嵐・大野智の歌がナチュラルに響く理
由 心配性な少年はどう変わってきた

(参考:・大野智がステージで見せる集中力 シャイな性格に秘めたエネルギーとは)

 大野が自然体であることはファンの間でも有名な話。そもそも嵐自体、メンバー全員が気取ることのない「肩の力の抜けたグループ」という印象だが、とりわけリーダー大野の自然体っぷりは群を抜くという。メンバーの松本潤は大野について「それが本人にはあたり前なのかもしれないけど、何か起きても本当に動じない。常に自然体だから自分を『よく見せよう』っていう意識が、普通の人より少ないんだろうな」と分析。また二宮和也も「バラエティー番組でも歌番組でもコンサートのMCでも、リーダーは決して自分から率先して喋ろうとしない。頑張らないところが逆にいいんだよね」と過去にインタビューで話している。

 しかし、当の本人である大野は自身についてこう語る。「嵐になった当初は他のアイドルたちと自分を比べる毎日だった。色んなことに潔癖なところがあったし、ずっと心配性だった。だけど嵐での活動を経ていまは自信もついてきたし、そういうところがなくなった。この10年で無くなったのはそういうA型の部分」(『WiNK UP』2009年10月号)。生まれながらに芸術家肌であった大野もデビューからしばらくは几帳面で神経質、心配性な「A型」の性格を持ち合わせていた。しかしその後のたゆまぬ努力によって徐々に自信を会得、現在のようにリラックスした自然体で振る舞えるようになったのだろう。

 そんな大野の「変化」はパフォーマンス、例えば歌唱やダンスからも見て取れる。デビュー曲「A・RA・SHI」を聴くと、幾つかの箇所で少々ぎこちないビブラートがみられる。もちろん一般的なアイドルと比較すれば抜群に巧い歌唱なのだが、まだ技術を習得したてで自分のモノになりきっていない、やや肩肘が張った印象。同じことは初期のファルセットやフェイクでも言え、そのようなテクニックを使う前後で本人が「意識」しているのが聴いていてもわかる。

 ところが、昨年リリースされたアルバム『LOVE』収録の「hit the floor」などでの彼の歌は、そのような気配を微塵も感じさせない。一曲を通じてごく自然な流れで高度なテクニックを織り交ぜながら歌う。ファルセットやビブラートを過剰に意識させることなく、耳にすっと溶け込んで聴こえるのだ。難しい技術を自分のモノにするーー言葉にすると簡単だが、その陰には相当な努力があったに違いない。日頃のボイストレーニングや数々のコンサートを重ねることで、大野はパフォーマンスにおいても「自然体」で望めるようになったのだ。

 4月18日からは大野智が主演する ドラマ『死神くん』(テレビ朝日系)の放送がはじまる。きっと役者業においても、歌と同様に自然体で演じる姿をみせてくれるだろう。(北濱信哉)

アーティスト

リアルサウンド

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着