THE BAWDIES アニバーサリーイヤー
を締めくくる最新アルバム『Section
#11』から聴こえる普遍と革新

THE BAWDIESすげえな!
結成から15周年、そしてデビューから10周年を記念するアニバーサリーイヤーの締めくくりにすごいやつを届けてくれた。それがオリジナルアルバムという意味では、『NEW』から2年9か月ぶりとなる『Section #11』。
彼らがどんな思いの下、アルバムを作っていったのか、そしてそのアルバムがどんな作品になったのかは、ぜひインタビューを読んでいただきたいが、THE BAWDIESにはまだまだ新たな引き出しがあることを証明する挑戦がリスナーを選ぶようなものにならず、これまでで一番ポップな……言い換えれば、より多くのリスナーにアピールできるオープンマインドな作品になったんだから、思わずTHE BAWDIESすげえな!と快哉を叫ばずにいられなかった。
THE BAWDIESの活動は、ここからさらに加速していきそうな予感! アニバーサリーイヤーの締めくくりは、THE BAWDIESにとって、新たなスタートとなった。
――アニバーサリーイヤーの締めくくりに、すっごいアルバムを届けてくれましたね!
ROY(Vo/Ba):おっ、おぉ~。聞きました? ビクターのみなさん(笑)。うれしい。
――デビューから10年やってきて、THE BAWDIESってこんな跳ね方をするんだってびっくりしたし、一リスナーとしてうれしかったし。どうですか? ご自身でもかなり手応えはあるんじゃないですか?
ROY:そうですね。それはほんとに。もちろん、毎回、前作を更新することがTHE BAWDIESの目標なんですけど、今回は、オリジナルアルバムという意味で前作にあたる『NEW』ではなく、ベストアルバム(『THIS IS THE BEST』)を超えたいという気持ちがあったんです。あそこでTHE BAWDIESの歴史に一区切りつけたわけですけど、そこからの一歩をぬるっと始めたくなかったので、標的にするならベストアルバムだろうって。ベストアルバムって、シングルとか代表曲とかの集大成なので、そういう歴代のキラーチューンに勝つっていうのが今回のコンセプトでした。それぞれにバンドと一緒に歩んできた曲ですから、思い入れもあるんですけど、そういうことは抜きにして、楽曲のクオリティとして、ベストアルバムの代表曲たちを超えるシングルを12枚揃えるみたいな気持ちで作りましたね。なので、ほんとにTHE BAWDIESが今一番いいと感じているものを全部作って、ベストなアルバムを作ろうという感覚で作っていったので、そういう意味では、しっかりベストアルバムを超えられたと思っていますし、すごく手応えも感じています。
TAXMAN(Gt/Vo):うん、もう手応えしかないですよ。ほんとに。オリジナルアルバムを何枚も作ってきて、完成するたびに毎回、満足はしているし、その都度、今のTHE BAWDIESを出せたなとは思っているし、でも、次に作るアルバムはそれをさらに超えなきゃいけないという気持ちはあるんですけど、今回はほんとにその度合いがすごすぎて(笑)。初めて、次のアルバムで、この『Section #11』を超えられるかわからないって感じるくらい、すごいものを作った実感はあります。
JIM(Gt/Cho):ROY君はシングルクオリティの曲を12曲揃えると言ってましたけど、シングルと言ってもただポップなものを指すわけではなく、ちゃんとバラエティ豊かな中で、1曲1曲、それぞれに納得できるところまで持っていけたっていう。それがとっ散らからずずに一本芯が通ったアルバムになったっていうのは、僕たちが15年やってきたからこそできることだろうし。そういう意味でも、ほんとに達成感はありますね。
――MARCYさんはいかがですか?
MARCY(Dr/Cho):メジャー2ndアルバム(『THERE’ S NO TURNING BACK』)みたいに、いろいろな要素が詰まったアルバムになりましたね。ずっと聴いてきてくれてきた人はもちろん、初めて聴く人にも全曲、素直に届くと思います。メジャー2ndアルバムがそうだったんですけど、他のアルバムってソウル色が濃い楽曲が多かったりとか、渋い曲が多かったりとかもあって、このアルバムではこの曲が好きって、みんなが言うのがどのアルバムでも大体一緒だったんですけど、今回は、いろいろな楽曲が今の僕ららしい形で入っているので、全曲、聴きやすいし、どの曲も好きって言ってもらえるんじゃないかなっていうのは、作り終わってから感じました。
ROY:これまで12曲入りのアルバムを作る時って、大体14曲ぐらい作って、そこから選んでいったんですけど、今回は30曲以上作ったんですよ。
――そんなに作ったんですか。
ROY:しかも、“いい曲ができた!”となっても、それをすぐに録るのではなく、まずスタッフに聴かせて、いい反応が返ってきたら、さらにブラッシュアップして、もう1回聴いてもらって、“あ、良くなったね。でも、まだ良くなるかもね”ってまたブラッシュアップしてっていう行程を、1曲につき2、3回、繰り返したうえで録っているんですよ。
THE BAWDIES/ROY(Vo/Ba) 撮影=大橋祐希
ロックンロールだけを武器にやってきて、それでもまだ引き出しがあるんだってことを証明したいというのを今回のアルバムでできたんじゃないかな。
――なるほど。今回のアルバム、12枚のシングルを作ろうという気持ちで臨んだとおっしゃったように、いろいろな曲が収録されているので、一言で、こういうアルバムですねとは言えない、いろいろな魅力があると思うんですけど、個人的には、全体的にポップな印象になっているところがいいと思いました。
ROY:それはポピュラーミュージックとしてもしっかり届けられるものを目指したからです。もちろん、シングルだからことさらわかりやすくするってことではなくて、ロックンロールの生々しい魅力を減らすことなく、ちゃんと伝えつつではあるんですけど、メロディーラインがより研ぎ澄まされたという実感はあります。
――THE BAWDIESはデビューした時から、日本の音楽シーンにロックンロールを定着させることを目標に掲げてきましたが、今回のアルバムをきっかけにTHE BAWDIESのファンは、さらに広がっていきそうですね。
TAXMAN:そうなってほしいですね。

――ポップと言えば、何と言っても2曲目の「SKIPPIN’ STONES」になると思うのですが。
ROY:ありがとうございます。最後に作って、最後に録った曲なんです。ある程度、曲を録り終えて、“時間的にもう1曲録れるけど、どうしようか”って時にデモの中から選ぶこともできたんですけど、最後の1曲は全部詰め込んで、一番いい曲を作ってやろうという気持ちで作ったので、30曲作ってきたもののすべてがそこに集約されている。その意味では、このアルバムを象徴する曲なのかな。ポジティヴな光が出ているTHE BAWDIESの今の状態が伝わると思います。
――イントロのアコギが印象的で、冒頭から気持ちを掴まれます。
TAXMAN:あのフレーズそのものはイントロに加えようと考えていたんですけど、もう一個上の段階でさらに印象に残るようにするにはどうしたらいいんだろうって、違うフレーズも試しながらいろいろ考えている中で、アコギで12弦でやったらどんな感じになるんだろうってやってみたら、どーんとハマッて。その瞬間、これだって手応えがあったんですよ。
――すべてを詰め込んだとおっしゃったように、ファンキーなギターのカッティングが入っていたり、ワーミーを使ったフリーキーなギタープレイが入っていたり、ポップな中にもクセのある聴きどころがありますね。
TAXMAN:こんなに歌メロがポップな曲って、THE BAWDIESでは久々なんですけど、それだけで終わらせずに僕ららしさもしっかり出したいというとことで。ファンキーっておっしゃっていただいたんですけど、ファンキーになりすぎないバランスはけっこう意識しました。やりようによってはもっと玄人好みにもできたんですけど、そのバランスはかなり慎重にと言うか、さっきROYが言ったようにスタッフにも聴いてもらって、“これだとちょっと渋い”とか、“玄人好みすぎる”とかって意見が出たら、ワウの要素を減らしてみるみたいなところは、かなり細かく作っていったんですよ。
JIM:逆にフリーキーなフレーズを後乗せしたりしてね。アプローチがみんなポップになれば、その曲はポップになるかと言ったらそうでもなくて、最初のアコギから雰囲気ががらっと変わるところとか、ワウとか、ワーミーとか、ポップじゃない要素がいろいろ入っていれば入っているほど、ポップな面がどんどん際立つみたいな。絵に例えると、海なのに暖色を乗せていく感覚に近いと言うか、そうすると逆に海に見えてくるみたいな感覚と言うか。そういうところでもポップさを追求していったんですけど、ただ、それをやりすぎると、TAXMANも言ったように玄人向けになったり、ただ面白いねで終わってしまうので、そういうところはほんと、みんなで話し合いながら、前向きに進んでいったアレンジなのかな。それで、結果的に全員の足並みが揃って前を向いて、すごくポップなものとして形になったんだと思います。

――今回、新しいことにもいろいろ挑戦していて、そんなところも大きな聴きどころだと思うのですが、中でもびっくりしたのが最後の「STARS」。ここまでピアノで聴かせるバラードはこれまでなかったですよね?
ROY:なかったですね。
――ギターって入ってます?
TAXMAN:アコギが1本だけ入ってます。ピアノと歌を聴かせたかったんですよ。今までだったら、ギターが2人いるので“入れとこうか”ってなってたんですけど、それはやめて。僕的にはアコギすら入れなくてもいいかなと思ってたんですけど、その曲にプロデュースで入ってくれた本間(昭光)さんが「アコギがあることで、ピアノも映えるから」って。
ROY:元々、デモにはアコギだけ入っていたんですよ。
TAXMAN:じゃあ、そのアコギだけは生かそうってことになりました。
THE BAWDIES/TAXMAN(Gt/Vo) 撮影=大橋祐希
THE BAWDIESがただファンクをやったと思われたら意味がない。“いいアレンジとして入れられなきゃ”というのがずっとあったんです。
――THE BAWDIES的にはどうなんですか? ここまで基本編成にないピアノを聴かせるっていうのは。
ROY:全然、抵抗はなかったですね。「STARS」を作ったのは、割と早い段階だったんですよ。ベストアルバムに入れた「FEELIN’ FREE」という新曲が自分たちの中では攻めと言うか、新たなTHE BAWDIESの一面を見せようと作った曲だったので、ベストアルバムのあと、今回のアルバムを作るってなった時に、「FEELIN’ FREE」よりももっと新しいことに挑戦したいと早速作ったのが、今回、11曲目に入っている「THE BEAT」。そこからさらに、もう1曲、新たなものを作りたいって作ったのが「STARS」で。曲を作り始めた時すでに今までのメロディとは違うなって感覚や、ピアノで弾きながら歌うってイメージがあったので、“ピアノの曲だと思う。ただ、今までやったことはないけど。でも、そうなんだと思う”って話から、じゃあ、もうピアノの曲にしようって。そこで、本間さんとも相談しながら、どれくらいピアノをフィーチャーするか考えたんですけど、最初のイメージ通りピアノと歌だけでもいいぐらいの気持ちで挑みました。
――たとえば、何年か前のTHE BAWDIESだったら?
ROY:ベース、ギター2本、ボーカルとドラム以外のところで、曲を作っていくって発想がそもそもなかったから、こういう曲は生まれなかったと思います。そこを、さっき言った「FEELIN’ FREE」が変えてくれたと言うか、今は新たなことをどんどんやっていっても、THE BAWDIESはTHE BAWDIESだって思えるんですよ。
――ピアノは、誰が?
ROY:本間さんが弾いてます。
――ライブでもやるんですか?
ROY:やります。
――やるんですね?
ROY:やります。
――誰がピアノを弾くんですか?
JIM:内緒です。
――メンバー自ら弾くんですか?
JIM:内緒です(笑)。全部内緒にしてツアーを迎える。そうしよう(笑)。
――なるほど。うーん、なるほど(笑)。
ROY:ハハハ。内緒って言われちゃうと、ねぇ(笑)。それ以上聞けないですもんね。すみません(笑)。

――いえいえ、ツアーでどんなふうに披露するのか楽しみにしています。ところで、今話に出た「THE BEAT」も新しいことに挑戦していますね。ここまでファンキーな曲はなかったんじゃないかと思うし、しかもサイケデリックなところもあるしという面白い曲になりましたね。
TAXMAN:シタールっぽい音色が出るペダルも使ってますしね。
――「SKIPPIN’ STONES」のワウを使ったカッティングもそうなのですが、今回、これまで以上にファンクの要素が入ってきましたね。
TAXMAN:元々、大好きですからね。ただ、ファンクなものって、やるとファンクになっちゃってたんですよね。僕ら的に満足できるものができても、聴く人が聴くと“ただのファンクじゃん”って捉えられることも多くて、その扱いには今までは注意していたと言うか。迂闊にやって、THE BAWDIESがただファンクをやったと思われたら意味がない。THE BAWDIESの楽曲の中に、いいアレンジとして入れられなきゃというのがずっとあったんです。その意味では、今回、うまく落とし込むがことができたからこそ、そういう曲が増えたと思うんですけど、どうですか?
ROY:そういうことだと思います。わかりやすくみんなに届けるという意味で、踊れるものを作りたいってなると、リズムが強調されると思うんですね。その中で、今だったらそれこそヒップホップがメジャーな音楽としてあると思うんですけど、僕らは通っていない。じゃあ、そんな僕らが自分たちが持っているものでみんなを踊らせようとなったとき、最先端にあるのがファンクなので、そこは自然とそうなるのかなってことは作りながら思いましたね。
――おっしゃるように踊れる曲の場合、リズムが要になるわけですが、リズムと言えば、MARCYさん。今回、ファンキーなドラムアプローチについては、どんなことを意識したんですか?
MARCY:デモをみんなで聴いたとき、“ここは残したい”とか、“譲れない”とかっていうのはわかるので、そのリズムをそのまま使うか、ちょっと変形させるか、自分なりにこういうの入れてみたよって聴かせて、“それだとちょっとやりすぎかな”とか、“ここは要らないかな”とか、そういうことを話しながらできたので、はずすリズムみたいなのはそんなに使ってなくて。素直な感じで、元々聴いていたルーツミュージックを土台に練り上げていきましたね。制作期間が長く取れてたから、“こういうのどう?” “こういうのもあるよ”みたいな話ができたので、ないものを一から作ったと言うよりは、今までやってきたことを、聴きやすいように、届きやすいようにやっていったって感じですね。
THE BAWDIES/JIM(Gt/Cho) 撮影=大橋祐希
いつもならズバッと突き付けておしまいにしちゃうんですけど、「HIGHER」のサビなんてめちゃめちゃポップで、今までと違う感じはありますね。
――10曲目の「GET UP NAD RIDE」も新しい。この曲はちょっとサザンロックっぽいところがあります。
ROY:そうですね。サザンロック自体は新しくないんですけど(笑)。
JIM:ハハハ。
ROY:でも、僕らにとってはすごく新しいアプローチですね。ルーツミュージックを土台にしているという意味で、ブラックミュージックがメインであることに変わりはないんですけど、視野がどんどん広がってきた中で、段々、白人のミュージシャンのアプローチも面白いと思うことも出てきたんです。
――そう思うきっかけが何かあったんですか?
ROY:ブラックミュージックと同じくらい僕らのルーツになっているガレージロックを聴いているうちに、いろいろな国にガレージロックが存在していることを知って。たとえば、南米とかアジアとか、そういう欧米以外のガレージにハマり始めたんですけど。その中でアジアにはアジアの面白さがあると気づいたとき、THE BAWDIESもまさにそうじゃないかって。今まで黒人になりたいという気持ちが、特にシンガーとしてあって。そのコンプレックスがすごくあったんですけど、それぞれの国にそれぞれのガレージがあると知ったとき、そのコンプレックスが取っ払われて、より自然に表現できるようになっていたところから、白人音楽も受け入れられるようになったんですよ。
――例えば、誰を受け入れられたんですか?(笑)
ROY:誰ってことはないんですけど(笑)、でも、ブリティッシュビートのバンドはそうですよね。今までは、まずブラックミュージックあってのブリティッシュビートってところがあったんですよ。ビートルズを含め、そうだったんですけど、ブリティッシュビートはブリティッシュビートとして、改めて一つのジャンルとしてしっかり聴けるようになってから、ビートバンドだったらこうするかな、みたいなことも考えるようになって。で、ビートバンドから派生して、70年代、サザンロックになっていったり、ハードロックになっていったり、そういうのも自然に理解できるようになっていったんです。
――1曲目の「DON’ T SAY NO」は、まさにブリティッシュビート調の曲ですね。
ROY:そうなんですよ。作りながら、フーとビートルズとモンキーズ……そこは敢えてモンキーズなんですけど、それらを混ぜて、THE BAWDIESのガレージパンクをまぶすみたいなイメージで作りました。
――なるほど。話を「GET UP AND RIDE」に戻すと、ああいうR&Bと言うか、ブルージーなところもある曲にバンジョーを入れるアイディアも面白いですね。
TAXMAN:バンジョーを使うのは、THE BAWDIESとしては初めてですけど、この曲に入ってたら最高じゃんと思って、友達が持っている5,000円くらいのギターバンジョーを借りてきました(笑)。あの世界観にしっかりはまる楽器はバンジョーしかないって自分では思ったので、どうしても入れたかったんですよ。
ROY:面白いと思いましたね。ああいう楽曲だと、コテコテになりすぎちゃうこともあるので、むしろ面白い要素はどんどん入れたいと思ってたんです。
TAXMAN:バンジョーを入れると、ポップになるんですよね。明るくなると言うか、渋くなりすぎず、でも、田舎っぽさもあって。
THE BAWDIES/MARCY(Dr/Cho) 撮影=大橋祐希
ずっと聴いてきてくれてきた人はもちろん、初めて聴く人にも全曲、素直に届くと思います。
――そんなところからも曲作りに自由に取り組んでいることが伝わってきます。そして、「HIGHER」「BLUES GOD」「SHE’ S MY ROCK’ N’ ROLL」という中盤の3曲では、しっかりTHE BAWDIESらしいガレージロックを押し出している。中でも「SHE’ S MY ROCK’ N’ ROLL」のギターの歪みはエグさという意味では、けっこうこだわりもあるんじゃないですか?
JIM:本来、こんなに歪ませなくてもいいんですけどね(笑)。60年代のガレージっぽくコードをかき鳴らしてもいいんですけど、アップデイトする感じと言うか、“古臭いな”で終わっちゃうのはイヤなので、曲をフラットに聴いてもらうという意味では、こういう楽曲なのに歪んでいるところが個人的には好きです。中盤の3曲はどれもいつものTHE BAWDIESっぽいと言えば、ぽいんですけど、アップデイト感がある。とがっているけど、全部ちゃんとポップな面があるんです。そこが素晴らしいところなんじゃないかな。いつもならこのままズバッと突き付けておしまいにしちゃうんですけど、「HIGHER」のサビなんてめちゃめちゃポップで、今までと違う感じはありますね。
――「BLUES GOD」もスライドギターが唸っているのにサビはディスコビートっぽくなるという組み合わせの妙が「GET UP AND RIDE」のバンジョーと同様に耳に残るところではありますね。
TAXMAN:サビは、だからすごく大事に作ったんですよ。
ROY:そうだね、全曲ね。
TAXMAN:「BLUES GOD」もそのまま、それなりのサビをつければ、バランスのいい曲にはなると思うんですけど、今回、そうしたくなくて、サビだけ急にこうなっちゃうっていうのを狙って、サビがすげえって思ってもらえるように何回も練りながら作ったんです。それはどの曲も。
ROY:それがTHE BAWDIESの良さと言うか、邦楽でもなくて、洋楽でもないってところが。僕ら、邦楽から受けている影響ってほぼゼロに近いんですけど、THE BAWDIESが洋楽と違うのは、サビをすごく意識しているところなんです。それこそ僕らが好きな音楽だと、サビって概念はあまりないと思うんですよ。でも、日本で届けたいとなったとき、やっぱりサビがないと、どこを聴けばいいのってなってしまう。だから、僕らもそこは自然体でやっているんですけど、日本の人が聴くと、洋楽みたいに聴こえる音楽が、海外の人が聴くと、特にサビの部分が日本的と感じるみたいで、そこがおもしろいところなのかな、THE BAWDIESの。
JIM:謎の異国感がすごいよね(笑)。
――今日、お話を聞かせてもらって、アルバムを聴いたとき以上にTHE BAWDIESは、まだまだ進化できる。やっていないことがまだまだいっぱいあると感じました。
ROY:結成から15年、デビューから10年やってきて、しかもロックンロールだけを武器にやってきて、それでもまだ引き出しがあるんだってことを証明したいというのもあったんですよ。それが今回のアルバムでできたんじゃないかな。
――THE BAWDIESすげえな!って思いました。
TAXMAN:みんなに言ってください(笑)。

――ところで、THE BAWDIESの引き出しの一つだと思うんですけど、初回限定盤にカップリングされる特典DVDには、どんな映像が入っているんですか?
ROY:『THE BAWDIES A GO-GO!!』という以前、SPACE SHOWER TVさんでレギュラーでやっていた番組を、今回、新たに撮り下ろしたものが収録されています。何が一番お世話になったって、SPACE SHOWER TVさんって音楽チャンネルにもかかわらず、僕らの素顔を届けることができる番組をやらせてもらえたこと。そもそも、僕らはクールな人間ではないと言うか、わちゃわちゃしている。元々、子供の頃から一緒に育っているってこともあって、そんな4人がそのまま大人になったようなところがTHE BAWDIESの一つの良さだと思うんですけど。それをそのまま番組として届けたことで、THE BAWDIESってこんなに楽しい連中なんだって思ってもらえたんじゃないかと思うんですよ。ロックンロール・バンドってクールなイメージがあるし、僕らCDのジャケットではふざけてはいないので、意外とわちゃわちゃした部分ってライブに来ないと伝わらなかったんですけど、番組を通して、そういうところも知ってもらえたのは大きかったですね。もちろんやっている僕らもすごく楽しくて、みんなに愛された番組だったんですけど、それが今回、撮り下ろしの特別編ってことで、1時間収録されています。番組当初、よく出ていただいた武井壮さんが、僕らは武井先生って呼んでいるんですけど、6年ぶりに帰ってきたことも含め、原点に戻って、体力測定的なことをやりながら罰ゲームがある。そして、その罰ゲームが今までで一番ハードなものになっている……というところまでしか言えないんですけど、スタッフ、メンバーが収録中ずっと笑ってたので、見てもらえれば絶対、笑顔になってもらえると思いますし、音源しか聴いたことがない人は、これを見てもらえれば、THE BAWDIESをより愛してもらえるんじゃないかなと思います。
――最後にアルバムタイトルについて聞かせてください。インディーズ時代から数えて11枚目のアルバムだから『Section #11』としたそうですが、Sectionという言葉は、どこから?
ROY:僕ら、音源を出させてもらうたび、変化はしていっているけど、ロックンロールを伝えるというところでは何も変わっていないし、その変化も進化を必要としているわけではないんです。なぜなら、ロックンロールは元々生まれた時の形がかっこいいものだからです。ただ、それをその時代その時代で伝えていくためには少しずつの変化は必要だと思っている。だから、変化はしているんですけど、第1部とか第2部とか、第1章とか第2章とかいうほどの大きなものではない。むしろ節という意味合いを持つSectionという言葉がふさわしい。何も変わっていないものが今、第11節まで来ているという意味で、今回、『Section #11』とつけたんです。あと、来年11周年という意味も少しあります(笑)。

取材・文=山口智男 撮影=大橋祐希
THE BAWDIES 撮影=大橋祐希

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