには「VISION」のMVのようにいくつものモニターが並び、音と映像が次々と入れ替わっていく。さらに、ステージバックに幾何学模様に張り巡らされたネオン管から「VISION」の文字が浮かび上がるなど、視覚から焦燥感を煽ると、三原健司(Vo.Gt)が「FREDERHYTHM TOURはじめます」と、1曲目「VISION」へ。

フレデリック

ダンサブルなサウンドと強めのビートが鼓動を早め、オーディエンスを早々と躍らせると、赤頭隆児(Gt)のキレの良いカッティングが光る「シンセンス」へ。
フレデリック
艶のある健司の高音域の歌声が快感を高め、続く「パラレルロール」では4人の各々の音がくっきりと際立ち、バンドのテンションはさらに上昇していく。健司は「フレデリックが描く、2時間の「VISION」をしっかり観ていって」と端的に思いを語り、「トウメイニンゲン」「リリリピート」へと繋げる。
フレデリック
康司、高橋武(Dr)が打ち出す軽快なリズムに揺さぶられ、オーディエンスはみな満面の笑みを見せつつ、色香さえ感じる健司の歌声には恍惚とした表情で魅入る人の姿も。とにかく会場全体が多幸感で満ちているのがいい。
フレデリック
かと思えば、オールドスタイルなディスコナンバー「ナイトステップ」で赤頭が哀愁漂う音色を響かせ観客を心地よいまどろみへ誘い込むと、続く「NEON PICNIC」へ。紫煙ゆらめく音のなかで淡々と音を鳴らす4人の姿からはなんともいえない円熟した男らしさを感じてしまう。ステージはそのまま、切ない詞世界に心が締め付けられる「対価」へと繋がるが、フロアの空気はより強く引き締められ、観客は息を飲むように静かにステージを見つめている。ライブ中盤、このたった3曲でそれまでとは全く違う印象を感じさせる4人の姿に、観客はただ感嘆の声を漏らすしかなかった。
フレデリック
フレデリックが見せる多彩な「VISION」に夢中になっていると、ライブは早くも後半戦に。MCで、この日のライブは会場となったZepp Fukuokaのオープン1周年記念日だったこともあり、福岡出身バンドが数多くいるなか自分たちがステージに立てたことに感謝の気持ちを伝える。
フレデリック
高橋はライブ前日に「ステージのドラムがコタツに変わっている」という怖い夢を見たとか。その夢は以前にも見ていたが、今回見た夢ではライブ会場が大きくなっていたらしく、これは予知夢かもしれないので、ゆくゆくはZepp Fukuokaに隣接する福岡ドームでのステージで同じ夢を見たいと、マイペースながらも夢膨らむ話で観客を沸かす。そして、「演出もたくさんあるので楽しんで」と、この日のライブ後半のセットリストについての構成を語る。
フレデリック
今回のSEASON4のライブは全4公演ということもあり、メンバー4人それぞれがセットリストを考案するという取り組みに。札幌は康司、名古屋は赤頭、そして福岡では健司が構成を担当することになり、「懐かしい、楽しい曲をやります」と、その言葉通り「ふしだらフラミンゴ」「バジルの宴」でバンド初期のぬるっとした毒気を含んだサウンドを放ったところへ、「KITAKU BEATS」「オドループ」でたっぷりと踊らせ、本編ラストは「イマジネーション」へ。
フレデリック
「2019年12月7日、今日がフレデリックで一番かっこいいライブにしたい。いつでも最高のライブができると信じてきた!」、健司が叫ぶ想いに呼応する観客たち。バンド力の強さがにじみ出るサウンドは聴く側にもっともっと強い音をくれと貪欲な感情を抱かせるようで、観客の歓声はより大きくなっていく。そしてステージはライブの演奏が終わるのを待たずに幕が閉じ、そこにバンドロゴが映し出される。ライブの終わりが次のステージの始まりを感じさせるような、これまでにない演出に会場からは大きな歓声が沸き起こる。
フレデリック
アンコールではステージの幕に「FAB!!」の文字が映しだされ、会場からは再び大きな歓声が沸き起こる。「Frederic Acoustic Band」の略、アコースティックセットでのライブの始まりだ。「VISION」の楽曲が持つ世界観をより明確に打ち出すライブに、食い入るように魅入るオーディエンスたち。
フレデリック
そして「この先もフレデリックは続いていく。続けるだけがバンドじゃない。アップデートして、可能性を広めていきたい。動画や写真だけじゃない、生のライブだからこそ突き刺さる。そういうバンドになっていきたい。フレデリックだけの音を届けて、ものすごいバンドになっていく」と、改めてバンドに懸ける思いを語り、ラストは「終わらないMUSIC」で終幕へ。
フレデリック
ライブバンドとしての誇りを持ち、音楽で「VISION」を描き、音の可能性を広げていくフレデリック。結成10周年を経て、さらなる高みへと歩みを進める彼らが打ち出す音楽はいったいどんな音がするのか。ステージバックのネオン管が映し出した「MUSIC」の文字。その答えとなるステージは2020年2月24日(月・休)、神奈川・横浜アリーナでの『FREDERHYTHM ARENA 2020~終わらないMUSIC~』で体感させてくれるだろう。
フレデリック
取材・文=黒田奈保子 撮影=渡邉一生

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