2019年10月25日 at マイナビBLITZ赤坂

2019年10月25日 at マイナビBLITZ赤坂

【LEO今井 ライヴレポート】
『LEO今井自主企画ツーマン
「大都会ツアー」』
2019年10月25日
at マイナビBLITZ赤坂

2019年10月25日 at マイナビBLITZ赤坂(LEO IMAI)
2019年10月25日 at マイナビBLITZ赤坂(ZAZEN BOYS)
2019年10月25日 at マイナビBLITZ赤坂(LEO IMAI)
2019年10月25日 at マイナビBLITZ赤坂(LEO IMAI+前野健太)
2019年10月25日 at マイナビBLITZ赤坂(LEO IMAI+呂布カルマ)
2019年10月25日 at マイナビBLITZ赤坂(LEO IMAI+向井秀徳)
2019年10月25日 at マイナビBLITZ赤坂
2019年10月25日 at マイナビBLITZ赤坂
 カバーEP『6 Japanese Covers』を引っ提げた、LEO今井のツーマンツアー『大都会ツアー』のファイナル公演が、10月25日にマイナビBLITZ赤坂にて開催された。今回の企画は全公演が自身のバンド・LEO IMAI (LEO今井、岡村夏彦(Gu)、シゲクニ(Ba)、白根賢一(Dr))と前述のEPでカバーしたアーティストとののツーマン形式で行なわれ、前野健太呂布カルマ、人間椅子、ZAZEN BOYS 、eastern youthという超豪華ゲストを各地で招聘。そんな濃厚なツアーの幕引きを彼らとともに務めたのは、ZAZEN BOYSと、ゲストとして迎えられた前野健太と呂布カルマ。鳴り止まぬ轟音、凛とした緊張感、迸る熱量――音楽がもたらす“衝動”と“沈着”が、時間という概念を完全に忘れさせてくれた至極の一夜。言うまでもなく、最高だった。

 最初に登場したZAZEN BOYSは、向井秀徳(Vo&Gu)の“MATSURI STUDIOからやって参りました、ZAZEN BOYS”との挨拶をきっかけに「Honnoji」でスタート。広いステージの中心部に向井、吉兼 聡(Gu)、MIYA(Ba)、松下 敦(Dr)が円形にセットしているさまはミニマムだが、そこから鳴らされる音圧、発する気迫、鋭く空を切る緊張感、ビリビリと身体を打つ波動は、ダイナミックかつ自由で、痛いほどに強烈。冒頭から身震いが止まらなかった。

 そんな音の渦中に身を置きながら思い至ったのは、「Himitsu Girl’s Top Secret」や「Cold Beat」で突如織り交ぜられる変拍子やリズム変化、独創的な歌詞はもちろんだが、ライヴを体感して特に美しいと感じるのは“間”だということだった。彼らが生み出す間は組み込み方が大胆なのに、実に静的。その理由を考えると、やはりそれはZAZEN BOYSの楽曲から感じさせる“和”の凛とした空気があるからこそだと思える。だからこそ、「WHISKEY & UNUBORE」の前に向井が歌った童謡「夕焼け小焼け」の溶け込み方も自然であったし、その中で彼は“分かるかなぁ、分かんねぇだろうな”と呟いたが、彼らの音や歌詞を“理解する”というのは、そもそも野暮だと思う。日本人が潜在的に共有している魂の原風景や“わび・さび”の美意識を現実世界に描き出す彼らのサウンドは、考えて聴くものではない。だからといって身心全てを彼らに預けてしまうと、あっと言う間に渦に飲み込まれてしまう。ZAZEN BOYSの音楽の前で、自分は何を感じ、どう振舞うことができるか。彼らのライヴを観ること、それ即ち“己との対峙”なのだろう――狂騒と静美が行き交うラストの「Asobi」の音像に圧倒されながら、そんなことを想った。

 そして、至極強烈なバトンを渡されていよいよ登場した、LEO今井、岡村夏彦、シゲクニ、白根賢一の4人。彼らが足を踏み入れたのはZAZEN BOYSのセットとは一変して、多くの機材たちが堂々と君臨した迫力のあるステージ。その様子から音が鳴らずしても力強さと意気込みがうかがえたが、いざ「Omen Man」で火蓋を切ると、こちらの想像を優に超える勢いのサウンドと歌声がフロアーめがけて飛んできた。岡村のキレッキレのギターリフ、シゲクニと白根のドスの効いたアグレッシブで強靭なベースライン、そしてLEO今井の咆哮ともいうべく生々しいシャウト。「Bite」「Fresh Horses」と続く中で、4人それぞれが放つ音同士の厚い共鳴が会場のテンションをグッと上げているのをしっかりと感じた。

 そうした熱気渦巻く今回の『大都会ツアー』を語る上で欠かせないのは、ツアーの対バン相手の楽曲をカバーしたEP『6 Japanese Covers』。LEO今井が敬愛するアーティストの楽曲を詰め込んだ同作は、ただ単に“カバー楽曲=アーティストへの敬意”を鳴らしたものではなく、“2019年現在のLEO今井=LEO IMAIだからこそ放てる音楽”というオリジナル性をひしと感じさせるもの。LEO IMAIとして培ってきたバンドの経験と信頼関係、LEO今井をLEO今井たらしめる血肉化された音楽性とヴォーカリゼーションでもって、バラエティー豊かな他者の楽曲とコラボレーションすることによって、そうした彼自身のセンスがより一層開花したことが分かる作品だった。そしてこの日、前野健太を招いて歌われた、魂まるごと揺るがす「ファックミー」や、呂布カルマとともにプレイしたサイケデリックラップチューン「ヤングたかじん」、そして向井と肩を並べて絶唱したメタルとシュールの狂騒曲「ポテトサラダ」は、音源を聴いて感じていたそういった予感を確信に至らしめる最高なものだった。

 LEO今井はこのカバーメドレーを始める際に“カラオケ感覚で楽しんで”と言葉を残していたが、どの楽曲も気軽に口ずさめるようなレベルのものでは到底なかった。LEO IMAIにしかできない、愛と情熱と誇りに満ちあふれた楽曲の数々にひたすら圧倒された時間だった。そんな熱気漲る空間に心地良い安らぎをもたらしたペトロールズのカバー「雨」を経て、彼らはラストにテクニカルチューン「New Roses」を堂々と投下して本編の幕を閉じた。

 熱望されたアンコールでは、NHK Eテレ子供番組『デザインあ』内でLEO今井が歌唱/LEO IMAIがバンド出演した小山田圭吾作曲の「Shoot & Edit」を“アダルトVer.”と称してプレイ。炸裂するベースのスラップやダイナミックに変貌していくリズムにオーディエンスの身体がしきりに揺れていた。そして、オーラスには、ZAZEN BOYSの4人と、前野、呂布の6人がステージに大集合! ヴォーカル4、ベース1、ギター2、ドラム2、そしてフリーなMIYAという超大編成で鳴らされた代表曲「Tokyo Lights」は、まさに大円団という言葉が相応しい豪華絢爛っぷりだ。フロアーにはハンズアップやクラップが沸き起こり、この場にいる全員でツアーの終幕を祝うかのような明るい雰囲気が実に清々しかった。また、アンコールのMCの中では、来年2月26日に代官山UNITにてワンマンライヴを行うことをアナウンス。今回のツアーで目の当たりにした彼らの強靭なサウンドスケールが、来年には一体どこまで広がっているのか。その光景が今から楽しみだ。

撮影:Jun Tsuneda/取材:峯岸利恵


セットリスト

  1. 【ZAZEN BOYS】
  2. 1. Honnoji
  3. 2. Himitsu Girl’s Top Secret
  4. 3. Cold Beat
  5. 4. 杉並の少年
  6. 5. This is NORANEKO
  7. 6. ポテトサラダ
  8. 7. WHISKEY & UNUBORE
  9. 8. 破裂音の朝
  10. 9. Asobi
  11. 【LEO今井】
  12. 1. Omen Man
  13. 2. Bite
  14. 3. Fresh Horses
  15. 4. ファックミー  w)前野健太
  16. 5. Fandom
  17. 6. ヤングたかじん w)呂布カルマ
  18. 7. どだればち
  19. 8. ポテトサラダ w)向井秀徳
  20. 9. 夏の日の午後
  21. 10. 雨
  22. 11. New Roses
  23. <ENCORE>
  24. 1. Shoot & Edit
  25. 2. Tokyo Lights  w)出演者全員
LEO今井 プロフィール

レオイマイ:日本・スウェーデン出身。イギリスでの生活を経て日本へ移住。オルタナティブを基盤にした無国籍な都市の日常を切り取るシンガーソングライター。その文学的、実験的な作風は、各都市で生活してきたVISITORとしての視点にあふれている。ソロアーティストとして、また、向井秀徳(ZAZEN BOYS)とのKIMONOS、高橋幸宏、小山田圭吾、砂原良徳、TOWA TEI、ゴンドウトモヒコらとのMETAFIVEのメンバーとしても活動中。LEO今井 オフィシャルHP

OKMusic編集部

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