【ライヴレポート】THE NOVEMBERS、
「今バンドはなかなか面白いことにな
ってる」

THE NOVEMBERSが11月11日、渋谷TSUTAYA O-EASTにて<NEO TOKYO -20191111->を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。
2019年11月11日。11月はTHE NOVEMBERSの月である。

アンコールで出てきた小林祐介が「今バンドはなかなか面白いことになってる。今日のライヴでもその片鱗が出ていたんじゃないかと思う」という意味のことを言った。この言い方はずいぶん謙虚だな、とぼくは思った。面白い、というよりはすごい。すごい、というよりは、なにか圧倒的な、揺るがぬ絶対的なものに出くわしたという鮮烈な実感が心とカラダを揺さぶっている。結成以来14年、デビュー以来12年。THE NOVEMBERSは進化に進化を重ね、素晴らしいバンドになった。
<NEO TOKYO -20191111->と題したこの日のライヴ。今年3月に最新作『ANGELS』を発表して以降、全国8箇所にわたるツアーのあとも、1stアルバム『picnic』リリース11周年記念ライヴ<天使のピクニック>開催、GEZAN主催の<全感覚祭>への出演、そしてDats、Tempalay、フリクション、戸川純downy、Borisといった多様なアーティストとの対バンなど、実に精力的にライヴをこなしていた。高松浩史のBAROQUEへの客演、ケンゴマツモトの新ユニットWhen、吉木諒祐のMEAT EATERS、小林祐介のソロやpollyのプロデュースなど、課外活動も盛んだった。そうした全てが血となり肉となって、今のTHE NOVEMBERSに結実している。
ステージ上にはメンバー4人だけ。映像はない。照明は効果的だが必要最低限。ステージは暗く、遠目ではメンバーの表情もはっきりうかがえない。MCらしいMCも、演出らしい演出もない。ただ、黙々と歌い演奏するだけ。だがそんな徹底したミニマリズムとストイシズムからは、音だけで満員の観客を完璧に説き伏せられるという絶対的な自信がうかがえる。意表をついて『zeitgeist』収録の「Louder Than War (2019)」に始まる演奏は、かなりハードでソリッド。メンバーのプレイヤビリティの高さはもともとだが、堅牢に積み上げられた建築物のような安定した演奏の上に、強靱なノドを駆使しての小林のシャウトが響き、それは以前よりもさらに研ぎ澄まされ、強く、美しくなっている。そう、THE NOVEMBERSの音は美しい。そしてその音の端々からは彼らが影響を受けたであろうニューウエイヴやポストパンク、シューゲイザーやポストロック、オルタナティヴロックなどの断片が聞こえ、そしてステージ上の佇まいからは、彼らの美意識を形成したであろうヴィジュアル系バンドの匂いが漂う。ギターがハードに鳴り、リズム隊がグルーヴする演奏からは、かつてのBLANKEY JET CITYのような剥き出しの肉体の強さと逞しさを感じた。進化と成長と共に、THE NOVEMBERSの表現はどんどん素直に、開かれたものになっている。
楽曲のいくつかは大胆なアレンジが施されていた。なかでも際だっていたのが「NEO TOKYO」と改題された「TOKYO」だろう。“ネオトーキョー”とは、大友克洋の漫画/アニメーション作品『AKIRA』からとっている。今から30年以上も前に発表された『AKIRA』は、2020年に東京オリンピックを控えた2019年の東京を舞台にした予言的SF作品だ。第三次世界大戦のあとの荒廃した都市が“ネオトーキョー”として生まれ変わり、若者たちが躍動する。彼らが切り開く新しい都市、新しい時代の象徴が“ネオトーキョー”。つまりTHE NOVEMBERSは、ここから、この瞬間から新しい時代が始まるのだと宣している。演奏の後半はアニメ版『AKIRA』に使われた芸能山城組「金田のテーマ」をアレンジ、トライバルなパーカッションと“ラッセーラ”というかけ声で、“ネオトーキョー”の狂騒を表現する。この急展開にはさすがに驚かされたが、コンサートの出囃子に使われたガムランっぽいインスト(彼らのオリジナル)と合わせて、次の彼らの方向性が見えた気がする。
この人たちは真面目だ。そして安定している。ライヴごとの出来不出来が少なく、しかも常に前回以上を目指す向上心も強い。少なくともぼくが彼らのライヴを見るようになった2010年代以降は、危ういところや危なっかしいところがほとんどない。彼らのような内向的で繊細でいびつな表現を身上とするアーティストは、おおむね、いつ切れて墜落してもおかしくない狂気や危うさや不安定さを内包していることが多いが、彼らにはそういうものを乗り越えいつも高水準のライヴをやれる意思と技術、精神の強さ、そしていい意味での誠実さと生真面目さがある。内面の欠損やキズや歪みをさらけ出して観客の共感を得るというよりも、むしろそのキズを抱えたまま、圧倒的に強く、逞しく、大きくなることで、孤独や恐れや劣等感を克服し、“絶対的な音”として、提示している。その強さが観客に力を与えるのだ。
この日の模様は後日映像作品としてリリースされるようだ。そしてライヴ終了後まもなく来年5月から始まる新ツアー<消失点>も発表された。7/11(土)の東京・新木場スタジオコースト公演も決定している。小林の言う「面白くなっているTHE NOVEMBERS」の全貌がそこで明らかになるはずだ。“消失点 (Vanishing Point)”を経て、彼らはさらなる異次元へと突き抜けていく。

取材・文◎小野島大
撮影◎Susie

■<THE NOVEMBERS「NEO TOKYO -20191111-」>2019年11月11日@TSUTAYA O-EAST セットリスト

01. Louder Than War(2019)
02. 彼岸で散る青
03. 黒い虹
04. Dream of Venus / children
05. みんな急いでいる
06. クララ
07. plastic
08. Everything
09. 永遠の複製
10. 鉄の夢
11. Ghost Rider
12. こわれる
13. Xeno
14. NEO TOKYO(I. TOKYO / II. 金田)
15. DOWN TO HEAVEN
16. BAD DREAM
17. 今日も生きたね
encore
18. ANGELS

※2019年11月11日の公演を収録したライブ映像リリース決定
※詳細は後日発表


■ワンマンツアー<THE NOVEMBERS TOUR -消失点->東京公演決定

7月11日(土) 東京・新木場STUDIO COAST
open17:00 / start18:00
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,500 税込 (ドリンク代別)
ぴあ (P: 170-899)、ローソン (L:71785)、e+
一般発売:12月7日(土)
※小学生以下の入場不可
【オフィシャル先行受付】※全公演受付
制限枚数:1公演につきお一人様4枚まで
受付期間:2019年11月16日(土)23:00~11月24日(日)23:59
https://w.pia.jp/t/novembers-of/


■ワンマンツアー<THE NOVEMBERS TOUR -消失点->

5月16日(土) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK
open18:00 / start18:30
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込(ドリンク代別)
ぴあ(P:170-300)、ローソン(L:72824)、e+、LINE TICKET、FOB TICKET
(問)FOB新潟 025-229-5000

5月22日(金) 愛知 名古屋CLUB QUATTRO
open18:00 / start19:00
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込(ドリンク代別)
ぴあ(P:170-503)、ローソン(L:42929)、e+(プレ11/21-25)
(問)JAILHOUSE 052-936-6041

5月24日(日) 宮城 仙台LIVE HOUSE enn2nd
open18:00 / start18:30
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込(ドリンク代別)
ぴあ(P:170-459)、ローソン(L:22329)、e+、チケットGIP
(問)GIP 022-222-9999

5月29日(金) 大阪 梅田CLUB QUATTRO
open18:00 / start19:00
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込(ドリンク代別)
ぴあ(P170:219)、ローソン(L:51945)、e+
(問)GREENS 06-6882-1224

5月31日(日) 広島 CAVE-BE
open18:00 / start18:30
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込(ドリンク代別)
ぴあ(P170:134)、ローソン(L:62064)、e+
(問)夢番地広島 082-249-3571

6月13日(土) 北海道 札幌SPiCE
open18:00 / start18:30
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込(ドリンク代別)
ぴあ(P:170-099)、ローソン(L:11407)、e+(プレ11/20-24)、タワー札幌ピヴォ店、LINE TICKET
(問)SMASH EAST 011-261-5569

6月20日(土)鹿児島 SR HALL
open18:00 / start18:30
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込(ドリンク代別)
ぴあ(P:170-611)、ローソン(L: 81349)、e+
(問)BEA 092-712-4221

6月21日(日) 福岡 The Voodoo Lounge
open18:00 / start18:30
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込(ドリンク代別)
ぴあ(P:170-611)、ローソン(L:81349)、e+
(問)BEA 092-712-4221

一般発売:11月30日(土)〜
※小学生以下の入場不可
【チケットオフィシャル先行受付】
受付期間:11月11日(月)23:00~11月17日(日)23:59
制限枚数:1公演につきお一人様4枚まで
https://w.pia.jp/t/novembers-of/


■<TOUR –天使たちのピクニック->

11月21日(木) 京都 MUSE
open19:00 / start19:30
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込(ドリンク代別)
ぴあ(P:163-884)、ローソン(L:53464)、e+
GREENS 06-6882-1224

11月22日(金) 静岡 UMBER
open19:00 / start19:30
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込(ドリンク代別)
ぴあ(P:163-415)、ローソン(L:42616)、e+(pre9/6-9)
JAILHOUSE 052-936-6041

11月24日(日) 金沢 vanvan V4
open18:30 / start19:00
▼チケット
ALL STANDING 前売¥4,000 税込み税込(ドリンク代別)
ぴあ(P:163-060)、ローソン(L:51508)、e+
FOB金沢 076-232-2424

■<2MAN TOUR BAROQUE × THE NOVEMB
ERS「BRILLIANCE」>

12月01日(日) 愛知 FUSHIMI JAMMIN’
open17:30 / start18:00
(問)SUNDAY FOLK PROMOTION 052-320-9100

12月21日(土) 大阪 ESAKA MUSE
open17:30 / start18:00
(問)SOUND CREATOR 06-6357-4400

12月25日(水) 東京 SHIBUYA STREAM HALL
open17:45 / start18:30
(問)NEXTROAD 03-5114-7444

▼チケット
スタンディング¥5,000(tax in) ※ドリンク代別
一般発売:11月16日(土)10:00~

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