【Creepy Nuts・山人音楽祭 2019】1
MC・1DJスタイルで堂々と渡り合う、
変幻自在のステージ

山人音楽祭 2019【榛名ステージ】 Creepy Nuts
バンドが大半を占めるこのフェスにあって、武器がギターやベースではなくマイク一本、ターンテーブル一つのCreepy Nutsの存在はむしろ良い緊張感を与えてくれているように感じた。何しろMCバトル日本一のラッパーR-指定と、先日の『DMC Japan DJ Championship 2019 Final』を制し、DJバトル日本一の称号を獲得したDJ松永のコンビである。本気を出せばどんなタイプのリスナーも巻き込める。
Creepy Nuts
2017年以来の出演となった二人は登場の仕方からしてグッとドープなムードにシフトチェンジしてきた。ニューミニアルバム『よふかしのうた』から、油断したら一気に転げ落ちてしまうステージの緊張感を表現した「板の上の魔物」でスタート。DJ松永が吟味したジャジーなウッドベースとフルートのサンプリングがひたひたと迫る。新鮮なオープニングに続いて、「今日の主演はG-FREAK FACTRY? 否、Creepy Nuts? 否、お客さんでございます!」と、「助演男優賞」を投下。レゲエ/ダブ・フィーリング溢れる「よふかしのうた」はG-FREAKのルーツとも共振するような深いところでの共通項も感じさせる。
さらに「一昨年と同じことしててもしょうがない。この2年で成長した姿をG-FREAKに見せつけたいんですよ! 膝の筋力を見せつけて欲しいんですよ!」と、2017年より高いジャンプを「合法的トビ方ノススメ」で煽るR-指定。彼の畳み掛けるラップの勢いとサビで爆発するメロの良さで、みるみる最後方までジャンプしていくのはさすがだ。
Creepy Nuts
終盤には新作からど正論かつ、この曲を聴けばCreepy Nutsの正体もモチベーションもわかるナンバー「生業」を披露。直前のMCでは「俺ら、別に海外のラッパーみたいなすごい生い立ちとか何もないんですよ。成り上がろうとかないんですよ。でも俺は誰よりラップが好きなだけで、松永は誰よりDJが好きなだけでやってきたんですよ。だからこそ誰にも負けないし、全然違う武器でバンドと戦える」と、表現の本質に迫る発言で熱い拍手を獲得。マシンガンのように繰り出されるR-指定の言葉のイマジネーション、スキル、スピード感。『山人音楽祭』の多彩さの一部であるだけでなく、もはやCreepy Nutsの音楽がジャンルを超えた磁場だった。

文=石角友香 撮影=半田安政
Creepy Nuts

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