【インタビュー】若菜、「私はこうい
う人間です」ということをありのまま
表現できた2ndシングル「月 -TUKI-」

今年に入り、本格的に歌手/女優としての活動をスタートさせた若菜。彼女は以前一度芸能界デビューし、石原さとみ主演のドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」の主題歌に抜擢されるなど注目を集めてきたが、その後活動を休止。約2年間の休養を経て、本名に由来する「若菜」として再スタートを切った。今回は活動の再開に至った経緯や現在の心境を聞いた。インタビューの場でも、ステージでも、ありのままの自分として笑っている彼女の姿がとても印象的だった。

■休んでいた2年間葛藤もありましたが
■自分の中にもう一度チャレンジしたい気持ちがあった

――今回、ご自身の本名でもある「若菜」という名前で活動を再始動されたのはどういったお気持ちからだったんですか?

若菜:いろいろなことがあって私は一度この世界を去り、別の人生を歩もうと決めていたんです。だけどみんなでカラオケに行った時に私の歌で友達が泣いていたり、同業とかプライベートとか関係なく周りにいてくれた仲間、友達や家族が「もう1回やりたいという気持ちがちょっとでもあるのなら、絶対に歌をやったほうがいい」、「若菜はもう一度ステージに立つべき人間だと思うよ」って声をかけてくれたりする中で、自分の本当の気持ちに気付けたんです。休んでいた2年間葛藤もありましたが、自分の中にもう一度チャレンジしてみたいという気持ちがあるのかもしれないなって。

――そうだったんですね。

若菜:そんな風に少しずつ自分の中で気持ちが変化していったんですが、その気持ちをどうやって伝えたらいいんだろう?って思っていたタイミングで、今のマネージャーやスタッフの方とのご縁をいただいたんです。そこで、じゃあもう一度頑張ってみようと思い、今年改めて「若菜」としてスタートさせてもらうことになりました。

――歌いたいという気持ちの火種が、しっかり残っていたんですね。

若菜:そうですね。あの頃は歌とか音楽があまり好きじゃなくなっていたかもしれないんですが、でもやっぱり小さい頃からの夢でしたし、嫌いにはなれませんでしたからね。きっと未練みたいなものがじわじわと疼いてきたんだろうなって、今となってはそんな風に思います。
――再スタートを切るにあたって、名前だけではなくビジュアル面も大きく変わりましたね。最新曲「月 -TUKI-」のMVの金髪はものすごいインパクトでした。

若菜:今はアーティストの若菜としてもそうですが、1人の人間としても「私はこういう人間です」っていうことを、ファッションの面でもありのまま表現させてもらっています。また、本名としての若菜として生きている時間も、何かを発言する時の言葉も、そのままの自然体でいいんだよって言ってくださる今のこの環境がすごく嬉しくて。ミーティングをしていても「若菜はどう思う?」、「若菜がやりたいならやってみよう」って、タレントやアーティストとしてだけではなく、1人の人間として私に接してくださっていることが本当に幸せなんです。

――じゃあきっと音楽の面でも、自分の言葉やメロディーで発信してみようと思うのは自然な流れだったんでしょうね。

若菜:そうなんですよね。このままの自分でいていいんだったら、その時に感じた気持ちや浮かんできたもの、伝えたいと思うことを歌詞にしてみようって。今までやってこなかったことにも挑戦してみようっていう気持ちが、自然と湧いてきました。

――今年の7月には、若菜としての1stシングル「柳火」を配信でリリースされました。共作という形ではありますが、ご自身のこれまでとこれからの思いを込めた言葉を綴られていますね。

若菜:自分の体験談…と言いたいところなんですが、体験しきれなかった、ちょっと胸に留めていた想いなども歌えたらいいなという思いで作りました。あとは季節的にも真夏っぽいものにしたいなというところから、この「柳火」が生まれたんです。私の以前のイメージとしては、たぶん明るくハッピーでイェイ!みたいな感じじゃなかったと思うんですね。でも普段の私はどちらかというと明るいし、よく笑うほう。もちろん色々と考え込むこともあるし、陰(いん)の部分も人間として持っています。そういう相対するものとか、自分の中での葛藤、この復帰にあたって感じてきた感情などを織り交ぜて歌えたらいいなと思ったんですよね。最後には光を見据えて一歩前に踏み出すような、前向きな気持ちを歌詞に乗せられたらという思いで作詞に参加しました。
■自分を追い詰めたり殻に閉じこもってしまう時もあるから
■そういうところを見直して脳みそを柔らかくしなくちゃ(笑)

――実際に、自分の思いを込めた言葉を自分で歌ってみていかがでしたか?

若菜:これまで歌ってきた感じとは、全然違うなと思いました。歌いながらどうしてこういう歌詞にしたのか、この言葉を使ったのかをふと思い出す時があるんですが、そこで感じる思いの熱量が違うんですよね。もちろんカバーであっても自分の中でしっかり解釈して、これをどう伝えようかってすごく考えるんですが、その作業がいい意味でいらないじゃないですか。もうその段階を踏まえた上で自分で書いたものだから。だから、自分で歌っている時の感情が全てなんですよね。その感覚は自分で書いたからこそだなと思います。

――2ndシングルとなる「月 -TUKI-」も歌詞は共作ですが、前作よりももっと若菜さんの芯の部分に近づいた楽曲になったなと感じました。

若菜:確かにそうだと思います。前進した感はあるなと思うし、さらけ出したというか、よりストレートな言葉になったなというのはありますね。

――歌詞を読んでいると深読みしてしまう部分もありましたが、若菜さんはそれすらも承知の上でこの歌を歌われたんだろうなと思いました。すごく、胸を張っている感じが伝わってきます。

若菜:そう。本当にそうなんですよね。もちろん過去は過去で色んな経験をしましたが、それがあったからこその今。若菜として新たな一歩を踏み出せたわけですから、気持ち的にはまたゼロからのスタートという気持ちでやっています。前の私を知っていても知らなくても、その人の解釈で全然いいんです。さっきも言いましたけど、歌が歌えていて、聴いてくれる人がいるだけで私は幸せなので。
――歌声そのものに、その喜びが現れていますよね。きっと今、すごく自分らしい歌声で歌えているんだろうなと思います。

若菜:それはすごく嬉しいです。別に比較をしてほしいわけではないんですが、今の声とか、今歌っている姿は本当に生き生きしているねって言ってくださると、そこを伝えたかったんだっていうのもありますから、私としては一番嬉しいです。

――そんな若菜さんの声の魅力を引き出した、YouTubeの「コバソロ&若菜」も好評でしたね。

若菜:こんな風にカバーしたものを作品として発表したことがなかったので、これもチャレンジのひとつとしてやってみました。復帰するにあたってのプロセスというか、こんな感じのステージからじゃないと復帰したくないみたいな思いは1ミリもなかったし、むしろ歌えることに対しての幸せを強く感じていたから。それに歌うのは好きな曲ばかりだったので、このご縁をいただけたこともすごく嬉しかったんです。

――日本はもちろん、海外からの反応もすごくいいですよね。

若菜:はい、本当にありがたいです。ちなみに私のインスタグラム(wa_ka_na_official)には、台湾や中国の方からのコメントもたくさんあるんですよ。日本じゃない国の方にも知っていただけているのはこのYouTubeのおかげなので、本当にやってよかったなと思っています。

――良い環境の中で、進むことができているんですね。

若菜:一つの作品や一つの音楽に対して自分も携わる割合いが明らかに増えましたから、良い意味でプレッシャーを感じる時もあるし、これで大丈夫だったかなって考える時間も増えたんですね。変に気負って自分を追い詰めたりして、殻に閉じこもろうとしてしまう時もあるから、まずはそういうところを見直して、脳みそを柔らかくしなくちゃいけないなと思っています(笑)。何年後にはこういう舞台に立つんだというようなことよりも、今はまだスタートしたばかりですから、今日のライブもそうですが一つ一つ目の前のことに一生懸命取り組む。それが、今私のやるべきことじゃないかなと思っています。

――これからの若菜さんの活躍を楽しみにしています。

若菜:ありがとうございます。色んな場所でライブをするというのはアーティストとしての生き甲斐だと思うんですが、日本だけじゃなくて、まだ全然数は少ないけど中国とか韓国とか、1人でもそういう声をかけてくださる人がいるのであれば、そういう人達の元に行って歌いたいなという目標があります。またミュージカルや舞台など、自分が歌で培ってきた表現力を生かすチャンスがあるのであれば、どんどんチャレンジしたいなと思っています。もう、何でもやってみたいんですよ。表現の幅は、これからももっともっと広げていきたいです。

取材・文●山田邦子
リリース情報

「月 -TUKI-」
配信開始:2019年9月28日(土)
形式:デジタル配信
価格:250円

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