【SCREEN mode インタビュー】
今回のシングルでSCREEN modeの
個性みたいなものを出せた
今の時点での自分にとっての
理想形を提示できた
3曲目の「君といるそれだけで」はまた趣が違って、ブラックミュージックに通じるテイストを押し出したアーバンな曲ですね。
雅友
SCREEN modeはどの曲もメロディーを書き込みすぎるから、全部が表題曲っぽかったりするんで、今回はできるだけそうならないようにしたいと思ったんです。サブスクとかで流れるということは、仕事をしながらとか、ドライブ中とか、部屋を掃除しながら音楽を聴くっていう場面もあるじゃないですか。そういう時にサラッと聴けるようなものを作りたいという想いがあったし、サウンド的にもプレイリストとかに入れてもらった時に、他のJ-POPのアーティストと並んでも“急にアニソンがきたぞ!”ってならないようなものにしたいと思って。「君といるそれだけで」はそういう思考のもとに作った曲です。
勇-YOU-
もともと僕は高校生の頃からブラックミュージックが好きで、それがきっかけになって音楽を始めたんですね。ロックな楽曲でデビューさせてもらって、ロックの世界観を雅友さんに教えていただいて、SCREEN modeの楽曲が大好きでずっと歌っているけど、やはりルーツはブラックミュージックなので、いつかそういうものもやりたいと言っていたんです。そうしたら、SCREEN modeでもR&Bの要素がある楽曲を織り交ぜてくれるようになって、その系譜で「君といるそれだけで」も作ってくれたんだと思います。僕の野望としては、今はロックな路線を中心にやっているけど、いろんなことにチャレンジしていって、もっとR&Bっぽいこともできるといいなと。だから、この曲はすごく好きだし、レコーディングの時も楽しく歌えました。
「君といるそれだけで」のような曲も楽しめるというのはさすがです! ファルセットを突き詰められたこともそうですが、歌と真摯に向き合っていることが分かります。
雅友
勇-YOU-はただ単に人気のある声優だからという理由でアーティストデビューしたわけじゃないんですよ。本当に音楽が好きで、歌が上手いから一緒にやろうという話をしたんです。声優とシンガーを両立させていて、両方に情熱を注いでいるし、勇-YOU-のことはミュージシャン/シンガーとして、本当に信頼していますね。
今作の3曲を歌い分けられることからもスキルの高さがうかがえます。「君といるそれだけで」のギターについても話していただけますか。
雅友
これもアコギがメインで、エレキギターはサビのカッティングだけですね。“以上!”みたいな(笑)。「君といるそれだけで」はフューチャーポップみたいな部分もあって、そういう曲で“じゃあ、僕はワウを踏んでカッティングしたいです”みたいなことになると、自分が表現したい空気感とは違ってくるんですよ。そうなると、コンポーザーとしても、ギタリストとしても満足できない。自分がイメージしていた楽曲とは違ってしまうし、ギターが浮いていることも自分で分かるんで。だから、今回の3曲みたいな背景に溶け込んだギターということに物足りなさは感じませんね。
そういうスタンスに貫録すら感じます。あと、今回の「One Wish」を聴いて、おふたりとも話をさせていただいて、現在のSCREEN modeはより幅を広げて、面白いところに入りつつあることを感じました。
雅友
最近、自分でもそう思うようになりましたね。自分たちはアニメソングの真ん中にいるからこそ、それに則ったフォーマットだけでやるというのは甘えに感じるんですよ。アニメの主題歌だからってアニメっぽいものをやっているとループしていくだけで、アニソンの枠が広がっていきませんよね。「One Wish」もJ-POPのリスナーが聴いたら“アニソンだね”という感じだと思うけど、それはそれでいいと思っていて。だって、アニソンをやっているわけだから。ただ、そこにあるボキャブラリーはアニソンではないというのが、今の時点での僕にとって理想のかたちで、今回そういうものを提示できたんじゃないかと思ってます。あと、ヴォーカルの音域を広げるというのも最初のうちは戸惑いがあったけど、広い音域を使って書くことに慣れてきたというのがあって。勇-YOU-もそれに乗ってちゃんと表現できるようになってきたし、今回のシングルでSCREEN modeの個性みたいなものを出せた気がしています。なので、それを感じてもらえると嬉しいですね。
勇-YOU-
新しいということでは、今回は歌詞の解釈という面でも新しいところに行きました。SCREEN modeでは自分で歌詞を書く時もあるけど、作詞家さんにお願いすることも多くて、今回のシングルのカップリングは松井五郎さんと村野直球さんが書いてくださったんですね。僕は作家さんにお願いする時は、シンプルなテーマしか伝えないことが多いんですよ。例えば“失恋したけど、今でも恋焦がれている曲にしたいです”とか。今回も大まかなテーマを伝えたら、松井さんは切ない恋模様を描いた「COLLAGE」を書いてくださって、村野さんは「君といるそれだけで」というハッピーなラブソングを書いてくださった。で、いつもは歌詞を受け取ってそのままレコーディングすることが多いんですけど、今回は大きなテーマからさらにブラッシュアップして、いろいろ考えて、登場人物の関係性とかも雅友さんと話し合ったりした上でレコーディングに臨んだんです。だから、自分の中にひとつのストーリーが明確に見えている状態で歌うことができた…それが自分の中ではすごく大きくて。今まで以上に説得力のある、より響く歌が歌えたんじゃないかと思ってます。その辺りも含めて「One Wish」は自信作なので、より多くの人に届いてほしいですね。
取材:村上孝之