【インタビュー】doa、デビュー15周
年を語る_後編「バラバラな3人が“声
”で繋がっている」

メジャーデビュー15周年を迎えるdoaが、夏、秋、冬の3期に分けて三部作となるベストアルバムをリリースする。当初、オフィシャルサイトにて『doa 15th Anniversary BEST SONGS リクエスト投票』を実施。予想をはるかに上回る投票数と音楽的に多岐にわたる上位楽曲の結果を受けて決定したものだ。リクエスト上位曲から『ROCK』『MIDDLE』『BALLAD』をメンバー自身が選曲し、『doa Best Selection』は全3作、収録曲はそれぞれ19曲という大ボリュームでリリースとなる。
BARKSでは、doaの15年間を紐解くヒストリーを前編と後編の二部構成でお届けすることをはじめ、メンバー個々の背景に迫る単独インタビューを実施中だ。全5本のインタビューから、“3ボーカル”という道なき道を歩んできた彼らの軌跡を辿り、彼らの向かう先の光をみつめる特集をお届けしたい。その第三弾は全員インタビューの後編だ。2011年から現在まで、doaの転機となった音源やライブについてじっくりと話を訊いた。

   ◆   ◆   ◆

■着信音が「We are one」の人がいて
■そのとき“伝わっている”と思えた

──デビュー15周年を語る後編は2011年からお話をうかがいたいと思います。2011年といえば3月11日に東日本大震災が起こりました。この震災は音楽シーンやアーティスト自身にも大きな影響を与えるものとなりましたが、doaのみなさんはそれぞれどんなことを感じましたか?

徳永:doaは当日、大阪のhillsパン工場でライブをする予定で。その会場リハをしている時に地震が起きたんです。震源地から遠く離れた大阪でも結構揺れたんですよ。

大田:リハをしていたら、サポートキーボードの大楠君が「揺れてる?揺れてない?」って。僕らもなんかおかしいなと思って、会場のミラーボールを見たらグラグラ左右に振れていたんですよ。

吉本:地下だったのに結構揺れましたよね。
▲ベストアルバム第2弾『doa Best Selection “MIDDLE COAST”』

大田:うん。揺れはすぐにおさまったのでリハを続けたんですけど、楽屋に戻ってネットを見たら仙台空港の映像が映っていて、“えっ!? なにが起こっているの?”って。

吉本:衝撃でしたね。津波の映像も映し出されていたので、“これはライブをしている場合じゃない”と。お客さんにも状況を理解してもらいつつ、その日の公演は中止しました。

──大阪にも大きな爪痕を残したわけですね。

吉本:僕は地震のあと、現地に何度か行ったんですよ。最初は地震から約1ヵ月後、避難所生活をしている石巻の人達のところへ。そこでご飯を作ったり、小学生たちと一緒に遊んだりしたんですけど、ほんまに深刻な状況だったことを今もはっきり覚えています。ヘドロとか打ち上げられた魚の死臭とか、映像には映らない酷い臭いもあったんです。3階建てくらいのビルの屋上に車が乗っかっているような信じられない光景ばかりで、“これは現実なんや”って、強いショックを受けましたね。

──地震のあとに現地に行って、人生観が変わった方も少なくなかったですね。震災後は多くのバンドが活動自粛せざるを得ない状況となりましたが?

大田:僕らは3月19日に、東京で初のホールライブをすることが決まっていたんですよ。でも、会場の九段会館の天井が地震で崩落してしまって、ライブは会場を変更して延期することになりました。

徳永:その年の6月から7月にかけて振替ツアーをしたんですよね。

吉本:地震のあとは音楽業界に限らず、ほとんどのエンターテイメントが活動を自粛しましたよね。それまで経験したことのない状況だったから、みんなどうしたらいいのかわからなかったんだと思う。
▲無料配信シングル「We are one」

──電力問題もありましたからね。そんな中で、doaのアクションは早かったですよね?

大田:3月16日にシングル「Now and Forever」をリリースした直後だったんですけど、「震災を受けて曲を作ろう」って「We are one」の制作に。メンバー全員が作詞を担当して、仲間のミュージシャンに声をかけて……たしか、レコーディングスタジオを使わずに録ったよね?

徳永:そう、一切使わなかったね。レコーディングはカホンとマイクをリハスタに持ち込んでPCで録ったり、スタッフも含めて数10人で歌ったり。参加ミュージシャンの中には、データ上だけでやり取りした人もいたし、事務所の一室で録った人もいた。そんなふうに手作りで形にしたんです。

──結果、シングル「We are one」は2011年5月23日に無料配信リリースされました。

徳永:「リリースさせてもらえませんか」と所属事務所に話して、フリーダウンロードできるようにしました。その後、仕事で仙台に行ったときに、「We are one」をスマフォの着信音にしていた人が空港にいたんです。もちろんその人は僕がdoaのメンバーだということを知って近くに居たわけじゃなくて。そのとき、すごく嬉しかったですね、“伝わっている”って思えて。

吉本:それに今でも続けているんですけど、チャリティーのために作ったリストバンドを着けてくれている人がたくさんいるんですよ。「We are one」を作った時もそうだったけど、震災を通して人の温かさや優しさを改めて感じました。
吉本:それに、ベストアルバムのツアーということで久しぶりに披露する曲もあるんですよ。僕が今一番悩んでいるのはデビュー曲「火ノ鳥のように」(2004年7月発売)を音源に寄せて披露するか、今の解釈でアレンジするかということ。特に「火ノ鳥のように」は当時と今で歌い方が違うんですよ。BARKSインタビューで前に話したかもしれないけど、「火ノ鳥のように」は歌詞を全部ローマ字にして歌ったから、独特な感じ。それをどうしようかなって。

大田:歌い方を変えることってできるの?

吉本:…………(黙)。

徳永:できないんかいっ(笑)!

吉本:いやいや(笑)。でも音源と同じように歌うのは、今となってはちょっとおかしいのかなって。「火ノ鳥のように」はツアーを通していろいろ試して、答えを見つけたいと思っています。

徳永:今回のツアー会場は基本的にオールスタンディングなんですよ。僕が去年やっていたソロライブは客席ありのスタイルだったけど、今度のdoaは“大人の皆さんも汗だくになってみようぜ、たまには”というライブですよね。みんなでスカッとしたいと思っています。

大田:今回のツアーは僕にとっては限界に挑戦ですよ。そこが不安(笑)。でも、とにかく“やってやる!”という気持ちで臨みます。
■枯れていくことに対する不安はない
■むしろ味わいとして楽しみにしている

──もうひとつ、今年リリースされる3枚のベストアルバムは、それぞれに新曲が1曲ずつ入ることもポイントです。9月11日にリリースされた第二弾『doa Best Selection“MIDDLE COAST”』収録の新曲「CATCH」は、どんなナンバーでしょう?

徳永:第二弾は“MIDDLE”と銘打つベストアルバムなので、新曲もミディアムテンポです。サウンド的には今までどおりの“That’s Middle”な感じのロックチューンですね。『凹凸世界』というTVアニメの主題歌に起用されています。歌詞はラブソングです。“届かない想い”みたいなものを。
▲先行配信新曲「CATCH」

大田&吉本:ははははは。

徳永:なんで笑うの(笑)? なんかね、2人は僕が歌詞を書くと笑うんですよね。

大田:いや、徳永君が歌詞を書くと、彼のいろんな面を見ることができるんです。長いつき合いだけど、今でも“そうなんだ!?”って感じることが多々あって、それが面白い。だから、バカにしているわけじゃないんですよ。“徳永君、いいなぁ”という笑い。それに「CATCH」のレコーディングでは珍しく、徳永君が結構悩んでいたんですよ。「これでいいかな? もっと派手なアレンジにしたほうがいいかな?」みたいなことをずっと言っていたので。その姿をも思い出して笑ってしまったんです。

吉本:レコーディングに入ってからも、いろいろ変わった曲なんですよ。

徳永:リードボーカルは吉本君なんですけど、当初は僕のボーカルで作っていたから、声質が変わったことでまたちょっと違う雰囲気になったんですよね。それで、たとえばキーを変えたりしたり。結構時間をかけて作りましたね。

──さて、15周年を経たdoaは今後どんなところを目指していきますか?

徳永:さっきも言ったように、目の前のことを一生懸命がんばって、気がついたら15年が経っていただけなんですよ。ただ、“大人になれない”みたいなことを歌うロックバンドが多いと思うんですけど、そもそも僕らは大人だし、というのがdoaにはあって。歳を取っていくことだったり、枯れていくことに対する不安はないというか、むしろそれを味わいとして楽しみにしている。なので、これからも自然体で、その時々に自分がやりたいことをやっていくと思います。

吉本:僕らはキャラ作りができませんからね、ありのままなんですよ。これからもそうありたいし、それしかできない。だから、ロックバンドだからといって若作りせずに、大人の色気、大人のカッコよさ、大人のシブさを感じてもらえるようになっていきたいです。

大田:僕は歳を取っても声は枯れちゃいけないと思っているんですよ。だから、ずっとこの声を出し続けたい。ただ、年々少しずつ変化していくという現実もあるんですよね。声を保つことにこだわりつつ、より幅広い表現ができるシンガーを目指していきたいと思っています。

取材・文◎村上孝之

■「CATCH」配信情報

配信スタート:8月14日より先行配信中
※『doa Best Selection “MIDDLE COAST”』収録曲
・アルバムリリースに先駆け、2019年8月14日(水)よりダウンロード配信&サブスクリプション配信スタート。
・各配信会社他、Apple Music・Spotify・AWA・KKBOX・LINE MUSIC・dヒッツにてサブスクリプション配信中。
・新曲『CATCH』は、相手の想いをCATCHしたいと思いながら、なかなかできないという切ないラブソング。もどかしさと一緒に届かなくてもCATCHしにいくような、そんな心情が描かれた秋にぴったりのナンバー。


■ベストアルバム第2弾『doa Best Selection “MIDDLE COAST”』

2019年9月11日(水)発売
GZCA-5293 3,000円(+税)
01. THIS LIFE
02. I wish
03. CATCH(新曲)
04. SMILE
05. YOU&I
06. 君だけに気づいてほしい
07. 終わらないYESTERDAY
08. 拳
09. Siren
10. ハレ
11. TAKE IT EASY
12. FRONTIER
13. Amazing Days
14. サザンライツ
15. Route 26
16. 大人ラプソディー
17. HOME SWEET HOME
18. 無人島
19. 僕は君を壊したりしない


■「野の花」配信情報

配信スタート:10月9日より先行配信開始
※『doa Best Selection “BALLAD COAST”』収録曲
・アルバムリリースに先駆け、2019年10月9日(水)よりダウンロード配信&サブスクリプション配信スタート。
・各配信会社他、Apple Music・Spotify・AWA・KKBOX・LINE MUSIC・dヒッツにてサブスクリプション配信予定。
・新曲「野の花」は、涙をこらえながら空を見上げている女性のそばにいる男性の心情を描いた切ないバラード曲。大田紳一郎の歌詞に徳永暁人がリードボーカルとして歌い上げる。


■ベストアルバム第3弾『doa Best Selection “BALLAD COAST”』

2019年11月6日(水)発売
GZCA-5294 3,000円(+税)
01. はるかぜ
02. 心のリズム飛び散るバタフライ
03. 野の花 (新曲)
04. 365のダイヤモンド
05. 地球の中で二人っきり
06. いっぱい
07. 愛は太陽のように誰にでもふりそそぐ
08. One Love
09. 旅立ちの歌
10. まわり道
11. 季節が変わる頃またここで会おう
12. ガラスのハイウェイ
13. キャンドル
14. 手紙
15. シェリー
16. 誰よりも近くにいるのに
17. I wanna know your soul
18. ただ君がいるそれだけでいい
19. ひまわり

■ベストアルバム第1弾『doa Best Selection “ROCK COAST”』

2019年7月10日(水)発売
GZCA-5292 3,000円(+税)
01. 英雄
02. HERO
03. WINDOW (新曲)
04. 火ノ鳥のように
05. 青い果実
06. 白の呪文
07. ゼロの気持ち
08. FREEDOMxFREEDOM
09. 見えない海
10. RIDE ON
11. FLY HIGH
12. 危険なカーブ
13. コンビニマドンナ
14. GIMME FIVE
15. Run to you
16. SATURDAY NIGHT FEVER
17. どしゃぶり PaperDriver
18. 自由という名のブランド
19. テキサスホールデム


■<doa 15th Summer Live “open_door” 2019>

07月14日(日) 東京・赤羽 ReNY alpha
open16:00 / start16:30
(問)ディスクガレージ 050-5533-0888
07月15日(月祝) 愛知・NAGOYA ReNY limited
open17:00 / start17:30
(問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
07月21日(日) 長野・LIVE HOUSE J
open17:00 / start17:30
(問)doarock 06-6110-0116
08月12日(月祝) 愛媛・松山サロンキティ
open16:30 / start17:00
(問)doarock 06-6110-0116
08月18日(日) 大阪・梅田 Banana Hall
open17:00 / start17:30
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
09月02日(月) 兵庫・神戸VARIT.
open18:30 / start19:00
(問)サウンドクリエーター 06-6357-4400
09月24日(火) 埼玉・西川口Live House Hearts
open18:30 / start19:00
(問)doarock 06-6110-0116
09月25日(水) 神奈川・新横浜 NEW SIDE BEACH!!
open18:30 / start19:00
(問)doarock 06-6110-0116
10月05日(土) 北海道・札幌Space Art Studio
open16:00 / start16:30
(問)doarock 06-6110-0116
10月14日(月祝) 福島・郡山CLUB♯9
open16:30 / start17:00
(問)doarock 06-6110-0116
10月19日(土) 岡山・livehouse IMAGE
open16:30 / start17:00
(問)doarock 06-6110-0116
10月27日(日) 福岡・DRUM SON
open17:00 / start17:30
(問)BEA 092-712-4221


■<doa 15th Winter Live “open_door” 2019>

11月30日(土) 北海道・札幌Space Art Studio
open16:00 / start16:30
12月13日(金) 東京・新宿ReNY
open18:30 / start19:00
12月14日(土) 東京・新宿ReNY
open11:30 / start12:00
12月21日(土) 岡山・YEBISU YA PRO
open15:00 / start15:30
12月22日(日) 福岡・Gate'7
open17:00 / start17:30
12月25日(水) 愛知・JAMMIN'
open18:30 / start19:00
12月28日(土) 神奈川・新横浜 NEW SIDE BEACH!!
open15:00 / start15:30
12月29日(日) 大阪・umeda TRAD
open17:00 / start17:30

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