山崎樹範「ピリオドの向こう側を見た
い」と宣言!? ~崩壊シリーズ~第3
弾『派』開幕!

山崎樹範主演“崩壊シリーズ”の第3弾『派』が2019年10月18日(金)、東京・俳優座劇場にて初日を迎えた。初日の直前にはゲネプロ(通し稽古)が公開され、山崎以下、松島庄汰、安西慎太郎、前島亜美、伊藤裕一、上地春奈、大水洋介(ラバーガール)、梶原善が笑い溢れるドタバタコメディを繰り広げた。
(写真左から)伊藤裕一、前島亜美、安西慎太郎、松島庄汰、山崎樹範、梶原善、上地春奈、大水洋介、オークラ
ゲネプロ前に行われた会見では、上記の8名と作・演出のオークラが出席して今の率直な心境を語った。
劇中では劇団の座長であり演出家・栗須健司役を演じる山崎は「観て下さる方々に夢や希望を与えるなんてさらさら考えておりません」と言い放つ。笑いを誘った山崎は「この芝居は小さな劇団がミスをしながらも悪戦苦闘している様を描く物語です。僕らが汗をかき、はいつくばって芝居をしている姿を皆さんに笑ってもらいたい。もしかしたらその先には感動が待っているかも。皆さんでピリオドの向こう側を見たいと思います」と語った。
劇団員で新進気鋭の作家・志戸新留(しどにいる)役の松島は本シリーズ初出演。「ハロウィンで沸く六本木で(俳優座劇場が)一番沸く場所になったんじゃないかな」と自信に満ち溢れ、同じく本シリーズ初出演の劇団員・馬倉阿蘭(ばくらあらん)役の安西も「“おもしろすぎる作品だな”と思っています」と胸を張る。「手ぶらで来て手ぶらで帰ることが最高のエンターテイメントじゃないかなと思っています。笑いが多くちりばめられているこの作品、笑うという行為は人間に必要な成分だと思うのでそれがたくさん詰まっているこの作品はすばらしい」とコメント。
劇団員・阿賀桜(あがさくら)役を務める前島は「私も初めてこの作品に携われることを本当にうれしく思っています。どんな風になるのか私もドキドキしながら稽古に臨んでいました。人生で初めて舞台上である事をします。お客様がどんなリアクションをされるのかドキドキ。どこまで崩壊できるのかを毎公演チャレンジしていきたい」とニッコリ。
照明&音響担当・鳥場明(とりばあきら)役の伊藤は「3作連続でこのシリーズに出させていただけることを嬉しく思っています。この劇団はぜんぜん成長していないな、という声が以前出ていました。確かに僕ら劇団員は成長していないんですが、作品は回を重ねる度に着実に成長を遂げていると思います。最高傑作になるように頑張ります」と気合いを入れる。
舞台監督にして大道具役もやむなく兼務する杉山杏里(すぎやまあんり)役の上地は「私、役では舞台監督なのでこの芝居が崩壊していくのは私がやっていると思ってください。そして私、役では結婚しているんですが、プライベートではこの中から選ん…」と若手男子に目を向けると「それ関係ない話だから」と速攻で梶原に止められ悔しそう(笑)。
梶原さんに婚活?を止められる上地さん(笑)
小道具担当の城山一路(じょうやまいちろ)役の大水は「前回から約2年半。体力は衰え、髪も少し薄くなり、個人的には2ヶ月前にセグウェイで転んで右腕を骨折するという、どんどんダメになっている自負があるんですが、その衰えたおかしみを舞台で生かせたら」と弱音を吐きながらも意気込みを見せると会場から笑いが起きていた。
そして劇団員・出水護(でみずまもる)役の梶原は「コメディとはお客様が笑って初めて完成するものなんです。なので今日その苦労がやっと実を結びます」といつになく真面目に挨拶するが、ほどなく「……っていうボケを言おうとしたんですが、誰もつっこんでくれないので。とある映画で中井貴一さんが『コメディとはお客様が笑って初めて完成する』っていうのが繰り返し流れていたので、それをここでやったら山崎あたりがつっこんでくれるんじゃないかなって」とネタばらし。「今日も付け焼刃な芝居で頑張ります。最高のコメディをお楽しみください」といつもの調子に戻してコメントした。
オークラは「今回3度目の崩壊シリーズですが、初めて観に来た人も楽しめるものとなっていると思うので『大丈夫だよ』って(記事に)書いておいてくれると嬉しいです」と笑顔を見せていた。
質疑応答では、作品もしくは自身の役の見どころは?という質問が飛ぶ。「見所が多すぎるので、見所を見失わないでいただければ。あと善さん三谷イズム、いや中井貴一感が」(山崎)、「皆さんの芝居が下手で、あ、これは芝居中の話ですが、そこに入る新人としてみなさんに巻き込まれるところ」(松島)、「自分の役はとてもピュアで亜美ちゃんが大好きというところ」(安西)、「元地下アイドル」(前島)、「わかっていても笑ってしまうところ」(伊藤)、「いろんなものが壊れていくさま」(上地)、「(自分も)出ているのに、おお、と声が出るくらい視覚的な驚き」(大水)、「今回フレッシュなところ。古いメンバーでもフレッシュなところ」(梶原)と、皆それぞれに思うところを口にする。すると、ある記者から「以前、山崎さんに取材をした時、山崎さんの希望で今回かわいい子を一人入れてほしいという話が出て」と前島の採用理由が暴露される。すると山崎は「なぜこんなに人がいる時にその事に触れるのかなあ」とツッコミとも愚痴ともとれるような苦笑いを浮かべ、「やっぱり稽古場に行くのにテンションがあがりますからね」とつい本音を滑らせる。すると上地が「私じゃテンションがあがらないとでも?」と山崎に突っ込む。「一人いるより二人いるほうがいいでしょ?スタッフも女性が多いですし」とはぐらかした山崎だったが、最後は「亜美ちゃん、ありがとう!」と本音を再び口にし、一同大笑いとなった。
記者に突っ込む山崎さん
会見の後行われたゲネプロの模様もダイジェストでお伝えしよう。
新作の法廷劇を上演しようと本番ギリギリまで準備におおわらわなとある小劇団。予算不足から妻にまで舞台の大道具などの設営準備をさせている。照明・音響担当は故障しかけの機材をなんとか操り、古株の俳優は孫の世話のために本番を早退しようとする。若手女優とその女優にベタ惚れの若手俳優、そこに新進気鋭の若手作家が加わって、何とか舞台の幕を開けようとするが、ちょっとしたことで小道具が壊れたり、壁の絵が落ちそうになったりと物理的に崩壊寸前。またそこに出る役者も段取り度外視、皆自由気ままに振舞うので、芝居も、そして人間関係も崩壊寸前!一つのミスをむりやり取り繕うとすると、それが呼び水となって新たなミスが発生するドタバタコメディに記者たちからも思わず笑いが起きていた。
無茶苦茶となる舞台上。実際ゲネプロでは予定とは違う段取りも多発していたそうだが(笑)その混乱の中に垣間見える、様々な愛の形に胸の奥がくすぐられる不思議な心地よさがある芝居だった。
取材・文・撮影=こむらさき

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着